魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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ショタ時代の兄貴……3匹のホモォが荒ぶっておられるわ。(爆)




第277話『月姫-TWO』

『ソレ』が来臨した時―――。

 

 

びくんっ!

 

世界が。

震えた。

 

そうとしか言えない感覚が、極東だけでなく、世界全ての超常感覚(ハイセンス)を持つ異能者にもたらした。

 

日本の裏側である南米はブラジルにいる連中ですらそうだったのだから、至近距離にいた連中の殆どは、『星の鼓動』を鋭敏に感じ取れたはずだ。

 

中にはあまりにも強烈過ぎる神秘に『眼』をやられたのか、『頭痛』 にまで至って頭を抑えているニンゲンさえいる。

 

美しい女性だ。短い髪の色は金色。

 

その眼こそ今は閉じられているが―――刹那はその目の色を知っていたが、そんなことはともかくとして、それでも見える睫毛の長さと顔のラインが、面立ちを知らせる。

 

全てにおいて常軌を逸した美女だ。刹那の映像では分からない『圧』がそこにある。

 

天然自然の暴力的な美しさ―――魔法師というデミヒューマンには絶対に持てない『美』が、女にはあった。

 

真祖種族―――とりわけニンゲンに対する懲罰を担当したものたちは、何を考えていたのだろうか。

 

アルクェイド(あーぱー吸血鬼)と会うたびに刹那は思ってきた。

 

何故、戦う者(死神)にこのような美しさを与える。無論、『アーキタイプ』がそうだったからとも言えるが―――それでも、戦うのならば、人々に、不死者に、悪魔に、忌み嫌われるような容姿であれば良かったはずだ。

 

 

……もしかしたらば、真祖たちは分かっていたのかもしれない。

 

どんなものであろうと、どんな瑕疵があろうと、それは同じ星に生きるもの―――その全てに断罪を突きつけて処罰し、殺すというのならば……。

 

(その最後に見るものが、真っ白な美しき月の姿ならば、死出の道も安らかになるかもしれない)

 

真祖が例外なく『美しいもの』を愛でるからこそ、そんな考えだったのかもしれないが……。

 

腕を一杯に開いて翼のようにして、降り立とうとしている姿は御使いを思わせる。

 

そしてそれは、まるで磔刑された主の御子のようでもあったのだから。

 

本当に鳥か天使のように緩やかに地上に降り立つ絶世の美女―――。

 

アルズベリでは何度も見た。うんざりするぐらいの性能差を見せつけられ、そのついでに、うんざりするぐらいの『殺人貴』(志貴さん)とのバカップルぶりも見せつけられた……。

 

 

―――アルクェイド・ブリュンスタッド―――

 

真祖が用意した処刑人にして、最後の真祖種族。

 

白いセーターに『黒のミニスカート』。『黒いタイツ』で覆われた素足に―――『頑丈そうなブーツ』を履いた女は―――この世界に降臨した。

 

 

誰もが緊張せざるを得ない登場。タタリという魔術式が作り出したのが、これならば……。

 

「――――」

 

無言で眼を開いていくアルクェイドに緊張をする。緊張をして―――。

 

「死徒二十七祖13位 タタリ!! その現象を破壊させてもらう!!!」

 

それに耐えかねたのか、腕試しなのか、何なのかは分からないが、モードレッドが聖剣を手に持ちながら、アルクェイドさんに突っ込んでいく。

 

感情や心が見えない赤い目。だが、それが敵を視認したことで迎撃行動が出てくる。

 

勢いよく振りかぶられる―――手。本当にただの『素手』なのだ。当然、吸血種としての特徴で爪が鋭く伸びるのだが―――そんな素手が何回も打ち込まれる聖剣の一撃一撃、素早く重い攻撃を跳ね返して、かつモードレッドの姿勢を崩させているのだ。

 

現代魔法師は当然ながら、唖然・呆然としか言えない顔をする。如何に刹那の記憶映像から、そんなことが『真祖』の最大の攻撃手段だと分かっていても、中々に現実を思い知るには、色々と心構えとか『理』が欠けていた。

 

「レッド!!」

 

一撃一撃が大気を撹拌してあちこちに颶風を巻き起こし、ぶつかり合う力の余波が足元の土砂を発破していく。

 

