魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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BS11でもMXでもこの番組構成なんだよなー。

鍋の次は炒飯かぁ。

そして我が方のゴールデンはようやく宝具レベル2になってくれた。
ツナ・トスの英雄、渡辺綱も来てくれた(マテ)

あとは―――俺がユガを越えてアトランティスを超えるだけだ(泣)

そんなわけで新話どうぞ。


第268話『恋人たちの夜』

 

 

―――色々と騒がしい街中に降り立つと同時に色々と聞きたい面子は多いだろうが、それでも今夜はお開きにしておいた方がいい。

そんな説得が面々に通じた後には、無事に家路や宿泊場所に着いたことを確認しなければならない面子を送って、自宅に戻った時には9時を回っていた。

 

「そういう時こそ、私のようなサーヴァントを使いっぱしりにして送らせれば良かったでしょうに」

 

「結果的に、何人かの家は夜中に家の娘さんを連れ回したことになったんだ。不義理はおかせないよ」

 

 

お虎の苦笑しながらの言葉に返すも―――。何となく目の前のサーヴァントの『不満』を理解してしまった。

 

「……暴れたかったのか?」

 

「当たり前です!! 古今東西の英雄たちが集結する乱痴気騒ぎの固有結界(りありてぃまーぶる)となれば、この景虎―――、彼らと覇を競いたかったのですけどね。マスター?」

 

だから監視役に置いといたのだ。ハッキリ言えばあんな場に、この戦馬鹿(ウォーモンガー)を投入すれば、そりゃもう泥仕合確定である。

 

だが凶眼を向けてくるお虎相手に『やべっ』と思いつつも、どうしたものかと思う間もなくその眼が引っ込んだ。

 

「まぁ、私としては『さつき』がマスターの秘術で消滅されなかっただけ、まだマシですかね。今夜の仕儀に彼女たちがいなかったことが救いです」

 

「……ホテルに近づいた中にそういったものはいなかったか?」

 

穏やかな笑顔で語るお虎だが、監視役としての務めを果たしてくれていたのかを問う。

 

「吸血鬼の類はいませんでしたし、流石に状況が状況だけに名倉殿や魔法師の関係者はいましたが―――マスターが聞きたいことならば、察せられます。紫苑(シオン)がホテルの近辺に来て、すぐに帰りましたよ」

 

その言葉に、眼を閉じてから深呼吸一つ。別室で通信モニターでのバランスから『報告』を受け取っていたリーナの驚いた言葉がこちらにまで響く。

 

どうやら『決まり』のようだ。しかし迂遠なことをしたものである。

 

「―――では、私とアルトリア殿たちは別室で『戦国炒飯(イタメシ)テレビ』を見ていますので、存分にリーナと企みしながらイチャイチャパラダイスしていてください♪」

 

「余計な気遣いせんでいい」

 

「では襖を音を立てて開けながら見てもよいので?」

 

なんたる黒い小姓(サーヴァント)だ。にやにやという表現が似合うお虎だが、もはや「うつけ坂49」でも見ていなさいという表現で追い出すのだった。

 

「それでは失礼いたしますね。刹那」

 

霊体化して部屋まで行くという横着を見てから、『弓塚さつき』との関係を問い質すのを忘れてしまうのだった。

ここまで来たらば話してほしいが、おおよその予測は着いていた。だが、それを知った所で対処は変わらないわけだが……。

 

「それでも、何であんなことになったかは知りたいもんだ」

 

どこかの世界で志貴さんが救えなかったのだろう少女。その原因を知りたがる自分は変なのだろう。

 

ソファーに深く腰掛けながら目をつむり、息を吐く。今日一日で随分と寿命が縮まったかもしれない。もっとも、使わずに勝てたかどうかは怪しかった。

 

そう―――所詮は『愚連隊』でしかない自分たちでは『そうするしかなかった』のだから―――。

 

