魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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今回のバレンタインイベント(2022年)を見て、刹那の過去編のバゼットは解釈違い――――――とまではいわずとも、少し修正を入れるか考え中。




第306話『俺にはさっぱり判らねえ!』

交渉で退くことを望まなかった従業員。一応、ホクザングループの警備保障部門の責任者の一人として、東郷という男は頭を深々と下げた。

 

「部下が大変な失礼を」

 

「いや、キミだけのせいじゃないだろ。そもそも……社員の思想信条にまで規制を掛けるなんて一世紀以上前のようなやりようは、今の社会では出来ないんだからね」

 

「ですが、奴は雇用主であるアナタの顔に泥を塗った……本来ならば、私が地下に赴いて引きずり出すのが筋なのでしょうが」

 

東郷という魔法師は、岬寛と同じく『数字落ち』の家系だ。それが原因というわけではないが、どうにも岬に『不穏なもの』を覚えている様子。

 

かつては、国防軍の一員として戦っていた人だが……色々あって自主退役。そしてホクザングループの警備保障会社に雇われたということである。

 

そして……現在に至る。

 

「あのカウガールが、一番マズイ敵だと思います」

 

「見える限りでは、CADよりもオモチャみたいな形の銃を持っていたが……マズイか?」

 

「蒼輝銀河、イシュタりん……この単語さえ無ければ、放っておいたんだがな」

 

サーヴァントユニヴァースなるものの観測はまだまだではあるが、かなりへんてこな宇宙であることは理解している。

 

そんな所から来た女ガンマン―――……どういう英霊であるかは、まだ分からないが……。

 

「刹那、大丈夫?……」

 

「ああ、ヤケになってタワーを壊させるわけにはいかないからな」

 

雫の不安そうな言葉に応えながら、考えることは―――岬が狂信的に語る『教主』と呼ばれた『女』の事だ。

 

死の教主、獣の再来を願うもの……それを許すわけにはいかないのだ。

 

「そうじゃなくて……あんなとんでもない美女とワンナイトラブとか大丈夫なの?」

 

「やるという前提でそういう話をしないでくれよ……」

 

社長令嬢には流してほしかった話であった。実際、北山夫人は生ゴミでも見るような眼を向けているし。

 

「マァ、そういうダーリンなのよね♪セツナは―――で、どうするの? あのカウガールとワンナイトラブするの?」

 

恋人からも意地悪されて辟易しつつも、対策を発表する。

 

「しないってば―――とりあえず……面子を分けよう。このまま施設爆破とかされたらいやだからな。地下に行くのは俺とリーナ。そこで泥酔しているお虎―――達也と深雪はどうする?」

 

「お前がロックされたタワー施設の機能を取り戻せるならば良かったんだが、無理だろ。一緒に行くさ」

 

「頼りにさせてもらう。光宣たちはエレベーターを動かす上で重要だ。主催者である北山家の皆さんの護衛だ。

ヒカル―――いざという時、キミならばエレベーターを破って、エレベーターの箱ごとみんなを地上に下ろすことも可能だろう」

 

「バッチ。けど僕が下に向かわなくていいの?」

 

親指を立てて、自信満々に『ぼくちからもち』と言わんばかりの九島ヒカルだが、そっちに関して考えなかったわけではない。

 

如何に1基のエレベーター稼働とはいえ、光宣が干からびる。そんな予測をしておく。

何よりこっちのドラゴン(りゅう)では、戦闘の余波でビルが崩れるという本末転倒にもなりかねないのだから。

 

「航くんを守るナイトが必要だろ。頼んだぞ」

 

「了解」

 

そんな言葉でメンバー分けは完了する。特に思うところも無いほどに妥当な話であり、こちらの監視の眼を消してから、エレベーター組とそれ以外で地下へと赴く組とに分かれて動き出すのだった……が―――。

 

