魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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優等生はあっちの方向に振りきれてるなぁ。

それでいいのか……と思いつつ、今話での最後の方の愛梨の扱いは正しくアニメに対して逆行中。

そしていつも通りの情報局。りーちゃんさんは持ってるねー。何と言っても5倍5ヴァーイになったわけだし。何故か、ハズレという面が出た気がするが気のせいだ。

白昼夢というやつである。放映時間は昼じゃねーけど


卒業編~first season~
第291話『その後の話Ⅰ』


 

待機生活(カンヅメ)2ヶ月目

 

食料切り詰める。

 

朝 スープ

 

昼 チーズ一切れ ビスケット3枚

 

湯だけはたっぷりと飲む。水分は補給し過ぎということはない――――。

 

 

「いや何でアルプスに挑んだ男たちの漫画のようなことを言っているんですか? ついでにいえば2ヶ月も経ってませんよ」

 

幻聴が聞こえる。これがいわゆる小泉八雲が作り上げた伝説の妖怪『雪女』なのだろうか。

 

この声に誘われて多くの登山者や山中行軍訓練を行った軍人たちはマッパになってしまうのだ。恐るべし雪女。

 

一高にいる雪女は、『兄を返せ〜兄を寄越せ〜兄を認めろ〜』と日々、校舎内を彷徨い歩くのだが……。

 

 

「まぁともあれ―――現実に戻るとするか。カンヅメ生活七日目。そろそろ終わりが見えてきたか?」

 

「そうでしょうね。報告書は九割方終えてきたかと思います」

 

「君の高速思考や分割思考を用いれば、もう少し早く終わりそうだったが……」

 

「年頃の男子と2人っきりというシチュエーションが私に限りない変数を与えました。風呂上がりにバッタリなどもありましたしね」

 

さいですか。と嘆息気味に納得した。

 

魔法師協会所有のホテルの一室にて相部屋の相手は、そんなことを言いながら仮想型のタッチパネルを操り、報告書を上げていく。

 

今日にいたるまでの七日間。近くにある魔法協会とホテルを行ったり来たりという、昨今の小○館の漫画家たちでもやらないような生活を続けていた原因は偏に、東京魔導災害102号―――世間での通称『TOKYO102』にあった。

 

改めて書き上げた報告書の内容を添削するために読み上げることにする。

 

ロード・エルメロイⅡ世ことウェイバー・ベルベットにはよくよく言われたことだ。場合によっては時計塔の司書にも聞けと言われてきたそれを行う。

 

頭の中で読み上げる……。

 

報告書 記載案件 東京魔導災害102号について。

 

1,事件の発端

 

当該事件の発端、本当の最初を除けば、直接的な原因はUSNAの軍事基地にてマイクロブラックホール実験の体で行われた異界生命体召喚こそが発端と言える。

 

詳細は省くが、その実験においてUSNAが当初目論んだものは、次元論の外より召喚出来る存在―――人類史に大なり小なり名を刻んだ『受肉した精霊』とも言える―――英霊―――その分身『サーヴァント』を望んだようである。

 

しかし、実験はとてもではないが、成功とは言えない大いなる災厄を招き寄せた。それこそが『タタリ』及び『死徒』並行世界における吸血鬼たちの招来であった。

 

2,事件の推移

 

死徒及び吸血鬼、並行世界などの説明に関しては別レポートたる『エルメロイレポート』を参照。本項では詳細な説明を割愛させていただく。

 

招来したタタリ及び死徒は、吸血鬼の異名の通りに行為の深度はともかくとして多くの吸血行為を繰り返していき、やがて実験場所であった施設は惨劇へと化していき、終えた後には――――――多くの『組織』『人物』『機構』『星の自衛装置』などの干渉・過干渉を以て吸血鬼たちは海を渡り極東の首都『東京』に集まることとなった。

 

