魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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武田信玄もとい晴信は出てこないんかなぁ

とか想いつつも犯人の犯沢さんのアニメ化―――すごいなぁコナンは(え)

コナン役が信玄を(爆)

妄想垂れ流しつつの新話お送りします。


第328話『おれはキャプテン』

 一日明けての第一高校。本日は朝から授業は休講の上で、SHRだけを終えた後には全生徒が、大講堂へと移動していた。

 話される内容は、よほど噂に疎いものでなければ、既に側聞しており、それぞれで大小は違うも、全校生徒に衝撃が走ったのは間違いないのだった。

 

「なんで、こんな仲間はずれみたいなことを運営委員会はやりたがるんだろう?」

「容疑者は、運営委員会というよりも国防軍及び退役軍人会を疑うべきでしょうかね」

 

 双子の何気ない会話。だが、それは正鵠を射るものであった。今年度の九校戦の運営に口出ししているのは、防衛省及び魔法師の軍人たちであった。

 彼らの思惑こそが、今回の事態を招いていた。

 

(少し前に行った『炉の実験』『天空農場』。これは特に関係ないか……)

 

 双子の側にいながら刹晶院霧雨という少年は、そんなことを考える。そして、シオン・エルトナムも何かを狙っている。

 相変わらず『乱』ばかりを起こす男だ。

 だが、彼だけが原因とも言えないのが、今回の九校戦である。

 

「キリ君は、今回のルール変更をどう思う?」

「立場が違うから公的な観点では何とも言えませんが、僕はいいと思いますよ」

 その言葉に香澄は少しだけ驚いたが、理由をすぐさま問うてくる。

 

「端的に言えば、今年の各魔法科高校は図体が大きくなりすぎました。その図体を少しばかりスリムにしたい。見えていないものを見ておきたいというのが軍の考えなんでしょうね」

 

 謎掛けのような言葉、図体……それは入学者の数か、それとも2科を全高校に設けたことか―――。

 ともあれ、中央のステージに中条会長など多くの一高の実力者たちが、やってきた。

 それに合わせるように中央ステージには、9つの通信映像装置……物理スクリーンタイプのものが上方に設置された。

 まずはじめに映し出されたのは、運営委員であり国防軍の士官。知らない顔ではない藤林響子が出てきた。

 そして―――此度の九校戦に関して話し合われていく。

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「つまり運営委員会としては、全魔法科高校から『自校選抜』されなかった選手たちの実力を見たいから、箱根駅伝や出雲駅伝などで見るような『学連選抜』を遠坂君たちに率いさせたいと?」

『大意としては、それで間違いないですよ。もちろん、一高で選手選考から漏れた人も当然、登録可能です。出来ることならば、多くの魔法科高校から選抜してほしいものですけどね』

 

 舌鋒鋭くというほどではないが、こういう『代表選考』に一家言ある陸上部の千代田風紀委員長の言葉が、スクリーンに出てきた藤林響子に届けられた。

 だが、響子の言葉は事務的だが裏側の事情を知らせるものであった。

 

「質問なんですが、各校で何かしらの事情があり、欠員や競技辞退が発生した場合、出場してもらいたい選手が『学生選抜連合』に登録されてある場合、優先すべきなのは―――」

『それは不可能です。今回の九校戦では出場選手・登録エンジニア―――補欠人員も含めて、予め運営委員会に提出してもらいます。その人員を欠場選手の枠に収めるのは可能ですが、学連選抜に選ばれた場合、そちらで競技継続となります』

 

 中条会長の質問を途中でぶった切る形で非情かつ無情な結論を告げられる。

 

『当然、これに違反した場合、相応のペナルティが発生すると覚悟するように』

 更に追い打ちを掛けるようにして、そんなことを『サゲマン』は言うのだった。

 

「……藤林委員に聞きたいのですが、大学駅伝などで見る学連選抜の類はいわゆる本戦出場枠を取れなかった大学の優秀選手を集めたものです。ですが、今回の遠坂君とシールズさんを中心にした学連選抜は……ちょっと状況が違うんじゃないでしょうか?」

『つまり?』

「仮にこれで―――僕たちが選ばなかった『あぶれ者』たちが、学連選抜で『好成績』を残せば、それは僕たちの見る目の無さと見られ、彼らも……元の学校であまり良く思われないんじゃないかと……」

 

 五十里の戸惑うような質問は未来を先んじたものだ。だが、その可能性は無きにしもあらずではあろう。

 

「見る目の無さに関しては、これから起こり得るかもしれない僕らの無能・見識の無さということで、この際構いません。ですが、後者は――――」

 

 再びこのような分裂を生み出すことの悲しさを五十里啓は訴えた。大画面スクリーンに映し出された響子は……。

 笑っていたのだった。本当に心底の『あざ笑い』が、そこにはあったのである。

 

