魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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多くの高評価及びお気に入り登録をいただき一番上位のランクでは日間ランキング8位にあがっているのを確認しました。

感謝の極みです。ありがとうございました。これからも精進します。

偶然だとは思いますが、いや本当に偶然でしょうが、その時の7位は、シンフォギアのマリアをメインヒロイン(というより『嫁』)にした作品で(ちょくちょく拝見させてもらっていました)、当作品のメインヒロインたるリーナとは声優さんが一緒。

これはもしやひよっちさん(日笠陽子さん)の神通力は働いたか(え)

そんなたわ言を考えつつも、新話お送りします。どうぞ。

2020年10月10日

追記という形で文章を足しても良かったのですが、文量を考えて新規投稿という形にさせてもらいました。

混乱される方もいると思いますので、ここに文章追加の旨を書かせていただきました。




第258話『Fate/stay night(5)』

 ―――後ろに立っている『役者たち』の準備が整い、最大になった時を見計らって、幕を上げた刹那。

 

 

 激高した吸血鬼と、冷静なのか驚きすぎているのか分からぬ吸血鬼を見ながら、宣言した。

 

 

「―――DUEL GO!!!」

 

 あくまでもこれは『決闘』であるという宣言を以て、英雄たちが進撃を開始する。宣言をした刹那たちを置き去りにして、怒涛激闘の勢いで突っ込む英雄たちの意気であり『息吹』(ごうおん)は、全員の鼓膜をビリビリと打ち鳴らす―――。

 

 呆然としたままに残された面子もいるが、どうやら英霊たちの戦いに着いていったものたちもいるようだ。

 

 大半がそうで行かなかった方が少数なのだから。

 

「マスターの友人は豪気なのが多いな。『我が国』で鍛えてやりたい輩ばかりだ。うむ、人理が発展していても武を極めたいものは多いようだ。悪くない。悪くないぞ」

 

 女の身でありながらも、重くて長い朱槍を持つ闘士は、笑みを浮かべて得心をしておく。

 

「巻き込んだ形で申し訳ないが、君たちもいつ狙われるか分からない。ここは戦場であると用心をしていてくれ」

 

 黄金の大剣を持つ金髪の美男子……闘士と合わせて、入学初期の一件で見たことがある顔であった。

 見間違えようがないほどに強烈な印象を与える存在……深雪も、見るものを魅了するバランスを持っているが、この人間たちの前ではどうしても『格』が違いすぎた。

 

 未だに神秘が色濃く残り、幻想が近かった時代と世界で生きてきた人間たちの前では、深雪は『人工物』という印象が拭えないのだ……。

 

 その面貌には見覚えがありすぎた……。だが、その格好には物申したい……。

 

 美男子―――男の可能性の『アーサー・ペンドラゴン』の服装はまだ分かる。いわゆる社交界などに出る際の礼服。洒脱な白スーツ姿、青色をアクセントにしたものは、どのような女子も虜にするだけの面貌の前では似合いすぎていて、剣の代わりに白薔薇の花束でも持っていても不思議ではない。

 

 だが、問題は女闘士―――刹那の記憶で真名は分かっている『影の国の女王スカサハ』に関してだ。

 

 

 その姿―――。

 

 

「なんでバニーガールコスチュームなんですか……?」

 

「―――セツナ(マスター)の『趣味』だ」

 

 質問をした深雪にドヤ顔を浮かべながらキッパリと言うスカサハ。渡辺摩利よりも竹を割ったような姉御肌の女性の返答に―――。

 深雪のエターナルフォースブリザード(生ゴミを見るような眼)が炸裂。結界の創設者に対しての暴挙だが、『今さらだ』としか思えない顔―――苦笑をした刹那だが―――

 

「で、本当のところは? スカサハ師匠」

 

 冷静に己のサーヴァントに問いかけるのだった。聞かれたことで、少し申し訳無さそうにしてから、スカサハは口を開く

 

