魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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全く関係ない話だが、ようやく我がカルデアにも通常のジャンヌダルクちゃんを呼ぶことが出来ました。

今まで個人的な印象だが渋かったガチャが、緩くなったような気がする。まぁ今回だけかもしれませんが。

やはり『外側のウマ』と『内側にいるウマ』とで、DWもアレになっていると思われる。

革命が失敗に終わった以上、次はどんな一手を放つのか―――とりあえずNotes.及びTYPE-MOONの方に迷惑を掛けないでほしいというのが、正直な気持ちである。



第285話『色彩-Ⅴ』

 

「アーサー王、アルトリア陛下!」

 

刹那とのパスが回復したとはいえ、不調の真っ只中にいる三騎のオルタズを心配するのは、英国の騎士。

 

大変であるとして、三騎を引き連れて戻ろうとする前に引き止められた。

 

「ダメだ。モードレッド! いま、我らが後ろに下がれば、魔獣嚇に回復の暇を与えてしまう。他の誰かが後ろに戻ろうと常に前に出て、圧を掛けるべきなのが、我らの役目だ!」

 

「け、けれど……!」

 

はっきりとした視線。意志の強い瞳を向けられて、英霊モードレッドの触媒として生きてきた少女は戸惑う。

 

憧れてきた黒い聖母。故郷で崇拝されていても、この時代に至ったことで『再臨』を半ば諦めつつある本物のアーサー王。彼女ら曰く、反転した姿だとしても、それをアーサー王だとモードレッドは認識出来ていたのだから。

 

『お嬢。曲がりなりにも、故郷が崇拝してきた王様の言葉だ。従った方がいいぜ―――親が死を間近にしてでも言おうとする小言(ことば)は、聞いとくもんだ』

 

「カイゴウ……」

 

傍に控える獅子型の鎧が、低く戒めるように言ってきたのだ。そしてその中でも、聞き捨てならない言葉が出てきたことで、はっ、とする。

 

『死を間近に』。それはどういう意味だと言う前に、霊子変換が始まる三人のアーサー王の姿に、理解をする。

 

「タタリを呼び寄せた理由とは、そういうことだったのだな。この世界に生まれた『災害』とは、この世界に生きるものたちの手で決着を着けさせなければならない」

 

「しかし、それではチカラが足りない。あらゆる意味で、世界に存在する『輝き』を研磨するには、外部(そとがわ)から呼び寄せるしかなかった」

 

「今まで、チカラを着けさせてきたマスターの手並みだけではどうにもならないことを、何とかするためにも、多くの人間たちは、『この時』を作り上げたのだな」

 

滔々と何かを述懐するようなアルトリア・ペンドラゴンたちの一言一言を、モードレッドは聞き逃さなかった。

 

つまり、この状況全てが―――何者かの思惑通りであり、ここでのアルトリアの消滅すらも、そうなのだと言うことに怒りが出てしまう。

 

刹那は、父親の過去に思うところがあれども、アルトリアを保護したというのに―――。

 

(こんな終わりだなんてヒドすぎるじゃねぇか……)

 

陽炎のように消え去りつつありながらも、霊基から放出される霊子を『武器』に込めているアルトリア達を悲しげに見る。

 

その行為に対する理解が無いわけではない。だからこそ――――――。

 

「いらない! それは―――アタシには過ぎたものだ! ブリテンの王たるアナタが持つべきものだ!! 私なんかが持ったって意味はないんですよ! アーサー王!」

 

ほとんど泣きながら語る言葉に、首を横にふるアーサー王たち。

 

「―――それは違う。今、世界の人理は、この上なく『変質』している。シオンの言うことは、一面においては正しいのだ」

 

「セツナ曰く、お前は聖剣を求めて、ここまでやってきたのだろう。ならば背負え『モードレッド』。お前が、ブリテンに『打ち付けねば』ならないのだ」

 

「私の場合は槍なのだが、それでも私のチカラも使ってくれ。本来のロンゴミニアドほど強力ではないが、嬉しいかな……」

 

アルトリア・オルタが、敢然と言い放ち事実を告げ、メイドオルタが、モードレッドに対して使命を意識させる。

 

最期のラントリアは、苦笑とはにかむような笑みを混ぜながら、遠慮するように言ってきた。

 

そして消滅は加速していく……。

 

「ありがとうセツナ。私達(アルトリア)を確かな形でこの世界に残してくれて」

 

