魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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大晦日から元日にかけては、個人的には本当にお祭りであった。

こんな日をずっと待っていた。

ジョナサン・グレーンの気持ちも分かってしまうぐらいに待ち続けていたのだ。

ああ、コロナで色々とダメな日々でも、いい話題があると、それだけで世界は色づいてしまう。

志貴が月の美しさに見とれたように我々も――――――――

とりあえず絶賛値上がり中の青本を売るか売らぬかを検討してしまう(マテ)


第273話『アクトレスアゲイン―Ⅴ』

 

 

居並ぶ面子―――オンラインでのリモート会議。それに出席することが多くなってしまった克人だが、今回ばかりは少々事情が違う。

 

つまりは、色々と起きたことが大きすぎるのだ。

 

『四葉殿が外国の魔法機関からの攻撃で人事不省とは―――』

 

『アトラス院の錬金術師が用立てた情報機器。まさか我々の盗聴にも使われていたのではないだろうか?』

 

『いや、そもそもそんな怪しすぎるものを、あの(・・)四葉真夜が使っていたことの不可解さこそが、この事態をややこしくしすぎているのだ』

 

『背信・背任とまではいかずとも、これは一種の疑獄事件だぞ。ペナルティは免れん―――』

 

以上は四葉の影響力をあの手この手で削ぎ落としたい人々の声であり、まぁ『本来』は『筆頭』たるべき人間は、現在参加していなかった。

 

『―――真由美嬢 お父上はどうなされたのかな?』

 

やはり聞かれるか。分かっていたとはいえ、後輩の思惑に腹立たしい想いだ。あんちくしょうめ。などと内心でのみ言っておきながら―――答える。

 

「父は現在、意識不明の状態にある四葉師の病院に居ります。ご承知の通り、四葉の家人を含めなければ四葉家―――継承為された四葉真夜女史には、『諸事情』ゆえに頼れる『親類』は居りませんので、かつての九島老師の兄妹弟子として父が看病している状況です」

 

『『『『………』』』』

 

事実をありのままに語っているだけなのに、嘘くささと怒りを感じる真由美の長広舌に、全員が沈黙する。

 

七草弘一がいない理由―――それは―――。

 

 

数時間前 東京都内 遠坂邸

 

全てを聞き終えて『宣言』されて、やるべきことが定まりつつも……。

 

「刹那君、どこに電話しようとしているのかしら? なんだかウチの狸親父のナンバーが見えているんだけど? というかこの登録されている名前の『元カノ未練マン2号』ってのはどーいう意味だ!?」

 

「いや、要するに今のミス・ヨツバは、『眠り姫』なわけでして、俺の師匠の1人(ライネス)と違って理想の眠りを求めている(快眠!安眠!スヤリスト生活)わけじゃないならば、やっぱり傍らには『王子様』の1人でもいないとマズくないですか?」

 

「なんでその役目に、既婚者で妻(別居中)子持ちをあてがおうとする!?」

 

ぎゃーぎゃー言う七草真由美だが、現状―――確かに四葉には多くの親族がいるということが『自分たち』には明らかになっているが。

 

表向きはアラフィフで独り身の女性というのが、四葉真夜のプロフィールだ。もちろん昔の四葉家の代からの家人たちもいるだろうが、まぁそれでも誰か『昔からの知り合い』が居たほうがいいだろうという―――表向きはそんなところで。

 

裏の事情は―――『面白そうだから、そういうことをしてやろう』という話である。

 

この『まっかなあくま』め。と、真由美だけが『怒』の感情で思うのだった。

 

「まぁ実子の感情としては納得出来ないでしょうが、この事を師族会議でいきなり言い出せば―――ようは『遅いか早いか』でしょう」

 

「うっ……アナタだって、第五次聖杯戦争のセイバー=英雄アルトリア・ペンドラゴンと父親が懇ろであることに、複雑なクセに……」

 

恨めしげな顔で刹那に言う真由美だが、それを刹那は風と流す。

 

「オヤジが妖精郷に辿り着ける可能性はかなり低いでしょう。ただ、その辺を呑み込めなければ、オルタ達と契約しようとは想いませんでしたよ……それだけです」

 

刹那の過去と衛宮士郎という男の過去を見たことで、真由美も反論の内容にバリエーションが出てきたが、そんなことは織り込み済みの刹那の反論に―――『『『夜伽をするか? マスター?』』』

 

などと、あんこを口に着けたアルトリアオルタズが言ってきたが―――。

 

「オヤジと『兄弟』になるのは、ちょっと……」

 

「「「「「―――――!!!」」」」」

 

その言葉に全員が、赤くなるのだった。

 

ともあれ、対策と言えるほどではないが、その言葉を以てお開きとなった。

 

今夜、タタリ・パラサイトは完成を見る―――。その言葉が決戦の宣言であると、理解しないものは居なかった……。

 

