魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
今回のアップも書きかけですが、いつまでも更新しないのもあれだと思い、アップしました。
一応、達也サイドの話を書いて完成なわけですが、長くなりそうだからとりあえずということです。
いつもより少なめですが読んでいただければ幸いです。
それは予想外ではあったが、『予定通り』ではあった。
確かに聞かされていたとおりならば、『無事』なのかもしれないが……。
天空に突き立つかのような柱から振り落とされた達也は、勢いよく草原に『その死体』をバウンドさせてから寝転がる……。
あまり遠目でも見ていて気分のいい光景ではない。
「おいおい。ありゃ神獣級だぜ。一本角の『巨牛』か、恐らく
肩に乗っているオリオンの言う通り、柱の正体は魔獣の一種であった。
今まで地中に隠れていたかのように、混沌の泥から―――否、その混沌の泥を『身体』として這い出たのは雄々しき牛であった。
ドスンドスンという草原を蹄で踏みしめる音が、英雄たちの進撃の中でも聞こえるのはとんでもない。
通常の牛のように短角ではなく、さらに言えば双角ではない奇態な牛―――ちょっとした小山、小規模な古墳ほどの大きさをした体躯の
完全に『こちらの思惑』通りに後方に奇襲をしたネロ・カオスの姿に―――奥歯を噛み締めてから言っておく。
「―――達也は、己の『死』を契機にすると俺に語って、あそこにいることを選んだんだ。本当ならば、そんなことせんでも良かろうに―――いや、けれど……くそっ、こんなことならば、見せるんじゃなかったぜ。遠野志貴とのやり取りなんて」
言いながらも攻撃と歩みは止めない。本当ならば振り返って赴きたいというのに……。
―――本当の『シバタツヤ』を知りたいんだ―――
いつぞや寂しげに語る横顔を見たから、それは止められない。
なので―――。
「レッド、レティ! 頼めるか!?」
念話を即座に繋げるのだった。
『Yes sword 「Meister」!! タツヤめ! こっからでも見えていたぞ!! なんか『意味』があるんだとしても妹を泣かせてんじゃねーよ!!』
『私にも妹はいますからね。ミユキさんほど大人しい子じゃありませんが―――』
―――英仏連合軍に後ろへの救援を望むのだった。ここからでも探知できる逆進する魔力の塊2つ。
ソレに寄り添うのはラントリアとメイドオルタの2騎。
なお強者でありキワモノでもあると言えるのだが……。
「主殿。奥方が上空から戻ってこられるぞ。出迎えてあげるとよい」
「そうさせてもらいたい……が―――」
強烈な神気を伴いながらやってくる『アレ』は何なんだ?
「タツヤがやられたようね?」
言葉とは裏腹に、聞く態度があまり心配していない風に聞こえるのは、信頼の証だろうか。
「心配はしているが、アイツが『干渉、手助け、一切無用』とか言ってきたからな」
「それならばそれでいいんじゃないかしら?」
心情的には全然、納得できないのだが……ともあれ友人の意思は尊重する。同時に目の前の敵への圧力を弱めることも出来ない。
「まぁいいわ。それよりも頼りになる助っ人―――天・地・星の三女神を連れてきたわよ」
『『『天・地・星の三女神!?』』』
確かに恐るべき神気を放つ3騎……否、3柱の神たちだ。3者が面貌を隠す『仮面』を着けていなければ、何もなかったのだが―――。
「金星の女神にして、豊穣と戦いを司る女神『イシュタル・マザー』」
「どうも。よろしくねマスター♪」
露出が激しい女神(ナイムネ)が、お袋に似た髪型と髪色で言ってきた。
「冥府の管理者にして、あらゆる魂に死後の安寧を与える女神『エレシュキガル・マザー』」
「よろしくなのだわ。マスター♪」
反対に露出は少ないがイシュタルと魂が似ている女神(アルムネ)が、髪型は似ていても金髪で言ってきた。
「別宇宙からやってきたというか先史古代文明の女神という……もはやワタシの理解力では説明がつかない『Sイシュタル
「ちょっと待ちなさい。なぜ私だけそんな扱いなのかしら? まぁいいわ。はじめましてマスター。コンゴトモ ヨロシク」
リーナの紹介が少しだけ雑なのを気にするスペースイシュタルルーブさん。
どこぞの『メガテン』系統の挨拶をされてしまったが、俺はあの
「―――ご婦人3人、何故に仮面を着けてらっしゃる?」
女神に対して擬人化した表現が適切かどうかは分からないが、奇態な仮面を着けた3人に問うが。
「「「レディだけが持つ企業秘密です(なのだわ)」」」
仮面で見えないが『ドヤ顔』で言っているだろう『懐かしい声』『懐かしい調子』の持ち主に、コレ以上は突っ込むことは出来なかった。