「……お主に喚ばれた時には、この格好であった……まぁアレだ。どっかのフォックスでキャットな『陽神』のお節介が、時空を超えて、私の霊衣として固定してきたのだろう。『汝、バニーとなりてご主人の目の保養と自分へのご褒美とすべし、キャットとの約束だワン!』というタグが付けられていた。うむ説明終了!」

 

「そうか。てっきりバニーのルーンでも開発したと想っていたのだがな」

 

「そんないかがわしいものがあるか。とはいえ、常在戦場の英雄英傑とて『遊び心』はあってもいいだろう?」

 

 その美女のイタズラっぽい言葉を皮切りに、刹那の周囲に、もう2騎の強烈な反応が生まれる。

 

 黄金の粒子を引き連れての登場……―――というよりも、強烈なまでに圧が強い霊子によって肉体が構成された(マテリアライズ)のだが、傍目にはそうとしか見えない。

 

 現れたのは、赤毛で薄着の―――女性。武人的というよりも狩人を思わせる利発そうな女性。

 詳しく語れば……年頃は、16歳から18歳前後と言った所だろうか。少なくとも達也の眼には20歳を過ぎているようには見えない。まぁ、昔の人々の生活や食糧事情を考えればどうだかは不透明だ。

 

 その上で長い髪が後頭部で綺麗に纏められており、快活的な肌色の身体を、柔らかい布地と革が合わさった独特な衣装―――裸で生活はしないが、狩猟を主に行う未開の部族を思わせるものに包み込んでいた。 全体的に活発な印象を周囲に与えるその少女は、スカサハと同じような印象を受ける―――。

 

 少女は周囲を見回して、スカサハを見ると、おもむろに口を開く。少し―――呆れているかのようだ。

 

「女王、お言葉ではあるが―――お歳を考えていただきたい。同じ女王として些か見苦しい」

 

 その忌憚なき言葉(?)に怒りのオーラがゆらりと揺蕩う。死の具現―――そうとしか言えないものだ。

 達也の眼からすれば、スカサハとて20代前半程度にしか見えないのだが……見た目ではない年齢を英霊は重視するのかもしれない。

 

「んーそうか、そうかんー、死ぬか。ここで死ぬぞ。『ヒッポリュテ』?」

「死ぬ前にとにかく抵抗させていただこう。アレスの娘である私は、そう簡単に死なないぞ。スカサハ」

 

 同族嫌悪とでも言えばいいのか、そんな風なにらみ合いをする女戦士2人(一方はバニーガール)を、刹那も止める気はないようだ。

 それどころか、赤毛の美女と共に現れた直立歩行する小さい熊(人形サイズ)に、肩に乗られて話を振られているぐらいだ。

 

 

「いやぁ美女同士のガンつけあいと、同時に起こる胸のむにゅむにゅん空間。あそこに挟まれたいよなー、マスター?」

 

 くまというモデリングなのに、なんともスケベなことを言い絡んでくる棍棒(ちっさい)持ちに、汗をかくのは刹那である。

 どうやら緊張をしているようだ。何故に緊張をしているかといえばーーー後ろを向けば一目瞭然だった。

 

「男として同感したい気持ちもある―――しかし、悪いんだが、『くまクマ熊ベアー』、お前のせいで、後ろにいるオレの彼女と同期して、月女神がとんでもない表情しているぞ」

「へ?」

 

 マスターからの言葉に後ろを振り向く『くま』は、そこにいた2人の美女に明確な悲鳴を上げた。

 

「ギャー! 神霊すらも『霊基限定』で呼び寄せるマスターのハイスペックさが仇となっているーー!! しかもマスターの彼女に憑依合体してオーバーソウル!! ま、待てアルテミス!! 嫉妬なんて醜いから、俺の(はなし)を聴け―――!!」

 

 名言に対するとんでもない引用と、無茶振りにも程があるルビになんとも言えない気分になりながらも……熊の言うアルテミスという人名ならぬ神の名前と、嫉妬をするなという発言から『熊の正体』を達也はなんとなく察した。

 

