魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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なんとかかんとか あの日書いた話の内容を僕は思い出せない。

略して『あの話』状態から脱却したが、うーみゅ。ちょっと違うような気が、大筋ではこんな感じだったんですが、ここまでパロディを増やしてはいなかった。だが思いついてしまった以上は、書いてしまいたくなるのが作家の心意気(え)

というわけで今回は
平成(最後期)・令和ウルトラマンネタが多いです。まさかあの悪のウルトラマンが生首魔剣になるとは―――いいネタもらったぜ。(爆)

そんなこんなで、新話お送りします。




第260話『Fate/stay night(7)』

 英雄たちの進撃。その中に紛れ込まず、されど一騎の英雄に導かれた―――、否―――取り憑かれていた西城レオンハルトは、その声の導くままに進撃していた。

 

「んじゃお前、あの南盾島の時から、俺に取り憑いていたってのか?」

 

 歪な双剣を残して消え去ったシャドウサーヴァントとの奇妙な歩みが、刹那の世界に刻まれていた。

 

『まぁな! どうやら波長があってるみたいだからよ。こそっと『座』への『帰還』を誤魔化して、どこぞの『光の巨人』よろしくチカラになってやろうと思ってな! 本当、待ちくたびれたぜ『相棒』!』

 

 勝手に自分の体に居候されていたレオとしては何とも微妙な気分だが、快活に言ってくる英霊も一度は出ようとしたことがあるという。

 

『あのツインテール吸血鬼。2000年代初期のJKみたいな格好をしたのに精気(オド)を間接的に吸い取られただろ? あん時、オレなりに助けてやろうとしたんだがな』

 

 あの時、聞こえていた幻聴だと想っていた声の持ち主はそう言ってくる。

 そう言ってくる英霊だが―――本人曰く『最弱の英霊』とのことだ。

 

『逆にやられちまったかもしれないが、腐ってもオレもサーヴァントだからな。『誰かを守れずに果てる』なんてことはしたくねぇんだ』

 

 何かの後悔があるのか、言葉の調子では分からぬシニカルなものを感じる。

 それを感じてレオは、己を最弱の英霊と卑下するものに問いかけた。

 

「なぁ、『アンリ』―――助けてくれるのは嬉しいが、お前はどういう英雄なんだ?」

 

『女の過去と同様に、男の過去も知りたがるもんじゃないぜ相棒―――だがナイスバディのウサギ娘でDT捨てた際のピロートークを聞かせてもらった恩に免じて教えてやっかー♪』

 

『あくま』な笑い声―――ケケケ! というものを含めながら、プライバシーの侵害を披露するも嫌なものを感じないのは、お互いが『同じ』だと感じているからか―――。

 

 そしてアヴェンジャー(復讐者)のサーヴァント『アンリ・マユ』の過去が語られる。

 

 

 ―――彼が生まれたのはどこにでもあるような『村』だった。高い山の上に佇む一つの村。

 

 その村では、日々の過酷で貧しい生活に耐えるために、村全てに一つの教えを徹底した。

 

 それは現代ではある種の生贄信仰。未開の一つともいえるもの。

 

 村人の中から『悪魔』を選び出し、その『悪魔』を捕らえ、縛り付けてあらゆる責め苦を与えることで、己たちの溜飲を下げていた……。

 

 

 ―――自分たちの生活が楽にならないのは、原因となる悪がいるからだ―――。

 

 

 贄としての『神子』などと取り繕うことすら出来ない、人の卑しき所業……。

 

 

『最初はオレをこんな目に合わせた連中全てを憎み続けた。指を切り落とした親兄弟も、眼を抉った親しかった隣人も、オレを呪うことで日々の平穏を得ていたからな』

「――――――」

 

 その在り方に、少しだけ共感を覚えるのは……家の中で『ただ1人の魔法師』として『居場所』がない自分にも、覚えがあるものだったからだ。

 

 アンリの過去は、自分とは比べ物にならないほど傷ましく凄惨なものだ。比べることすら烏滸がましいかもしれない―――。

 

 

『ああ、そうだぜ相棒(レオ)。オレはお前の人生に惹かれたんだ―――』

 

 レオの内心と来歴を読んだのか、そんな照れくさそうに言うアンリに何も言えなかった。お互いにシンパシーを覚えれば、それ以上は野暮というものだ。

 

 

『とはいえ、同時に妬ましい心もあるんだな。お前にはオレと同じ『素質』があったんだが、まぁいい―――いまは、オレが『タロウの息子』のようにチカラを貸してやるぜ!! 四の五の言わずについてきな!! 英霊のチカラの使い方を教えてやるぜ!!!』