自嘲気味になっていた刹那の思考に割り込むように、ホットのカップが頬に当てられた。

熱いというわけではないが、温くもない―――絶妙なカップの温度に眼を開けて上を見ると、片目を閉じながら笑みを浮かべていたのだった。

 

「ハイ、今夜もお疲れ様の一杯、ドウゾ♪」

 

「ありがたくいただくよ―――」

 

黒い液体。まぁまだ話さなければいけないことも多いので、紅茶よりはこっちの方がいいかと思いつつ、軽くカップを一度だけ合わせてからコーヒーを含んだ時に―――その舌に感じる甘味に、少しだけ驚いて『もらっていなかったな』と思い出すのだった。

 

「コーヒーじゃなくてホットチョコか」

 

「ウマく出来て良かったわ。ミルクたっぷりめでもセツナから一本取れたもの」

 

そんなイタズラゴコロも含めてのことだったとは。負けましたと一言だけ言ってから、そのリーナの気遣いを受けるのだった。

 

「HAPPY Valentine♪ 最後のほうで―――セツナのお義母さんに会えたのはスゴくいいことだと思えたわね」

 

「修羅巷の真っ只中で死んだお袋に会うとか、これが俺の運命か……」

 

笑顔で言うリーナには悪いが、ちょっとばかり『シニカル』なことを考えてしまう。それに対してフォローが当然の如く入る。

 

「アレよ! 某ニンジャマンガだって、一大戦争開始前に自分の精神世界でお母さん(マザー)に会って、戦争終了の際には魔界転生(リボーンズ)させられたお父さん(ファーザー)に自分のことを語ったみたいに―――ダメだった?」

 

「―――そんなわけあるかよ。キミが気付いてくれなきゃ、引っ張ってきてくれなきゃ、俺もお袋も会うことは出来なかったんだからさ」

 

ソファーの隣に座ったリーナの不安げな眼差しに、頭に手をやり体を抱き寄せながら、そう言って素直に正面に顔を見ながら感謝をする。

 

「ありがとう。リーナ、俺のお袋に会わせてくれて」

 

「ワタシこそ感謝しているのよ。アナタだけが、ワタシの両親に挨拶出来て、ワタシが出来ないことが心苦しかったんだもの」

 

「そういうもんか?」

 

「ソウイウモノよ。男には分からないこのセンチメンタリズム溢れるエモーション……これが『エモい』という感覚なのネ」

 

絶対に違うと言い切れないのは、その状態に最大に陥ったのが 、当の刹那であるからだ……。

 

それにしても、抱き寄せたリーナの衣装はいつになく決まっている。ふわもこなセーターにミニスカートという『いつも』の部屋着なのだが……。

 

 

「ドウしたの?」

 

「いや、何ていうかいつもより……」

 

「イツモヨリ?」

 

 

何か誘導されているのが分かる。というか、セーターの『裏地』とか大丈夫なのかよと思いながら……。

 

 

「……せっかくのナイスバディが崩れるぞ」

 

そんな言葉で窘めつつも密着状態は維持するのだった。

 

「そんなヤワなものじゃ―――いや『ヤワ』なものだけど、簡単に重力(グラビティ)には負けないわ!!」

 

鬼気迫る顔で言ってくるリーナ。ダメだこいつ。はやく何とかしないと……。

 

言いながらも、腕を刹那の首に回して見つめてくるブルーアイズと、紅潮しながらも柔らかな笑みを浮かべてくる様に逆らいきれない。

 

 

「今夜は、本当にオツカレサマでした。戦に疲れた勇者たるダーリンを癒やすのは、ハニーたるワタシの役目なんだから♪」

 

「キミだって戦っただろ? ならば、俺の無茶な戦いに着いてくれた守護天使サマは、俺が癒やすよ」

 

 

お互いの顔を至近に収めながら語り合う言葉は拙い睦言だ。グツグツに煮立ちそうな位に頭が、身体が熱くなる。

 

理性が無くなる寸前での言葉、そしてそのままに体は重なり合い、口づけを交わした後にはお互いの身体に手を這わせるのだった―――。

 

そんなリビングでの『事及び』に……。

 

(しまった―――!!! 刹那の秘蔵のお酒を取るに取れない状況です!! 不覚! 塩も梅干しも『きっちん』に置きっぱなしですよ!!)

