魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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型月業界がいろいろ動いている。

ぶっちゃけティアマトがアーケードではサーヴァントになるとは

まだマザハは来ないんだろうかと思いつつ新話お送りします。


追記

かなりの修正を入れました。


春休み編『冬の少女』

魔術師の闘いとは時に、魔法師よりも『大味』(おおあじ)なものに見えるのは、結局―――相手に魔法(じゅつ)が通じないという状況が殆どにおいて存在しないからだ。

 

極まった魔法師が干渉力を全開にすれば、周囲にいる低級の術者が封殺されるという現実と、仮にそうでない状況であっても、どんな『人間』にでも一発当てれば、それだけで『積み』とも言える闘いが主な以上、先制攻撃(ファストブレイク)が、肝要である。

 

だが魔術師同士の戦いとは、そうではない。相手の術理・原理を上回るために、数多の打手を投じる戦い。

 

先程から盛大にクラッシュしまくる名工の業物の爆破の色彩の最中でも、刹那とリズリーリエは互いの防御を崩さんと、魔剣、聖剣、妖刀、神剣……etcをぶつけ合う。

 

どちらも尋常の術者がまともに喰らえば、身も魂も一撃必殺、完全必滅を約束するものだが、2人にとってはそれが致命傷とはならない。

 

(何か強力な防御が敷かれているのか?)

 

明確ではないが達也の眼にも『それ』は見えていた。

 

いつの間にか纏っていた魔術衣は、東京事変で見たものだ。

 

軽鎧とローブを組み合わせたようなそれは、刹那のカラーである赤を基調としながらも、青と金を取り入れたもので、有り体に言えばカッコいいものだ。

 

鈴鹿御前の『槍』……ツインブレードともう一方の赤柄の長槍を手にして挑みかかる。

 

その姿に―――

 

『あのヤロー! さっそくもパクってるし!! これだから贋作屋はイヤなの!! アタシの一品モノ『両通連』『顕慕連』をなんだとおもってるんだし!!! 』

 

と少し遠くの方から声が聞こえて達也の耳に入り、宝具の名が知れるのだったが。

 

「そこにいたか! 鈴鹿御前(スズカゴゼン)!!」

 

「ゲェーッ! スカサハ!!」

 

 

サーチしていたのは影の国の女王スカサハ……先程まではバニースーツであった妙齢の美女の衣装は……金色の肩章やブローチの前留が着けられた、サーコートをきっちり締めたスタイル。

 

ただ上半身はともかく下が黒のミニスカート、黒のニーソックス白のニーハイブーツ……と軍服とみるならば改造がモリモリされているのに、それが似合ってしまう。

 

野戦服ではない『軍服らしきもの』『カラーガード』らしき衣装…霊衣を着込んだスカサハが、鈴鹿御前(サンタ)に挑みかかる。

 

あえて言うならば魔境のサージェント(教導士官)……一条と吉祥寺を鍛えていた様子から、そう達也は内心でのみ称するのだった。

 

そうこうしていると、達也も乱戦のさなかに巻き込まれる。

 

(オーン)!」

 

遠くの方から明確に達也を狙った攻撃が放たれる。

 

呪詛の類。それが明確な形を持ってこちらを穿とうとしてくる。影絵の犬狼―――そうとしか言えないものが大量に駆け出してくる。

 

同時に達也の行動を阻害する呪詛。身体どころか演算領域にまとわり付くようなそれを感じながらも―――

 

「まだまだだな」

 

決して侮れるレベルの術ではないが、解呪を自動的に行い、同時に犬狼に対して分解術を発動。召喚した獣がディスペルされたことで―――。

 

次に出てきたのはシャドウサーヴァント。見た目だけで判別できぬが、それでも名のある英雄の影。今までの達也ならば迂闊に飛び込みはしなかっただろうが……。

 

「雑だな。もう少し―――マシなのを連れてこいよ」

 

シャドウサーヴァントの原理及び強度は、どうやら術者のイメージ(りょく)にも依存するらしく、神代秘術連盟の術者でも、そこまで強力なものを運用できない。

 

(更に言えば、あのアルビオンで戦ってきたダンジョンモンスターに比べれば、何とも弱体だ)

 

サイオンを込めた手刀が抱き込んだシャドウサーヴァントの首を折ることは、アルビオンで戦ったスケルトン(骸骨騎士)デュラハン(死霊騎士)に比べれば、いとも容易い。

 

「俺の方にホムンクルス兵を差し向けないのは、舐めてるのか? それならば―――」

 