 神話や伝説に明るいわけではないが、『星座』の成り立ちなどは『エルメロイレッスン』でとにかく聞いていた。天体魔術は刹那にとって縁深く、いつもより通る声で説明していた記憶がある。

 

 

 が―――。『星座』となった『熊』の運命は、一刻一刻と削られていくようだ。

 

 正しく『PLANETDANCE』、愛を無駄にしてしまった男の残念な末路が刻まれつつある。

 

 

「やっぱり人生の先達としてさ、男としての在り方を教えなきゃいけないじゃーん。1人の女に添い遂げるとしても、少しは遊びも知らないと、俺みたいに浮気するんだから、マスターには訓告として、俺は教えていたんだ―――あっ、やっぱりダメ? ぎゃー!! お願いマスター!! 『むんず』と掴んで、明後日の方向に放り投げないで―――!!」

 

 説得工作が効かなかった時点で、刹那はくまを投げることで、アルテミスの怒気をあちらにだけ向けさせることに成功。同時に、リーナからもアルテミスの霊基が離れたようだ。

 

「いいのか? あの熊がお前の呼び出したアーチャーなんじゃないか?」

「いいのさ。どうせ戦いになれば合流する―――でスカサハ師匠、そろそろ『お召し替え』を」

 

 刹那の稚気溢れる言葉の意味は、先程から蟠る黄金の粒子がいつまでも現界しないことを目線でも示した。

 

「ふむ。『ゴールデン』には刺激が強すぎたか―――というか少しは耐性を付けなければ、いつか誘惑系統の女性サーヴァント(露出強)とガチで戦った時に、マスターを危険に晒すぞ」

 

 刺激が強すぎたか、という嘆息ぎみの言葉の間に、ランサー・スカサハの衣装は違うものに変わっていた。

 

 先程とは違って肌の露出は減ったが、逆にその神がかった絶妙のスタイル(黄金比のプロポーション)を強調するような全身タイツ―――髪の色と同じ紫色のそれに小さめのショルダーガードを着けた姿は―――達也の目には一瞬しか映らなかった。

 

 なぜかと言えば、実妹によって眼を閉じられたからだ。 

 だから、新たに現れたサーヴァントは言葉だけが聞こえているのだった。

 

「助かったぜ瑠璃丸(ほうせき)の大将。頼光サンも『たま』にはっちゃけるんだが、まさかスカサハの姉御まで、こんなことになるとは、な」

 

「ゴールデン殿、日ノ本のサーヴァント軍団の中にいる頼光殿(御母堂)が、手を振っておられるぞ。(吸血鬼根切り状況)返して差し上げると良い」

 

 前半は少しだけ嘆く調子だが、声量があるのか小さめの声でもかなり届く―――。巨躯を誇る男の声だ。

 

 後半は、柔らかな女性の声だ。母を思わせるその声に対して、気になったのはカメラレンズの倍率収縮運動のような『キュイイイン』という低い音が聞こえたぐらいだ。

 

 どんなサーヴァントなのか、本当に興味深いのだが……。

 

 

「深雪、いい加減離してくれないか?」

「刹那くんが、サーヴァントを連れて本丸崩しに行けば離します」

 

 呆れた妹だ。怒らずにはいられない。だが、そんな深雪か自分に対して、刹那は苦笑気味に『長居しすぎた』と言いつつ言葉を残す。

 

「ここも安全とは言えない。なにかあれば『思念波』で俺を呼べ。それと、前に出たいならば、気をつけて進めよ。護衛が必要ならば、寄越す―――」

 

 その最後までこちらを気遣った言葉を最後に、深雪の目閉じは終わりを告げて、同時にいままで遮音結界も張られていたのか、戦場の轟音が達也の耳を再びつんざく。

 

 その眼に映るは、草原を駆ける1人の魔宝使いとその運命に着いていくと告げた少女―――。

 その周囲に同じく駆け出す英霊という『戦士』『勇者』の姿を見る。若干、前のめりに走り出すその姿に胸が熱くなるのを隠せない。

 

 魔力の光波が砲弾のように周囲を打ちのめしながらも、それよりも早く走り出す。理屈ではない。意気と勇気を以て戦う姿を見せるそれは―――人間讃歌は「勇気」の讃歌!