タタリ―――在来生命、おもに霊長寄生型の吸血鬼と、死徒 不死者へと転化した真正の吸血鬼―――弓■さつき、シオン・エルトナム・■■■■■、リーズバイフェ・ストリンドヴァリとは敵対関係にあり、各々で食い合い争いあい―――その片方で何も知らぬ人々を闇夜に誘った上で人食いを行い、結果的に東京が騒然・混沌・唖然となったことは間違いなかった。

 

しかし、これらの状況に対して最初から『明朗な見地』を持てなかった多くの魔法家、治安機関など、それぞれでスタンドプレーが発生し、統一した解決に至るまで長き時間を要した。

 

3, 事件解決に至る道筋

 

本件は先に述べた通り、多くの事象・人物・組織など公私の区別なき欲求が、複雑に絡み合い、相手方に対する戦闘がどうしても散発的にならざるを得なかった。だが、それは当然であった。

 

本件に最終的に関わってきた。いや、最初のはじめからタタリや死徒を招来すること、あるいは世界の破滅を先送りにすることを目的としていたエジプトに本拠を置く『最古の錬金術機関 アトラス院』によって事態は二転三転の様相を見せていた。

 

そして現・アトラス院院長『シオン・エルトナム・アトラシア』によって、東京を贄とした現代魔法制限(マギクスギアス)が開始されようとした時に最後の災厄が訪れた。

 

 

 

「……」

 

ここまでを読んでふと刹那に疑問が浮かぶ。最後の最後……いきなり東京の地下から現れたヘルメスコンピューター。その素体となったズェピア・エルトナム。

 

最後にシオンとの間に交わされた会話を考えるに―――。

 

「シオン。お前―――本当はズェピア院長の『願い』を分かっていたんじゃないか?」

 

「―――まさか。私が院長になる前から、あの人とはヘルメスなどアトラスの端末越しに会話をしてきました。当然、彼がどういう存在であるかも理解していましたからね。殆どの解ではそれはありませんでした―――ですが思考の四番に揺らぎと共に可能性は存在していました」

 

一端区切る形でコーヒーを含んだシオン。口が開かれる。

 

「そもそも生体頭脳としてヘルメスに変換されたはずのズェピアの自我があった時点で私は、これは異常事態であると理解していました。ゆえに錬金術師として観察しつつ利用してやろうという考えだったのですよ……当初は」

 

「賢者の石に、そういったものはないからな。そしてズェピア院長は、血縁たる君を娘も同然に扱ったということか」

 

「はい。そして私がアクセスして、色んなことを倣う内に、ふと気づきました。ズェピアが教えてくること―――これは全て『獣及び尖兵』に対する対処方法なのだと。当初は、それこそが人類の破滅の加速原因ゆえ―――なのかと思いましたが、違いました。

いずれ現れし『カレイドライナー』に対して、それに互いするだけの力を向ければ、ソレ以上の力を出してくる。周囲もそれに引きずられて、力を増してくる。その果てに自分の身を焼き尽くすような戦いの熱の中でしか、自分のような人造不死者に永遠の眠りはもたらされないと――――――」

 

壮絶な自殺幇助をさせられた気分だが、ズェピア公は最後まで、この闘争劇を楽しんでいた様子だった。

 

ヘルメスの外部端末『フリズスキャルヴ』を多くの魔法師たちに渡していき、その魔法師たちの魂だか精神体だかを魔神柱もとい魔獣嚇の生け贄に供して―――そして最後には―――。

 

『ああ、好きさ! 大好きだ!! お前が―――真夜が欲しいぃいい!!!!』

 

50のおっさんが言うセリフではないと、世間を、人物を斜に構えた講評するような賢しい人間ならば言うかも知れないが、いまでも人々の心を震わせる希世の作家『永井荷風』は、そんな連中にこう応えるだろう。

 

『日本人は30の声を聞くと青春の時期が過ぎてしまったように云うけれども、情熱さえあれば人間は一生涯青春でいられる』

 

