魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
そしてガチャはオルタニキも時貞(CVワンサマー)も来ず、ガチャ爆死太郎状態です。
魔神柱。その姿を確認したのは今回が初めてではない。だが、それにしてもその姿はあまりにも『異様』であった。
(アカシャの蛇とか言われる死徒の
まるでワーム竜のように地中から長い体を這い出して、こちらを睥睨してくる姿。
竜頭、蛇頭を備えたその敵の直径だけでも、その辺の高層ビルの外周のサイズと遜色ないだろう。
更に言えば、その身体に張り巡らされた防御呪壁はとてつもなく分厚く、通常の魔術師や魔法師がダメージを通すには、中々に難儀するはずだ。
よって、全員の攻撃を通す上で最初に有効な対応策は―――。
「セングレンの四肢、マグニの身体、『セタンタの武芸』―――
―――自分の躰を用いての肉弾戦である。
呪文と同時に全身に走るルーン文字の循環。最大強化された肉体は大地を一歩ごとに砕きながら砲弾の勢いで魔神柱に向かっていく。
そして―――――――。
「歯を! 食い縛れ!!!!」
遠坂刹那が、やったことは―――魔神柱の肉体が『たわむ』ほどのマッハパンチでパワーパンチであった。
人間の肉体で言えば脇腹に突き刺さるボディブローの一撃が、防御呪壁をすり抜けて魔神柱に痛みを覚えさせる。
のたうちまわりたいのに出来ない直立体の魔神柱の明朗な悲鳴が、空気を震わせてこちらに伝わる
「あれは、痛いんだよな。悶絶モノだよ」
入学初期に戦った際に食らったものを思い出して、達也は苦笑する。如何に自身が回復可能とはいえ、何度も食らっていて面白いものではない。
マイク・タイソン。トーマス・ハーンズ。それに類するほどの威力を感じる。
食らったことはないから達也の想像でしかないのだが、ともあれ―――いきなり『ステゴロ』で挑まれるという驚愕の事態に、ハルファスも面食らったようだ。
その動揺に―――。
「パンツァー!!!!!」
「ふん!!!!」
『き、貴様ら!!!』
「魔神柱って割には皮膚に出ている魔眼がないんだよな。だったら懐に入って打つべし打つべし、だ!!!」
言うが早く、刹那はワンツーではない無呼吸での連続パンチをお見舞いする。
至近距離どころかゼロ距離での連続パンチ。
頭を押し付けながらワンワンワンワン!! という言葉と同時にリズミカルに恐るべき回転で、魔神の身体を叩いていく。
さすがにたまらず首を振り回そうとしたが、懐に入られた時点で、そんなものは足元に集る『サソリ』の前には意味がない。
―――これが狙いか!―――。
防御壁をすり抜けて直接的な魔力を通す以外の意味を、達也は見出した。
竜殺しの極意というわけではないが、それでも、その弱所を場数か本能か、とにかくこういう戦闘では、『理屈』ではない刹那のヤマカンが当たってくれる。
首を振り回すハルファスに対して―――。
「フルファイア!!!」
号令一つ。離れたところからラニとシオン達が放つレーザーブレスが、ハルファスの身体にヒットしていく。
流石にその強靭な外皮を貫通してまではいかずとも、ダメージはあるようだ。
分厚い防御呪文が刹那のボクシングパンチで崩れているならば、あとは生物的な強度だけが問題だ。
「OPEN FIRE!!!」
単体火力でしかないが、それの後を追うようにリーナから『ごん太』なレーザービームが飛んでいく。
ビリビリと鼓膜が震えるほどの電圧が周囲に響き渡り、ハルファスに直撃。
これは流石に痛かったのか、龍鱗のような外皮を貫き
焼きながらの貫通だったからか血は流れなかったが、それでも異臭が、離れたこちらの鼻孔を刺激する。
「
そこを狙って刹那は、宝具級の武器を撃ち出す。真下から角度を着けて放たれた武器が、連続して突き刺さる幻想武器が、魔神柱にダメージを与える。
『この―――調子に乗るな!!!』
「真上に大きく飛べ!!」
苦痛からの怨嗟の言葉を聞いた刹那の端的な指示。振り返りながら、こちらにも言われたことで、何であるかは理解した。
魔神柱の反撃。垂れていた首を垂直に夜空に延ばした魔神柱が咆哮を上げる。
次の瞬間には咆哮が呪文で術だったのか、魔神柱を中心にして、周囲に広がる黒炎のオーラ。少なくとも平均的な日本人の身長はたやすく飲み込み、灼き尽くすものが、寄せて返す大波のように襲いかかった。
刹那の指示を受けたことで全員が無事を拾ったが、それにしても―――。
「いいえ、未来予知していたわけではありません。恐らく予兆を読み取っただけでしょう」
「それでも攻撃の種別を判明させるとは」