 

 人間のすばらしさは勇気のすばらしさ! ということを身を以て示しながら戦っているのだ。

 

 当然、それを挫くべく人間否定の徒(人類史を穢すもの)は、手勢を寄越す。あれだけの英霊たちに打ち負かされても残されていた吸血騎士が大剣を振るい草原の土塊を跳ね上げて妨害する。

 何十メートルも跳ね上がった土の壁を前にして、寸前でそれよりも高く飛び上がっていた刹那達は、着地すると同時に騎士たちに斬りかかる。

 

 絶望感はない。生きる。戦うと願ったがゆえの運命に身を投じるのだった……。

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 

 ―――Interlude―――

 

 そんな刹那達が出陣する前から戦いは始まっていた。

 

 蛇……ミハイル・ロア・バルダムヨォンが再生したかつての死徒軍団の再現。ネロは死霊術(ネクロマンシー)と語ったが、ある意味では『人体の投影魔術』といっても差し支えない。

 

 当然、投影魔術の原則には縛られて『永遠』ではない。

 ある程度の時間制限はあれども、普通の投影魔術の比ではない『再現時間』『再現能力』で作られた死将(ヴァンプジェネラル)たちであったが、ここに来て『死体』を利用したことが仇となった。

 

 即ち『知能』の問題であった。如何にロアが手を加えたところで、元々の資質が低いものたちでは、どうやっても頭が足りないものに成り下がるのであった。

 個々の状況判断能力が著しく欠けたものとなっているのだった。

 

 ゆえにその力押しでありながらも巧緻を極めた進撃に対応するには、頭が足りなかったのだ……。

 

 

「フランスの騎士は、不死者なんかには負けないぜ!! 何より―――アンタ達をエデンに送るためにはハンパは禁物! 今日の戦いは並じゃない!!!」

 

 最初に接敵したのは、英国風に言えば『フランク王国』の聖騎士たちだった。

 

 指揮官・大将・王でありながらも、先頭をひた走る黒髪の少年騎士シャルルマーニュの言葉に応じて、輝剣という特徴的な剣が、シャルルの周囲を飛び回り意に従い、様々な攻撃を行っていく。

 

 俗な表現で言えば『思念誘導兵器』とでも言えばいいものに強烈な光を纏わせて振るう度に、自分たちが完全な消滅をさせられなかった不死者たちが、灰と塵に還っていくのだ。

 

「シャルルに負けてられないよ!! ボクだって12勇士なんだ!!」

 

 どう見ても女にしか見えない桃色の髪の聖騎士が、騎兵槍で周囲を引っ掻き回すように壊乱させたところで、ロングソードを用いた剣戟が決まる。

 

「ふっふーん♪ 確かにボクはパラディン騎士団の中では最弱かもしれないけどね―――」

 

 自信満々なのか卑下しているのか分からぬ言葉を言いながら、振るう槍撃と剣戟は、なかなかに多くの敵を倒す。

 

「12勇士の中でもっとも多くの困難極まる冒険探索行(クエスト)をこなしてきたんだ! 巨人殺し(ギガントバスター)の名はダテじゃないんだよ!!」

 

『武』での実力が劣っていることが、問題なのではない。最後に勝利を得られるor目的を果たすだけの『能力』があるかどうかが問題なのだ。

 

 特にアストルフォは、その宝具の多彩さから、困難を『突破』するだけの『知恵』と『機転』を利かすことが出来る。手持ちの札を最大限に活用して『戦う』ことが出来るのだ。

 死将の一鬼。恐らく巨人化(タイタニアライズ)の秘術に特化したものが立ち塞がるも―――。

 

 

「ボクの伝承を知らないのかい? ならば、その身で味わうといいよ!! ――――恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)!! ボクの演奏聴いていけー!!」

