魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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連休中、疲れ風邪なのか『どっ』と熱を上げまして、その後色々とあって、まぁ書けるものも書けませんでしたよ。

今回のアップも書きかけですが、いつまでも更新しないのもあれだと思い、アップしました。

一応、達也サイドの話を書いて完成なわけですが、長くなりそうだからとりあえずということです。

いつもより少なめですが読んでいただければ幸いです。


第261話『Fate/stay night(8)』

 

 それは予想外ではあったが、『予定通り』ではあった。

 確かに聞かされていたとおりならば、『無事』なのかもしれないが……。

 

 天空に突き立つかのような柱から振り落とされた達也は、勢いよく草原に『その死体』をバウンドさせてから寝転がる……。

 あまり遠目でも見ていて気分のいい光景ではない。

 

「おいおい。ありゃ神獣級だぜ。一本角の『巨牛』か、恐らくグガランナ(天の牡牛)の亜種だ」

 

 肩に乗っているオリオンの言う通り、柱の正体は魔獣の一種であった。

 今まで地中に隠れていたかのように、混沌の泥から―――否、その混沌の泥を『身体』として這い出たのは雄々しき牛であった。

 

 ドスンドスンという草原を蹄で踏みしめる音が、英雄たちの進撃の中でも聞こえるのはとんでもない。

 

 通常の牛のように短角ではなく、さらに言えば双角ではない奇態な牛―――ちょっとした小山、小規模な古墳ほどの大きさをした体躯の()角牛の背中に―――下半身を背中と同化させたネロ・カオスの姿を見る。

 

 完全に『こちらの思惑』通りに後方に奇襲をしたネロ・カオスの姿に―――奥歯を噛み締めてから言っておく。

 

 

「―――達也は、己の『死』を契機にすると俺に語って、あそこにいることを選んだんだ。本当ならば、そんなことせんでも良かろうに―――いや、けれど……くそっ、こんなことならば、見せるんじゃなかったぜ。遠野志貴とのやり取りなんて」

 

 

 言いながらも攻撃と歩みは止めない。本当ならば振り返って赴きたいというのに……。

 

 

 ―――本当の『シバタツヤ』を知りたいんだ―――

 

 

 いつぞや寂しげに語る横顔を見たから、それは止められない。

 

 なので―――。

 

「レッド、レティ! 頼めるか!?」

 

 念話を即座に繋げるのだった。

 

『Yes sword 「Meister」!! タツヤめ! こっからでも見えていたぞ!! なんか『意味』があるんだとしても妹を泣かせてんじゃねーよ!!』

 

『私にも妹はいますからね。ミユキさんほど大人しい子じゃありませんが―――』

 

 

 ―――英仏連合軍に後ろへの救援を望むのだった。ここからでも探知できる逆進する魔力の塊2つ。

 ソレに寄り添うのはラントリアとメイドオルタの2騎。強者(つわもの)と組んでいると、こういう時に明朗な指示がなくとも動けるから心強い。

 

 なお強者でありキワモノでもあると言えるのだが……。

 

 

「主殿。奥方が上空から戻ってこられるぞ。出迎えてあげるとよい」

「そうさせてもらいたい……が―――」

 

 強烈な神気を伴いながらやってくる『アレ』は何なんだ?

 

「タツヤがやられたようね?」

 

 言葉とは裏腹に、聞く態度があまり心配していない風に聞こえるのは、信頼の証だろうか。

 

 

「心配はしているが、アイツが『干渉、手助け、一切無用』とか言ってきたからな」

「それならばそれでいいんじゃないかしら?」

 

 

 心情的には全然、納得できないのだが……ともあれ友人の意思は尊重する。同時に目の前の敵への圧力を弱めることも出来ない。

 

 

「まぁいいわ。それよりも頼りになる助っ人―――天・地・星の三女神を連れてきたわよ」

『『『天・地・星の三女神!?』』』

 

 

 確かに恐るべき神気を放つ3騎……否、3柱の神たちだ。3者が面貌を隠す『仮面』を着けていなければ、何もなかったのだが―――。

 

「金星の女神にして、豊穣と戦いを司る女神『イシュタル・マザー』」

「どうも。よろしくねマスター♪」

 

 露出が激しい女神(ナイムネ)が、お袋に似た髪型と髪色で言ってきた。

 

「冥府の管理者にして、あらゆる魂に死後の安寧を与える女神『エレシュキガル・マザー』」

「よろしくなのだわ。マスター♪」

 

 反対に露出は少ないがイシュタルと魂が似ている女神(アルムネ)が、髪型は似ていても金髪で言ってきた。

 

 

「別宇宙からやってきたというか先史古代文明の女神という……もはやワタシの理解力では説明がつかない『SイシュタルR/B(ルーブ) マザー』」

「ちょっと待ちなさい。なぜ私だけそんな扱いなのかしら? まぁいいわ。はじめましてマスター。コンゴトモ ヨロシク」

 

 リーナの紹介が少しだけ雑なのを気にするスペースイシュタルルーブさん。

 どこぞの『メガテン』系統の挨拶をされてしまったが、俺はあの大魔王(ルシファー)の息子な『セツナ』ではないわけで、まぁともあれ―――。

 

 

「―――ご婦人3人、何故に仮面を着けてらっしゃる?」

 

 女神に対して擬人化した表現が適切かどうかは分からないが、奇態な仮面を着けた3人に問うが。

 

「「「レディだけが持つ企業秘密です(なのだわ)」」」

 

 仮面で見えないが『ドヤ顔』で言っているだろう『懐かしい声』『懐かしい調子』の持ち主に、コレ以上は突っ込むことは出来なかった。

 

「さいですか……まぁ四の五の言わないでおく。何だかあなた達の声を聞いていると、不意に泣きたくなってしまいそうだ」

 

