魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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前書きでの告知。

次話は、今話の雰囲気少し『ぶち壊し』のギャグ的要素があり得ます。

今から言っておくことでダメージを軽減するのだ。リジェネを打つことで―――。

というわけで来訪者編も遂にスタートーーーという日に投稿なのだが……まぁ佐島氏が特典小説をつけてくれれば売上は―――何とかなるかもね。

某うた系アニメ2つに押しつぶされるぞ(爆)


第256話『EMIYA--Unlimited Blade Works--』

 

 

「―――I am the bone of my sword.(身体は剣で出来ている)

 

 

 その言葉を聞きながらも、刹那に攻撃一つ通さないように動く全員。接敵云々を前に先制攻撃をしたのはレオだった。その手に持つ白銀の棍棒は―――無骨さよりも機械的な印象をもたせるものだった。

 

 白銀の棍棒は、光を放つとそのままに大地を強烈に一打。瞬間、盛大な土の盛り上がり―――土砂崩れが『平地』で起きたのだ。

 

 土砂の勢いは凄まじく、吸血鬼共を土葬せしめんと何度も繰り返されるが、その中でも巨大な大男が―――怒りと共に前に出てきたが、大男を留めんとモードレッドが朱雷を剣に纏わせながら切り結ぶ。

 

 

「―――Steel is my body, and fire is my blood(血潮は鉄で、心は硝子)

 

 

 クラレントという最高位の武器を得たことで、文字通り水を得た魚のように剣戟剛撃を繰り出すモードレッドのフォローとして、ドライアイスの弾丸が―――大男の『脚』を直撃。

 

 分厚い鎧越しでも脚から下を凍結せしめた攻撃は、大男を止めた所に真っ向唐竹割りが入り込む。

 

 大男に比べれば小さな体を、目一杯バネを生かして飛び上がったモードレッドの一撃が、寸分違わず左右に割り入る。

 

 しかし―――消滅はしていない……。

 

 

「――― I have created over a thousand swords.(幾つもの戦場を越えて不敗)

 

 

 その間隙を塗って小猿が引き連れた黒色の猿―――類人猿の群れ―――キングコングを思わせる巨大なものまでいる。

 

 猿の惑星(PLANET of APES)を思わせる進撃を前にして、ペンギン軍団とイルカ軍団とシロナガスクジラの軍団が、都会のアスファルトを海に変化させて猿たちに挑みかかる。

 

 さながら『イルカ(クジラ、ペンギン連合軍)がせめてきたぞっ』とでも言うべき様相を作り上げたのは、達也の妹とフランスからの留学生である。

 

 怪獣大戦争も同然の戦いの中で、小猿に―――幻獣だと断定したリーナの言葉を聞きながら、攻撃を集中させる。

 

 

Unknown to Death.(ただの一度も敗走はなく、)

 

Nor known to Life.(ただの一度も理解されない。)

 

 

 吸血鬼たちも刹那の呪文に何かを感じ取ったのか、攻撃の圧を広範囲かつ高威力で強めようとしてくる。

 

 ―――邪魔はさせないという想いで、黒馬ラムレイを出したランサーアルトリアオルタが、包囲の外側に単騎で駆け出して、押し寄せる吸血鬼とその『分体』の『横っ腹』を突き刺していく。

 

 それに対応しようと翻したところで、けたたましい、否……猛々しいモーター音を響かせて黒いバイクを駆る戦闘メイドが、同じく横っ腹を突こうと駆け出して、反対側の横っ腹を突き出していく。

 

 黒いバイクをスロットル全快で駆け出すメイドが横を叩き出す。

 

 左翼右翼に『呂布』(無双状態)が出てきたようなもので、軍団は壊乱しようとする。

 

 

「―――With stood pain to create live weapons.(担い手は此処に独り。)

 

 

 だが吸血鬼としての慢心か、それともそういう集団行動を取るには『我』が強すぎるのか、混乱した軍団が更に混乱した所に―――

 

 モードレッドとエリカが、息を、呼吸を、鼓動を合わせる形で、飛翔する斬撃―――十字を刻む軌跡のものが飛んでいき、軍団を更に混乱させる。

 