肉体的な衰えは仕方ない。だが精神を老いさせてはならない。絶つもの作らず、色んなものを勃たせて一生を駆け抜けていけ。

 

そういう力強い言葉だ。

 

正しく老いる生き方も一つだろうが、心に燃え立つものがある人間ならば、何歳になっても燃えているなら、それを絶やしてはならないのだ。

 

「ロード・サエグサは、随分と情熱的な方なのですね……」

 

「一人の女を求めてアレコレとやる。それをどう評価するかは人それぞれだが……俺はそれでいいと思うよ」

 

「刹那も昔の女性を求めてしまうタイプですもんね」

 

シオンが笑いながら元カノ未練マン認定してくるが、吹っ切れた部分もある。

 

オルガマリーが、何事もなく―――とも言い切れないが大きな波乱無く生きていられる世界線にいた刹那。そんなオルガマリーの前から姿を消さざるを得なかったことが……あのヒトにとっての最大の波乱になってしまったことは申し訳無さばかりではある。

 

「けれど、もう決めたのさ―――俺は、この世界に生きていく。リーナの側にいるって決めたからな」

 

「……決意だけは立派ですけど、あのオルガマリー・アニムスフィアが何かしらの要件で『サーヴァント』として召喚されたらば、どうするんですか? 観測した事象次第ではそういうこともありえますし、アナタだってダ・ヴィンチの工房で見たはずですし、そして『講師』として登録したのでしょう?」

 

「ロマン先生の自宅が完全に占領されている状況が無視されているのはともかくとして、マリー義姉さんの残したものは―――俺にとっても大事なものさ」

 

ダ・ヴィンチ曰く、どんな世界であっても冬木の大聖杯こそが英霊召喚という規格外のルールを構築する大本であって、ロード・マリスビリーが聖杯戦争にて勝利した世界線では、大聖杯を主とした英霊召喚システムを構築して―――人理保障を開始したとか。

 

「真面目なこと考えて現実から眼を逸らさない。アナタがオルガマリーと接触している間、色んな面子が―――まぁ言わんときましょう……『白いアルバム2枚目』(WHITE ALBUM2)なことが第一高校を舞台に吹き荒れてもどうしようもないのですから」

 

イヤな未来を予測してくれやがる錬金術師である。けれど―――それでも、オルガマリーを助けたいという想いを抱くぐらいは許してほしいと思いつつ、添削作業を続ける……。

 

 

 

4,最終的な事態打破に向けて

 

吸血鬼による被害が増していくほどに惨劇の様相も凄まじいものになっていた本件だが、中でも二月十四日 バレンタインデーという日に行われたウィルソン・フィリップス・神田議員の政治パーティーを襲った惨劇は筆舌につくしがたいものがあったが、都内、もしくは都内にゆかりある遠方の魔法師たちの活躍によって、事態は収拾する。

 

その際の詳細に関しては『七草レポート』を参照していただきたい。

 

明けて二月十五日 都内の喧騒や混乱も収まっていない内から最終決戦は始まる。

 

東京都内の公園。霊脈上の要所とも言える場所にてアトラス院錬金術師 シオン・エルトナム・アトラシアからの企みの暴露。東京に打ち付けし現代魔法に対する制限機構『封印基盤』の設置を告げられる。

 

その目論見は却下され、同時に前述されていた獣の尖兵『魔神柱』に擬装せし『魔獣嚇』の出現、諸勢力がこの戦いに集結して、最後にはヘルメスコンピューターの元となったズェピア・エルトナム・オベローンの死亡を以て、事態は終結を見た。

 

 

5,その後の処理

 

魔神柱の生け贄とも言える存在の核として捕えられていた日本人『四葉真夜』USNA人『レイモンド・クラーク』中華系米人『ジード・ヘイグ』……他、フリズスキャルヴのオペレーターたちは、それぞれで身の安全が確保されたが、使用されていたものがものだけに、それぞれが各所で『保護』されていることは、関係機関を参照。