「とりあえずいい加減起きろ! このだめトラ!!」

「ふふふ〜。念願の星5サーヴァントになれました〜我が世の春が望月のかけたることもなし〜〜〜〜」

 

なんか色々と混ざっている寝言を聞きながらも、お虎を(むりやり)起こして地下へと向かうことにするのだった。

 

 

飛翔したり徒歩(かち)で赴いたり、その果てに難なく地下施設へと入り込んだのだが―――。

 

(てっきりブービートラップ的なものでも設置されていると思っていた)

 

暗い地下空間で、うっかり引っ張ってしまうように、足元か頭上にワイヤーでもあるものかと思っていたのだが、そういった罠が設置されていない。

 

「なんだか拍子抜けだな」

「軍事的なものが無いならば……」

 

魔的な罠が存在している可能性は高い。などと思っていると―――。

 

「油断しきったところに颯爽登場☆ 銀河美少女カラミティ・ジェーン! 地獄の沙汰もQP次第!!! お呼びとあらば、即現金」

 

狭い通路の向こうから銃撃してくるサーヴァント。持っている得物は、達也が評した通り『おもちゃ』のような銃だが。

 

Anfang(セット)―――」

 

吐き出される銃弾に無防備でいるわけにもいかず、防御呪文を張る。

 

六重の障壁。様々な幾何学模様が何枚も貼られたそれだが……。

 

 

「威力が半端じゃない。サーヴァントの武器だ!」

 

吐き出される弾丸の一発一発が高密度のエーテル塊であり、重ね合わせた防壁がいまにも砕けそうな圧を感じる。

 

有り体に言えば『重い』のだ。

 

「戦場でのスカウト(偵察)は、わたしビッグに得意―――♪ ついでに言えば、将来ビッグになる男の横にいることも得意だよー」

 

「カラミティ・ジェーンって、アメリカ西部開拓時代(ウェスタンフロント)の女ガンマンじゃない!!」

 

流石に『地元』のことだけに、リーナは知っていたが―――。

 

「そんな食料も豊富じゃなかった時代に、そんなビッグな胸をした開拓民(フロンティアン)がいるか―――!!!」

 

「そっちですかリーナ!?」

 

深雪が驚愕。

 

「ついでに言えば、セツナの視線の集中の八割は、あのビッグバストサーヴァントの胸に向いているワ!」

 

「嫌な観察するなよ!!」

 

刹那が戦慄。

 

「更に言えば、タツヤも六割ぐらいはビッグバストに向いているワ!!」

 

「俺も男なんだよ…!」

 

達也が自供。

 

そんなセクハラによる動揺を狙ったのだが。

 

「イシュタりんの子供、セツナくんって言うんだ。よろしくね―――♪♪ 私の事はジェーンおばさんとか呼んだらば、眉間に一発(殴ッ血KILLL)だよー♪」

 

全く動揺していない、ニコニコ笑顔のカラミティ・ジェーンに少しだけ驚く。それどころか、自分がここで『消滅』することすら考えていないようだ。

 

「生憎ながらよろしくされたくないな!! アンタはここで果てろ。西部の『災厄』!!!」

 

「言ってくれるねェ! けれども!!!」

 

こちらの挑発が効いたのか、アーチャー(?)が、弾丸を撃ち出しながらも、一際魔力を溜め込む様子を見た瞬間。

 

「――――!!!」

 

奇襲の要諦で天地を逆さに、通路の天井を足場にしてアーチャーに迫るは、お虎。

 

ある種、ホラー映画のような絵図だろうが、サーヴァント戦では、こんなことはふつうだ。

 

重力の軛から逃れた神速のランサーに狙われたことで、動揺を果たすアーチャーだが、相手も百戦錬磨の古兵(ふるつわもの)

 

固有スキルか、宝具なのか分からないが、どこからともなくカード……アーチャーの周りを高速で周回するトランプが現れた。

 

防御用と見たお虎は、無理やりに吶喊をしようと画策する。

 

「推して通らせてもらう!!!」

 