 

「そして、私と十文字君は十師族関係へのメッセンジャーとして扱き使われるということね……」

 

「まぁ仕事があるということはいいことだと思うがな。俺の家は、そういう『持ちつ持たれつ』を考えなければならない分野だからな」

 

「これが持ちつ持たれつなのかしら?」

 

「それぞれの戦場で戦う。そしてその役目を放棄したければ、どうぞご勝手に。そういうことだろう?」

 

その言葉に結局、刹那は何も『強要』していないのだ。着いてくる気があるならば、それに対応したものを与える。それだけなのだ。

 

 

「シオンさんの目的―――それは何なのかしらね?」

 

「それこそが謎だ。アトラス院が今回の事態の元凶だ。だが、それをするだけの『理由』が、この『世界』にあるのか?」

 

現代魔法師、もしくはこの世界に生きる人間としての視点を申せば、かなり歪なものがこの世界にはある。

 

魔法師研究も突き詰めれば、あらゆるものを焼き尽くす米国のマンハッタン計画、ナチスドイツのロケット開発計画と変わらぬものであった。

 

エドワード・テラー、ロバート・オッペンハイマー、フォン・ブラウン、ヴァルター・ドルンベルガー………魔法師研究者もこれらと変わらなかったということだろうか。

 

尋常の世にある生命倫理を侵してでも行ったことの是非もあるだろうが―――。

 

それでも世界に『人』は生きているのだ。例え、見せられた遠坂の『汎人類史』とは違ったとしても、この世界も未来の姿なのだと……。

 

そう叫ぶ権利はあるはずだ……。

 

「―――ソカリスの考えはわからない。ただブラックモアもダンクルベールも、タタリともこの国とも縁がないというのに―――戦う。そう言ってきたんだ。俺がアレコレと尻込みするわけにも行くまい」

 

そんな克人の言葉だが、刹那が横で聞いていれば、とりあえずブラックモア村という場所は、『関わり』はあったと内心でのみ言っていただろう。ともあれ決戦という段取り……。

 

そこに至るまでに―――何が出来るか―――。

 

それを考えるのだった。

 

 

 

「―――『誰か』は欠けるだろう」

 

「でしょうね。刻限は示され、そして集まる魔力の量、不死者の吐き出した瘴気は、既に江戸を穢土に変えています」

 

言いながらオルタリアに酒を注ぐ景虎。

戦いの前の最後の腹ごしらえというヤツである。

 

遠坂邸に設置された魔法陣の部屋で四者会談を行う―――刹那のサーヴァントとなって日が浅い三人とも景虎は、こうやって酒を酌み交わしていた。

 

だからこその戦士の礼儀を欠かさないでいた。

 

「我々、アルトリア・オルタズなど、サーヴァントよりも虚ろな存在だ。一応は、マスターである刹那から明確な像と魔力を与えられてこうなっているが―――どうなるかは分からん。所詮はタタリによる再生体だからな」

 

「卑下するな槍よ。それは我々が抱いてはならぬ悩みだ」

 

「分かっているさ。しかし、いざとなれば、マスターである刹那を守るために身を挺する覚悟ぐらいは持っておきたいのだよ」

 

明確ではない。しかし、マスターの顔を見ていると―――不思議と懐かしさがこみ上げるのだ。

 

マスターの過去に付随して見せられた―――父親である少年の姿も、『オリジン』でなくてもなぜか『何処か』で見たような気がする。

 

そちらに関しては若干ジジくさい喋りをしていたような気がするが―――。

 

ともあれ……。

 

「これは明らかに『人理の危機』―――いや、もしかしたらば、危ういバランスで『何か』をやろうとしているのかもしれない―――だが、それでも目の前で人死がアレだけ出たのを放置しておくわけには行かない」

 

「同感だが、お前が仕切るな槍」

 

「剣よ。どうにも貴様は突っかかるな。その貧相なボディゆえに、何か思うところでもあるのか?」

 

「違う可能性の私は邪推が過ぎるようだな。サーヴァントの性能にそれに何の価値があるというのだ。我らは娼婦ではなく騎士なのだ。身体を自慢されても何とも思わん」

 

若干、多弁な剣トリアにまだ勝ち誇っていた槍トリアだったが、そこに騎トリア(メイド)が援護射撃を出していた。

 

「何よりラムレイが鈍足なのは、貴様の無駄な乳のせいだというのが界隈の声だぞ」

 

「どこの界隈だ!?」

 

「ラムレイも可哀想な限りだ。乗り手が重くては、あのように駿馬に相応しくない足捌きなのだ。

知っているか? 今世の乗馬競技というのは、ジョッキーに過酷な体重制限を施すというのだ」

 

「やはり第三の馬『スピュメイダー』が最強か? むしろ我々にラムレイを返還するが良い。もしくは、軽量化のためにロイヤル・アイシング(ドスケベ礼装)でラムレイに跨がれ」

