魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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カレン爆死!

それどころかガチャにおいて、去年のキャストリア以来、星5サーヴァントを手に入れていないことに唖然。愕然。

運営はどんだけ無課金者に渋いんだ。一応、今回はなけなしの金を出したというのに。
そう。このコロナ渦でのお金は貴重だと言うのに、以前の通りの課金なんて出来るわけないってのに。

というわけで新話、どうぞ。


第279話『月姫-FOUR』

 

 

「何とも肩透かしを食らってしまっているが、このまま何事もなくいくかな?」

 

敵であったものが敵対を止めて、更に言えば事態の落着が随分と安易になる。

 

それ自体は好ましいが―――ロマンとしては、苦笑せざるをえない状況推移だ。

 

「そうだといいけどね……刹那の場合、最後のツメが大事(おおごと)になるからなぁ―――霊子の急激な増大を確認。この反応は―――」

 

「オイオイ、まだ(・・)いたのかい!?」

 

一日前にも、とある吸血鬼の中に潜んでいたものを『消滅』させたばかりだが、想ったよりも生き汚い存在である。

 

「魔術王の執念。いや、産み出されたものとしての生存本能か……」

 

『管制室』、かつてのフィニス・カルデアの作戦室を模したドクターロマンの『工房』にて、此度の事態を全て見通していた2人の教師は―――。

 

「まぁ『コード』を出しておきたまえ。話したんだが、九島のご老人もアレには出会ったそうだからね。幾らでも協力してくれるはずさ。」

 

「ああ……分かっている」

 

言いながらも、現れつつあるものの『波形』が『若干』ながら以前に観測したものとは違うことに、イヤな予感を覚える。

 

それはダ・ヴィンチも同様であり、ロマンは胸中でのみ話しかける。

 

(ここが最後の踏ん張りどころだよ。刹那、リーナ―――みんな。戦って、勝って、そして―――)

 

未来(あした)を取り戻すんだ。

 

ある時には、何度もモニター前で、必死にスタッフたちに声を張り、指示を出しながら願ってきた言葉だ。

 

その言葉が届いても、どうにもならなければ―――。

 

(僕も出るしか無い。もう見ているだけの僕ではダメだと気付いているのだから)

 

 

そして夜の終わりとして最後の『魔神』が出てくるのだった―――。

 

 

「はぁ。つまり―――『月の聖杯戦争』とやらで、超者降臨! でマッパしそうな僧侶(?)から『超神降臨!』の扱いを受けていたが、神扱いに嫌気が差し、僧侶から逃れて、なんやかんやと『彷徨っている』内に、タタリの式から出てきた、と?」

 

何というか、志貴さんが、この人のことを『バカ女』と言ってしまう根源を見た気がする。

 

『とんでもないこと』を『なんでもないこと』のようにやって退けてしまう、このハイスペックさ。マジ勘弁願うわ。

 

「そうよー。まぁ魔力は要らないし、契約しているわけじゃない。アナタの『固有結界』に『引き寄せられて』呼ばれたようなものね」

 

「セツナの必殺技は、磁石(マグネット)のS極N極も同然!」

 

「引き寄せる砂鉄が、こんなんばかりとかご勘弁願うわ」

 

リーナの言葉に心底ゲンナリしてしまう。俺の人生はこんなんばかりかい。

 

「まぁ、その後にはバーサーカー状態で悪かったわね。私と縁ある『ネコ精霊』のおかげで正気には戻れたけど」

 

「うにゃにゃにゃ! 隣接して『説得』コマンドを発動させるには、時にHPをいくらか削らにゃいと。ただし乗っていた機体ごと自陣に加わった時には、50000はあったHPは、確実に半分以下に減っている。この絶望感!! 思春期を殺した少年かっ!」

 

いまいち意味不明な事を言うネコアルクなるパチモンネコ。ともあれ、アルクェイド・ブリュンスタッドは、世界の綻び、破れを修正するために現れた。

 

そして『シオン』、さつき、リーズの路地裏同盟とかいう連中は―――。

 

「■■◆◆■■との接触で、そうなった。というよりも、アクトレスアゲインとかいう装置と『彼女』が共鳴して、そうなってしまったのね……」

 

「―――なんて言ったんだ?」

 

アルクェイド・ブリュンスタッドの言葉。最初の言葉。恐らく『人物名』が呟かれたはずだが、刹那の耳には『ノイズ』でしか聞こえなかった。

 

何かの名前が告げられたはずだが、刹那には、なにも聞こえなかったのだ。

 

まるで、何かの呪いのごとく何も聞こえないのだ。

 

「―――まさか、セツナ。見えていないの!?」

 

「……ああ、今も霊視しているんだが、リーナが見たエリアには、濃い魔力の残滓ぐらいしか見えないんだ―――いや、正確に言えば…」

 

リーナだけでなく全員が見ている。見上げている箇所。ちょうど『人ひとり分』が収まるだろう。

 