「させないよー! ばきゅんばきゅん!!」

 

気楽な調子のアーチャーが知らぬことではあるが、お虎には飛び道具は通じない。彼女が毘沙門天から受けた加護は、あらゆる銃弾を逸らすのだ。

 

そしてその弾丸は―――正しくお虎を穿たなかった。

 

銃弾が逸れた。しかし―――。

 

「今夜のカードはベリーラッキー! 極星は私に輝く!!!」

 

虚空に浮かぶアーチャーのトランプカードが、Jの4カードを表す。

 

そして銃から打ち出される弾丸(現在)が、打ち出された弾丸(過去)が――――「撃ち抜かれるランサー」(未来)という結果に収束する。

 

「―――ッ!!!」

 

跳弾ではない。無理矢理に軌道を変更された弾丸が背後からお虎を襲い、正面から来た弾が―――再び背後から襲おうとしているのを見て。

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)極小(ラクリマ)

 

お虎の背中と正面に極小の宝具盾を投影。弾丸が封殺される。

 

撃たれたお虎は、少しだけうめいており回復術を開始。すぐさまサーヴァントの霊基が補われていくが。

 

「そこを狙うのが、わたし! 悪いけど倒させてもらうよー☆」

 

「このぉ!!」

 

お虎の苦境に対してリーナは、ビーム砲で牽制射。

 

油断していたわけではないが、まさか飛び道具がお虎に通じるとは―――。

 

「ぐぅうう、油断大敵! 侵掠すること火の如し!! まさか『避けられない弾丸』なんてものがあろうとは!!」

 

「カラミティ・ジェーンで、トランプカード……恐らくゲーム内容はポーカーだ。更に弾丸の軌道が現実(リアル)を脅かすと来れば、再現された逸話は「ワイルド・ビル・ヒコック」の死に際のことだな」

 

「平原の二挺拳銃(トゥーハンド)。西部の伝説か」

 

達也もその辺りは知っていたらしく、魔弾を吐き出し牽制しながらも言ってくる。

 

だとすれば、間違いなくあの銃弾はお虎に当たるということだ。なんせ伝説を丸呑みすれば、『ダック・ビル』は、興奮しきったテキサス人どものの一斉射撃から、一発の弾も当たらなかった伝説で有名だ。

 

そんなダック・ビルに最後を与えたのは、背後から放たれた一発の銃弾である。

 

だが、恋人の死に際を宝具化するとは、少し悪趣味な気もする。

 

そんなカラミティ・ジェーンは……。

 

「ウエイトウエイト! 待てー!! このドロボウネコーーー!!!」

 

待て(wait)と言われて待つガンマンはいないよー。バッソーと同じことをしていることに、少しだけ嫌悪を持つんだけどねー☆」

 

この狭い地下通路で思ったように魔法が使えないリーナをあざ笑うように動いていき、そして逃げられた……。

 

地団駄を踏まんばかりに悔しがるリーナだが……。

 

「大丈夫だ。どうやら威力偵察だったみたいだから……最奥部で俺たちを迎え撃つみたいだからな」

 

「それってマズくないかしら?」

 

「マズイね。いざとなれば、フライホイールや主柱を『爆破』出来るところでサーヴァント戦だなんて」

 

このタワー内部にいる魔法師ならば、誰でもとまではいかずとも、多くの魔法師が破壊できるだろう。

 

もっとも、それでも最深部での戦いを望む心とはーーー。

 

 

「進むしかないか」

 

なんだか上手いこと誘導させられた気分だが、進むことしかいまは出来ないのだった。

 

 

「達也さんたちは大丈夫かな……?」

 

「大丈夫だよ。一高の四天王を信じようほのか……」

 

女2人が不安になるのは当然だった。いつでも、どんな時でも自分たちに安心を与えてきた達也・刹那が、この場にはいないのだ。

 

彼らはおらず、稼働するエレベーターの中にいるのは、九島の男女の末子とその内の男子の恋人である。

 