容赦することもなく、分解術を向けて―――。

 

脅しが効いたのか、サーヴァントが一騎やってくる。

 

連盟の魔術基盤を考えるに、東洋系のサーヴァントだろうが……。

 

(さて、ガチンコでのサーヴァント戦か。刹那のように概念武装を用立てられるわけじゃないが……)

 

それでも、やれるかぎりはやってみようと想うのだった。

 

アルビオンに潜ったがゆえに進化した達也の能力。それを試したいのだ。

 

そしてやってきたサーヴァントは弓を持つ白衣装の男だ。

 

インドの王族を思わせるその衣装は、闘争の場には相応しくないっようにも思えた。

 

「―――魔法師の割には随分と自信が満ちていると見える。マスターにけしかけられたとはいえ、一手士合いていただこうか」

 

目だけでも射抜くような力を感じる。言葉が完全に達也との戦いを決定づけていた。

 

「……アーチャーのサーヴァントか?」

 

「その通り。この得物を見れば一目瞭然ですけど」

 

微笑を零す黒髪に黒い肌の男―――人種としてはインド系と見受ける男の登場に、達也は緊張を隠せない。

 

(かなり上位のサーヴァントなんじゃないのか? それこそ『神』の御子を出自とするような)

 

知らず汗を流す達也。しかし、それでもこれは嬉しい展開だ。

 

接近戦の術が無いわけではないだろうが、それでもセイバーやランサーでは、まだまだ対抗策がなかった。そんな中でのこの戦いは―――。

 

(俺が、いままでの俺から脱却するための戦いだ)

 

闘志を燃やして―――それに反応したピクシーから武器を受け取りながら、達也は戦いに挑むのであった。

 

 

 

そんな風に達也が絶体絶命(?)の中にありながらも、各々の戦いは絶え間なく続いていた。

 

「いくでちよ―――!!! 狙うは糸細工の鳥たち!! 啄むでち!!!」

 

『『『『『チューーーン!!!』』』』』

 

相手の母艦を叩き潰すべく、大空を飛んでいく雀たち。

『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』などという故事成語などなんのそので、英国の上空に佇む浮遊戦艦の直掩たるエンゲルリートを叩き潰していく。

 

狙われた浮遊戦艦のクルー、神代秘術連盟のメンバーたちは溜まったものではない。

 

大まかな操作は船乗り系のサーヴァントたちに任せているとはいえ、徐々に対空砲火が削られていくのは心臓に悪い限り。

 

「そうそうやらせんよ!!!」

 

当然、こういった事態に備えて、アーチャーのサーヴァントないし鉄砲持ちのサーヴァントが、目障りな敵方サーヴァントを落とすべく奮戦する。

 

当然、その行動に飛行していたサーヴァントたちは対応する。

 

紅閻魔に対となる白色のサーヴァント。石像が魂を得たといえる存在が、戦術的行動に入る。

 

「推進機構を潰す。当然、向こうも必死に防備するでしょうが―――」

 

「わかったでち、(べに)が援護するでありんす。『がらてあ』は、心置きなくその『ノミ』を振るって仏ゾーン(?)をつくるんでちよ!!」

 

一見かみ合っていないように見えてかみ合った会話をこなす紅白のサーヴァント。

 

一騎当千の強者どうしに余計な指示は必要ないのだ。

 

「助かります。仏師系サーヴァントとのコラボ……いつか実現させてみたい」

 

背中の卵型推進機構をひときわ強く吹かせて、白い美少女が浮遊戦艦を大地に落とそうと画策する。

 

 

「ピグマリオンの皇后がこちらに向かってくるぞ!!」

 

「確認している。こちらも飛行系のエネミーを出す。対地砲火を当てるなよ」

 

戦艦のクルーの一人である男が、言葉通りにドラゴン型を多量に召喚してのける。

 

(やはり京都・奈良よりも、ブリテン島の方が竜を召喚するのに、適している……)

 

そんな感想を述べながらも、自分のサーヴァントも『蛇龍』ゆえに、影響を受けているだろうかと想う。

 

 

「それなりの戦力を持ってきたようだが……」

 

「地の利はアタシたちにあるぜ!!!」

 

金色(こんじき)の青騎士、金色の赤騎士が敵中のど真ん中に居座り、次から次へとホムンクルス及びゴーレムなどを倒していく様は、紛れもなくナイツ・オブ・ラウンドの面目躍如である。

 