飛んだ位置の関係で近かったシオンの言葉に、未来すら読む見聞色の覇気かと思うが、そういった能力というのはある程度、現実世界でも鍛え方次第では『人間に備わっている能力』だと実証されている。
ともあれ、魔神柱の攻撃をやり過ごしたあとには、地面に勢いよく身を沈めていくのだが―――。
「逃がすかぁ!!」
『ガンドが痛すぎる!!』
そんなハルファスを潔く見送るほど、刹那は甘くない。地中(?)に潜ろうとするその身に対して呪いの弾丸が連射される。
軽機関銃の勢いで放たれるガンドはハルファスを痛めつけているようだ。
しかし、それでも土煙を上げながら逃げた魔神柱。
だが、その巨体が入っていった割には、地面に『巨大な穴』は無い。
『恐らく、虚数空間に逃れたんだ。もしかしたらば、『移動』すら行っているかもしれない―――となれば、出現位置はどこになるか分からないぞ』
観測役で探知役であるドクターロマンからの言葉で答は簡単に出たが、対処はかなり難しいものだ。
「極力固まるな。集団のど真ん中に下から出てきたら大損害だ」
「それでも連携が必要なものたちは、注意して探知役からの受信を密にしろ」
虚数空間からどこかに出てくる魔神柱。それは、こちらにとって奇襲であり恐ろしいものだが―――。
『創造・偽造・建造せし魔神柱たち。我が身の分体よ。奴らを攻撃せよ』
「地上に残った八本の柱の方も捨て置け無いか」
どこからか―――虚数空間から響いた言葉を受けて、他の魔神柱が動き出す。
既に迎撃行動を取ろうとする
「攻守交代!! 次は私達がいくわよ!!!」
「剛毅な限りだが、一人で突っ走るなよ!」
「セルナ! 私の活躍、とくと御覧じろですわ!!」
「ますたーがあそこまでやった以上、次は私達の番です!!」
「
三人を置き去りにして、勝手に言いながら五人の女が駆け抜ける。
エリカ、レッド、愛梨、お虎、剣トリア。
血気盛んな五人が駆け抜けてきたことに、魔神柱も応じる。
『ハルファス様によりカタチを与えられた我々は、偽性とはいえ魔神柱。侮られては困るな』
ハルファスよりも一回り小さい魔神柱が、エリカたち『ガーディアン・エンジェルス』(命名 達也)の前に立ちふさがる。
外皮には魔眼が幾つも煌めく。ハルファスよりも攻撃に特化した蛇のような頭を持つ柱は、当たり前のごとく火力を一斉に吐き出す。
魔眼から光線を、蛇頭は4つに割れて、口中の奥から魔力球をシャボン玉のような勢いで打ち出してくる。どれもこれも人体を消滅させる勢いどころか大地を削り飛ばすものだが―――。
エリカとお虎は、その攻撃の着弾よりも早く動き―――。
レッドと愛梨は、猛烈な魔力放出で着弾の軌道を変更して―――。
「「「「魔神! 覚悟!!!」」」」
2つの方法で剣の間合いに無理やり踏み込んだのだ。
踏み込まれた魔神こそたまったものではないが、すぐさま迎撃を開始―――する前に、剣士たちの『伐採作業』が始まる。
示し合わせたわけではないのだろうが、
『―――――不可解、不可能、不愉快。感知出来ない疾さに非ず、されど、こちらの攻撃手段が次々と潰滅していく――――魔眼破壊54、58―――』
各々で込められる全魔力と膂力を込めた攻撃が、魔神柱の身体を穿っていく。
当然、魔神柱ケドウィンも抵抗するように身から
「高まる闘気、魔力、瞬足の捌き。それらがある種の『場』を生み出している。あそこに近寄るものは、たやすく切り刻まれるだろうな」
「黒騎士ヴラドと遠野志貴との戦いでも見たな……」
説明をしてきた刹那の記憶越しではあるが、そんなことを思い出す。
そして、そんな状況にたまらなくなったのか、魔神たちの統合司令から『命令』が与えられて、こちらにも伝わってくる。
『魔神柱ケドウィンを援護せよ。クラアサ、トゥーサ、起動せよ。機動せよ。掩護せよ。援護せよ』
己は地下に潜りながらの口頭命令とか、どんだけズボラなんだ。と、想いながらも、ケドウィンとかいう中型魔神柱の付近に移動してくる小型魔神柱2柱。
今更ながら
「虚数空間だから、こちらの状況が分からないのか?」
そうは言うが、残された魔神柱どもは、付かず離れずな距離。
迎撃は絶えず行われているのだ。当然、外れる攻撃もある。
魔神柱に残されたある程度の自律行動なのだろうが、それにしても―――。
「かも―――なっ!!」
―――実に
瞬間、ケドウィン+2に対する『必殺攻撃』への魔力供給をした刹那。
5騎の御遣いが走ったはずなのに、攻撃していたのは4騎。
つまり―――――――。
「1騎はとどめ役ってことだ」
少し離れたところで息を潜めていた、剣トリアの持つ反転した聖剣が暗い輝きを放つ。
十二分な魔力を溜め込んだ聖剣を構えて、抜き払うタイミングを見計らっていた―――そして動き出す。
「時の流れ、屍の山に沈め魔神柱!