聖剣の魔力と鋭い切れ味、それら全てが女の爪手で封じられているのだ。

 

「っ!!!」

 

兜の向こうでレッドが驚愕しているのが分かる。

 

しかも、余波だけでレッドの鎧にも『ガタ』が来ているのだ。

 

空間を揺らすが如き威力は、聖剣の刀身で真正面から受け止めたはずのモードレッドの体軀に衝撃を走らせて、踏み締めた大地をひび割れさせる。一瞬遅れてからの周囲へと放たれた圧力が、鎧にも伝わる―――。

一撃一撃ごとに発生するショックウェーブ(衝撃波)が、相手との間に横たわる絶望的な膂力の差を知らせるのだ。

 

『やべぇな! お嬢、あちらは星のバックアップが完全じゃねぇが、それでもこっちと互角以上だ!!』

 

鎧の意識が話しかける言葉に、レッドは脅威判定を上げる。

 

「マジかよ……! だが、退けるかよっ!!!」

 

無機質な『戦闘機械』。それを思わせるアルクェイドさんは、刹那が知る『姿』とは違う。

 

それは処刑人時代のアルクェイド・ブリュンスタッドを思わせた……のだが―――あちらも、『こちらも』―――予想外だ。

 

「刹那、レッドを鉄砲玉にしといていいのか?」

 

先ほどから発生している颶風・豪風の中でも、はっきりと聞こえる達也の声に、こちらも魔力を込めて返事をする。

 

「いいや、こちらとしても予想外なんだ。再生されたアルクェイド・ブリュンスタッドは、タタリ・パラサイトの意識で俺たちを抹殺ないし、血袋として食ってくると思っていたんだからな」

 

だが、これは―――ある意味では、チャンスだろう。

シオン達は、アルクェイド・ブリュンスタッドをこちらへのカウンターとして『呼び寄せて』『戦わせよう』としていたのだが……。

 

予定違いというか、思惑通りではないことに安堵とも拍子抜けしたとも言えるが―――。

 

「アルクェイド・ブリュンスタッドを『保護』する。当然、あちらは抵抗してくるだろうが―――幼児も同然の知能しか無いならば、如何な真祖の再生体とて―――」

 

「エーテライトで『支配』される、か」

 

「それを『アトラス院』は意図しているぞ。再演算と再計算が終わったならば―――」

 

動き出す。真祖を自分たちの使い魔にすべく。達也にその意図を伝えてから―――。

 

「レッド、一旦下がれ!!」

 

「時間稼ぎ完了ならば―――休ませてもらうぜ!!」

 

斬り合いを終えて後方へバックステップしたレッドを、アルクェイドさんは『追わない』。

 

偽性(フェイク)だが、受肉した精霊種族・真祖を支配する―――!!」

 

「甚だ不本意だが、あのお気楽ゴクラク吸血姫を保護せざるをえない!! アトラス院の邪魔をしろ!!!」

 

 

シオンの言葉に被せる形で、こちらの戦略目標を伝える。

死徒連中を抑えるようにサーヴァント達には伝えておく。

 

だが、死徒も『何か』を狙って、アルクェイドに対して動き出そうとしていた。

 

一応、アトラス院のシオン達とは『同盟関係』にあると思っていただけに意外なものだ。だが、所詮利害の一致以上の『何か』が出来た時に、裏切りというのは発生する。

 

 

そう。厄介きわまりない人だ。

 

(この人は、そこにいるだけで『中心』になって、ついでに言えば、無邪気であるだけで『周囲』に集まる様々な人を様々な感情に導く……)

 

いるだけでトラブルメーカー。死徒でなくても『白い吸血姫にはかかわるな』という言葉が、忌み事として実感させられ、言霊となって響くのだった。

 

その赤色の眼が―――『金色』に輝き、アルクェイドは、砲弾のようにこちらに飛び出してきた。

 

「せつ―――――」

 

達也の言葉を置き去りにして、アルクェイドの膂力と速度によって後方の公園部分に、連れ去られる形となる。

 

首を掴もうとするアルクェイドの爪との境にグラムの刃を置いて、身体を預ける形の連れ去りで引き離すことは出来たが―――。

 

「―――――――」

 

グラムごと刹那を上方に撥ね上げるアルクェイドの恐るべきパワー&スピードは、刹那をここぞとばかりにシェイクする。

 