 

 

 最後の方には、皮肉げなセリフと同時に『チカラ』とやらを開放するアンリに驚愕する。

 英霊の力を宿すということは、刹那やリーナの技術(インストール)で良く見てきたが、ここまでとんでもないとは……。

 

 常日頃、通常の術のように使っていただけに、2人に今更ながら感心する。感心しつつも、一点だけ疑問が残る……。

 

 それは―――。

 

 

「おいアンリ、お前、マジで『最弱の英霊』なのかよ!?」

 

 

 英霊の自己申告とは真逆の力の奔流に関してであった。

 

 レオの中を変革していく。いや、『置き換えていく』感覚が怖気以上に、高揚感を与える。

 

 人間がどれだけ努力しても辿り着けない高みまで、一瞬に連れて行かれる感覚。これに呑み込まれては―――レオという『個』が無くなる感覚を覚えて……。

 

 

(ざけんなっ!!!)

 

 

 自我の消失を受け入れてなるものかという信じがたい精神力が、術理でいえば『精神制御』がレオに英霊の力を『取り込ませた』。

 

 一度は、タタリ・パラサイトという存在に己の力を奪われた際の経験が生きた形である。

 

 その様子に『ヒュウ♪』などと口笛ではない言葉を吐くアンリが見えて、聞こえた気がした。

 次いで、アンリはレオの質問に答える。

 

 

『―――言っただろマスター(相棒)。オレは、未知と疫を恐れた時代の未開の村で、『悪であれ』と蔑まれた凡俗だってな!!!』

 

 

 アンリに悪気は無いのだろうが、こんな風になるならば、言っておいてほしかったレオであるが……変化は一目瞭然であった。

 

 全身に走る刺青、額に巻かれる赤いバンダナ。武装にすら何かの変化が走る。

 そして全身を覆いつくすような呪詛の鎧がいっそう硬い防御として存在している。

 

 

「これがお前の力か……?」

『我が名は猛々しくも『怨天大聖アンリ・マユ』拝火教における悪神の名を纏うものなり―――』

 

 

 その言葉を聞いて何かが目覚める感覚を覚えながら、レオは『棍棒』を持ち構える。

 

 

『―――などと見得切ったがよ。オレの力ってよりもあの『魔法使い』の施術込みだな。善神(まぎゃく)でないだけ相性は良かったけどな』

 

 

 オレ(自分)の力だけじゃないことに不満を持つ英霊の小者ムーブに、若干ながら親しみを持ってしまう。

 

 

「なんとなくだが分かったぜ相棒(アンリ)、要は今のオレの英霊憑依は『フュージョンライズ』『ウルトラフュージョン』ってことだな!!」

『察しが良くて助かるぜ相棒(レオ)! 話はここまでだ。さぁ戦いに赴こう!!!』

 

 

 ここまでの会話で完全に吸血鬼の手勢に眼を着けられたレオとアンリ・マユ。

 

 吸血鬼なのか、それとも別種の新生物なのかは分からないが、宝石なのかガラス玉なのか―――そんな大小合わせた宝珠(オーブ)だけで『人体』を模倣した存在が、のっそりのっそりやってきた。

 

 巨大な身体を球体だけで構成したヒトガタが、全身から光線を放ってきた。オーブに溜め込まれた魔力を放出しているのだが、その勢いたるやとんでもない。

 

 だが……。

 

 

『「行くぜ相棒!! Buddy―――GO―――!!!」』

 

 

 最上段に構えた棍棒―――刹那曰く『豊穣神の棍棒』を模したもの(贋作神器)を振り抜いた。その圧は、空中に拡散していく光線をかき消しながら、オーブの身体をした巨人を直撃。

 

 

『膂力のケタがチガイスギル!! 圧のカケラに触れただけでオーブ(我が身)が―――』

 

 

 大地全てが鳴動したかのような圧が虚空を通っていき、オーブで出来た身体が砕け散っていく様は凄まじくて―――。

 

「……手加減が難しいな―――」

 

『相手を選んで使おうぜ。タイガトライブレード、ベリアロクとか必殺武器はフィニッシュで』

 

「どっちかと言えばギガバトルナイザーな武器だけどな」

 

 

 感想と反省を互いに出しつつ、何気なく刹那の構築した世界の空を見ると、数騎のサーヴァントが地上に対して砲撃をしていた。

 