出自だけで言えば、頼りになる存在なのだが……。

 

中でも九島ヒカルという女の子は異質だ。殆ど航と変わらぬ背丈だというのに、彼女は今年高1として二高に入るというのだから、驚くべき話だ。

 

「大丈夫だよ。ワタル君、僕は最強だからね。キミを守るよ」

 

胸を叩いて自信満々なヒカルに誰もが苦笑する。

 

「こ、こわくないよ! 大丈夫!!」

 

反対に明らかに怯えている航だが、好きな女の子の前では虚勢を張っていることに苦笑をするJK2人。

 

自分たちが乗り込んだ最後のエレベーターは、遅滞なく地上一階まで辿り着く道をたどっている……のだが。

 

「―――ヒカル、1階外に反応あり」

 

不意に九島光宣が、そんな言葉を発する。恐らく警告なのだろうが……。

 

「銃器を持っている。それと変な魔術式が付与されてるね」

 

同じく本来ならば『見えぬもの』を見ている九島の兄妹に、全員が驚いてしまう。

 

だが、この2人にとっては日常のようだ。

 

「対応出来るか?」

 

「―――たやすいよ。けれど、このエレベーターの扉が開くのを待っていたらば、先制打を加えられちゃうけど?」

 

「今は北山家やホクザングループの社員さん、関係者の身の安全が最優先だ。というわけで北山社長、少々『手荒』になってしまいますが、よろしいですか?」

 

魔法師が手荒にするというのは、色々な意味で怖いものだが、それでも―――今は彼らの言うことを否定する材料もないことが、潮に決断させた。

 

「かまわん。壊れたならば―――『直せばいいだけだ』」

 

3という表示が見えた瞬間に放たれた言葉で、九島ヒカルがエレベーターの扉前に立つ。

 

立ってから、その身に纏う衣装を変化させていく。

 

メタリックブルーの鎧。鋭角的なショルダーガードが特徴的で、ところどころの鎧に走るライトグリーンの線が目に映える『姫騎士』が現れたのだ。

 

「ヒカルちゃん……キミは―――」

 

呆然とした様子になる北山航だが、最後に盾と鞘を合成したもの―――エスカッシャンナックルとでもいうべき武器を、両手甲につけて完成と成る。

 

「伏せていて、ミノル、ミナミ―――頼んだよ」

 

何を頼んだのか2人に言ってから、フロア表示が、1となった瞬間―――九島ヒカル=蒼のランサーは『エレベーター』の扉を『ぶち破って』、レーダーに表示されていた敵を打ちのめしにかかった。

 

扉の向こうにいた人間たちは瞠目した。探知系統の魔法が使われたのか。いや、そうだとしても自分たちが敵であるかどうかなど分からぬはずだった。

 

進人類フロントの別働隊。外部で撹乱をするはずだった隠密部隊をこうも簡単に―――。

 

とはいえ、エレベータードアの盛大な炸裂音と共に、高速の物体が300m先にいた自分たちに向かってきた。

 

 

何であるかはわからない。だが、それに対して銃弾を吐き出すのに躊躇はしなかった。

 

もっとも……躊躇しなかったからと、それが効くとは限らないのだが。

 

強烈なマズルフラッシュがハレーションとなって、暗い一階フロアを照らす。

 

しかし、それが余計なことだと知るのは早かった。時代錯誤に見えて未来世界を思わせる―――『鎧』を纏った姫騎士が吶喊してきたのだ。

 

銃弾をものともしない魔力の壁。弾丸が、そこに触れた瞬間に消滅する現実。

 

壁が迫ってきて――――。

 

「あぶないものを向けるんじゃないよ」

 

カービン銃が拳の一撃でひしゃげて、発射不能になる。

別働隊のメンバーは、全部で8人。

 

しかし、ほとんどが動揺するメンバーの内に切れ者がおり、『化け物』を無視して、エレベーターの中にいる連中に銃口を向けた。

 