そこには、地球上におけるあらゆる反応が無いかのように、『空白』なのだ。

 

だが、逆に言ってしまえば―――そこには『何か』があるということだ。

 

刹那だけ見えない。その事実に―――。

 

「ほ、本当に見えないんですか刹那くん!? あそこに■■◆◆■■さんがいるというのに!? 刹那くんの✕✕✕✕✕✕―――」

 

「ま、待て! 美月!……そんなに勢いよく近づかなくてもいい―――」

 

眼鏡を外して魔眼―――『淨眼』を輝かせながらも、その悲しそうな顔と眼に罪悪感が生じる。

 

ついでに言えば、遠くの方に配置された幹比古から圧倒的なプレッシャーを感じる。

 

ようするに嫉妬だ。だが、みんなが見えているものが、どうしてもわからないのだ。

 

「刹那、いきなり何だが―――本当に今更すぎるが」

 

美月の後は達也がやってきて、プリントアウトされた写真を見せてきたのだが……。

 

刹那の目には特筆すべきものが何も見えない。

 

「雫から送られてきた画像データだ。雫を好いている留学先の男子からの―――見えていない(・・・・・・)んだな?」

 

「ああ」

 

見せてきた写真の中に、空洞というよりも、とんでもない『ジャミジャミ』(砂嵐)が一点を埋め尽くしている。

 

刹那にだけ掛けられた『防護』(プロテクト)に、『シオン』は『まさか』と思う。

 

(『あの時』、私が迷い込んだフィニス・カルデアにて、『彼女』は私を視認出来る位置を測定した。あれは本当の私ではないが、シアリム・エルトナムの構成した『データ』に私が乗り移った形であった……しかし―――)

 

彼女以外に『シオン』の姿は見えなかったことを考えるに、そもあの『人格データ』に憑依出来たのも、今では『■■◆◆■■』との接触があったからこそだと理解できる。

 

(あの時とは『サカサマ』(逆さま)だ。多くの人間に視認出来る『彼女』―――いや、1人かあるいは数名が、何かしらのファクターで見えない。認識出来ない。もしくは―――)

 

『本人』か『誰か』が彼女を視認させていないのではないだろうか?

真祖アルクェイドならば、それを『可能』としているはずだが、彼女でも―――。

 

(お手上げのようですね)

 

気付いたシオンの視線に対して、掌を見せながら肩をすくめて『お手上げ』だというポーズをするアルクェイドに、真祖でもどうにもならないようだ。

 

恐らく『魔法使い』の学友であろう人物たちが、口々に言うがそれでも―――。

 

「ま、待ってくれ―――」

 

手での制止をしてから、しばしの沈黙。魔法使いは困ったように、頭痛を抑えるように、片手に頭を置いて、

 

「ほら! このヒトの名前は、■■◆◆■■―――」

 

「いや。今、なんと言ったんだ、美月」

 

見えないことに苦悩する男と、全員から詰め寄られるほどに、それが『大事なもの』であると理解していても―――。

 

今の響きは(・・・・・)俺にはよく聞き取れない(・・・・・・・・・・・)。本当にすまない―――」

 

―――酷く、何か、歪んだ声をあげた。

 

その言葉に、誰もが悲しい顔をした瞬間―――。

 

「話を変えて申し訳ないが―――あの人達はどうするんだ?」

 

「今の彼女たち『路地裏同盟』は、ある種の人形に憑依している状態。『起こってしまった』ことは変えられないけど、これ以上この世界に留まらせないわ。

それが私が呼び出された第一の原因だしね」

 

「―――そうですか」

 

十文字克人に答えるアルクェイドの物言いは、超然的であり、しかし、それでもアルクェイドは十文字の不満を見抜いた。

 

「納得いかないって顔ね。確かに何が何でも『懲罰』を加えたいって想いは、何となくだけど理解できるわ。ヒトの価値観として、それは正しい気持ちよ―――けれど……呼び出され、勝手に作られて、そのように『運用』することを是とされるのは―――アナタたちとしても、『納得いかない』でしょ?」

 

「………結局、多くの『思惑』が絡んだ結果か。いいでしょう。不満は『呑み込みます』。これ以上の騒動・吸血騒ぎを起こさないでくれるのならば、それだけで構いません……」

 

魔術師としての価値観で動いたものたち。

 

魔法師としての価値観で動いたものたち。

 

双方の思惑が絡み合い、ここまで動いてしまったのだ。

 

(錠前吸血鬼の言っていたことってのは、このことなんだろうな。USNAは『力』を欲した。同時に日本の魔法師たちも、『力』として利用しようとして、その思惑をも利用して、シオンたちはタタリを己が物にしようとした。だがそれは、全員にとって『失敗』に終わった―――)

 

考えてみるに随分と雑な計画だ。結局の所―――。

 

「他人の上前を撥ねる。そのことにだけ終止して、結局のところ全員がズタボロか」

 