「アーサーと疑似サーヴァントを止めろ!!」

 

「止められるかよ!!!」

 

焦った様子で手勢を差し向ける連盟員の術者だが、言葉通りに召喚したエネミーの全てが紙切れのように斬られる光景は、悪夢も同然だろう。

 

如何に京都・奈良など関西圏で猛威を振るい、現代魔法の家を絶望させてきた軍勢だが……。

 

 

「所詮は神秘のド田舎! ファーイースト(極東)だな!! このブリテン島では好きにさせないぜ!!」

 

「い、一応、そのファーイーストの出身者が大半なんですけどね」

 

レッドとしては、『アタシの縄張り(シマ)で好き勝手させない!』程度の文言だったのだが、味方の大半を少しだけテンションダウンさせる言葉であったのは間違いなかった。

 

とはいえ、その言葉を聞いて、頬を引きつらせた深雪が金棒だか棍棒だかの一撃でゴーレムを粉砕した後には、雑魚敵とでもいうべきものは一掃されていた。

 

散発的な戦闘は各地で起こり、リーナと刹那がリズリーリエ及びホムンクルスたちと戦い、一条将輝と吉祥寺真紅郎が、スカサハに引きつられて最前線に突貫していくのを全員が見ている。

 

そして景虎とヘラクレスとの戦い―――若干、景虎に分が悪そうだ。刹那由来のサーヴァントの何騎かは、助力すべく明朗な言葉はなくとも、その戦いに向かった。

 

「まさか私達がメインフォースになるとは……」

 

「予想通りだと想うぜ。刹那が大ボスを受け持つ以上、こういうことになるのはな」

 

金棒を担ぐ深雪と大剣を担ぐレッドが言い合う。この後に出てくるものは予想通りだ。

 

連盟が召喚したサーヴァントたちの軍勢。

 

刹那が召喚したサーヴァントの中でも血気盛んな連中は、すでに刃を噛み合わせているのだが……。

 

「マスターセツナからの指示だ。申し訳ないが、一時的に君たちを指揮させてもらうよ」

 

「伝説の騎士王アーサーの配下になるなんて光栄だぜ!」

 

「どんな敵でも寄越しちゃって!! タッグでもデュエルでも問題ないわ!!!」

 

一高が誇るウォーモンガー2人がそう言ってきたことを契機に、霊体化を解いたサーヴァントが草原に現れる。

 

さながら魔界転生のごとく……。

 

それを見た騎士王アーサーは伝説の剣を掲げながら、カリスマ溢れる草原によく通る声で言い放つ。

 

「全戦士、騎士たちよ!! 構えろ!! 君たちの戦う理由が何であれ、今この場において、我らは一つの運命共同体だ!! 互いを信じ、互いが掲げる誇りを尊重し、互いに背中を預け―――運命に打ち克て!!!」

 

『『『『『『オウッ!!!!!』』』』』』

 

気の抜けた応答など出来ぬ。それぐらいに魂が揺さぶられる言葉であった。

 

あるいは、このブリテン島に打ち付けられた魔術基盤が、彼の言葉を必要以上に拡大(エンハウンス)しているのかもしれないが、それでも―――構わない。

 

闘いは激化する……。

 

 

「バースト・スパーク!!」

 

「稚拙な!!!」

 

「投影・重創―――全投影連弾奏射(ソードバレルマキシストライク)!!」

 

「抜け目ない!!!」

 

リーナの出した雷撃が、直接効かずとも聖骸布の上で弾けたことで、遅滞が出来る。

 

そこに刹那は、剣弾20発を放つ。それぞれで射出角度を変えた攻撃を前にして―――。

 

「Habgierig―――熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

投擲に対する絶対防御が『七つ』展開された。

 

恐らく最初に差し込まれたドイツ語の単語が、この結果をもたらしたのだろう。

 

強欲(ハープギーリヒ)。その単語一つで投影物を倍増させたってのか)

 

驚愕ではあるが、それ自体は驚くべきことではない。

 

トランベリオの長は、その卓越した魔術回路を用いて、魔術一つを媒介に、持続する限りは何度でも大魔術を連発出来た。

 

それを考えれば……。

 

しかし―――。

 

「リズお義姉さん!!」

 

「気安く呼ばないで!!」

 

メスラムタエア―――巨大な両大槍(ビッグツインタスク)。更に巨大な棘付きの円輪となったそれを、アイアスのラウンドシールドに叩きつけるリーナ。

 