 

 腰元に挿していた角笛を取り出して、『呪文』で巨大化・複雑化させたものを手にするアストルフォ。

 今にも飛びかかり、岩でも投げてきそうな巨人を相手に、息を溜め込み巨大なトランペットないしホルンなどにその息を吐き出したーーー。

 

 瞬間、とんでもない爆音がトランペットから吐き出されて、巨人が持ち上げた岩が細粒へと代わり、爆音を受けた巨人が行動不能となる。

 

「シャルル!!」

「アルミューレ・リュミエール!!!」

 

 呼びかける前から走っていたシャルルマーニュの剣は巨大な光を蓄えていた。

 

『光の魔力放出』で白光と化した剣。

 

 それを目にも留まらぬ疾さで十字に振るった。結果として断末魔の絶叫を残すこともなく『焼却』される死徒巨人。

 

 

 ーーーその様子を近くで眼にした一色愛梨は、歓喜で胸が震えるのを隠せない。

 

 

「これがパラディン騎士団……」

 

 呆然とした愛梨に対して、先ずはマスターのつもりなのかブラダマンテが発言する。

 

「頭が色々と『アレ』な人間しか入れないことで有名な集団です♪」

 

 その言葉を受けて―――。

 

「常にカッコよさを求める集団です!」

 

 王様(シャルルマーニュ)が白い歯(シャイニング)を見せながら決めたポーズで言うと。

 

「愛を求めて駆け出し続ける集団ですよ!」

 

 ブラダマンテの兄、魔剣使いにしてバヤールの英雄リナルドが言うと……。

 

「常に全裸の気持ちよさを求める集団!」

 

 それを受けて全盛期(HOT LIMIT)のT.M.西○アニキのような状態になっている『逃げ傷なしの騎士』ローランが言った後には―――。

 

「―――以上♪ ボク以外、変態バカり(誤字にあらず)の、フランク王国が誇る最強の騎士団なのだー♪」

 

 どう考えても女装しているようにしか見えない男の娘が筆頭だろうに、そんなことを言ってシメとするのだった。

 

「因みに言えばブラちゃんなんて、『ロジェロの残り香』がないかと、ヒッポくんに頭ごと突っ込むこともあったぐらいだし♪」

 

「アーちゃん!!!!」

 

 ロジェロの前で言うんじゃねー! という言外の言葉を受けてもピンク髪は意に介さない。

 とんでもないお調子者という伝説は、変わらないようだ。

 

 しかし、そんなことを聞いた一色愛梨は……。

 

 

「ブラダマンテ様……大丈夫です。私もセルナから手製のレイピアを送られた時には、それを握りしめながら2ヶ月は就寝をして、柄に対して頬ずりすること100回は超えていますから」

 

『『『『『―――合格(ヴィクトワール)―――』』』』』

 

 この場に12勇士が揃っているわけではないが、呼び出された面子は満場一致で、現代の聖騎士(パラディン)として『アイリ』を認めたのだった。

 

 

 ―――そんな集団を遠巻きに見ていた、木剣を持ち、目が死んでいる系の『マンドリカルド』(比企○八幡)は………。

 

 

「こんな連中に俺は勝ったり負けたりしていたのかよ……つーか、騎士叙勲の基準が、そんなんでいいんすかねー……まぁ、そういうのが英雄の条件なのかもしれないですけどねー」

 

 などと、やさぐれた言動をしつつ、魔獣を熨していた。

 

 魔獣たちは、最終的に『魔力』としてこの世界に還元されているが、少しの嫌な予感がある……。

 

「……マスターならば気づいているかもしれないけど、一応連絡しておくか」

 

 念話は戦いながらでも通せる。しかし、基本的に陽キャ系統のマスター・刹那との会話は、少しだけ緊張する。

 

「行くぞ、ブリリアドーロ。俺たちは遊軍だ。戦場の抜け道を塞いでいくんだからな。重要な役割だ」

 