刹那が皮肉げにそんな『結論』を出すと、大半が呻く結果に―――。

 

何かを手にする。何かに挑戦する。ということは結局、始まりにおいてはとにかく『我武者羅』さが必要なのだ。

 

とりあえず最初はそれでいい。けれど、その後は努力するだけじゃダメだと悟り、悪魔でも天使でも、とりあえず『とんでもないもの』と契約して『知識』を掠め取る。

 

あるいは誰かの門弟になる―――。

 

様々だが、ヒトの努力に無駄なものは無いだろう。出来ないことを知るのもまた知識の蓄えであり、もしかしたらばある時には、そこまで努力してきたことが役立つこともある。

 

「―――結果(result)だけを求めすぎなのよね?」

 

「だと思うよ。まぁ―――色々と、タタリの魔術式から『英霊』を呼び出してしまった俺の言えたことじゃないと思うけど」

 

リーナの言葉に苦笑交じりの嘆息をする。そうしてから―――。

 

「―――もしかして、『そこにいるヒト』が―――」

 

こうしたのだろうか? 何も見えない。写真や画像を見ても、どうしても刹那にだけ認識できない―――そのヒト。恐らく美月や達也の口ぶりから察するに―――。

 

(俺も知っている人物。同時に美月や達也も知っている人物―――)

 

アルトリア・ペンドラゴン、アルクェイド・ブリュンスタッド、多くの知らないわけではない人物が出てきた。

 

ならば―――それは―――。

 

空白を見つめながら、推理を進めようとした瞬間、リーナは無理やり刹那の顔を自分の方に向けさせた。

 

決して力強いものではないが、有無を言わせぬそのやりように、刹那は困惑する。

 

「リ、リーナ?」

 

「見えない。聞こえない。触れないとしても―――アナタのステディは、ワタシなの! ワタシ以外の女性に目を向けないで!!!」

 

「……それは、その通りだけど、どういう―――」

 

必死な想い。泣きそうな顔をしながらそんな事を言うリーナ。愛梨の時とは違いすぎる反応と、その悲しそうな顔に罪悪感を覚えていたのだが―――。

 

「痴話喧嘩はそこまでにしなさい。そろそろ出る(・・)わよ―――」

 

アルクェイド・ブリュンスタッドからの警告。

 

この上、何が出るというのか?

 

それでも変化はすぐさまであった。鳴動が身体を震わせる。

 

『―――ここまでのお膳立て・仕込みをしておきながら、それをあっさり崩されるとは、我が身はこの上ない怒りで震える』

 

振動が地面を伝ってこちらを揺らす。ただの自然現象ではない。強烈な『魔震』を伴うものであり、刹那の内部がかき乱される。

 

『だが、もはや『計画』などどうでもいい。

既に我が身は、《理》を手に入れた。

偶然、否―――必然だったとはいえ《獣》に寄生した『ゼパル』の愚を我は繰り返さない」

 

言葉は重々しさを伴って、ここいら一帯に響き渡る。

 

『―――この世界を起点に我が『解答』を証明する。ニンゲンよ。亜霊長よ。枝打ちの時は来たのだ。お前達の人理は―――ここに終焉(けつまつ)を迎える!!』

 

そして―――地面から突如起き上がる―――柱の数々。

 

東京の地面を砕きながら巨大な柱は林立する。

 

そこらの高層ビルにも負けぬほどの高さを伴うそれらは、何かの文字―――ヒエログリフだろうかが刻まれたそれは―――。

 

「「ヘルメス!?」」

 

あれがアトラス院に名高き、超級記録媒体『ヘルメス』なのか。

 

シオン2人の声に、そんな感想を内心でのみ漏らすと同時に、そのヘルメスという四角柱の外壁が崩れていく。

 

まるで蛹の脱皮か、ヤドカリの引っ越しのように四角柱の中身が現れる。

 

四角柱の中身は円錐とも言える巨大な化け物である。その姿を最近―――つい一日前にも見た。

 

そう―――。

 

「魔神柱……」

 

誰かが発した呟きに誰もが、そうだと確信した。

 

巨大な肉の柱。頭足類の触腕を思わせるものが、大地から生える……。

 

大中小で合計9柱―――しかし、夜空の星々を飲み込まんとも見える伸び上がった先端には『竜頭』『蛇頭』のようなものがあり、ロアが変化した魔神柱『ダンタリオン』とは少々、ビジュアルに変化は出ている。

 

 

だが、力は明らかなまでに高まっている。このマナが不足しがちな世界で、これだけの霊子濃度、巨大霊基を保持していけるとは―――。

 

 

『我が名は『歴史侵食 ハルファス』。ニンゲンよ。お前達の『未来』は全て違えたのだ』

 

厳然とした言葉と同時に、夜の東京に竜蛇の咆哮が響き渡る。

 

これが此度の騒動のラストバトルとなるのだと、誰もが予感し、そして―――世界は動く……。

 

 

 

 

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