 その中にリーナの姿があるのを見て、妙だなと感じる。

 こういう場合、刹那の傍にはいつでも、場所は近くであれば左右上下斜め問わずに彼女が控えているというのに、こんな時に限って上空にいたのだ。

 

 何であるかは分からないが……。

 

 

 そんな疑問を持っていたところに欧州暗黒軍が駆けつけてきた。何故に『暗黒軍』なのかは―――。

 

 その来歴が欧州暗黒史とでもいうべき血生臭さを漂わせているからだが、本人たちはそれとは別の境地にあるかのようだ。

 

「YEAH――!! 怪獣倒してキメた光の巨人のEDは私達が担当するわよ―――♪♪」

「私達DDガールズがお送りする『熱情の律動』Ver.ファイアブレス で勝利の凱歌を歌い上げます!!」

 

 ケモミミっ子ならぬドラゴンガールたちの『珍騒音』に聞こえて、その実、とてつもなくいい音が、絶唱が世界に響き渡る。

 

『あ、あれ―――? あの『ドラゴンボイス』が、とても聞こえるものになってる―――。どういうことだー?』

 

 心底困惑しているアンリを他所に―――。

 

 戦いの園は佳境を迎えているのだった。そんな中、上空では『一つの戦い』が繰り広げられているのだった。

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 思わず気づいて駆け上ったはいいが、ここまで緊張感ある対面になるとは想っていなかった。

 

 これならば、刹那と一緒に来ればよかったと想ったのも後の祭り。まぁつまりは―――。

 

 

「そんなに緊張しなくていいわよ。別に取って食おうとしているわけじゃないんだから」

 

 

 ―――『義母』『姑』との対話だったのだから―――。

 

 緊張を解そうとしている女神イシュタルという神霊サーヴァントだが、緊張してしまうのは仕方ない。

 

 何せ刹那の記憶や写真でも度々見ていた、あの伝説の『遠坂凛』の姿がそこにあったのだから。

 容姿が明らかに刹那の母親で、その姿がサーヴァントとして現界している道理は、リーナには皆目見当がつかない。

 

 だが、それでも女神イシュタル(自己申告)は―――どうやら『遠坂凛』としての意識と自我を持っているようだった。

 

 

「ソ、ソウは言われても、ワタシにとっては義理のお母さんに当たるわけですから、嫁としては緊張せざるを得ませんヨ……」

 

 

 なので、ウチの立派な息子に集る毒婦め! とか罵られたら、どうしよう(妄想)という風なのを感じるのだ。

 

 焦りはどうしても出てしまうのだが、やはり刹那の母親は、刹那の母親であった。

 

 

「そういうものかしらね。まぁ私としてはリーナちゃんに親近感湧くわよ。私の若い頃と同じく、自分の意に反する『魔法少女』をやったり。完璧そうに見えて、実は意外と抜けてたり♪」

 

お義母さん(マム)!?」

 

 

 とんでもないことを暴露されて焦るリーナだが、そのこちらに見せていた『あくま』な顔を引っ込めて、少しだけ神妙になった顔をするイシュタル・リン。

 

 

「……自分の才覚で何とか出来ると思えても、失敗して傷ついたりする……『下』にいる実子よりも親近感湧いちゃうわね……」

 

 

 その何かを慈しむような声と顔は、リーナに対してというよりも……本人の語る実子に対してが適当であった。

 

 

「親子なんですネ。セツナもそんな感じですから―――」

 

 

 無言でおくのも一つだったが、それは情がないと思えてリーナはそう言ったが……。

 

 

「けれどなー刹那ってば、私と『アイツ』の息子にしちゃ『ハイスペック』すぎよ。ちょっと我が子とは思えない」

「ダイナシだぁ」

 

 

 本人が聴けば大号泣するかもしれない。とはいえ、凛も本気で言っているわけではないだろう。

 

 ただ魔術回路の本数を一本でも増やしていき、魔力の質を澄ませていく魔術師の本道において、衛宮士郎が相応のパートナーだったかと言えば、遠坂家の立場に立てば、アレかもしれないが……。

 

 生まれた一粒種は、紛うこと無く『遠坂家』の道を繋いでいく人間だ。

 

 血の繋がりを感じて、その成長に笑みを浮かべながら眼を細めているのだから―――。

 

 

「そ、それじゃお義母さんから見たワタシは、相応しい相手なんでしょうか!?」

 

 そんな立派なご子息の隣に自分がいていいのかどうか、ズバリ言う。

 姑、義母に嫁、義理の娘として認められたいリーナは必死だったが……。

 

 