黄昏よりも昏き赤を混ぜながら暗黒の極光が、一人の女の剣から奔る。
その時には、4人は魔神柱から離れていたが、かなり際どいタイミングだった。
両手持ちの大剣を振り上げて放たれたそれは、偽性の魔神柱3つの身体を覆い尽くす攻撃範囲とその身体を灼き尽くす熱量を持っていた。
―――ぎおおおおおおおおおおおおっ!
当たり前だが、魔神柱も防御せんと様々な防御手段を講じる。
エクスカリバーで焼き尽くされながらもあげる人ならざる絶叫は、それ自体が何かの呪文なのだろう。
だがそうであっても無常なるかな。
反転した聖剣の攻撃力に普段と損することはなく、極光の走り抜けたあとに残っていた3柱の魔神柱の身体が八割も失われると―――残ったものは、身体を維持できずに魔力と霊子と―――真っ白い雪のような灰に還り公園に散りゆくのみ。
その時、達也の目には魔神柱の身体から―――人間の肉体……有り体に言えば『幽霊』のような存在が、3体ほど出てきた。
その中でも金髪の優男―――白いスーツを着込んだ青目の少年とも青年とも、どちらとも言える存在が一番、達也の眼を惹いた。
(刹那を睨んでいるのか?)
どういう繋がりなのかは分からないが、それを認識した後に、刹那を見ると、優男のことなど気にならないかのように、アルトリア・ペンドラゴンの方を見て―――少しだけ驚いた顔をして、それに気づいたアルトリアは、自嘲するような笑みを浮かべて、刹那から顔を反らした。
愁嘆場(?)でも見た気分になった達也だったが、それでも戦いは続き―――。
『―――回復したぞ』
刹那の真下に出現するハルファスの宣言。盛大な土煙、土埃を上げながら再出現したハルファスの奇襲は―――。
「ご主人さまを食わせるか―――!!!」
―――アルトリア・オルタズというサーヴァント達によって、無為に帰すのだった。
メイドオルタが、刹那を保護して両顎による
その後には、返す刀で『モップ』による打撃。
それに追撃するように、剣トリア、ラントリアによる攻撃が現れたハルファスにダメージを与えていくのだ。
『人間で言えば足元に集るヒアリのように、入り込まれると弱いことはもはや理解した。ならば―――――!!!』
その言葉のあとには―――。
アルトリア・オルタズの攻撃を受ける存在が現れる。
影のような黒いガス状のヒトガタが幾つも現れる。
『雲霞のごとき
ここに来て『物量作戦』『人海戦術』に至ったハルファスの思考。
シャドウサーヴァントの群れが、魔神柱を護衛するように出現していく。
一体一騎は、大した霊基を有していない。宝具の使用も不可能だが、それでも再現される『武芸』と、尋常の術では打倒しきれない『魔力』があるので油断はならない。(by 遠坂刹那)
如何に輪郭だけの雑魚のような存在だが、ここまで群れられると溜まったものではない。
『ベアーノーブル。リバーノーブル。集結せよ。合流せよ。衆合せよ。我らが力を見せつける時である』
呼びかけると同時に、ハルファスは竜頭の口から再び強烈な火炎放射を浴びせてくる。
火炎放射の熱量は、術でシールドしていても熱気を伝えてくる。しかも首を回しながら広範囲に火を吹かせているのだ。
自然と発散し切れぬ汗が、不快指数をあげて術の発動に難となる。
直接的な吹きかけでなくても、場に溜まりこむ高熱。かつてはヒートアイランドと呼ばれた東京都を感じさせる。
冬場でこの熱気―――下手したらば、如何に頑丈な機器であり様々な耐久テストもこなしているとはいえ、高すぎる寒暖の差から精密機器であるCADにすら不調をもたらすかもしれない。
