魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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色々とスゴイ鯖たちが勢揃い!!  なんたる領域!! なんたる僥倖!!(え)


まぁまだ入れていないんですけどね。あと今年はきっと島本先生がシン・ウルトラマン関連でまた同人誌を三冊ぐらい新刊出すと読んだ!(憶測)

けど島本先生はウルトラマンよりもライダー派だから、そうでもないのかな?

なんか夏場を想像しつつ久々の新話お送りします


第315話『SPY×STUDENT』

 

 

職員室とは違う講師室に戻ってきたエルメロイの一派だが、戻ってきて一番に主任講師たる男は、懐のシガレットケースから葉巻を一本取り出して、咥えてから火を点けた。

 

煙を吸い込んで、そして馥郁たる芳香を満たしてから吐き出した講師『ロード・エルメロイII世』は……。

 

「授業が滞りなく終わるということが、ここまで健やかな気分をもたらすなんてなぁ……」

 

しみじみとそんなことを感慨深く言う先生に…よほどお袋世代は問題児ばかりで、先生の手を煩わせていたんだなと感じてしまう。

 

「いや、アナタだってそんな感じだったと記憶から知っているわヨ」

 

「セツナ、クドウくんにそんな所まで見せているのか? カッコつけのお前の割には、随分とさらけ出しているな?」

 

自分の時計塔時代というのは、色々とアレだったことを知っているライネス先生のツッコミに対して至極真面目に答えるのだった。

 

「自分の最愛の人には、全てを知っていてもらいたいんですよ」

 

さらけ出さずにいることが、どういうことを招くのかを理解しているので、そういったことは避けたかったのだ。USNAでの一件……『プラズマリーナ触手の危機』で、それを思い知らされた。

 

という説明を詳しいところを省きつつ、ライネス先生に言ったのだが……。

 

「その割には、お前。クドウくん―――リーナ君に、オルガマリーという年上の彼女がいることは長々と伝えていなかったそうじゃないか」

 

「そんな生々しいこと初対面時に言えるかっ!!」

 

「アーア、ワタシってば、ダーリンからカ・ク・シ・ゴ・トされちゃっていたわけネー、色々とショック~」

 

話から察するにこの『あくま』―――わざとらしく落ち込むリーナに余計なことを言ったなと察する。打ち合わせしたかのような、女同士のやり取りに頭を痛める。

 

おにょれ。ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ!

初弟子の身分ではあるが、色々と憤慨せざるを得ないのだ。

 

とはいえ、先生に今回の授業の所感を聞くことにする。

 

「先生、今期の2科生はどう思いましたか?」

 

受けて、ウェイバー先生は少し考えつつも答える。

 

「そうだな。まだまだ見えていない生徒は多いし、あからさまに『異常』な面子もちらほら見受けた。だが、どの生徒も何かしら非凡な才能があると見えな……」

 

「ソウナンですか?」

 

「オールマイティであることを優先される魔法師の世界とはいえ、己の得意手(スペシャル)が無ければ、どうしてもどこかで躓く―――逆に言えば『得意手』から他の分野への持ち越しも出来る」

 

リーナの素朴な疑問ではあるが、それはどんなプロフェッショナルでも一度はぶち当たる壁だ。

 

スランプとか新たなる自分を導く。そういう時に、自分の分野ではないことをちょいとやることで、何かの『気付き』『ひらめき』を得られるのだ。

 

日本のプロ野球選手が、シーズンオフの際に習った合気道の心得を投球術に利用したり―――。

 

「古武術の動きを利用したテニスプレーで、レギュラー陣に対する下剋上を狙ったり」

 

「伝統歌舞伎の動きを利用した可変飛行機(バルキリー)乗りが、銀河の危機を救ったり」

 

「幼い頃の新人類訓練が究極のモビルスーツ拳法を生み出して、赤い土偶モビルアーマーを倒したり」

 

なべて、道は一つとは限らないのだ。

 

「こ、これがエルメロイクオリティ……いやいや、それでいいのかしら?」

 

とはいえリーナからすれば、そういうことよりもレスのユーモラスさの方が驚きのようだ。

エルメロイ教室の面子が一言発すれば、すぐさま面白いレスをいっぱい着ける連中なのである。

 