「ご主人さまの作った料理は美味しかった。私達(アルトリア)が、愛した男の味に似ていて、すごく穏やかな気分になれたよ」

 

「それでも、マスターセツナ……お別れの時が来たようです。―――御武運を……!!」

 

『―――さらばだ』

 

苦しげになりつつあるアルトリア・オルタ達が声を掛けたのは、マスターたる遠坂刹那。そしてその声―――離れたところにいる聞かれないはずの念話が、モードレッドにも届いたのだ。

 

厳しくあろう。何かの情を見せないようにと努めようとする声に、モードレッドは少しだけ怒りを見せるも……。

 

『かつてアーサー王伝説を求めて、その英雄譚に己をなぞらえて、その一生を冒険譚に捧げた『中世のアーサー王』がいた。お前もその伝説に焦がれたのならば、かの英雄と同じくなってみせろよ―――神話と歴史の境界を彷徨う王。リチャード一世の姿のごとく―――俺の親父の想い人にして、俺のサーヴァントの力と想いを……頼むよ。モードレッド・ブラックモア』

 

その言葉に何も言えなくなってしまう。

 

受け止めるべきは、もしかしたらば刹那の役目でもあるかもしれないからだ。

 

そのことを認識していても、それをするには『容量』が足りないのだろう。

 

―――だから。

 

「いいぜ! アタシが受け止めてみせる!! 故郷をピクトやサクソン! そして数多の怪異、魔竜ヴォーティガーンからも守ってみせた伝説の王―――!」

 

その全てを自分が受け止めてみせる。素肌をあちこち見せるこの衣装だからこそ、至れた境地なのかもしれない。

 

赤色のチューブトップブラごと胸を叩いて、『来いや!』と言ってみせたモードレッドの前に立つのは、霊基統合したアーサー王。

 

黒でも紫でもない―――刹那の記憶で見た『正統』のアルトリア・ペンドラゴン。蒼銀の鎧に身を包んだ、自分の顔や髪色と瓜二つの存在に、遠くで観測している刹那ともども息を呑んだ。

 

 

『―――』

 

何かを言っている。だが、その言葉はモードレッドには届かない。もどかしさを覚えながらも、光の螺旋を巻く槍(ロンゴミニアド)を手にしたアーサー王は、数言言葉を吐いたあとにはモードレッドに向かってくる。

 

伝説によれば、その槍はカムランの丘で、アーサーの不義の子にして円卓の騎士モードレッドを殺したと伝わる。

 

その通りになるか。それとも……。

 

鎧をがしゃがしゃと音を立てながらやってくるアーサーは、その槍を振りかぶっている。待ち構えつつも少しの恐怖もある。

 

焦がれたアーサー王の姿。それがもたらす物は……。

 

(ぶっつけ本番でもダイヤモンドは砕けない!! アタシをなめんなよアルトリア・ペンドラゴン!!)

 

意思を込めて永遠の王を見つめ返す。

 

そしてロンゴミニアド―――黄金の螺旋が、モードレッドを貫いたあとには、変化は劇的となる。

 

全てがこのときの為だったと言われれば納得してしまうぐらいに、その身に霊基が自然と定着する。

 

そして、その姿は――――――。

 

(まるで変化していない………)

 

見た目(外身)だけならば、何一つ変わってはいない。しかし、どういう変化を遂げたかを刹那は良く分かっていた。

 

そして、その手に持つ『剣』に変化が現れたことを―――。

 

西暦2100年を数えようとするこの年に、様々な縁を頼りに、永遠の王は決戦の地に舞い降りた。

 

 

「―――聞け! この時代(とき)、この人理(ほし)、この領域(だいち)に舞い降りし一騎当千、万夫不倒の『英霊縁者』たちよ!!」

 

刹那の手を取りながら朗々と詠うように、されど叫び叩きつけるかのように、レティシアは旗を掲げながら、世界全てに届かせんばかりに、言葉を歌い上げる。

 

「―――本来ならば表れぬ力、本来交わらぬ線上(・・)にあれども、いまは全ての力を集結させよ!!」

 

言葉は力を与えていく。その言葉が言霊のようになりて、真祖が作りし閉じられた結界に、『資格』を持ち、『意思』を掲げ、『決意』をしたものたちが現れる。

 

「―――人理焼却を防ぐためだけではなく、各々の御心と魔宝使いが繋げてきた縁が紡ぐ糸を頼りに……」

 

刹那の右手を介して、『召喚式』が続々と発生していく。

レティシアに預けた『基盤』と唱えられる呪文が、それを為していく。

 