「容赦なしかよ!! アンタの中に俺の記憶か記録があるかも分からないけど―――」

 

なんか色々と複雑だ。その感想を抱きながら、光剣と爪が叩きつけ合っていく。先ほどのレッドとの戦いの再現にはなりえない。

 

爪が剣に叩きつけられる度に、身体が震える。文字通りの馬鹿力で、こちらを打ち倒そうとする吸血姫の表情が変わることはない。

 

妖精が舞い踊るように軽快に、鮮やかに、華麗に、舞踏を刻むようにその爪は命を散らすのだ。

 

いざ敵にすると分かるとんでもなさ。

正しく武の正道すぎる。

小手先の技などいらぬ。

 

シンプル・イズ・ベストな戦闘者としての理想形がそこにあるのだが―――。

 

(本人がそれを望んで持ったかどうかだろうな!! 映画(シネマ)でも見せれば覚醒するか!?)

 

乾坤一擲の攻撃で真祖の姫を弾き飛ばしてから、剣の変形を命じる。

 

(グラム・変形仕様だ! マスター、我が剣を預けるぞ!!)

 

シグルドの言葉で緑に輝く光剣を『逆手』に持って『構える』。

 

片手での逆手持ち。

反対の腕は緩く開かれたまま。

されどどこからでも最短で鋭く―――急所を狙えるもの。

 

時に交差することもあるその『暗殺者』の構えに――――。

 

偽性の真祖の動きが止まる。

 

(警戒しているってところか……あとは俺が七夜の動きをどれだけ出来るか、だ)

 

志貴さんの退魔衝動が発現した時のマックススピードと身体の使い方は、真似ようとしても真似できるものではない―――。

 

しかし、それだけがこの人への有効手段だ。極東の武技こそが、この人の陥穽なのだから。

 

「正攻法じゃ無理なんだから、とんでもない」

 

 

言いながらも待つのではなく、こちらから挑みかかる。上下に身体を波打つかのような動きからの―――瞬発。

 

紙一重で迎撃できた。逆手に持った魔剣(短)が爪を受け止めた。それだけで踏みしめた地面が砕けたが―――これではダメだ。

 

(力に力で対抗するな。太刀筋を一定にするな。変化を常に考慮するんだ)

 

膂力では上位に位置する相手たち『魔』を屠ってきた七夜の技を―――今だけはこの身に宿す。

 

あの夜に一緒に駆け抜けた眼前の姫の騎士の技を―――。

必死な思いで食らいつく刹那に対して、アルクェイドの無機質な殺傷が連続していく。

 

その激突だけで、もはや公園の全てが原型を留めなく成っていた。

 

 

 

「そこを退くんですね。それが最適解でしょう」

 

「断る。アイツ(刹那)の記憶の中で見たアルクェイド・ブリュンスタッドでなくとも、アイツの邪魔はさせない」

 

ちょうどよく刹那とアルクェイド(真祖の姫)を背中に庇う形で、シオンたちアトラス院の錬金術師と死徒たちと向き合う。

 

背後で聞こえる盛大なまでの爆音轟音に、内心のみ汗を掻きながらも達也は、その要求を蹴った。

 

 

「ならば、死ぬだけだ」

 

返事はエーテライトという糸による攻撃であった。

 

蜘蛛の巣よろしく放射状に放たれるそれで移動を制限したところに―――レーザーの射出。

レーザーの威力を減じる分解魔法を放ち、できるだけ無力化をしてから近接戦を演じる。

 

(アトラス院の錬金術師は、高速思考とあらゆる要素を計算することで、最適と統計を競わせる)

 

相手の行動が全て読まれているならば、その攻撃は『不発』に終わる。

 

言うなれば、ポーカーやカードゲームなどで相手の手札も山札も丸見えの状況。麻雀における鬼読み&口三味線とかいうレベルではない。

 

だが――――――。

 

「所詮は学者レベルでの空論だな」

 

「あなた方に追随できるだけの運動性能が無ければ、波間に漂う船でしかありませんからね」

 

達也の思考を読んだと思しきシオンの言。拳銃の発砲。そして、そこに放たれるレーザー。

 

二重の連撃。中々に考えたものだ。達也でなければどうなっていたか分からぬ。

拳銃を躱さずに表皮(いふく)で受け止めた上で、レーザーによる射角を見きった上での突撃。

 