「ちなみに義兄上は、若かりし頃にビームマグナムならぬフェロモンビームで、マリーダさん(?)のような女子を射抜いていたという話もある」

 

「その『事件』の際にヤングな先生を見て、ライネス師匠は赤面していたとも聞いていますが」

 

ドヤ顔で誇っていたライネス先生が無言でスネを蹴ってくる。思い出させんなという文句を赤面から読むも―――。

 

早速も変化が訪れる。

 

「皆さま方―――楽しそうな歓談中失礼しますが、門前に一人居ります」

 

トリムマウ……水銀メイドが、自分の指を触覚センサーにして来客を察したようだ。

 

「ドアベル、というか来客を告げるインターホンぐらいあるぞ。何故だ?」

 

先生と同じく自分たちも疑問は多い。流石にあの書類と魔導書だらけの執務室を再現したとはいえ、現代の最新機器はあったのだが……。

 

「ふむ。確か第三高校の前田教師だったか……さて何用だと想う? マスター」

 

「普通に話を聞きに来たんじゃないですかね?」

 

手元の端末を利用してモニターに映し出された美女の姿を見ての、先生―――サーヴァント・キャスターの言葉に推測をした。

 

実際、見学者の中で彼女は一番に眼を輝かせていた気がするのだから……。恐らく個人的に話を聞きに来たのだろう。

 

そこから会談・面談の類だと理解した先生は――――。

 

「よし。刹那、リーナ―――キミたちは次のカリキュラムの準備に行き給え。如何に教師補とはいえ、キミたちも魔法科高校の『生徒』なのだからな」

 

―――長くなると思って、そんな風に気遣われるのだった。どれだけ経験があろうと術を達者に出来ようと、学生の本分は違えてはならないのだから。

 

「師匠の世話ばかりがお前の仕事じゃないぞ。修養しろ。そして導き出せ。この世界での刹那のありよう(トーサカ流)をな」

 

その言葉に少しだけ照れつつも、リーナが袖を引っ張るので―――。

 

どうやらその方が良さそうだ。

 

「じゃあアダルトな話題はお任せしておきますよ。何か不明なことがあれば、ダ・ヴィンチやロマン先生と合議してください」

 

「それでもダメな点、不明な点があればお前に一報入れさせてもらおう。まぁ半ば、前田女史の会談理由も分かるのだがな……」

 

無理難題というか妙な依頼を受ける前の先生の表情だ。と想いつつも、それでも任せることにするのだった。

 

「どうぞ。お入りを。ウェイバー先生、ライネス先生の時間は有限ですので、無益なさらないように」

 

「ありがとう。友人であるフローラが言っていた通り、キミはいい男だな―――私のシュミじゃないけど」

 

女教師が言う言葉じゃねぇと内心でツッコみつつも、入れ違いとなる形で美人教師を部屋に入れて、そのまま刹那とリーナは部屋から出ることにするのだった。

 

 

少しだけ歩いてから伸びをして、身体を解すリーナは、教師補としての仕事の感想を述べる。

 

「ウーン、なんだかキンチョウしていたのがバカみたいだったわね」

 

「まぁ400人もの大講義だからな。初回はこんなもんだろ。徐々に適正に応じて―――同時に彼らが受講するカリキュラム次第では、分裂していくだろうけど……」

 

先生の言うとおり、中々に『尖った』人材ばかりである。

 

確かに現代魔法においては2科レベルであり、他校次第では1科に入れる面子もいたが……概ね、去年まで刹那が教えていた2科生の面子レベルだ。

 

他の八校のレベルはまだ分からないが、それでも問題ないはず。そもそも、現代魔法の笊の(ふるい)が荒すぎるのだから、これは当たり前なのだ。

 

「もしかしたらグランパが見たかった光景は、こういうものだったのかもしれないワ」

 

「そうだといいね。君の祖父殿はそういうヒトだったらしいからな」

 

廊下を歩きながら、そんなことを言い合う。穏やかなやり取り。廊下に響く靴音だけがいいBGMだ。

 

「―――セツナ」

 

「ん」

 

不意に立ち止まったリーナ。振り返るとその瞬間に合わせてリーナの柔らかな唇が、刹那の唇と重なり合う。

 