発砲!! 本来の計画とは少々違うが、最後の面子―――北山一家には、魔法師の権利を侵害したレイシストとして喧伝するのみだ。

 

などという目算は―――簡単に崩れた。

 

「なっ!?」

 

迫りくる壁の他に、エレベーターには壁役が存在していた手を前に翳して、サイオンの壁で銃弾をシャットアウトしたのは――――。

 

「やれやれ、ゲストの方の手まで煩わせるなど、警備員として失格だな」

 

「夷狄から守るのに、壁は分厚く高くて問題はないかと」

 

少女と中年の2人が、シャットアウトをしてきたのだ。

 

ハイパワーライフルならば、もしやだが……生憎、そんなものはなく―――自分以外の七人を熨して制圧した姫騎士が、振り向いてこちらに接近。

 

拳の一撃を横っ腹に叩きつけられたことで、気絶を果たして、終わりを告げるのだった。

 

 

 

地上での騒乱と同時に―――遂に地下組は進人類フロントたちが待ち構える場所に入り込んだ。

 

達也が壁の向こうからでも相手を倒せるというのならば、それでいいのだが。どうやら達也でも魔法を透せないように、地下室に何かの改良が施されているとのこと。

 

「さて鬼が出るか蛇が出るか……」

 

そんな言葉を言いながらも、内心では『開けゴマ!』(オープン・セサミ)と唱えながら、部屋に入り込む。

 

 

ハイパービルディングを支える縁の下というのは、薄暗いものかと思っていたのだが、予想外に明るさを湛えていた。

 

レッドアラートを表示していてもおかしくない現状において、そこは妙なほどに明るかった―――。

 

 

「ようこそ、ここまでおいでくださいました。遠坂師傅、そして四葉のご兄妹―――」

 

パチパチパチ、音にすればそんな風な拍手を以て、こちらを歓迎していますと言わんばかりの声が聞こえてきた。

 

こちらを睥睨するように、主柱、支柱(シャフト)への操作を行うだろう階段付きの高台に居るカン・フェールは、まるで王か教祖か―――どこかの支配者かのように思わせる。

 

あからさまな演出の限りに『大根役者』と思いながらも、衣装の変更を見る。

 

聖服―――十字教の神父を連想する衣装である。

 

 

「別に来たくて来たわけじゃないさ。はっきり言うが……勝てると思うか?」

 

「勝算が無ければ、このような広い所で戦うと思いますかな?」

 

誘い込まれたことは理解していた。これは一種の避けられない戦いである。

 

岬たちとしては、このタワーを最終的には発破したい。

 

刹那たちとしては、そんなことは許せない。

 

だが、岬たちが『電源管理室』付近でこちらを止めにかかれば、作戦は失敗に終わる公算が高かった。

 

正面からの戦いとなれば、どう考えても分が悪い。更に、本来ならば東郷など自分たち以外の魔法師を昏睡状態にした上で、彼らの演算領域を『間借り』、『いざという時』は、傀儡として共振破壊などをシャフトに放つ予定だったのだが……。

 

「高級スープ……佛跳牆で、私の思惑を全て狂わせるとは……!」

 

「今ならば、出頭前のシャバでの食事として提供できますが?」

 

「この期に及んで、まだ説得が通じるとでも?」

 

「戦うとなれば、手加減は出来ない―――」

 

言いながら刹那が『手袋』を嵌めた瞬間。岬の嘲るような態度と表情が止む。

 

人を撲殺するための準備。刹那がこの一年間で日本に流布してきた『情報』が、岬に緊張を強いる。

 

この男にとって、拳もまた戦闘の為の利器なのだと気付かされるのだった。

 

「進人類フロント代表 カン・フェール―――お前の野望を封印する」

 

そうして魔術回路を叩き起こした瞬間、刹那の背中……養母からゆずれられた魔術刻印から妙な痛みが走ったが、構わずに刹那は動き出す―――。

 

 

 

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