『流石は五十里家の長男、所詮はゴジュウリ程度の先まで見えていませんね。何とも浅い結論です』

 その若輩とはいえ他家の長男を笑う姿勢に、というよりも婚約者で彼氏をバカにされたことで、千代田委員長が食って掛かる。

 

「啓は真面目に考えましたよ! それのどこに浅さがあるんですか!?」

『主にあぶれ者云々というところですかね』

「―――え?」

『私も九校戦の参加者であり、優勝経験者です。だからこそ、この視点に気付けなかった―――どんな形であれ力試しをしたい魔法師は多いということです』

「―――つまり……愛校精神よりも、そちらを優先する人間もいると?」

『そういうことですね。これは九校戦そのものの宿痾とも言えますが、九校戦は他の高等学校競技大会に比べて『甘すぎる』ということがあります』

 

 藤林曰く、他の魔法競技にしてもそうなのだが、競技人口に対して設けている大会規模がデカすぎるということだ。

 

『野球・サッカー・バレー・硬式テニス・卓球・柔道……サッカーとテニスに関しては外部のクラブ優先ということもありますが、文部科学省としては、地区予選などを勝ち抜いてからその上で全国区の大会に出場出来る他の高校スポーツに比べて、魔法科高校のそれはぬるすぎるという意見が大意なんですよ』

 

 その言葉に憤りとも怒りとも、はたまた悲しさとも取れるものが渦巻く。

 だが冷静に考えれば挙げられたスポーツは、『特異な才能』がなくても、腕と足さえあれば、誰でも出来る。

 義足・義手の選手も時には出てくるぐらいには、誰でも出来て、けれど熟練するには確かに不断の努力と何かしらの才能は必要だろう。

 

 だが、魔法科高校の『魔法競技』というのは、『魔法』が使えるという前提条件に立たなければ、そもどうしようもないという面があるのだ。

 魔法は、『才能』ありきという現実にしか立たないものだから、結局……見ている人々にとっては腕と足で再現できないものとしか映らないのだ。

 

『文部科学省としても、まさか設立から30年以上も経ちながら、一校も増えないなんて思わなかったのでしょう―――それだけ魔法科高校の教員というものが、魅力的な就業先でなく、右肩上がりで増えなかったということでもありますが』

 その言葉に教職員の方々は恥を知ってしまう。

 

『ですが、私とて国家公務員とはいえ、魔法科高校のOG。このまま嫌味な文科省のクソ野郎から『魔法師はホグワーツでカエルチョコレートでも食わせとけ!』などという増上慢な言動を許せるわけもなく、このような次第となったわけです』

「キョーコ、それはムリがありすぎるような……」

 

 この場では唯一のご親戚が、そんなことを言うが……刹那は、その裏側を見抜いた。

 防衛省としては、出場チームを増やすことで、実戦的な場で多くの魔法師を見てスカウトしたい。

 文科省としては魔法師関連の『癒着』『甘い汁』を継続したくて、学校を増やすことは出来ずとも……。

 チーム数を増やすことで、『外』からの批判を躱したい。

 そういう『裏』を見抜き、そして何より―――この事態、裏側で三味線弾いている存在を見抜いた。

 

(響子さんのこの言い様じゃあ、決定が覆りはせんだろうな……)

 

 昨日も家で考えていたことだ。そして、一高としては、自分たちを引き止めたいというか、戦力削小なんて冗談じゃない。

 そういう話である。まぁ当たり前だ。

 だからこそ……。

 

(ヤルのね?)

(ヤルんだな!)

(ヤルんですね?)

(ヤリますか!!)

 

 米、英、埃、仏からの念話……一番血の気が多いのが仏であることに、少しだけ恐ろしさを覚えつつも、こうなれば覚悟を決める。

 遠坂刹那、一世一代の大演技! こなしてみせようぞ!! 

 

『で―――私としては刹那くんの心を聞いておきたいわね? アナタに選抜チームを率いる覚悟がある?』

 

 そんな覚悟を決めたタイミングで響子の面白がるような質問。そして何故か三高だけがノイズを映して、他の魔法科高校と通信が繋がった。

 居並ぶ面子を前にして―――刹那は……。

 

「ここまで仲間外れにされると、いっそのことせいせいしてくる……いいだろうさ。今から俺はこの国全ての魔法科高校の敵となってくれる!!!!」

「せ、刹那!!??」

 

 驚愕の声を上げたのが、達也であることが少し刹那的には驚きだが、ここで感情を見せるわけにはいかない。

 その後には大講堂の全員から『どよめき』が湧き上がる。

 これが俺を後押しする。

 