 しかし混沌と呼ばれた吸血鬼の泥が砕かれたとしても、油断なく様々な『カタチ』に変化して、足元から這い寄る混沌をピスピスと穿つことで奇襲を許さない。

 

 最前線で戦う連中に比べれば地味な作業で、120体目の小動物を砂粒以下に返して―――それでも、混沌に戻ってしまう作業を繰り返したところで―――

 

 

「―――cutting and create many weapons.(剣の丘で数多の人の生を識る。)

 

 

 大地に刻まれる『魔力の紋』、魔術回路と魔術刻印の転写(げんぞう)の一筋が達也の足元に絡みついた瞬間……。

 

 一体の獣に何かの『線』を―――子供のラクガキじみたものが走るのを見た。それだけでなく万物全てにすら見えるそれが……。

 

 

 

「―――I have no regrets. This is the only path.(ならば我が生涯に意味は要らず、)

 

 

 

 最大級の魔力の猛り―――明確な危機感を持った転生する吸血鬼の下知を受けて、正面の圧を強めたところで―――夜目が効くはずの吸血鬼の眼を眩ませるほどの閃光弾が、『空中』から幾つも投下―――同時に、ビームやレーザーなど未来兵器、バルカンやガトリング砲の近代兵器の乱舞が、空中から飛来する。

 

 出足を挫かれたところに、幹比古と美月の連撃が炸裂。

 

 幹比古がコノハナノサクヤビメからの魔弾を……。

 

 美月が鏡からネコっぽい(厳密に言えばネコではない)使い魔を出し、その矮躯のネコっぽい使い魔がボクシングパンチ。吸血鬼の集団を押し返す。

 

 あり得ざる光景だが、刹那が何かを指導していたことは知っている。

 

 そして吸血鬼との『境界』を刻む形で、地面から虹色の光の柱が間欠泉のように吹き出てくる。

 

 

 長い詠唱……現代魔法では打ち捨てられた無駄さが決して無駄ではない。

 

 世界を変えるほどのその『呪文』(ことだま)が世界に響いた時に、世界はひっくり返る―――!!! 

 

 

My over soul was(躍動する魂は)

 

 

 その事実を司波達也は、再認識する―――――――。

 

 祈りの所作が解かれ、手を一杯に広げ、腕を鳥の翼のように伸ばした刹那の『魔法』が解き放たれる。

 

 

 

「―――So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.(きっと『無限の剣』を喚び醒ました)

 

 

 

 

 全てを亡くし、1人で泣いていた少年の『奇跡』が世界に具現化する―――。

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 眩いばかりの『逆光』を受けたミハイル・ロア・バルダムヨォンの再生体は、ようやく見えてきた光景の見事さに、時間こそ『月夜』ではないが、あの日に見た『奇跡』と重なったが―――。

 

 

 すかさず嘲りの笑みを浮かべる。こんな大それた魔術で、これだけしか出来ないのか―――と……。

 

 

「何を出すかと思えば、『固有結界』―――リアリティマーブルとはな。自分の心象で世界を塗りつぶす異界創造の秘術……美しい光景だ。ああ、確かに『色彩』豊かなものだ。

 太陽が浮かぶ時間―――とも言い切れないが、さりとて月が浮かぶ時間でもない―――。

 雲海が近い―――まるで浮島だな……。ああ、だがやれることは、この空間で―――墓標のように突き立つ『名剣』を使う程度か!!」

 

 

 知識欲があり、かつ洞察力にも優れた冠位指定級の魔術師の言葉が届く。位置関係としては固有結界の性質上、思いのままの配置を取れた。

 

 ある種の運命改変すら行える固有結界の特性ではあるが、しかしながら―――遠坂刹那は、その言葉に薄く笑みを浮かべるのみだ。

 

 

「貴様は知らないだろうが、このミハイル・ロア・バルダムヨォンは、都合17回の転生を行い800年間の世の移りを見てきた。―――貴様と似たような思想に行き着いた魔術師の1人や2人、見てこなかったとでも思うか?