 

戦場跡に残った様々なもの―――有り体に言えば『戦利品』は、気づかれない内に幾つかの組織・魔法家が、奪取したものと思われる。

 

特に神代秘術連盟は、多くのものを奪っていった可能性があり、今後この組織の動きには要注意願い――――。

 

 

……最後の方の記述を読みながら、刹那は頭を抱える。3日後に開かれる師族会議の前に『あること』を聞いて、全員が陰謀の虫を疼かせすぎであり、九島家が過日の『エルメロイ家』の姿にも重なるのだ。

 

 

「……この国の神秘超常分野は東西に分かれますかね?」

 

「可能性はある。ここまで見事な調略がなされると、な」

 

拳(にゃんこ手)を口元に当てて考え込む刹那。それはリーナがいれば、本当に深刻な時などに見る刹那特有の思考ルーティンだった。

 

元祖は母 遠坂凛だったりするが……。

 

「……まぁ出ざるを得ないだろうな。奴らが抑えているのが、千年王城『京都』である以上、いずれは闘いは始まる」

 

日本の最大級の霊脈を抑えられると、ちょっときついところもある。

 

そして、それは九島家の行末を決める闘いであり、リーナを婚約者としている刹那にも無関係ではいられないだろう。

 

 

「――――――まぁどうするかは、あちら次第だ。俺はどっちに舵取りしても手助けする道を取るしか無い」

 

ここまで来て九島 真言から何の要請も無いならば、それはそれだ。

 

……取り敢えず、戦場あとで火事場泥棒をやっていただろう九島烈が『何を』やるのか次第だろうが……。

 

未来への不安を振り払ってレポート作成。相互添削などを用いて、ようやく最終稿へと繋がるのだった。

 

当然、重要な部分や秘するべきところはボカしている――――他の連中がどんなレポートを出してくるのかは未知数だが、あんまり考えないようにしておく。

 

「あー……肩凝った―――」

 

「お疲れさまでした。しかし、私が云うのもしまらないですね」

 

「まぁ元凶だからとか、そんな意地が悪いことは言わない」

 

「言ってるじゃないですか」

 

細い目で呆れるようにするシオン。だが差し出されたコーヒー。アラブの風を纏う彼女が淹れると、ここまで違うものかといういい香りがするのだった。

 

(大航海時代に国を挙げてでも、この嗜好品を取り合った理由が理解できるな)

 

しかし、その一方で不器用なのに自分の為に精一杯淹れてくれる女の子のコーヒーの方が嬉しいと思える――――などと女の子を比べるなどという下衆な思考を考えた時点で破却する。

 

「仕方ありません。私とラニたちは、刹那によって身請けされたようなもの。正妻であるリーナと比べられるのはしょうがない話です」

 

見抜いてらっしゃる。などと言いつつも、前半に関しては反論しておく。

 

「手助けはするが、キミたちをどうこうする権利は俺には無いよ。する気もないしな」

 

アトラス院の恐ろしさは尾ひれ背びれ付きで、『先生2人』(two teacher)に伝えさせた。

 

下手に手出しすれば、どうなるか分からないということは既に伝わっている。

 

そもそもそんなことが鎖国状態の日本の魔法師たちには出来ないだろう。鉄砲玉を送り込んだとしても返り討ちにあうだけだ。

 

「キミはキミの好きなようにしろよ。未来は―――誰にも品定め出来るもんじゃないさ。同時に自分たちのこともな」

 

それだけなのだ。

 

「そして俺の未来は既にリーナと共にある。七日間も触れてないからか禁断症状が現れそうだ……」

 

(そこで私に手を出さない辺りが、この男を示していますよね……)

 

項垂れて、性欲減退の魔術で抑えていただろう刹那に苦笑しつつ思う。

 

そんな訳で世話焼きなシオンとしては、路地裏同盟のシオンには負けたくなくて先程から室外の扉にいた面子を入れることにした。

 

「―――――――セツナァアアアアア!!! もうアレコレ言わないわ!! ハガネのマムにレポートを提出したらば、ハリーバック スイートホーム!!