 馬に乗りながらであれば緊張も紛れるかもしれないと思いながら、タタールの王にしてフランス軍を四人で壊乱させた伝説を持つ『英雄』は、草原の戦場―――自分のような存在を呼び出してくれたマスターのために駆けるのだった……。

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

「ロ――――マッ!!!」

 

『『『『ロ――――マッ!!!』』』』

 

 あらゆる意味で恐ろしい光景である。ローマ軍団に現れし開祖であり、彼ら(皇帝たち)曰くの『神祖』ロムルス・クィリヌスの掛け声に承応して、攻撃が繰り返される度に、前面を壊乱させる攻撃となるのだ。

 

 もう何というか『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃の皇帝さん達は好きですか?』という具合なのだ。

 

 

 そんな攻撃を一身に受けながらも、何とか踏ん張ろうとする猿の首魁、死徒『ピエール・セード』は、あまたの猿たちを操りながら、己の身を段々と獣性―――否、先祖帰りさせていく。毛むくじゃらの白い巨猿―――当然、周りにはネロ・カオスが出してきた猿の集団(大中小)がいるのだが……。

 

 その中でも異彩を放つピエールを狙って、赤き皇帝たちは戦いを続ける……。

 

「あそこにいるのが、親玉と見た!! シルバーバックとは、珍しいものを!!」

 

「ムステンサルが似たようなものを送りつけていたことがあったな……とはいえ、今はコロッセオの獣殺しではないのであれば―――行きましょうかネロ皇帝(姉帝殿)!!」

 

「うむ! 委細心得たぞルキウス皇帝(孫帝殿)よ!! 我らが剣技―――」

 

「―――その眼でしかと焼き付けよ!!!」

 

 

 火の化身たる外連味溢れる拵えの赤剣と、雷を内包する拵えは正統派の紅剣とが頭上で打ち合わされる。

 

 皇帝の連撃技。無論シーザーであれば、先後の帝の違いはあれども、二人には時代の差はありすぎる。

 

 だが、同じローマに栄えあらんとして生きてきたシーザー(皇帝)に余計な言葉はいらない。ただ……『ローマの呼吸』を合わせるだけだ。

 

 同じ動作として剣を一回転させてから互いに違う構えを取る両者。空気が張り詰めて、明確な攻撃行動を猿たちも取れない。

 下段と上段。腰だめと肩がけと言ってもいいその構えから走り出す二騎。

 

 高速で並走しながら猿の集団を割り砕く剣戟二閃。そこからの振り下ろしと振り上げの剣戟二閃。

 

 

「「―――童女謳う華の帝政(艶女謳歌する俺の帝政)!!」」

 

 

 そして技の名前を告げると同時の交差斬撃。

 都合、六閃。火と雷を巻きつけながらの大斬撃が盛大な爆発を引き起こして、猿―――魔獣を壊滅させて、シルバーバックに膝を突かせた。復元呪詛でも完全に治りきらないのは魔力が独占されているからか。

 

 否、違う―――!!!

 

 

(―――神性が付与されているのか!!!)

 

 再生された中では『おつむ』が良かったピエールは、英霊の中でも『黄金の神気』溢れる存在が鍵だと気づいた時には―――。

 

「神祖よ! ご覧あれ!! これが私の―――射殺す百頭(ナインライブズ)羅馬式(ローマ)!!」

 

 獅子の毛皮を纏った半裸の女がピエールの懐に飛び込んできて、持っていた無骨な打剣をとんでもない圧力と速度で『百回の攻撃』を振るった。

 

 一切の抵抗も出来ない爆打の限りが、ピエール・セードという再生された死徒を消滅させた。

 

 

 その身体の『残り滓』が、密かに―――『養分』にされていることに気づかずに、ローマのサーヴァント軍団は進撃を再開した……。

 





FGO―――卑弥呼サマー!

CMだけを見た時には斎藤一だとは思わなかった。二刀流だから土方の小姓であり、北海道まで付き従った市村鉄之助だと思ってしまった。
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