魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
前話は、色々と計画通りであった。(ニヤリ)
いずれクラウディアさんも、何かの縁で英霊化してラスプーチンな夫を止めるなんて展開で
エミヤ一家に対抗する意味でコトミー 一家も。カルデアに集結してもらいたい
タイころ、タイころアッパーをやっていた身としては、本当にそう想うわ。全くハルトモ先生と菌糸類の偉い人には頭があがらないぜ(え)
そしてジョージさん……今は、ちょっと真綾さんはパワーを出し切っているので、きっと『守ろう』と必死なんですよ(必死)。その結果、ジョージさんにダ・ヴィンチが当たらないという――――――何を言っているんだ。俺は(爆)
何はともあれ、遅ればせながら、本当におめでとうございます。
そんな感じで、新話――――――ではないですが、お送りします。
その日は全てを変えた日だった。
一人の生徒が魔法の学校の制度に疑問を持ってから動き出した
生徒……遠坂刹那の授業が入学から凡そではあるが一ヶ月後だったのに対して、その「変革」は、入学初期から始まった。
魔工科という魔法のテクノロジストを新設した魔法大学付属第一高校に作られた、もうひとつの学科。
『現代魔術科』=アルス・ノーリッジ。
英語で知識・叡智・学識・認識。はたまたイギリスのノーリッジ地方を冠したともいえるその名前が、入試まで凡そ一月もない魔法科高校の受験に『大きな影響』を与えることとなった。
「思うに、たかだか『一人の講師』の有無程度で、ここまで妙なことになるならば、いっそ中央集権的にやってしまった方が良さそうなのだがな。そもそも、有力魔法師の子女・子息の大半は、『領地』がどこであれ『TOKYO』の魔法大学に進学するのだろう?」
時計塔式の授業ではないことが、先生としては大いに不満なようだ。そもそも学びたいと思っている連中を『制限』したい気持ちはないのだが、先生個人や学校にしてもキャパは定まっているのだ。
「まぁ不合理極まることだとは思いますよ。ですが、その辺はお国柄としか言えません。言うなれば、領主たちはローマの策略によるサクソン人の民族移動を防がなければならないわけです」
「そう言われてしまえば、納得せざるをえんな……だが―――」
「別に『先生』のせいで混乱が起きたわけじゃないでしょ。気に病まなくてもいいと思いますね」
「むぅ……やはり複合霊基に『天神さま』がいるからか、気にしてしまうのかもしれんな」
それ以上に『生来の気質』だろうなと『生徒』は考えて、2月の1件にて『召喚されたサーヴァント』に苦笑してしまう。
結局の所、『生徒』……遠坂刹那が、この世界にて流布しまくった目の前の『サーヴァント』の尾ひれ背びれつけまくった伝説(概ね事実)の全てが、受験生たちを混乱に陥れたのは事実だ。
結果的に、刹那の『大先生』が1高で教鞭を執るという、どこから漏れたかわからぬ情報の全てが、一高に志願者を集中させて、既に他の魔法科高校に志願書を提出していたものですら、そちらに志願書を提出すべく、あれこれと混乱が起きて―――。
刹那の授業を受けて、人材育成のために九校全てで新入生を200人を常数として、それ以上の定員を設定していたというのに、魔法教育史上前代未聞の一高以外『定員割れ』という事態が起きたのだ。
2科制度を導入している1・2・3で言うところの『1科』に入れる能力値の人間ですら、『ノーリッジ』に入るべく、一高に志願を出してきたのだから、その混乱たるや驚くべきものだ。
わざわざ『希望学科』という記入欄がないというのに、名前の横に『ノーリッジ志望』『エルメロイ教室希望』という記述まで出てきたときには、刹那達95年生の学年主任である百舌谷は胃をきりきり舞いさせて、魔工科の主任であるダ・ヴィンチに至っては、腹を抱えて『ゲラゲラ』笑う始末。
結果的には、一高で弾いた生徒を、定員に達するまで、二次募集、三次募集―――ところによっては四次募集という形で拾い上げなければいけなくなり、全魔法科高校の在校生、教職員が『ひーこら』したという顛末なのだった。
そして今日、その多くの人間たちにとって狙っていた授業が始まりを告げるのだ。しかし、
「まぁ、今日の授業でなにかしら成果が出なければ、総スカンでしょうけどね」
「だろうな。だが、ここに至るまで見てきた入試の様子。CADという魔導器と『人間』との整合性。現代魔法という術式の特徴……同時にお前が今までやってきたことを踏まえれば―――問題ないだろう」
その言葉は自信に満ちている。というよりも、『なんでそんな訳のわからん道程を踏んでいるんだ』という憤りと呆れにも似たものを感じる。