それは正しく現代に打ち付けられる英雄譚の再現である。

 

「我が真名はジャンヌ・ダルク! 主の御名のもと、貴公らの盾となろう!!」

 

瞬間、ソラから表れた九つの流星たちは、その手に持っている『光槍』を上空から下にいた巨大魔竜に対して放った。

 

光の軌跡を夜空に残しながら放たれたものは、魔竜を穿ち貫いていく。

 

大神宣言(グングニル)!? 贋作ではあるが、中々に利くものを!!』

 

『『『『マヤ先生を離せ―――!!!』』』』

 

「ココアたちがキタの!?」

 

「予想通りではあったがな」

 

リーナの言葉に思うところ、現在、四葉家の関係者は都内に集結している。その中でも一番の縁者は彼女らだったのだろう。

 

偽・大神宣言をその身に九つ突き刺された魔竜だが、それでも飛行する能力も損なわれていない。圧で沈んだ体もすぐさま持ち直したほどだ。

 

「キッドー!!! アナタの呼びかけに応えたよ―――!!!」

 

「四亜!」

 

虚空に浮かびながら手を大きく振って、こちらに呼びかける少女。知り合いの女の子が、戦乙女の衣装で刹那に声を掛けてきた。

 

それを煩わしく思ったのか、魔竜が『飛び道具』でわたつみ達を狙っていく。

 

竜の真上に放たれる対空砲火が、わたつみ達に襲いかかる。

 

「―――シア「ダメです! セツナ、いまアナタがすべきことは、『呼びかける』ことです!!」―――っ」

 

援護、何かしらの手助けをしようとする前に、右手を強く握るレティシアが、それを否としてくる。

 

呼び続け、叫び続ける人の声を此処に導く。それだけなのだ。だとしても、それだけに拘泥は出来ない―――。

 

『だいじょーぶい♪ キッド―――刹那お兄さんが私たちを頼ってきた時のために』

 

『わたしたちは修行をしてきたです』

 

『だから安心して見ていてください。魔宝使いさん』

 

vサインをしながらのシアの言葉に続いてココアが言い、続くミアがそれを締めとして、魔竜の飛ばす魔力弾や鱗弾を躱し、撃ち落としながら術を放ち、槍を落としていくワルキューレシスターズ。

 

『落ちろカトンボめが!!』

 

魔竜は対空砲火の効果のなさに苛立ったのか、天候魔術を投射。

 

魔術で召喚されたのか、夜空の中にあって更に黒い雷雲を呼び寄せたようだ。地上から放たれる魔力弾よりも天空から飛来する魔雷は、わたつみ達を難儀させる。

 

辺り一帯を稲光が照らして、盛大な轟音が鳴り響く。

 

更にその魔雷は、魔竜には意味がないのか構わずに、その巨体を魚のように左右に振れながら、わたつみ達に体当たりを仕掛ける。

 

「ココア!!」

 

如何に魔竜に比べれば小さい標的たる人間、しかも女子中学生程度のわたつみ達だが、その攻撃範囲の広さが、彼女たちを追い詰めていく。

尾を躱せば、(あぎと)が迫り、それを躱したところで魔雷が迫る。

 

「―――――ッ!!」

「ッ!!!」

 

思わず飛び出そうになった刹那をいかせないと、力強く手を握りしめてきたレティシアを睨むも、レティシアも顔を厳しくして首を横に振ってくるのだ。

 

分かっちゃいる。あの魔獣嚇を倒すためには、ただ英霊の力を召喚するだけではダメなのだ。

 

―――この世界に根付いた英霊の力、及びそれに類する力を持つ存在を呼べるだけ喚ぶ―――。

 

(力押しでは倒せない存在、けれど……!)

 

「―――レティと喚ぶことに専念してくださいセルナ!! 私が時間を稼ぎます!!」

 

「ワタシのダーリンの手を握りしめていることは、イマは置いておくわよ!!」

 

刹那の逡巡を理解したのか、愛梨とリーナが勢いよく言ってきて、翼を背中に生やして斬魔飛翔の準備をする―――。

 

「感謝します! ふたりとも―――ですが、またもや勇者(イデアル)がやってきたようです!!」

 

「「「え?」」」

 

―――が、その言葉で飛翔が止まり、同時に魔獣嚇の雷雲を打ち払い切り裂く『黄金の雷』が、クモの巣状に広がった。

 