不意打ちのキスに少しだけ驚くも、その柔らかさはどうしても刹那を惑わす。そのキスの意味はなんとなく分かりつつも、少しだけ酔いしれていたのだが。

 

「あの先輩方―――、こういう公共の場で、そういうことをやるのは……どうかと想いますが」

 

「むっ、無粋だな刹晶院(ティエリア)

 

「妙なルビ振りはやめていただきたい」

 

真っ赤な顔でそっぽを向いていた刹晶院。いきなり現れたわけではない。実を言うと最初っからいるのは分かっていたりした。

 

「で、ピーピングトム(出歯亀小僧)していた理由は?」

 

「胡乱な言い方しないでくださいクドウ先輩」

 

美人の先輩からそんな風に言われて、流石のクールボーイ(笑)も違った意味で真っ赤になる。そういう意味合いでの羞恥心である。

 

「その内、トオサカになるからアンジェリーナ先輩とかでヨロシク♪」

 

「善処します……で、このちびきゃらヨロシクな使い魔による、ちょっいたいいたい! 一寸法師作戦は、ちょっ、そこは私のおいなりさんですが、いたっ―――やめていただけるんでしょうか!?」

 

「ストップだ。お虎、ジェーン」

 

その言葉で、使い魔2騎によるピーピングトムに対する『おしおき』は終わる。使い魔を自分の近くに戻しながら、几帳面な委員長タイプの下級生に話しかける。

 

「で、何用だ刹晶院? 入学式の日も俺と達也を物陰から見ていたな―――これ(・・)なのか?」

 

いわゆる同性愛者なのかというジェスチャーを取るが、それは少年のセンチな心に触れる行為であった。

 

「誠に心外な限りですよ!……ただ―――……何故、僕を受け容れたんですか?」

 

「? お前は普通に一高の入学試験を合格したんだろ?」

 

「茶化さないでください。僕が……スパイであることは理解出来ているでしょう……」

 

戸惑いと怒りを以て問う刹晶院という下級生に少しだけ苦笑してから言う。

 

「そうだな。けれど―――それがどうしたんだ? 生憎ながら俺に学校の合格者名簿を云々出来る権利なんて無いし、試験合格出来た人間を失格にするなんてことを、先生方がやっているとも信じたくないしな」

 

「………」

 

「まぁここを不合格になった上で、どこかの魔法科高校の1科で学びたかったってならば、当てが外れたな。そういう意味じゃ、陰謀家・策謀家ではなかった俺を恨んでくれ」

 

ありとあらゆる可能性を提示して、刹晶院の反論を潰していく。

 

「とはいえ、今の魔法科高校、特に一高の体制はかなりリベラルだ。お前も知っている通り吉田家の次男坊、鳥飼、猫津飼なんてのも上がってきたしな。チャンスはあるさ」

 

反応から察するに、そういう事ではないようだ。恐らく―――。

 

「僕は……」

 

――――――自分は此処にいていいのか? こんな敵地のど真ん中で、自分が置かれている状況が分からないのだろう。

 

達也ならば何か『排除』するなりしたのだろうが、刹那の対応は違う。 

 

「一つだけ言っておく。お前がスパイだとしても、俺の内情を調べるために派遣されたとしても、これだけは守れ。お前がノーリッジの、エルメロイ教室の生徒である以上、――――――『ウェイバー先生だけは裏切るな』」

 

「―――」

 

戸惑っていた刹晶院が、緊張するのを理解した。言われた瞬間に、背筋を伸ばす所作に脅しすぎたかと想う。

 

しかし、言わなければならない。これだけは、刹那が言わなければならないのだ。

 

「いまは詳しく語らない。だがいずれ分かる。教え導くということは、そういうことであり、ウェイバー先生の懊悩も、な」

 

一種の謎掛けをしてから、 刹晶院 霧雨という男子の前から去る。

 

煙に巻く言動と取られたかも知れないが、ともあれ今は―――。

 

「ハリーハリー!! 次の授業に遅れちゃうワヨ!!」

 

「まったく以て同意だ!!!」

 

 

そんな言葉で廊下を『速歩き』で移動していくのであった。去年はさんざっぱら走ったことで傷んだかもしれない廊下への気遣いであった。

 

そうしつつも、途中で見た2年A組の様子が少しだけ……疲れているように見えたのは少しだけ気掛かりであった。

 

 

 

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