魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
愛梨(以下 愛)「遂に!! ついに!! アンジェリーナだけに独占されていたセルナのお母さまとの誌面での同席・コラボ(?)が、ようやく私にも訪れましたわ! しかも構図的にカウガールで刀を構えるお母さまと同じ位置!! これはもはや、嫁と言っても過言ではありません!! 嫁を読めという―――」
凛「リーナちゃん。愛梨ちゃんのこのスタイルって盛ってると思わない? いや、それがイマドキのJKスタイルだというのならば、しょうがないんだけどね……ちょっと『パッド』入れすぎじゃないかしら?」
リーナ(以下 リ)「me too! そもそもセツナはbig boobs大好きなオトコノコなんです! こんな偽乳じゃあとにはdepressionするに決まっています!!」
愛「アンジェリーナ!! セルナのお母さまにとんでもないフェイクニュースを発信しない!! 森夕先生と森山先生の奇跡のコラボにケチつけるんじゃないんですよ!!」
リ「いや、アンタ設定上はミユキ以下のフツウスタイルなはずでしょ! どう考えても、これは『盛ってる』ワ! もしくは目の錯覚! パレードを使っている!! 森先生の見栄!! QED!!」
愛「アンジェリーナ!! この『だら』!! 誌面を華やかにせんとした森先生の努力をなんだとおもっとるがいね!!」
凛(ウチの息子も父親と同じように罪深いロメオね……)
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今月の大王の表紙を見て思いついた寸劇。漫画の女キャラのスタイルはどんどん増していくか減っていくかのどちらか! 読者サービスならば前者、作者の労力削減ならば後者!
そんな定説を述べつつ新話をどうぞ!
「つまり吉田君、九島の術式が古式を大本に持つから、あちらの『現代魔法師』は無力化されているということなのか?」
「ライネスさんの疑問に一番近いのは、それかと思います。魔術基盤への
制圧作戦の常道ではある。相手の生命線を断った上で攻撃を開始する。
バルトメロイの楽隊もやっていたことだ。……もっともバルトメロイ本人は、それを『愚策』としてしまうお人だったが。
院長補佐ですら懐かしい顔となってしまって、その懐かしい顔が違う姿で現在も出ている
愚考を打ち捨てる。京都・奈良の現状は良くはない。しかし、九島の領域に無遠慮に踏み込むことも出来ない。
(だが、いくらなんでも冗長すぎないか?)
血気盛んで地域としてはあまり離れていない北陸の一条や、同じく近隣である中国地方の五輪などならば、我が身の危機として受け入れてもおかしくないのだが……。
「―――あまり言いたくはありませんが……『上』の方々に進言すべきですね」
『上』―――という言葉に、何となく研究所の出資者達、お袋が良く語っていた実戦派の法術士連中とやらだろうとアタリを着けておく。
最終的には―――不戦命令が下っているということだ。
(前と同じく、腹黒い連中は高みの見物か、はたまた日和見主義の棚ボタ狙いか)
どちらにせよ、あまり刹那が好きな話ではない。より良き未来を目指す―――その形が各々で違えば、こうなってしまうのだ。
幹比古の解説は、総じて聞きやすく全員に通じたものだ。証拠も上がっている。
しかし、行動を起こすには至らないことばかりであった――――――。
近畿地方の話は『何も出来ない。静観しろ』という結論で締めくくられた。本当ならば、九島からの救援派兵要請あれば、動くことも吝かではなかったのだろうが……当の被害者たちが『来るな』と言えば、それで終わってしまう話であった。
檻の中に入っているコヤンスカヤの笑みは、実に厭なものをはらんでいる。あえて言えば邪悪な笑みと言えるか。
それが求めているものは何なのか、そもそも人類抹殺を計画している獣の一匹が、四葉真夜の心変わり程度で変わるだろうか。
そして、その後の話し合いは細々としたものばかりになっていった。
ロード・エルメロイ2世という『サーヴァント』が一高だけの教師に落ち着くのは不公平だの、此度の一番の被害となったホテル虐殺被害者及び遺族への対処、そして―――仏蘭西と英国の反応伺い。
挙げていけばきりがないが、概ね―――満足いく結果にはなった。
魔法科高校への願書が既に提出されてしまっている現状だが、それでもここで一高受験者だけが恩恵を受けるということに、あまりいい表情ではない面子ばかりになり――――――。