 

弱りきったラントリア相手に、畳み掛けるような剣トリアと騎トリアの口撃が炸裂。

 

事実の一部を言われて、言い返す機をのがしてしまった。ぐぬぬという顔で他国―――ジャパンのサーヴァントに援護を求める。

 

「お前ら好き勝手に言いすぎだ!! ランサーでありながら馬を扱う同士カゲトラよ!! この赤くないくせに暴君過ぎる2人から私を守ってくれ!!!」

 

「いやー、傍から見ていて仲が良いご姉妹(?)ではないですか♪ 私に構わずどうぞ遠慮なく。ちなみに宝生月毛も厩舎で『ラムレイさん。大人の(オンナ)です! マジ尊敬っす!!』とか言っていますよ」

 

「それで何を安心しろと言うんだ水樹(?)―――!!! ダメだ。このスマイルギャング、当てにならない!!……そもそもラムレイが鈍足なのはアーケード(?)の開発元のせいであって……余は……余は悪くないもん!!!」

 

完全に酔っ払った、出来上がっているお虎から、寸劇・喜劇としか見られていないことにラントリアの絶望が増した瞬間―――。

 

「HEY! 出前一丁お待ち!! 美女四人で密談の会食なんて随分と華のある場だ」

 

「ぶっちゃけキョーコとシルヴィの『うらぶれ女子会』も同然だけどね」

 

日米グータンヌーボ会も、女の眼からすれば、そうとしか見えないようだ。

桃○かおりとかは泣いてもいいと思う。そう想いながらも部屋に入った刹那は、作った料理を広げるのだった。

 

「マスターからの差し入れか――― ありがとう」

 

「その気持ちに感謝だな。ありがとう御主人様」

 

「う、うむ。ナ、ナイスなタイミングだ。ありがとうマスターセツナ……」

 

「ぷっはー♪♪ やはり戦の前の酒はいいですねー♪

戦の最中に飲む酒もいいもんですが♪ 感謝ですよますたー♪」

 

1人一際酒臭いサーヴァントがいたが、構わず刹那はサーヴァントたちに差し入れとして食事を提供するのだった。

 

だが、やってきたのがマスターであったことに、ちょっとだけ安堵しつつも先程の会話を聞かれていたのではないかと、ちょっとだけ不安を覚える―――。

 

「今日が決戦となるわけだが、今まで聞くに聞けなかったことを、打ち明けてもらいたい」

 

その刹那の顔を見たアルトリア達は、眼を瞑りながら口を開く。

 

「ほほぅ。策士だなマスター。自分の過去を見せることで、皆に一蓮托生、連帯感を持たせた上、自陣のサーヴァントにまでとは―――」

 

「そういうのは意外とバカにならない。我ら(私達)も分かっていれば、な……」

 

人理守護の探索行(Grand Order)我ら(私達)はそれを知った」

 

その言葉に―――いつの間にかやってきたダ・ヴィンチとロマンが、サーヴァント部屋を見て笑みを浮かべていた。

 

 

それを見たお虎は観念した想いで語りだす。

 

 

「―――分かっていますよ。皆さん―――全てをお話しましょう……と言っても、あの『さつき』に関して話せることは多くないんですけどね―――あれは昭和時代―――南蛮の合衆国とやらの参戦で徐々に敗戦を色濃くしていた頃でした……」

 

そして、語られることは―――むかしばなし……。されど、少しだけ『いま』を近くに感じさせるもの……。

 

 

そんな時に―――別の場所では……。

 

「そろそろアチシらも出番じゃにゃいかー?」

 

「ふむ。まぁ頃合いではあろうな。ドクターの下から離れるというのは、少々心苦しいが」

 

「まぁチアッキーには世話になったしにゃー。だからこそあのエジプトニーソには、もうちょっと『可能性』を信じるよう言わにゃーならんのよ。どぅーゆーあんだーすたん?」

 

「このニボシの黒鍵(パチモン)にかけても、それぐらいはしてみせよう―――」

 

白と黒の同盟が成立したのだっ―――

 

「2人(?)とも、そろそろご飯だよ―――。今日は真黒カルカンのユッケ仕立て♪」

 

「うにゃにゃにゃ!! さすがはコハッルー♪ アチシの好みをわかってるにゃー」

 

「ふふふ。ミス・コハル―――食前酒には生ぬるいミルクをお願いいたします。このカオス、それなりに食には拘りがあるもので」

 

―――ったが、食欲には勝てず、今宵の晩餐に心を奪われるのだった。

 

 

……あらゆる生物(ナマモノ)の頂点に立ち、新しい生命(メタ)を産み続け増やしていけるもの……汝の名は、『ネコ』なり!!

 

 

妙なナマモノの参戦も決定して、東京の最後の一夜、その混沌の様相は深まる―――。

 

 

 

 

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