「深雪」
ならば、そうなる前に、少しでも熱気を抑え込む必要があるということで、妹に短く呼びかけた。
「はい。お兄様!!」
言われずとも準備していたのか、延焼する火炎を抑え込まんと深雪の干渉が入る。
「――――」
術式の深度とでも言えばいいのか、それとも領域の違いなのか、中々に難儀する魔力の火炎のようで、汗を掻く様子に達也も前へと出る。火吹きをする魔竜に対して何が出来るかは分からないが―――。
「香澄ちゃん!! 深雪お姉さまを援護するよ!!」
「分かった」
JCの双子(片方だけやる気満々)が、深雪と同じく困難極まる消火作業に従事しているのだ。
何もせずにはいられない。
眼筋に魔力を込めて魔眼を輝かせる。あの時、自分の『本来人格』にレクチャーを受けた限りでは半端なものだが、それでも―――。
蒼く輝く魔眼が導き出した滅びの線が、シャドウサーヴァントたちに見える。
その一方で、『魔神柱』には何も見えない。
それを認識しながらも、達也は小刀一つと銃型CADを手にシャドウサーヴァントの群れの中に飛び込むのだった。
・
・
・
・
―――マスターとの別れの時は近い―――
約束された勝利の剣を放った後に感じたアルトリアオルタの不調を前に、放たれた念話を前に何を言えばいいのか分からない。
サーヴァントとの『絆』が深まっていなかった。そうとしか言えない。けれど―――。
それはダメだ。
そう思えるものが、何故かあったのだ。
違う姿とはいえ、親父の元カノであるなのだから。それでも……自分のサーヴァントなのだ。
分かり合い傍にいる努力を欠いていたと言えば、その通りだ。
「セツナ! アルトリア殿たちに、いつまでも、おんぶに抱っこされてるなよ!!」
そんな刹那の内心に気づいたわけではないだろうが、元気いっぱいに魔力放出で駆け抜けていくモードレッドの姿と言葉に気付けを果たす。
「あ、ああ悪いレッド。―――アルトリア、少し下がっていてくれ。あなた達を失うのは今は
得策じゃない」
「私の剣を
膨れた面でこちらを見てくるアルトリア(剣)。つまりは―――どんな結果であろうと受け入れるから戦わせろ。そういう事だ。
(頑固な女性だ)
だからこそ救国の英雄として選定の剣を抜いたのだ―――。そして、その在り方を最後には受け入れた親父の心が分かる。
「最大限にバックアップしてやるアルトリア・オルタズ―――!! 令呪を以て命ずる!! 騎士王アーサーよ!! 必ず魔神柱を打ち倒せ!!
―――重ねて命ずる!! 絶対に生き残り、再び俺の作る料理を食べてくれアルトリア・ペンドラゴン!!」
呪文ですら無い願いによって、2画の令呪が刹那の腕から消え去る。
明朗ではなく具体性に欠いた命令は、令呪の無駄遣いにしかならないかもしれない。
だが、それでも変化は一目瞭然であった。
「ご主人様のおねがい……」
「我らが心内に幾度も返すように響いた……」
「シロウとは違うが、感じるものはあったぞ。セツナ……」
衣装や武器に変化を果たしていくオルタたち。それと同時に霊基を最大限に引き上げて、聖杯戦争ルールで言えば、全ての
そして得物を構え直した後には、先行していたモードレッドに追いついて、振るう剣と槍が冴え渡る―――。
そして響く声は――――。
「「「服を脱げ!!! モードレッドォオオオ!!! 我ら円卓の騎士が力を発揮するには、鎧などいらないのだ!!! 着込むな―――!!!」」」
「ど、どういう意味ですか!? アーサー王―――!?」
困惑するモードレッドを尻目に、露出度・強となったアルトリア達の突撃が始まる―――。