「その辺りは、後々にダ・ヴィンチと共に解決していく所存です。性急になるのも分かりますが、私はしょせん『使い魔』『サーヴァント』です。そして現代魔法に対する大まかな知識だけを与えられている現状では、私の教導が皆さんの後裔にいいものとなるかは分かりませんよ」
そんな言葉で牽制がなされるのだったが、これはウェイバー先生なりの保険でもあるのだろう。
一高の総責任者である百山校長も、その点は懸念していたが、それでも……。
「学ぶべき機会を奪われた『生徒』がいるというのは、私としては容認し難い―――ライネス共々『消滅』するまでに、どれだけの『時間』が残されているかは分かりませんが」
―――それでも、最後までやらせていただきましょう―――
その言葉で、中途半端な教導を行っていた刹那は恥じ入るしかなかったのだ。
今度、卒業される3年2科の先輩たちに対して申し訳無さばかりが先立つ。
だが、それでも先生はそれを咎めない。
その理由は良く分かっているから。
全てに議決及び裁可が下されて一段落した心地で、横浜の協会支部から出て外に―――。
「シャバの空気はうまいなー」
「ムショ帰りのようなセリフやめてよー。似たようなものではあったケド」
伸びをしながら放った言葉は恋人に不評の限りであった。協会支部から出るや否や、達也と深雪は受け取った
次いで、何が起こるか分からないので、自前の『車』―――ボーダーを支部前に付けて。
「私達はあの車を追う! 真由美くん。キミはどうするんだい?」
カーチェイスの前段階のようなことを助手席から言うダ・ヴィンチに―――。
「乗らせていただきます」
「自分も同行します。よろしいですかドクターロマン?」
決断をした真由美と克人が答えて、病院行きの面子が決まる。
ドライバーズシートに納まるロマンは、後部座席を親指で示すのだった。
「それじゃみんな。道中気をつけて帰るんだよ。あと孔明、時間を忘れてゲームばかりするなよ」
生徒に注意したあとに、サーヴァントである存在―――数カ月後には同僚教師に『分かっている注意』をするのだった。
その注意に長い髪を掻きながら、ウェイバー先生は答える。
「暫くの間は、首っ引きで魔法科高校で担当する授業でカリキュラムの作成だ。取り敢えず、刹那が色々やってくれたお陰で、
まさか先生が、そっちをやるとは想っていなかっただけに、刹那としてはぎょっとする。
その間にもロマンが操るランドクルーザータイプの車は出たのだが。
新設される現代魔術科は、どちらかと言えば力の『本質』を極める科であり、時計塔で言えば、
「私が弟子の功績を奪うわけにもいかないだろう。どう言った所でお前が、この世界の
刹那の懸念を一発で砕いてきた先生に、もはや降参せざるをえない。この人がそういうのならば、てこでも動かないのだから。
「とはいえだ。私自身、この世界に召喚されてから日が浅い。オルガマリー・アニムスフィアは、私を教師として呼び寄せた。―――手助けしてもらうぞ」
「―――承知です。ロード・エルメロイII世」
教師補という職務に就くことを要請してきた学校側と、自分の師匠2人を手助けすることに否も応もあるまい。
「この世界でも、『伝説の魔術師』としてアナタは喧伝されてしまっているんです。その手腕を期待しています」
同じ分野側だろう古式魔法師として、ウェイバー先生からの教導を受けたいと語る幹比古に対して、懐から葉巻を出して、シガーカッターで切ってから火をつけようとするウェイバー先生は誤解を解くようだ。
「刹那から聞いたんだが、吉田君、キミは来年度から1科生側だと聞かされているんだがね」
「―――えっ? そ、それが何か? ロード」
「うん、まぁ後で分かることだが……百山校長も、そこに強弁を出せなかったんだろうな……私は基本的には、ノーリッジに入る『旧2科生』たちを指導することが規定されているんだよ」
殆ど全員が唖然とした顔をする。苦笑気味のすまなそうな先生の顔は、確かに全員が唖然とするものだ。
だが、これは予想されていたことでもある。しかし、ここから『どうなっていくか』であるのだろう。
「キミたちは刹那の記憶を見て、私が名物講師みたいに扱われている講義の様子しか見ていないからね。だが、初期のエルメロイ教室の講義も『そんな感じ』だったよ」
寂寥とも懐古の念ともいえるものを覚えている先生は、紫煙を吐き出す。
「一部では師匠殺しとも言われている悪名高い『ウェイバー・ベルベット』の授業なんて、受けに来るものは興味本位と、自分も『師匠殺し』狙い、魔導書の閲覧すら渋られる―――要は本当に『はじかれもの』ばかりだった。エリート教室なんて言われたのは、その創成期の生徒の格段不断の努力と、それを私の手腕と勘違いした生徒たちがこぞって集まってきて、そいつらが順調に魔導の階梯を上げていけたからだ。