(ルヴィアさん、カウレス
そんな感想を内心でのみ漏らしながら、かつての『執務室』の内装を模した部屋。机にてキーボードをタップすることで様々なデータを精査した『先生』は、それを閉じて、立体的な画面を全て消す。
―――『時間』であると認識したようだ―――
「ライネスとクドウ君は―――」
「義兄上――! 時間だぞ―――!! 今日から数週間は私との合同授業共同作業だ!! 石を玉に変える孵ると時計塔で言われてきた、我らの真骨頂を披露するぞ!」
テヘペロなどと、時代遅れも甚だしいものを作りながら迎えに来たあくまの一人と、その後ろにいるリーナの姿に師弟は諦めた。
「だそうです……」
「そうか……」
もはやあきらめムードで、プチデビル(若干、年齢高め)の来訪にため息を突いた先生は立ち上がる。
「―――行くぞ」
端的な言葉。だが、どこに向かうかは今更な話。そして紡がれる言葉は、多くのものを高みへと誘うもの。
無論、どんな人間でも―――なんて言葉は使えない。ただ一つだけ言えることは……。
(『先生』の教導は、出来るやつでも出来ないやつでも、『窮屈な思い』をしている連中の頭を解きほぐすものなんだから)
固定観念を突き崩すとでも言えばいいのか、そういった風な人間である。
そんな中、リーナは少し面持ちがこわばっている様子だった。
「ナンダか、ワタシの方がキンチョーしちゃうわね……」
「まぁ教師補なんて役職は、初だし。それに関しちゃ俺も同じだよ」
「ソーじゃなくて! 何ていうか……人類にとって偉大なる一歩の生き証人になるというか」
アームストロング船長みたいなことを言うリーナだが、まぁ気持ちは分かる。
一向に増えない魔法科高校の講師という職業に対して、百山校長が、
ある意味、禁じ手ともいえるものは大別すれば3つ。
1つ目は、魔法技能を持ち実技及び理論に精通した人間であれば、魔法科高校の講師として登録することが出来る。
これは、ダ・ヴィンチや『ウェイバー先生』『ライネス先生』など、『どこからともなく現れる存在』を講師として登壇させるための一手であった。
防衛省としても、今のところはないだろうが、戦場恐怖症などPTSDになった魔法師の軍人の再就職先として、そういった保険は欲しかったようだ。
文部科学省は、少々事情は違うが、利権がらみのことだろう。
2つ目は、昨年度から始まった遠坂刹那の主催するレッスンによって魔法能力の開花が見られたものたちが多い。
特に適性検査を受けた上で中学時期において魔法塾で伸び悩んでいたものたちが、刹那のレッスンで『なにか』を見出していったのだ。
―――すなわち生徒総数の拡充であった。
これは、魔法師の人的資源を多く持ちたい日本政府としての意向にも沿っていたのだが……同時に、遠坂刹那という外国人によってそれが齎されたことが、色々と疑念をもたせていた。
2つ目に掛かることが3つ目の手によるもの。即ち―――。
「生徒によるコーチング制度。まぁ郷中教育だよな」
実技優秀者による下位生徒に対する教導。これは本当に『早期』にやるべきことだったと思う。それをする前に、妙な制服の校章の有無による差別の常態化が起きてしまい、そうなったのだ。
「アリだと想う?」
「魔術師的な考えで言えば、権謀術数による裏切りもありえるんだろうが……」
どちらかと言えば、魔法師は研究者・探求者として極まってはいない。同時に、その方向性というのはアスリート的なものがある。
「時にプロのスポーツ選手が子供たちに指導を行い、私塾などを開設するのは己の銭を増やし、競技人口を増やすということもあるが、それ以上に己の中での基礎を見直すという点もあるからな」
「つまりクセを矯正するということ?」
「特に陸上・競泳選手は、そういうことが多い。1分1秒を地道に縮めていく過酷な競技だからな。フォームチェックはセルフだけじゃなくて、他人に教えることで気づけることもある」
リーナの質問に返しつつ、その他にも囲碁・将棋の研究会や門弟制度もまたそういう点がある。結局、魔法も未だに手探りでの発掘が成されているならば、そういったことは必要なのだ。
ちなみに刹那はゴキゲン中飛車派なので、居飛車穴熊の達也とは、すこぶる戦型で意見が合わなかったりする。
「要は、一人前・プロフェッショナルになるには、どちらかだけが一方的に甘い汁をすする関係であってはならないんだね。持ちつ持たれつというのは、世の中を円滑に動かす原理なのさ」
こちらの会話を聞いていたライネスが、振り向きながらそんなことを言ってきた。まぁその通りなのだが……。
「先生をロードの地位に縛り付けたアナタが言うか」