『ぬうう! 制御された雷霆術……これは! 宝貝(パオペエ)か!?』

 

「善善哉哉!! こんな乱痴気騒ぎにワタシが入らないわけがないよ!!」

 

「一色! お前、いつまで東京に居るんだよ……って、まだバレンタインから一日しか経っていないんだよな……」

 

「もう半年以上も会っていない気分なのはどうしてなんだろうねぇ……」

 

金銀の鎧を纏うリーレイの放った雷公鞭だと気づけたあとには、一条と吉祥寺が―――――。

 

『イヌヌワン!』

 

などと特徴的な鳴き声を上げる目付きが鋭い白犬と共にやってきた。

 

そんな3人(+1匹)に対して掛ける言葉は―――。

 

「あ、ちーっス。お元気ぃ?」

 

「「カっルいな お前(刹那)!!」」

 

愛梨と同じく何ヶ月ぶりかの登場を果たしてくれた連中に掛ける言葉は、それであった。

 

既知の人間がやってきたことで動きは加速する。

 

「大丈夫よマサキ、アナタの大学時代の取り巻き(ガールズオンリー)は、ノシ(熨斗)つけて帰してあげるから♪ GO HOME KANAZAWA」

 

「アンジェリーナ! 意味不明なことを満面の笑顔で言うんじゃないですよ!!!」

 

そんな少女2人の言い争いを横に、結界の中に多くの人間たちが、やって来るのを感じる。

 

次いでやってきたのは、銃という武器が戦場の主役となった時代でも、手には一刀、倒すは悪鬼。そんな心構えを旨にした、古めかしい武士(もののふ)であろうという人間たちであった。

 

「―――どうやら戦いには間に合ったみたいだな。―――日本国国防軍剣士隊、到着!」

 

「次兄!?」

 

「刹那くん遅くなってごめん! 愛梨ちゃん! 怪我はない!?」

 

「お姉様!?」

 

千葉修次と一色華蘭を先陣であり大将とする集団……影のように足音を立てずに近寄ってきた剣士たちが、戦場に集結してきたのだった。

 

次いで――――強烈な力が召喚される。

 

「遅かったわね」

 

ガイア(真祖)の作り出した結界を通る資格を得るのに難儀したからね」

 

「だが遅れた分は、働かせてもらうさ」

 

『ミニ魔術師』とでもいうべき鳥を使って魔獣嚇を牽制していたリズが声を掛けたのは、関西方面で絶賛テロルをやっている集団。

 

古式魔法師の極まった戦闘集団『神代秘術連盟』(タカマガハラ)―――その戦力がサーヴァント含めて剣士隊よりも圧を増して集結していく。

 

 

『小賢しい! サーヴァントの集団を召喚するならば、いざ知らず、そのような雑兵崩れを集めたところでなぁ!!!』

 

こちらの狙いを読んだ魔獣嚇ハルファスの大音声が、空からこちらに響く。

 

同時にそれが呪文であったのか、カマイタチの刃が大地に向けて放たれる。

 

それも大量にである。視覚情報だけならば、三日月状の気圧の刃が耳鳴りを覚えさせながら飛んでくる。

 

しかし―――。

 

「一刀如意―――」

 

命の危険の狭間にて聞こえた言葉、同時に何処(いずこ)より振るわれる飛ぶ斬撃が、カマイタチの刃を全て迎撃した。

 

「―――へぇ。あの時よりも強くなったわね。今度やりあえば、どうなるか分からないわね」

 

その魔力と攻撃―――共鳴を利用した振動衝撃波を覚えていたらしきリズの感心するような言葉が、再び聞こえてきた。

 

「あんたとの戦いは縺れた結果だったのか……」

 

「余裕で勝てるような戦いではなかったつもりだけど」

 

土埃を避けるためなのか、あの時は解いていた三編みで口と鼻を保護していた。

器用な真似をすると想いつつも、次いでやってきたのは―――。

 

「魔法科大学付属第一高校愚連隊 見参!! 真由美! 十文字! 受験も間近だってのに、こんな乱痴気騒ぎをやっていていいのかよ!?」

 

「摩利!?」

 

友人の快活な言葉が聞こえてきたことに驚く真由美だが、それ以上に一高の在校生たち―――選抜したとしても50名以上を引き連れてきたことに驚く。

 

先程のカマイタチを迎撃した壬生紗耶香など、武者鎧―――あの固有結界の中でみた女武者『源頼光』のものと同じ鎧を纏っていたのだから。

 