 

(チョココロネでも肴にどうだ?)

 

(合うんですかねソレ? 仕方ありません。ここは洋酒で我慢しましょう!)

 

―――などというサーヴァント達の一幕があったのだが、『事』に及んでいる2人には全く感知出来なかったのだ。

 

 

 

「―――無限の剣星―――アンリミテッドブレイドワークス、か。八王子クライシスの際の将星召喚の原典とはここだったのか……」

 

「恐らく、ね。洋の東西を問わず、数多の英雄たちを『英霊の座』から自分の心象世界に呼び出して、一斉攻撃をさせる―――刹那くんの『何枚目』か分からぬ切り札……」

 

隣に座る真由美からの口頭での詳細な説明を聞いて、それがどれだけの『範囲』で『展開』出来るかなど、はたまた『発動条件』『呼び出せない英霊の有無』『弱点』……全てが不透明だ。良く考えると、サジョウマナカを殺すために何騎かのサーヴァントが固有結界の外に出てきたことを考えると……『範囲』という意味では、あまり意味がないのかもしれない。

 

エクスカリバークラスの範囲攻撃の宝具を持つサーヴァントを揃えれば、それだけで戦略級魔法の連発と変わらない。

 

逆に周囲に対してあまり被害を出したくない上での対人攻撃という意味では、長尾景虎のような宝具持ちを呼び出していけばいい。

 

 

現在、キャビネットにて放送中の番組『戦国炒飯(イタメシ)テレビ』のコーナーでは、武勇自慢の戦国武将―――という『役』を演じている役者たちが小芝居を演じていた。

 

そういうことも『本物』で出来るのが刹那ということだ。

 

「……まさしく『無手勝流』の極みだな。ヤツには我々、現代魔法師が持つような『型』がない」

 

「まぁ、ある意味、羨ましい限りよね。一枚切り札を切ったとおもいきや、更に奥の手を持つ―――」

 

汗をかいて溜息を突く真由美の心は何となく分かる。

 

カウンター(抑止力)という意味で言えば、十師族の総力を結集しても刹那には勝てない。もちろん遇し方次第なところはあるが……。

 

戦力評価で言えば計り知れない。単体で一国の戦力と渡り合うことも―――『不可能』ではないかもしれない。

 

そう……『不可能』ではないかもしれない。

 

「この『どこまで出来るか分からない』―――可能の上限が不確定なところが、アイツに対する全てを『あやふや』にするんだな……」

 

苦笑して、どうでもいいことだと克人は考えた。ハッキリ言えば、四葉のご落胤で分家扱いでありながらも『軍人』としての職務にも就いている司波達也に比べれば、まだ『交渉』のしがいはある。

 

どちらも克人にとっては気に入りの後輩ではあるが、何というか『交渉』のしがいがある刹那の方がいいのは、見立てが正しければ、どちらかと言えば『我の強い』達也は引くことはない気がするのだ。

別に物分りの良さの有無とかを基準にしているわけではないが……要するに『融通』しあえるものを持ち合っているというのが、刹那との違いだろう。

 

身も蓋もない言い方をすれば、こちらが提示する『金銭・宝石』次第では折れることもある刹那の方が、交渉しやすい存在だ。

要するに相手の面子を徹底的に潰すことをしないタイプだから、この辺が『限度』であることを理解している。

 

―――そういうことだ。そういう風な克人なりの人物評なのである。

 

「ところでお前は、どんな英霊に構われたんだ?」

 

そんな内心での後輩に対する講評を詳しく言わずに話の転換を図ると、少しばかり悩むような顔をする同輩がいるのだった。

 