メンドクサイミーティングまでの三日三晩(ミッカミバン)!! 神魂合体(新婚合体)で永遠の愛を契り合い! 身も心も重ねるわヨ(フルユナイト)!!愛の巣篭もり需要がバク上がり中!!」

 

「何か色々と焼き尽くさんとんでもない愛に殉じてしまいそうな文言!! ちょっとリーナ! 落ち着いて!!」

 

落ち着けない(NOT COOL)!! もう、あの銀髪年上美女が出てきた時点で、ワタシは―――」

 

本当に泣きそうなリーナを抱きしめる。自分に抱きついて涙を一杯に貯めながらそんなことを言ってきた気持ちとか分かるから、もはや抱きしめることでしか気持ちを伝えられないのだ。

 

「もう離れないさ。君が俺を繋ぎ止めておく最後の港だよ。―――帰ろっか家に」

 

「ウン――――」

 

少しだけきつい抱擁の中でも聞けた短い返事に満足してから、刹那は空間転移の術式を選択。

 

「というわけで道すがら十三塚の母さんにはレポートは提出しておくから、あとはヨロシク!」

 

「シオン、後は頼んだワ!!」

 

気楽な手上げを以て後事に関して言ってきた2人。

 

何かの魔法陣。そして生滅する文字の円環の中にとらわれた刹那とリーナの姿が―――少しの空気のざわつきと空間の歪みを以て消えるのだった。

 

……呆気なくそれだけの術を発動させたことも驚きだが、ソレ以上に驚くべきことは――――。

 

 

「三日三晩も猿渡―――ではなくサルのように『さかる』とか……」

 

すっかりぬるくなってしまったコーヒーを飲みながらシオンが思うことは―――。

 

 

(刹那が干からびる可能性は、まずないでしょうが、子供が出来る可能性も―――『まだ』大丈夫か。流石にそこは考えているんですね)

 

計算してみると、まだ『そうなる』とは限らない。

 

早すぎるだけ。ただ、ただ、ただ……

 

 

(なんか腑に落ちませんね! 不愉快ですこの思考は!! 師族会議が、どのようなものであるかはまだ測定出来ていません。その対策だってあったというのに!!)

 

メラメラと嫉妬の炎がシオンの中に湧き上がる。リーナを『素直』に入れていなければ、シオンが誘惑してそこにリーナ・愛梨・レティとがやって来たりしてスラップスティックな展開だってあり得たが、それを素直にやると色々と不都合があって―――ああ、つまりだ。

 

 

「シオンさ―――」

 

「刹那とリーナならば、家です! 空間転移で一足先に帰っちゃいましたよ!」

 

機先を制するようにひょっこり顔を出した一色愛梨に告げると。

 

「な、なんですって!? こ、こうしちゃいられません! ワタシも―――」

 

慌てふためいて踵を返そうとしたときに一条将輝が、一色愛梨を抑えるように現れるのだった。

 

「はいはい。残念だけどタイムオーバーだ。俺とて四葉の係累と知ってしまった深雪さんと話したいのだけど、金沢から離れ過ぎだ。帰るぞ一色。んじゃシオンさんもお元気で!」

 

「セ、セルナ―――!!!」

 

といった塩梅で三高生たちが帰る『未来』を選択したシオンであり、その結果に不満はないが、どうしても嫉妬心は貯まる。

 

いっそけしかけるような展開を選べばよかったと思いつつも―――。

 

「これが人の世にまみれるということなんですね。ズェピア・エルトナム・オベローン……」

 

悪くないな。こういう『たられば』がある人生を生きていく。

 

後悔はあれども、それこそが人間としての生き方であると理解できたのだから……シオン・エルトナムは、もう少し俗にまみれることを良しとするのだった―――――――。

 

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