それに気付いた真由美とは違い、克人はそこではなく摩利が此処に来た理由を誰何することにした。

 

「渡辺は―――ああ、『大学受験』しないんだったな。とはいえ……本当のところは何だ?」

 

「三巨頭のうちの一人たる私をのけ者にして、お前らが内緒でこんなことをしていると理解してから、独自にメンバーを招集して参戦する機会を待っていたんだよ!!」

 

訳すれば―――『私達もケンカに参加させろ』ということだ。

 

その決意表明に剣士隊の隊長でもある修次が仰天していたが、いまは置いておくべきことだろう。

 

確かに今回の事態に関することを積極的に摩利に聞かせていなかったとはいえ、間接的に様々な情報が渡っていく可能性はあったか。

 

特にTPピクシーの『告白』は、色々な意味で『妄言妄想』というには、確かなイメージをあの場で聞いていた全員に与えていたのだから……。

 

「警視庁魔法警官隊到着。と、見栄斬りして言っても、他に比べれば小勢の限りで、カッコがつかないね」

「ですが入れただけでも、今は良しとしておきましょう」

 

警察のボディアーマー……魔法戦闘用に改良されたものを着込んだ姿の寿和さんと、軍人である響子さん含めても―――20人足らずの小勢の到着。

 

大勢の縁が、ここに集まってくる。

 

そして……。

 

「大トリで登場とは、まぁ『お大尽』というのはそういうものですけどね」

 

「俺にも君みたいに軽快に動いていた時期はあったんだがな。それこそ、自分が魔法世界の坂本龍馬か、白洲次郎のごとく闊達に世を良くするための存在になりたくてね……」

 

その志を遂げるには、最期に登場した元カノ未練マン2号は多くを失いすぎて、家に縛られて『自分』を捨てすぎていた。

 

「だが……いつか捨てた自分を拾いに来た。手助けしてくれるかい?」

 

散切り頭というわけではないが、丁寧にセットした髪をわしゃわしゃと崩してサングラスを外した七草弘一は、そんなことを言うのだった。

 

「いいでしょう。とはいえ、あの居るだけでセクハラの女史のヌードを見てしまうことはご勘弁を」

 

「積極的に見ない限りは―――許す」

 

別にアンタの許可が必要なこととも思えんが、と思う面子が幾らか出たが、拳を握って断腸の思いだろう七草弘一に着いてきたのか……見えぬようにやって来た『キツネ』を感知しながらも―――。

 

―――役者は全て揃った。

 

―――そう確信したのだった。

 

そのことを告げるように、終末のラッパを吹くように、頭上に浮かぶコウノトリを思わせる赤目をした白髪の王子様系女子が登場。

 

『―――さぁお兄さん。全ての決着を着けるために、叫び―――呼ぶんだ』

 

聖典であり喫茶店の看板娘からの言葉に刹那は、ここに至るまでやってくれた『元凶』に対して最期通告を発する。

 

 

「俺が持つ異界由来のチカラじゃ、お前を打倒しきれない。ならば、この世界にある多くのチカラを束ねて、お前に対抗する―――――――」

 

レティシアが離してくれた手―――左右の手をようやく重ねる。

 

ツナガリを以て

左右の指を組み合わせる。

 

交差しなければ

何も変わらないのだから。

 

『貴様……』

 

手組みのモーションごとにチカラが高まるのを感じたのか、こちらの不遜な物言いに苛立ったのか、魔竜が唸り声をあげる。

 

「古式ゆかしく言わせてもらおう。――――これぞ『汎魔法師連合軍』(ウィザードユニオン)……の術だ!俺が使う『Unlimited Blade Works』(無限の剣聖・剣星)なんかよりもイカした、この世界でたった一つの最高の魔法(キセキ)だ! 冥府に落ちるまでに覚えておけ! 獣の尖兵―――『大淫婦の使い魔』(ハーロットサーヴァント)よ!!!」

 

刹那が放ったツラネ、見栄きりの言葉が―――唸り声を上げていた魔竜に、この戦いの中で一番、獣らしい咆哮を上げさせた。

 

それは怒りの咆哮(ウォークライ)

 

笑わせるな。自惚れるな。信じるな。

託すな。持つな。行動するな。

 

望んだ末の一切の行いが、全てを終わらせる。

 

貴様ら人間、そして亜人(まほうし)であろうと―――全ての人類は―――。

 

『抹殺されるべき悪徳なのだ!!』

 

 

 

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