「ええっと……アレキサンダー大王の影武者と言える『女性』だったわ。便宜的に『ヘファイスティア』という名前を名乗られたけどね」

 

「もしやヘファイスティオンの女性名か?」

 

「わっかんないわー……ただ『彼女』の駆る骨の竜(ボーンドレイク)に牽かれた戦車に乗って、戦いには参加したわよ。現代魔法師の価値観、バッキバキにぶっ壊されまくりだわ」

 

髪の毛をガシガシ乱しながら言う真由美に、再度嗜める。

 

「……便宜上、形而上は、お嬢様の言葉と行動じゃないぞ真由美、むぐっ!」

 

その言葉は最大級に癇に障ったのか、克人の口に突っ込まれるは、わざわざ療養中の身であるために家に届けてきたバレンタインデーのプレゼントである。

チョコクリームが内包されたシュークリームの味は、ふわふわのシュー皮と相まってかなり美味しいのだが、その食わせ方はどうなんだろうと思えた。

 

「……事態の解決は振り出しに戻った形だが、『終結』には近づいているだろうな。何を以て『終わり』と結びつけるかは、明確には分からないがな」

 

「政府筋の意向は単純。この『東京都』から『危険生物』である『死徒』の駆逐のみ。ただ、別の動きも出てきたから『少々』、ね……」

 

「死徒……不完全ながらも不老不死を体現した、『並行世界』で繁栄を得た存在―――……。まぁ遠坂が入学した初期の疑問に解答は得られた形か」

 

「あの頃、克人君には『アホなことを言うな』と言われたわ」

 

 

覚えていやがったか、と苦笑しながら二個目のシュークリームを口に運ぶ。だが『並行世界』からの『来訪者』……それを『事前』に予測・理解していた人間は多いのではないかと思う。

九島老師のエルメロイレッスンの承認や、政府筋の迅速な対応。そして、あの『四葉』があまり『やんややんや』と首を突っ込まないところに、裏を感じるのである。

 

 

「ともあれ、明日には俺も登校しよう。事態の終息―――せめてそこだけは見届けなければならんからな」

「そう……ならば、今夜は朝まで看病してあげるわよ」

 

 

その言葉に克人が張っていた遮音の結界が崩れて、私室のドアに聞き耳を必死で立てていた腹違いの弟と妹が、何事だと思う。

 

「いや、真由美。それはマズイ。俺にも男として『やんごとないこと』があるんだ。それに看病は、もはやいらんよ。回復はしている」

 

「だからといって、こんな真夜中の東京に『か弱い女の子』1人放り出そうなんて無体じゃないかしら? およよ……」

 

ウソ泣きをする真由美だが、迷惑かもしれないが名倉氏を呼び出すことも出来るだろうに。ただ十文字家の家人にその手の便利屋、執事など諜報役がいないことが、この事態を回避する手立てを無くしている。

 

自分が気軽に動けるならば、送ることもやぶさかではないが……。

 

「―――制服類はちゃんと畳んだ方がいいだろう。和美、真由美さんに着替えなどを用意してあげなさい」

 

ドアを自動開閉すると、少しだけ『つんのめる』も姿勢良く入り込んだ妹と弟が、他家のご令嬢に挨拶をしてから、案内する様子を見ながら……。

とりあえず、覚悟を決めるのだった。

 

 

「今日は話に付き合え。しばらく動けなくて話し相手に飢えていたんだ?」

 

「……口説いている?」

 

振り向きながら、少しだけ膨れるような面で言うのだが。

 

「さぁな」

 

笑みを浮かべながらそんな言葉ではぐらかす。

どうにも遠坂の主催した『祭り』に参加出来なかったことが若干恨めしくて、真由美に事細かに語らせることにしたのだった―――。

 

たとえそれが同輩の少女と一晩を過ごすことになったとしても、だ。

 

 

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