接触を嫌って、後ろに飛ぶわけでもなく前への前進。体での戦いを選んだのは、サーヴァントインストールした刹那よりも組しやすいと睨んだからだろう。

 

それは正しいが―――。

 

(ナメ過ぎだろう)

 

シオンの体術と達也の体術とが組み合う。堅い鎧の前に拳をぶつけることは愚行だが、元来、鎧など可動箇所を得るためには隙間を作らなければならない。

 

鎧の性能を頼みに竜の魔力ごとのナックルをぶつけてくるシオンに、血を吐きながらも好機を狙う。

 

達也とて身体強化を掛け続けているのだが、それを容易く超えた運動性能と魔力だ。

 

だが―――。

 

(追いつけないわけじゃない。素のシオンの体術はそこまでじゃないな)

 

狙うは一つ。喉元を狙った手刀を突き刺すように放つ。

 

「それは予測済みだ―――タツヤ・シバ」

 

そうかよ。無言で思いながら、連発するレーザーを食らって出る血煙を纏いながら、達也は突貫して―――。

 

正面からサイドステップ。側面に躍り出られたことで眼を見開くシオンを見ながら―――再度、逆側に身体を反転させた。

 

そして切り裂くような蹴り上げがシオンの脇に炸裂。

そこからそれが連発。蹴り上げた勢いで空中で回転しながらの連蹴り(ダブルキック)

 

 

―――九重流忍術が一つ。『空走・水月』

 

 

脇を思いっきり蹴られたことで呼吸困難に陥る身体を自覚しながらも、シオンは、倒れた状態からよろめきつつ、立ち上がりながら迎撃姿勢を取ろうとした時には―――

 

何かの魔力光を両掌に閃かせながら、やってくる司波達也。レーザーブレスによる射撃。近づかせないように意図して―――

 

だが、そのシオンの攻撃を受けながらもバク宙の要領で突然―――シオンの前から消えて『背後』に回った。

 

とんでもない体術。だが、今の達也ならばできそうな気はしていたのだ。そして、シオンの背中。

そこにある鎧部分―――『葉っぱ』のような『紋章』が刻印されている場所に、直接接触型の『分解術』を打撃。

 

背骨にすら浸透する打だが、流石に幻想種の鎧。達也の手が血まみれになる。

 

掌の皮膚が裂け、血が飛び散るも構わずに二撃目も炸裂。

 

叩きつけた勢いでシオンが吹っ飛ぶ。そんな中でも意識があったのか、すぐさまエーテライトによる保護。地面に穿たれる幾本もの糸束が、空中での姿勢を取らせる。

 

しかし―――重苦しい鎧は全て破棄された。周囲に重々しい金属音を立てながら落ちていく鎧のパーツ。

 

そして、少し向こうでは逆手に持ったグラムで真祖の爪撃を受けている刹那の姿―――。

 

そのことに、自己回復をやっていた達也に寒気が走る。まさか―――。

 

(かかったなタツヤ・シバ、これが我が真祖の『確保径路』だ……アナタはこのシオン・エルトナム・ソカリスとの知恵比べに負けたのだ!!)

 

糸束はちょうど地面に固定され、スリングショットの要領で、シオンの身体を引っ張り射出準備。

 

気付いた時には他の連中と戦っていたラニシスターズが、シオンの後背を守るために攻撃の圧を強める。

 

達也より遅れて気付いた全員が、その壁を砕こうと動き出す。

 

「――――――」

 

「――――――!!!」

 

全員が声にならない声で叫びながら、その圧をなんとかせんとするが……。

 

 

「ソコを!!!」「お退きなさい!!!」

 

魔銀の大槍を持ったリーナと、聖鍛細剣(ホーリーレイピア)を持つ愛梨とが、『壁』に穴を穿った瞬間―――シオンは射出される。

 

自意識が無い真祖。それを支配するための礼装を手に錬金術師は飛んでいく。

 

そしてそれを認識して、刹那が叫んだ時。

 

「アルクェイドさん!!!」

 

「真祖アルクェイド!!」

 

 

意外な声が死徒の方から聞こえてきた。いや、刹那が観測した限りではそれは『当然』のはずだが―――。

 