私の手柄じゃないさ―――――――上れる力を持っている奴は勝手に上るもんさ」
最後の嫉妬混じりの言葉に刹那は苦笑してしまう。
孔明と「天神さま」の霊基を入れられたとしても、生来の気質が上回るのは憑坐としての意地だろうか。
まぁ自分の母もそんな感じだったので、そういうものなのかもしれないが。
「そして刹那。お前もだ。今回の事態が長引いたのはお前の未熟もある―――お前が、
「うぐっ……」
先生からの厳しい言葉。アルズベリから帰ってきたことで得られた秘術を教えたことから、『それを延ばせ』と言われて今まで怠っていたことをなじられてしまった。
「一応、弁護させてもらえるならば、アルビオンや様々な
「そういうことならば、このCity Tokyoを迷宮に見立てて、やるべきだったな。すなわち東亰ザナドゥだ」
その表現はどうかと思うが、まぁ分かりやすかった。同時に、それを伸ばしていくということが……怖かったのだ。
「まぁ―――クドウ君の弁護も分かる。お前が内心で患う懸念も分かる……だが、そうだとしても―――お前が動かなければならない状況で半端は許されんぞ」
喪失の起源に近づく行為だと思っていた。そうなると思えていた―――けれど、此度の戦いで再会できた人々が、『そうではない』と告げるのならば―――それを極めていくのも吝かではない。
仮にどんな形であれ、京都・奈良に赴き『参戦』するならば、
「―――――――Yes,lord elmeloy」
自分が、極まっていた、極めていたと思い上がっていただけの半端者であることを突きつけられて、恥ずかしさよりも嬉しさが湧き上がるのは、どうしてもこの先生の願いに直結しているからだろう―――。
「Ⅱ世を着けろ。ついでに言えば、お前が教室に属していた頃には、ライネスがロード・エルメロイだったろうに」
「そう言ってやれば、先生は絶対そう言って一言二言あるからと―――メルヴィンさんとかフラット先生が言っていたもんで」
そういう風な教師に対する親愛表現は、たいそう不評で―――。
「FUCK!」
―――NGワードが飛び出すのだった。そんな義兄の言葉に、義妹であるライネスは一言あるようだ。
「義兄上、あんまり往来でNGワードを連発するな。ここは既に2090年代の地球。恐らく
「むぅ。なんというPSYCHO-PASSな世界。気をつけねばな……」
少しだけ震えながら、あちこちに展開してるモニターを探す兄妹に対して―――。
「「「「アンタら! 2090年代をどんだけディストピアな世界だと想っているんだ―――!!!」」」」
2090年代人の叫びが炸裂。
深刻そうな顔で考え込む一高の新任教師2人の2090年の世界観に対するツッコミが為されたあとには、どこからともなくヘリコプターの音が聞こえてきた。
この横浜では何度か聞き慣れてしまった異音だ。
見上げると、そこには機体をド派手にもピンク色に染め上げた、予想通りのヘリコプターが旋回しているのだった。
そんなヘリコプターは縄梯子を放り出して、何かを迎える準備をしている様子で―――。
次の瞬間―――協会の窓ガラス―――およそ五階に相当する場所のが割れて、そこから何者かが飛び出した。
何者であるかはもはや理解している。
「勝利への脱出!! このタマモヴィッチ・コヤンスカヤはあきらめない!! 具体的にはご主人さまに一目お会いしてから大陸にいるご主人さまの御子をお守りしに、いま―――会いに行きます!!」
一瞬ではあるが凶悪な目つきをした狐の姿が見えたが、すぐさま全身黒革のボディスーツ―――ボディラインが瞭然で媚態を強調した―――有り体に言えば『峰不二子』をフィーチャーした衣装のコヤンスカヤは縄梯子に手をかけて、次には脚ではなく尻尾を巻きつけることで、起用にも姿勢を保持していた。
「ではでは、みなさん!! 特に刹那さん! また会う日までシー・ユー・アゲイン♪♪♡♡」
最後の言葉の際に蠱惑的な投げキッスをしてきたコヤンスカヤ。強烈な神秘の塊ゆえなのか、ピンクでハート型の何かが飛んできた。
「高密度の魔力結晶! 己の中の
「呑気に解説している場合か!?」
「心配いらんよ西城君、どうやら―――彼女の置き土産のようだ」
先生の言葉で爆弾の類ではないと理解したので、落ち着くレオだった。
落ちてくるハート型の魔力結晶を刹那は取ろうとしたのだが―――。
「セツナは、Don't Catch You! Don't Catch You!