面白がるような笑みを浮かべている、刹那の『直接の師匠』に言っておく。
プラス『借金』と源流刻印の修復―――なんか奪いっぱなしのライネス先生が言うとアレな気分である。
まぁ刹那の生きていた時代には、概ねの目処が着いていたような気もするのだが……。
「仕方あるまい。そしてそれを見事、成し遂げた暁には―――義兄上の魔弾を放つ時はへっぴり腰の下半身の、熱いリビドーが私に向けられて―――だ、だめだぞ義兄上! シロウの料理で、発育不全気味だった私の体が年相応になったからといって、あんなことそんなことしようだなんて!!!」
真っ赤な顔で自分抱きをして、恍惚の顔で身悶えするライネス(司馬懿)の姿を見て―――。
「さっ、ライネス先生が、自分一人だけの世界にイッちゃってる間に行くぞ。教師補2人」
「「Yes Master Elmelloi」」
「無体に過ぎるぞ義兄上―――!! も、もしや現在、義兄上に憑いている孔明は、クラブハウスで踊ったり、レコードディスクをスクラッチしているパリピな孔明なのではないか―――!?」
そりゃどんな孔明だと思いつつも、『はわわ〜ご主人さま、敵が来ちゃいました!』という可愛らしい孔明もいるのではないかと『夢想』した時点で、刹那の隣の『恋姫』が、満面の笑顔で足を踏んづけてくるのだった。
ともあれ、そんなこんなありつつも、今年度の新入生、去年までならば俗に2科生と称されていたものたちが集まっている大教室に向かう。
一高の採ったノーリッジ新入生は400人、1科定員100名というところを変えずに、それだけの数を採ったのは、やはり最前線であるという自負と、2年次での魔工科への転科人の確保も見据えてのことだろうか。
大教室にいる400人の新入生全ての顔を見る。不安・期待・疑念………全てが綯い交ぜになっているそれは当然のものだ。
そして、400人の新入生以外に『監視役』が最後列に居たりする。
その内情としては、他校の教師や魔法大学関係者。
(俺ならいざ知らず、先生の授業でこれを寄越すとはな)
内心でのみ嫌悪と敵意を示しつつも、それでも羽織っている制服、かつてのエルメロイ教室が『誇り』と掲げたものを汚すことは出来ない。
壇上に上がる『先生』の、その厳かな態度に誰もが息を呑む。決められた位置に全員が就くと、先生は口を開いた。
「さて、自己紹介は必要ないと思われるが、セカイにおいて個人を認識する上で、挨拶というのは必要なものだ。ここにいる400人、全ての『名前』を電子的に認識出来ていたとしても―――そんなものは上っ面にすぎないな。真に人を認識する上で、セカイに己を『照応』させる上で、名前は―――必要なものだ」
その言葉の意味を、深い意味を、まだまだ全員は認識出来ていない。
己を照応させられていない。だからこそ、誰もに言わなければならないのだ。
『ご唱和ください 我の名を!』と。
それが分かっているのが、先生なのだ。
「―――改めて名乗らせてもらおう。私が『ロード・エルメロイII世』こと『ウェイバー・ベルベット』だ」
その言葉に少しのざわつきが出るも、真っ直ぐに全ての『生徒』を見ている視線が、それを収める。
「キミたちの教導役を仰せつかった以上、私の生徒になった以上、最初に言っておくことがある」
やはりこのヒトも自分たちを劣等生と言ってくるのか―――そんな不安を覚えていた人間たちは、直ぐに破顔させられてしまうのだった。
「私の教室に籍を置くからには、自分がなすべきこと、やるべきことは嫌でも考えてもらう。
たとえ、その結果が私と反目するものであったとしてもだ。例を上げれば、1科生に繰り上がりたい。アルビオンの発掘人になりたい。他を圧倒する超人になりたいだろうと、『歴史の英雄』たちに肩を並べたいだろうと……」
その言葉に誰もが、『ハッ』とさせられた。だが、そんなことを夢見るほど、魔法塾ではいい扱いを受けてこなかったのだ。どうしても『劣等感』コンプレックスを感じてしまっていたのだ。
しかし―――。
「やりたいこと、成し遂げたいことがあるならば、私でもライネスでも、そちらの先輩2人でもいい。誰かに聞き、そして学べ。惰性で楽な方に身を任せているだけならば腐るだけだ。そして覚えておけ。
その言葉は魔法の呪文のように、400人のノーリッジ生徒たちに染み透るのだった。
魔法師であるというのに、そんなことを考えてしまう現実に何故か涙が出てしまう。
それらを見たあとに……ロード・エルメロイII世は言葉を紡ぐ。学ぶ機会を失ってきた人々に『魔法』を掛ける時が来たのだ。
「それでは―――授業を始める―――」
そして、魔宝使いが訪れた世界の『Grand Order』が始まる―――。