 例えその剣が、どれだけの魔力を溜め込み―――何千、何万と降り注ごうと―――『人の身』では、この私を倒すことは出来ないのだ」

 

 

 ああ、それは真実だ。

 

 程度の差はあるが、如何なる奇跡を起こそうと、人の身では決して『死徒』を消滅させることは出来ない。そういう『ルール』が『完全適用』された世界は、とっくにご存知だ。

 

 だが……。

 

 

「―――ステージ(舞台)が違いすぎたな吸血鬼。不老不死の定義で他人の(ありかた)に寄生する貴様は、何もかもを違えていたよ」

 

 

 その言葉の返事は、虚空に幾重にも刻まれるカバラ数秘術である。

 

 既にその魔法陣からは閃雷が迸っており、放出された時の威力は察してありあまる。

 

 小癪な若造に対する叱責の打擲としては大人気ないが、それでも齢にして半世紀も超えていない若造が、『ここ』に至ったことに対する称賛も込めて―――殺すことにした。

 

 浮島の見事な草花を吹き飛ばす雷霆術の威力は―――存分に発揮されて距離はあれども威力を減することはなく、直撃しようとした瞬間。

 

『盾』が現れる。無数の盾だ。拵えは黄金。カタチは『円』

 

 黄金の円盾は―――次から次へと増えていき、猛烈な雷の全てを防ぎきった。

 

 

「他愛もないものだ。クセルクセスの用意した魔術師たちは、ゼウスに由来する言葉一つでこれ以上の雷を発動できた」

 

 黄金の円盾の向こうから声が響く。確かに剣だけではなく『盾』もあるだろうことを失念していた。小癪な真似を―――。

 

「まてミハイル、あれは―――」

 

「震雷!」

 

 魔法陣を重ねることで、雷をもはやレーザービームも同然に解き放つ。

 

 その光条の数は、10や20では足らないビームの連装砲だ。

 

 横に立つ同胞が何かを言っていたが、構わずに連撃を解き放つ。

 

 

 ―――しかし―――

 

 現れる影が、それらのレーザーを『斬り捨てた』。恐るべき早業。

 

 五月雨のごとしビームの勢いを五月雨斬りに捨てた『神域の剣客』が、盾の前に躍り出てそれを行ったのだ。

 

 

「雷を斬るなんて、結構無茶だが―――」

「レオニダスに無茶を強いるほど無情にはなれんよ」

 

 金髪を持つ美男の騎士と、紫赤(マゼンタ)の髪が鮮やかな女闘士が言う。

 

 2人は微笑を浮かべて、後ろを振り返り―――この世界の創始者に呼びかける。

 

「さぁマスター。もはや幕開けの時だ!!」

 

「数多の英雄たちの総覧―――お前が持つ奇跡!!」

 

 

 ―――『無限の剣()』を披露する時だ!! ―――。

 

 同調して言われた言葉に応じて、遠坂刹那という魔術師の四方八方に数多の人間が現れる。それは時代を超越()えた英雄たちの大集結。

 

 神代・古代・中世・近世・近代……それらの時代で名を残し、人類史に確たる歩みを刻んだ―――人間全ての集結なのだ。

 

 草原の世界に―――『星』が集う……。

 

「確かに俺が『単体』であれば、ここにある武器全ては俺という中途半端な担い手で、チカラを発揮出来なかっただろう―――だが、俺は―――ヒトリじゃない!」

 

 刹那の力ある言葉に応じて、また霊子の強烈なほとばしりで、『英霊』が召喚される。

 

 草原の世界に強烈な圧がまた1つ2つ―――もはや数え切れないぐらいだ。

 

 ―――目眩がするほどに、輝かしき星が降るユメのごとき軍勢の集結。魅せられた既知のものも、未知のものもそれを見た時に、どうしても感情に揺さぶりを覚える。

 

 

 その集団を前に、無限転生者ミハイル・ロア・バルダムヨォンは、驚愕と恐怖しか無かった……。

 

 月蝕姫の配下たる白騎士の心象―――『幽霊船団パレード』とは似て非なるもの。

 

 気づいたときには遅すぎた。これは―――詰みだと……。

 

「―――英霊の座より多くの英雄たちを、俺の身魂(さんみ)にある『縁』(えにし)を元に呼び出す。

 固有結界『無限の剣聖(無限の剣星)』―――俺の『エミヤ』の魔術としての最果て(極み)だ」

 

 