『『『セツナ……』』』

 

 カルデアという機関があった軸での『疑似サーヴァント』の法則を思い出して、その面貌をもはや予測してしまっていた……。

 その事実に気付いてしまったからこそ、後ろを振り向くことは出来なかった。

 

 

「―――『俺のダチ』も無敵の超人ってわけじゃないんだ。同時にエドモンだってな―――行くぞ。無限転生者の輪廻を叩き潰す」

 

 それはどちらかと言えば、『母親』に対しての言葉とも聞こえる言い訳じみたものであった。

 

「セツナ―――」

「―――リーナ、ありがとう。それだけだよ。何も気に病むことじゃないさ」

 

 少しだけ悲しげに呼びかけられたことに背中を見せながら、刹那は言う。決して悪いことではない。

 当たり前だ。そんなことは―――。

 

 言外に言ってきたセリフをリーナだけは分かってしまって、嬉しくて少しの涙が出た。

 

 ―――俺の会いたい人を連れてきてくれてありがとう。

 

 

 それが分かってしまったからだ。

 

「水を差すようで悪いが、マスター。そろそろ前が開くぞ」

 

 アーサー・ペンドラゴンの言葉で気づき―――。

 

「ゴールデン!! 段蔵殿!! 頼んだ!!」

 

 檄を飛ばす。そろそろ佳境というところだ。

 

 

「おう!! 死ぬんじゃねぇ!! まってろよ!! エドモンド―――!!!」

「ゴールデン殿! それだと『えどもん殿』が、赤い隈取を着けた力士になってしまう!!」

 

 真っ赤な剛体をいからせながら駆け抜ける、ゴールデンこと坂田金時の斧が唸りを上げて、大地を雷霆で削り取りながら、不死者の軍勢を消し飛ばしていく。

 

(―――ネロ・カオスの総体は分割することも出来るのか、だとすれば―――)

 

 達也が『蒼の眼』を持ってくれたならば、それが『ジョーカー』になるはず……。

 カラクリ仕掛けの武器を飛ばしていく忍のサーヴァントと剛力無双のゴールデンが最後の壁を砕いた時に―――。

 

 

「エドモン!!! 令呪を以て命ずる!! 戻れ!!」

 

 見えてきた光景、巨体のゴーレム7騎にエドモンを拘束して、雷の手刀剣で刺し貫こうとする様子を見て即座の判断であった。

 

「っ―――ここまでの壁を総て越えてくるとは!!」

 

 獲物を奪われたことに対する恨みの眼を向ける半裸に告げる。

 

「エドモンがお前を自由にさせなかったからだ。マルセイユの船乗りは知っていたのさ! 『船長』がいなければ、『船』は動かないってな!!」

「―――――――」

 

 無論、副長ともいえるものが次席として指示を取っていればであったが……。そういうものはなかった。

 所詮、死徒(ヒトヒル)なんて魔術師の上位種、我が強すぎて、そんな連携行動なんて取れないのが本来だ。

 

 

「十七回も別人の生に寄生(パラサイト)しときながら、将帥の才気・器量を得る人生が無かったのは、実に―――『巡り合わせ』が悪い限りだね」

 

 怒りが充満する。あからさまな侮蔑だ。

 

「いいだろう……このロアが12回めの転生において手に入れた秘術―――東洋のチャクラ秘術『影分身』―――いまこそ見せてやろうではないか!!」

 

 残像ではない。己の身体を『分ける』秘術に、段蔵の眼が細められる。完全に忍術の類であり、50鬼もの姿を晒すミハイル・ロアだが。

 

 

「上等だ! 冠位指定!!!―――貴様の魂を破壊する!!」

 

 エドモンの力を譲り受けながら握りしめるは、軍神の剣。

 

 戦いの号砲は―――――――。

 

『『『『『母親としての力を見せてやる―――!!!』』』』』

 

 

 三女神+段蔵、源頼光の一斉攻撃の飽和攻撃―――俗称『ビッグマム砲』(刹那 命名)が、ミハイル・ロア・バルダムヨォンを叩きのめしていく。

 

 段蔵のカラクリ機巧から放たれる横に発生した竜巻を先駆けに、大轟撃がミハイル・ロアを打倒していく。

 

 そして―――。

 

 

目覚(・・)めたか……」

 

 後ろの方から漂う圧倒的なまでの死の気配。二度と嗅ぎたくなかった匂いを発するものは―――。

 血の池地獄から起き上がるは、蒼き眼をした『バロール』!

 

 

「―――ああ、いいぜ。オレもお前も異端だ。だから―――久しぶりの生の実感を覚えさせてくれよ……つまり―――」

 

 肉声が情報として届く。『司波達也』の精霊の眼はそういったことも出来るらしいが、刹那では少々無理だ。

 

 つまり―――。

 

(俺に声を届けているのか?)

 

 今の『シバタツヤ』の表情が、刹那にはよく分かっていた(想像出来ていた)

 

 

「―――俺を殺してみせろ。ネロ・カオス(吸血鬼)―――」

 

 

 言葉の後に神牛が吼えたける。盛大な前肢の振り上げ、振り下ろし遠くからでも分かるそれが―――世界を揺らす。

 スタンプされた足の威力は――――減じていた。

 

 何故ならば―――。

 巨大な前肢の一本。ちょっとした成木ほどの直径のそれが、虚空を飛んでいたからだ。

 

 

『狙うは両鬼相殺! 合わせろよ!!刹那!!!』

『―――はいはい、存分に現世を楽しめや!!!』

 

 

 空気を震わせて、こちらに声を届けた器用達者な『シバタツヤ』の声に返しながら、こちらも戦闘を開始する。

 

 

 

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