「さいですか……まぁ四の五の言わないでおく。何だかあなた達の声を聞いていると、不意に泣きたくなってしまいそうだ」
『『『セツナ……』』』
カルデアという機関があった軸での『疑似サーヴァント』の法則を思い出して、その面貌をもはや予測してしまっていた……。
その事実に気付いてしまったからこそ、後ろを振り向くことは出来なかった。
「―――『俺のダチ』も無敵の超人ってわけじゃないんだ。同時にエドモンだってな―――行くぞ。無限転生者の輪廻を叩き潰す」
それはどちらかと言えば、『母親』に対しての言葉とも聞こえる言い訳じみたものであった。
「セツナ―――」
「―――リーナ、ありがとう。それだけだよ。何も気に病むことじゃないさ」
少しだけ悲しげに呼びかけられたことに背中を見せながら、刹那は言う。決して悪いことではない。
当たり前だ。そんなことは―――。
言外に言ってきたセリフをリーナだけは分かってしまって、嬉しくて少しの涙が出た。
―――俺の会いたい人を連れてきてくれてありがとう。
それが分かってしまったからだ。
「水を差すようで悪いが、マスター。そろそろ前が開くぞ」
アーサー・ペンドラゴンの言葉で気づき―――。
「ゴールデン!! 段蔵殿!! 頼んだ!!」
檄を飛ばす。そろそろ佳境というところだ。
「おう!! 死ぬんじゃねぇ!! まってろよ!! エドモンド―――!!!」
「ゴールデン殿! それだと『えどもん殿』が、赤い隈取を着けた力士になってしまう!!」
真っ赤な剛体をいからせながら駆け抜ける、ゴールデンこと坂田金時の斧が唸りを上げて、大地を雷霆で削り取りながら、不死者の軍勢を消し飛ばしていく。
(―――ネロ・カオスの総体は分割することも出来るのか、だとすれば―――)
達也が『蒼の眼』を持ってくれたならば、それが『ジョーカー』になるはず……。
カラクリ仕掛けの武器を飛ばしていく忍のサーヴァントと剛力無双のゴールデンが最後の壁を砕いた時に―――。
「エドモン!!! 令呪を以て命ずる!! 戻れ!!」
見えてきた光景、巨体のゴーレム7騎にエドモンを拘束して、雷の手刀剣で刺し貫こうとする様子を見て即座の判断であった。
「っ―――ここまでの壁を総て越えてくるとは!!」
獲物を奪われたことに対する恨みの眼を向ける半裸に告げる。
「エドモンがお前を自由にさせなかったからだ。マルセイユの船乗りは知っていたのさ! 『船長』がいなければ、『船』は動かないってな!!」
「―――――――」
無論、副長ともいえるものが次席として指示を取っていればであったが……。そういうものはなかった。
所詮、
「十七回も
怒りが充満する。あからさまな侮蔑だ。
「いいだろう……このロアが12回めの転生において手に入れた秘術―――東洋のチャクラ秘術『影分身』―――いまこそ見せてやろうではないか!!」
残像ではない。己の身体を『分ける』秘術に、段蔵の眼が細められる。完全に忍術の類であり、50鬼もの姿を晒すミハイル・ロアだが。
「上等だ! 冠位指定!!!―――貴様の魂を破壊する!!」
エドモンの力を譲り受けながら握りしめるは、軍神の剣。
戦いの号砲は―――――――。
『『『『『母親としての力を見せてやる―――!!!』』』』』
三女神+段蔵、源頼光の一斉攻撃の飽和攻撃―――俗称『ビッグマム砲』(刹那 命名)が、ミハイル・ロア・バルダムヨォンを叩きのめしていく。
段蔵のカラクリ機巧から放たれる横に発生した竜巻を先駆けに、大轟撃がミハイル・ロアを打倒していく。
そして―――。
「
後ろの方から漂う圧倒的なまでの死の気配。二度と嗅ぎたくなかった匂いを発するものは―――。
血の池地獄から起き上がるは、蒼き眼をした『バロール』!
「―――ああ、いいぜ。オレもお前も異端だ。だから―――久しぶりの生の実感を覚えさせてくれよ……つまり―――」
肉声が情報として届く。『司波達也』の精霊の眼はそういったことも出来るらしいが、刹那では少々無理だ。
つまり―――。
(俺に声を届けているのか?)
今の『シバタツヤ』の表情が、刹那にはよく
「―――俺を殺してみせろ。
言葉の後に神牛が吼えたける。盛大な前肢の振り上げ、振り下ろし遠くからでも分かるそれが―――世界を揺らす。
スタンプされた足の威力は――――減じていた。
何故ならば―――。
巨大な前肢の一本。ちょっとした成木ほどの直径のそれが、虚空を飛んでいたからだ。
『狙うは両鬼相殺! 合わせろよ!!刹那!!!』
『―――はいはい、存分に現世を楽しめや!!!』
空気を震わせて、こちらに声を届けた器用達者な『シバタツヤ』の声に返しながら、こちらも戦闘を開始する。