それでも、その『懐かしき声』に真祖アルクェイドが反応した時。

 

シオン・ソカリスの方から人格に接続する(ジャックイン)ためのエーテライトが放たれた時。

 

達也がTPピクシーと共に邪魔をしようとした時。

 

 

―――その渦中に―――。

 

―――この世界にあっても不条理の化身たる金色のナマモノの『落下』が、終わった―――

 

 

落下地点は―――真祖アルクェイドの頭の上。

 

とてもではないが、一応はネコほどの重量が落ちてきたとは思えない落着をしたのだが……。

 

「うにゃにゃにゃ! 銀髪幽霊少女(宇宙人系統)に導かれるままにここにやってきたが、結果オーライ。発射オーライで投げてよこされるとか正直、あちしでもおどろいたにゃー。

というわけで――――――――」

 

ナマモノは――――。

 

「真祖フラッァアアアアアシュゥウウウ!!!」

 

むんずと頭を掴まれてもなお元気に、眼を輝かせて眼前に引き出してきたアルクェイド・ブリュンスタッドにビームを当てるのだった。

 

その効果は一目瞭然であった。

 

「―――うおっ、まぶしっ! ちょっ、いきなり何すんのよ!? このナマモノ!!」

 

「かつおぶしっ!!!」

 

どんな悲鳴だよ、という感想を抱きつつ、公園の路面に思いっきり叩きつけられたネコアルクという謎のナマモノに少し同情しつつも―――。

 

自意識を取り戻したらしき真祖アルクェイド・ブリュンスタッドは、目の前にいた人間を認識して―――。

 

ぱちぱちと幾度か『瞬き』をして、再認識を開始する―――。

 

 

「んん? ん――――――? ちょっと、いや『色々』と変わってるけど――――なんだ刹那じゃない。久しぶりー、『村』以来だけど元気してた?」

 

先ほどまでとんでもない殺し合いしていた相手に向ける言葉とは思えない、『かっるい』言葉で挨拶してくれやがるのだった。

 

「って、なんでいきなりズッコケるのよ? 何か私、変なこと言った?」

 

力が抜ける。本当に力が抜けるとしか言えないやり取りをする星の触覚に、頬をひくつかせながらも、応える。

 

「いいえ、何も……ご息災そうで何よりですよ姫君……」

 

ズッコケた刹那に目線を合わせるためか、しゃがみこむアルクェイド(小顔ポーズ)に振り絞るような声で応えつつ―――――どういうことだってばよ、と言いたい気分であったのだが…。

 

とりあえずミニスカートから見える黒タイツ越しの下着(白?)を記憶の底に沈めながら、刹那は立ち上がる。

 

立ち上がったことで、再びの状況に対する認識を改める―――アルクェイドは、周りを見渡してから呟く。

 

「それよりも、どういう状況なのかしら? まぁ『帰る』前に色々と『やっておくこと』が多そうだけど―――うん、そうね。こういう時に言っておくべきなのよ」

 

「あっ、もうイヤな予感がビンビンです。些事は我々、下々の者で何とかしておきますからお帰りを―――――――」

 

 

眼を瞑りながら、うんうん頷いて、何かを納得したような顔をするアルクェイド・ブリュンスタッドにイヤな予感を感じた刹那の肩を―――ぐわしっ!!!! と、叩きつけたネコアルク以上の力で掴んで、言ってくるのだった。

 

 

「―――私を()び出した責任、ちゃんととってもらうんだから♪ それにあなた一人じゃ多分、事態を解決できないわよ。大丈夫。遠慮なくおねーさんに任せなさい!」

 

その満面の笑みを浮かべて言われたならば、殆どの男は言うこと聞いちゃうんだろうなーと思いつつも―――

 

俺だけは絶対に言われるがままにはならんと、刹那は硬く誓うのだった。

 

例え『任せなさい!』と言った時、そのビッグなバストを手で叩いて盛大に揺れたとしても―――

 

イヤ、ホント、マジデ。ゴーホームプリーズ(汗)帰れるんならば、とっとと『城』に帰ってくださいと思うのだった……。

 

 

 

そうこうしている間に3名ほどの闖入者。

 

シャットアウトされている状況でどうやって入ってきたんだというものが、『舞台』に上がる―――。

 

カーテンコールまでは、まだ遠い……。

 

 

 

 

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