投擲物に対する概念的な守りだからと、近接攻撃でたやすく壊れるわけではないが、それでもメスラムタエアという冥界神エレシュキガルの槍檻(ぶき)に対しては、そこまで防御が通じなかったようだ。

 

病葉よろしくガラスを砕くようにアイアスの守りを砕きながら接近するリーナに対して、リズリーリエが窮する。

 

しかし――――。

 

「リーナ!!!」

 

慌ててその追撃に対して、守り手として横に就く。

 

「セツナ!?」

 

何事かと驚いたリーナだが……。

 

「展開・熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

即座に多層型の円盾を展開して、横合いから走ってきたドラゴン型ホーミングレーザーをシャットアウト。

 

ヒュドラの矢(ストライクハイドラ)!!」

 

魔力の盾が徐々に溶けていることに気付いたリーナが正体を見抜き、それでも防御は確実であり、盾を消去しながら即座に2人そろって飛び退く。

 

「へラクレスからの横槍ならぬ横矢ってところカシラ?」

 

「お虎からの警告が早かったから何とかなったが……」

 

危ないところであった。

 

だが―――ここまでの戦いで、既に6分方で勝利を収めつつある。

 

あとはサーヴァントを潰してしまえばいいだけだ。

 

「――――と、想ったところで、何かの隠し玉を出すのが俺の敵たちなんだよな……なんだか俺をびっくりさせることに終始しすぎじゃないか?」

 

「勝ち戦でテンションいいところに仕掛けたいんでしょ?」

 

マジか。とリーナの真剣な声に想うも……今のところは強力なサーヴァントとの連携を崩されたことが、彼女の敗着の一手になっている……。

 

(姉貴……)

 

だが、ここで仏心を出すとロクなことにならないことは分かっていたので、ヘラクレスからの矢に気をつけつつも、刹那は決着をつけるべく動きだす―――。

 

その時……肩で息をするリズの目前に霊子が蟠る。それを見過ごすわけにはいかなかった。

 

 

「姉貴!! 悪いがルールブレイカー1発いっとぶはぁ!!!」

 

「セ、セツナ―――!!!???」

 

刃物としても切断力を増したルールブレイカーを振りかぶった刹那が吹き飛ばされる様子をリーナは見届けざるを得ず、そんな刹那を受け止めるは、『うし』であった。

 

鼻息で器用にも、刹那を保護してその上で背中に載せた『大牛グガランナ』にホッとしたのも束の間。

 

攻撃を行った存在は遂に現界を果たした……。

 

「コラー!! お姉ちゃんをいじめるなー!! 例え今は敵味方に分かれていたとしても、弟である以上は節度を弁えなさーい!!!」

 

『クマクマクマベアー!!!!』

 

腕をブンブン上下に振って怒りを表現している少女と、巨大な熊らしきもの―――サーヴァントとその騎馬が出てきた。

 

「ホワイトベアー!? そして、アナタは―――!?」

 

「……まぁお袋が『疑似サーヴァント』の依り代になっている以上、『そういうこと』もあるとは理解していたけどさ……」

 

あまりにも突然の出現。しかし警戒は緩めず、すぐさまリーナをグガランナの背中に乗せるべく、『縁』を利用して引き寄せることにした。

 

「セツナとタンデム♪タンデム♪ こんな時にフキンシンかもしれないけどモアハッピーだわ♪♪」

 

「牛の上だけど、嬉しいならば何も言わない」

 

跨りながら笑顔で腰に手を回してくるリーナに、苦笑しながら言う。

 

別に手綱を握っているわけではない。ただそれでも『グガランナ』は……刹那の意に応えてくれるのだ。

 

「―――シトナイ(・・・・)!! 精霊強化!!」

 

「分かったわ。アナタもシロウに乗って、リーリエ!!」

 

あちらもどうやら熊を巨大化させて戦いに挑むつもり。

 

それは、つまり……。

 

「―――怪獣大戦争か」

 

「GO○Z○LLAでもKI○G KO○Gでもないんだけどネ」

 

言いながらも、大熊と大牛はお互いを倒すべき敵と認識したのか、鼻息を荒くして戦いに挑もうとしている。

 

その様子に苦笑していると不意に――――――。

 

(なんだ。これは……)

 

―――刹那の頭の中に一枚の設計図が浮かんだ。それは……。明確なものではないが、それでも……。

 

(いまは考えている暇はない)

 

立ち向かうべきものに立ち向かう。それがいまは求められているのだから……。

 

 

 

 

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