「それは私が決めることじゃないわね。あの子にとっての私は既に故人だもの。ここにいる私は―――仮初の『遠坂凛』なのだから、あの子の決めたことにアレコレは言えないわ」

 

 

 少しだけ淋しげな笑みを浮かべながら、そんな事を言う神霊イシュタル……。

 本来的な疑似サーヴァント及び憑依サーヴァント。特に神霊クラスの存在(力持ちすぎる魂)が現世で力を行使する際には、『相性がいい人間』を依り代にして半ば強引にサーヴァントとして顕現する……。

 

 その際に強力な神の霊子に対して人間の霊子。刻印(れきし)が10世紀を経た魔術師であっても逆らえないものだ。

 

 

 そして依り代の殆どは『聖杯』に縁あるものたちが殆どだ……。

 と、いうのがあの『線』での常識であったと、イシュタル・リンは思い返す。

 

 

 このサーヴァントが、そこまで憑代たる遠坂凛の意識を『表層』に出している理由。

 それは単純に召喚者との縁があったことで、召喚された際に刹那というマスターの記憶の表層を可逆的に覗いてしまったことに端を発する。

 

 結果として、遠坂刹那という人間が歩んできた人生と『同期』を果たして、イシュタルの意識は、若干追いやられた形なのだ。

 

 しかし、それをイシュタルも悪いとは想っていない。

 

 

(とんだ『Phantom Joke』(亡霊たちの狂騒)ね )

 

 

 自ら(遠坂凛)もまた刹那(マスター)にとってはイシュタルと同じく亡霊であることが、少しだけおかしなことに思えたイシュタル・リンは、笑みを浮かべながらリーナに言っておく。

 

 

「刹那の記憶を垣間見た限りでは、リーナちゃんがいることで、戦えているフシはあるわね。きっと―――オルガマリーでも、ライネスでも、バゼットでもなく―――刹那(あの子)の隣にいて前を振り向かせるのはね……」

 

 

 その微笑のもとでの言葉の意味が分からなくはないリーナだが、自分がいてもいなくても、刹那は訪れた『何か』に立ち向かうと思えていた。

 助けているというよりも、助けられているのは自分な方な気がする―――けれど……。

 

 

「そう言ってもらえると―――ワタシは、嬉しいです……。 あの人(セツナ)を好きでいてもいいって言ってもらえたことが」

 

「人を好きになるって誰かの許可とかいることじゃないでしょ。あなたの愛は、私の息子に届いているわ」

 

 

 そんな言葉に不意に涙が出そうなリーナだが、次の瞬間には別の意味で涙が出そうになった。

 

 

「―――それにしても、『あなたの人生に私を入れて』か、随分と2090年代のJCは進んでいるのねー♪」

 

「チョットお義母さん(マム)―――! どんなところまでノゾイちゃっているんですか―――!?」

 

 

 ここまで来れば流石のリーナも、目の前の疑似サーヴァントが刹那の記憶を覗いているな。と気づいていたのだが……。

 

 そこを見るかー!? 元祖『あかいあくま』の所業にリーナは涙目。しかも、『あかいあくま』はソレ以上のことを知っている風に言ってくるのだった。

 

 

「私としては、『あのシロウ』の息子たる刹那が、リーナちゃんに『ご無体なこと』をやっていないか気になっちゃうのよ。『はぐれ勇者』までのレベルならば、とりあえず許容するけど」

 

エステティカ(鬼畜美学)!? そんな何ていうか、どこぞの『偽悪的なニヒリスト勇者』みたいにセツナはオラついてませんよ! ああ、けどチョット『こんなこともするんだな』って、意外な一面も―――ナニ言わせるんですか!? お義母さん!」

 

「いや、私はナニも言っていない。アナタが自白しただけ『ちょっとイシュタル―――! さっきからズルいのだわ―――!!』―――むっ、出たな冥界の根暗女神」

 

 

 顔を真赤にしてお義母さん(セツナ・マム)に食って掛かった時に、分かってはいたのだが、先ほどからこちらに関与してこなかった『金髪の遠坂凛』が赤い槍(?)を手に、やってきたのだった。

 

 イシュタル・リンが、白と金黒で纏められた印象の露出激しい格好なのに対して、金髪の遠坂凛―――エレシュキガル・リンという疑似サーヴァントは、脚部の露出はともかくとして、赤いマントに黒色の服で極力肌を見せない格好をしていた。

 

 髪の色は置いておき、衣装の印象だけならば、こちらの方がセツナの母親に近いエレシュキガル・リンは、イシュタル・リンに文句を言う。

 

 