 居並ぶ輝きは吸血鬼の天敵である『太陽』をイメージさせる。属性的には『月』や『夜』など『陰』の側のものもいるだろうに、それらすらも『人理の守護者』としての『位置』に達すれば、こうも忌々しくなるのか―――。

 

 

「………ば、化け物め………! 『時間』(とき)から隔絶された英霊の座からの『一斉召喚』など、 貴様のそれはヒトとしての限界を超えた! 『魔法使い』であっても、いや―――お前は―――」

 

 狼狽したロアが、生前から持っていた全ての価値観(信仰)と共に勝ちの目すら消し去った少年におぞましさを覚えていたその時、ロアの(まなこ)に映った魔術師の姿が『違うもの』に見えた……。虹色に輝く目は―――稀少な魔眼。

 

 だが、『そこ』から辿れば―――。見えた姿に……『恐怖』を覚えた。

 

(あの時、私が見た『逆光運河』のカタチは間違いではなかった。だが、そこから―――)

 

 

 ―――何故、『これ』になるのだ!? ―――

 

 

 恐怖が身を凍らせる。 全身の毛穴が開ききったかのように、あらゆる危険を知らせる。

 

 

(魔術師ならば、『魔法使い』になればいい! これにはその『資格』があるはずだ! おのれの『影』を残して違うものを持ってくることも不可能ではない!! だというのに―――)

 

 

 だが、そんなロアの驚愕と懊悩混じりの考えとは裏腹に、『魔宝使い』遠坂 刹那は遠くからでも聞こえるように盛大に声―――いや、呪文を発した。

 

 

 既に100以上もの『英雄』たちが揃い踏み、その眼はロアとネロたちを完全に敵と認識していた―――。

 

 

「これからお前達がその腐った眼で見るものは、無限の剣()! 輝きを以て現れし、時代を問わぬ数多の英雄たちの剣戟乱舞! その武・魔・闘の絶技の絶技! 極致の極値―――その身で存分に味わうがいい!!!」

 

 

 虹のような輝きを持つ剣を振りかざした刹那。全ての英雄たちの総指揮者(グランドマスター)の如きポーズが決まった時。

 

 その言葉に、英雄たちの意気が上がる。

 

 

 声を上げるものもいれば、無言のままに、身にチカラを貯めることで、魔力の充足で―――絢爛豪華なオールスターは応える。

 

 

 戦闘準備完了であると……。

 

 

「―――いくぞ死徒二十七祖(ヒトヒル)、啜った命に対する懺悔と鉄槌の時間だ―――」

 

 

 

 傲慢にして傲岸不遜極まる宣言。たかだか二十年にも届かない魔導を修めた身でありながら、このロアに対してその物言い―――。

 

「こ、殺せぇええええ!!!」

 

 

 恐怖と憤怒―――割合としては前者が多い中で、『英雄たちのUNION』が、人類史を否定する影法師を滅するべく戦いを開始するのだった。

 

 

 

 




今回のNGシーン(?)


刹那から教えられた霊鬼(ジン)を使って格闘させていた美月は、刹那のチカラが最大級に膨れ上がっているのを感じて、思わず振り向いた。

魔眼―――。全てを見通すとまでは言わないが見えなくてもいいものまで見てしまう系統の魔眼が後ろの刹那を見ようとした時。

近衛兵よろしく刹那を守ろうと不動のリーナと愛梨をその途中で見ながらも―――その他の女の姿を見た。


銀髪の女性だ。長い銀髪はストレートに伸びずに外側に跳ね気味の若干のくせっ毛。だがその美貌は衰えない。

己のカラー()を認識しているのか、金色の眼に合わせたオレンジ色のファッション。女性らしさと少女らしさを複合させた衣服が眼にも鮮やか。

そのヒトが虚空に浮かびながら刹那の首に巻き付き、そっと慰撫している。あるいは慰撫されているとしか思えない所作をする。


(誰―――なんだろう?)

刹那にも見えていない。ましてや近くにいるリーナと愛梨も気づいていない。

美月だけが見てしまった守護霊、もしくは背後霊のような銀髪の美女の姿に―――少しだけ『寂しい』ものを感じてしまう。

そのぐらいに『儚い印象』を思わせる女性であった……。


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