「名曲に対する冒涜! いや、あれはたまになくなっちゃう身体の
「お前まで乗っかってどうする……まぁいい。今からやることは、パワードスーツを着ていても
呆れつつも、この状況を利用してある種の『授業』を行う先生だったが、それに対してライネス先生は、遠くに飛び去るヘリコプターを見ながら呟く。
「了解だが義兄上―――これはある意味、義兄上がよくやるアクションゲームのボーナスステージみたいなものじゃないか? 落ちてくる『ひよこ』を頭の上のザルで取るアレに」
ライネスの言うゲームに関しては刹那もよく存じていた。あの時代としてはレトロなカセットタイプのゲームソフトで、春夏秋冬の日本の祭をモチーフにしたステージを登場作品の枠を超えたヒーローたちが、祭を取り戻すべく悪の手先と戦うものだった。
「黒いひよこはいないだろうが気をつけろ―――それと、アレを買ったのは……刹那、お前の『姉』と関わる事件があったからだ」
「はぁ……」
意味分かんないですと返しつつも、懐かしさに眼を細めている先生に何も言えずに、とりあえず刹那はリーナたちに魔力結晶の取り扱い方を伝授していくのだった。
その様子はまるで家の骨組みを作ったあとに行われる上棟式―――――現代では完全に失われた神事を思わせて、刹那はそれに違わぬぐらいに目出度い気持ちを持った『卒業式』で、いまの三年生を送り出してやろうと決意するのだった。
もっとも……刹那の担当は調理係なのだが。ともあれ祝賀料理は、滞りなく作れるだろうと思いつつ、今やるべき手作業は違う。
落ちてくる魔力結晶―――を取ろうとするリーナの少しだけ雑な手つきに、後ろから自分の手を添えるのだった……。
赤くなった顔を少しだけ向けて膨れるも、次には破顔して、2人の手が虚空を漂う魔力結晶を掴み、そして2人の手は上下で重なり合うのだった。
((((ゴースト ニューヨークの幻か!?))))
ろくろの代わりにそんなことをする恋人に……。
(一色さんがいなくてよかったぁ……)
千葉エリカを筆頭にそんなことを想う。
そして舞台は―――移っていく……東京の災厄を乗り越えて、旅立ちの月に巡る―――。
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「君の名前を教えてくれるかい?」
ケースの中から現れた少女。既に満たされていた液体は乾き、幼い裸体を貫頭衣に似た服に包まれながら、少年は見上げてきた少女に問いかけた。
「ごめん。マスター……それは、分からないんだ。ただ一言だけ覚えている名前がある……」
真名が分からない。自分の後に契約した2人の兄のサーヴァントもそれを言っていた辺り、不完全な召喚のツケとも言える。
「それは?」
「―――『オーロラ』。それが僕の真名なのかは分からない―――けれど、それだけを覚えているんだ……大切で大事なそんな『名前』……」
目をつむり長いまつげが生え揃う、感じ入る少女に尊いものを覚えた少年は……少女に『名前』を与えてあげることにした。
オーロラ……日本語に訳せば『極光』と言えるものと、己の名前との符号を覚えつつ、彼女に名を与えた……。
「ならば―――いまから君の名前は『九島 ヒカル』とさせてもらうよ。いつまでもランサーなんてクラス名で呼ぶのは……ちょっとね」
「……ヒカル―――うん! いい名前だ!! よろしくねマスター・ミノル!! キミと僕は―――、異心同体だ!」
「そ、そういうものなのかな? サーヴァントとマスターとの関係ってのは……」
戸惑う少年、そんな少年よりも小さい銀髪(桃色かかった)少女は、ぴょんぴょん飛び跳ねながら喜ぶ。
なんだか『妹』が出来た気分になる光宣だったが、少女―――九島ヒカル(仮名)からすれば、『弟』が『蘇った』気分だったのだ。
名も顔も知れぬ『弟』―――その面影を、少女は九島