「私だってリーナさんに『刹那の心を癒やしてくれてありがとうね』とか『ふつつかな息子だけど、これからも、よろしくお願いしますね』とか、ちゃんと言ってあげたいのだわ! イシュタルだけが刹那(マスター)の母親扱いはズルいのだわ!」

 

「なに言ってるのよ! いつぞやの『冥界下り』の問答のごとく、刹那(マスター)も一番美しい母は『イシュタル・リン』と明快に答えるに決まっている!! ゆえに私こそが刹那の母親!! 以上、証明終了!」

 

 ドヤ顔で胸(ない)を張りながら言うイシュタルだが。

 

 

「どんな帰納法で演繹法なのだわ! こんな全身の肌の殆どを見せるような母親、思春期の息子にとって恥ずかしい限り! 対する私は、霊基再臨するたびに衣装は落ち着いたものに変わっていく! これぞ母親の鑑なのよ!!」

 

 ドヤ顔で胸(ある)を張りながら言うエレシュキガルだが。

 

 

「ゴスロリドレスで何を言うか―――!」

「ハレンチな格好で何を言うのだわ―――!」

 

 最後には角(頭の飾り)を闘牛のように突き合わせながら、四股を固定して空中でがっぷり四つ手を組ませて押し合う様子。

 とんだ女神2柱の押し相撲(空間がぎしぎし軋む)を見せられていたリーナだが、どうやら自分のせいで聖杯戦争でも『正妻戦争』でもない―――。

 

 

()(ハハ)戦争』がおきてしまったようだ。焦ってしまう。

 そんなわけで―――。

 

 

「ならば刹那の将来の嫁にして、絶賛学生ラブラブカップル!―――」

「―――謳歌中のリーナさんに、『どっちの姑』といい関係を築きたいか? を聞くしか無いわね!」

 

 

 とんでもないナックルボールを投げつけられた。クソボールといってもいいが。

 がっぷり四つの状態で必死な顔をこちらに向けてきた2人の姑からのボールは、残念ながらリーナには捕球しきれないもので、『禁』を破り刹那を呼ぼうとしたのだが―――。

 

 

「醜い争いはそこまでにするのだわ。地球(ホシ)の女神たちよ」

 

「マスターの母君を核にしての狼藉は許されない。ぶっちゃけ五月蝿い」

 

 

 次いで虚空より召喚がなされたのは、赤と青の衣装を纏った美女2人。当然『サーヴァント』だ。

 

 20世紀か21世紀初頭のSF映画でよく見られた未来人か宇宙人を思わせる、身体のラインにフィットした服の上から、複雑なコートともマントとも言えるものを羽織っていた。

 

 そしてその容姿は髪の色こそ、エキセントリックにもピンク(赤)とブルー(青)のロングツインテールだが、やはり容貌(かんばせ)は、遠坂凛に似ているのだった。

 年齢は若干低め。こういっては何だが、刹那(恋人)が見てきた『母親』としての『遠坂凛』の姿で顕現することはないようだ。贅沢な悩みで寂しい想いをしていたリーナだが……。

 

 

『『あ、あなたたちはサーヴァントユニバースにいるというスペースイシュタルR/B(ルーブ)!? マスターを変な色(自分色)に染め上げ―――』』

 

 

 新たなる母親(しゅうとめ)の登場にリーナがあたふたしたその時―――。

 

 

 後方……丁度、進軍に加わらず滞陣していた達也たちの辺りから、『柱』がいきなり伸び上がった。

 黒色の柱は恐らく『円錐』の類らしく上へ伸びるほど円周を狭めて先端を鋭くしていた。

 

 上空だからこそ、その様子を俯瞰で見えていたが、他の面子は何が起こったかすら定かではないだろう。

 だがリーナは位置関係で、それをはっきりと見た……その円錐の先端から少し下がったところに貫かれた『身体』があることに。

 

 

 まるで古典的なトラップである古城の落とし穴の底にある槍床、ベトコンのゲリラ戦法『パンジステーク』のようなそれに身体の真ん中―――五臓六腑を貫かれたのは……。

 

 

 黒い錐に貫かれて、だらん、と四肢をぶら下げ仰向けに果てていたのは、司波達也。

 

 殺しても死なないと誰もが思わざるを得ない無敵のイレギュラーマギクスが呆気なく死んでいたのだった……。

 

 

『お兄様ぁああああああああああああああああ!!!!!!!!』

 

 ―――瞬間から今宵の悪夢(HOWLING)にまで尾を引きそうな絶叫(HOWLING)戦場に『こだま』する。(HOWLING)

 

 

 

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