「あんたらお役所の思惑で、俺たち『外国籍』の魔法師を諸共に、『はぐれさせる』『外に追い出す』ってのならば、いいさ。俺たちは俺たちなりに九校戦の台風の目になってやる!!!!」

『そ、そんなにまでも怒らなくても……私の考えは伝えたじゃない―――』

「発端はどうであれ、その端緒として俺たちを『違うもの』だとして、ひとまとめにして一高から追い出すってんならば、くさくさした想いも溢れる。目的が崇高だからと、手段が外道の下策だとするならば、それは途端に腐臭を放つものだ」

 

 刹那の言葉は確かに『その通り』であった。一度は響子の目的意識や文科省の思惑に、それなりの『納得』をしていた人間は多いが、そもそも……通達された内容が、あまりにも『無情』なものだったから、こういう話し合いの場が設けられたのだ。

 

「箱根駅伝やニューイヤー駅伝で走る外国人ランナーの区間記録を登録しない程度のことならば、まだ黙認したんだがな」

『そ、そういうわけじゃないんだけど!!!』

「俺が怒っている理由が、響子さんには分からないんだろうな……アンタ、俺が誰の恋人なのか分かっているだろうに」

『リーナに決まっているでしょ! だから―――』

「アンタのやったことはリーナの祖父を日本から追い出したことと同じだと言っているんだよ!! アンタそれを一度でも考えなかったのか!?」

 

 その言葉は最大級の『口撃』であった。流石の響子もそれにはたじろがざるを得なかった。

 

「公的な理由があれば、そういうことが出来るとは……流石は九島烈の孫だな。アンタも」

『……いけずなこというわぁ……』

 

 もはや響子もグロッキーであった。

 思わず京都弁が出ちゃうぐらいには、疲れ果てていった。

 しかし、ここからが刹那の真骨頂であった。響子と刹那だけが舞台を作り上げていく。その『意』が全員を引き込む。

 

「だが、選考から漏れた『はぐれもの』が出て、それの真の実力を知りたいという考え……同調は出来ないが、考えそのものは面白い」

「面白いってお前……」

 服部会頭の愕然としたような声を聞きながら、刹那はそこで告げた。

 

「俺としてはここいらで、ちょいとナンバーワンというのを決めたいと思っているんですよ。ガッコーでのナンバーワンじゃない。(パーソナル)としてのナンバーワンだ。その為には、一高という枠組みから出て戦う。全ての九高のテッペンと争う―――その機会が欲しかった」

 

 傲岸不遜。そんな言葉が似合う刹那の宣言。確かに、刹那は魔法科高校においてナンバーワンというに相応しい。

 いや全魔法師の界隈においても、こいつに『サシ』で勝てるものなど、そうはいない。

 そんな男が遂に……誰かの下ではなく、個として立ち上がる。

 その事に様々な感情が呼び覚まされる。だが大意としては―――。

 

『どんな形であれ、こういう場を求めていた』

 

 鼻っ柱が強い魔法師ばかりの世界、その中でもこの男と戦うことを望んでいた面子は男子では多い。

 女子はちょっと違うだろうけど。

 

(まぁそれ以外にも―――そういう風に言っておかなきゃならないんだろうな)

 

 これからヤツは『はぐれもの』たちを束ねなければならない。

 ―――弱気では務まらないことだ。

 ボスの器である。望まれれば、そういう風なことも出来るのだろう。とんだ役者でありファイターだ。

 

『ならば、この提案でいくのね?』

「ええ、昨日の夜にルール等々は熟読させてもらいましたからね。了承します―――他の4人からも同意は得られました」

 

 その言葉で4人の美少女は椅子に座りながらも親指立ててGJと無言の笑顔で、刹那に着いていくことを了承していた。

 雫の不機嫌が増す……。

 

「ただ一点―――学生選抜連合なんてダサい名前はよしてもらいましょう」

『ならばなんてチーム名にするの? 出来るだけ分かりやすい名前にしてね』

 どんなチーム名なのか……まさか遠坂華撃団なんて名前では―――。

 

「チーム名はエルメロイ教室、またの名をチーム・エルメロイで通させていただきましょう」

 その名を告げた時に、懸念が消えると同時に、どこからともなく大きな鐘が鳴り響く音が聞こえた気がした。

 

「そしてエルメロイ教室のキャプテンはおれです。おれがキャプテンです」

 親指を自身に向けて、そう宣言した刹那。もはや決は出てしまった。

 そして何より、この事態……決まった時点で、こうしようと思っていたなと気付かされる。

(色々あるが……どのような形であれお前と戦えることを俺は望むさ)

 一度だけ面白がるような視線をこちらに向けてきた刹那。

 それに苦笑する達也。

 チーム・エルメロイの戦力がどうなるかは分からない。

 千両役者(ドラフト指名)だけでいいチームが出来るとは限らない。しかし、自分たちが選ばなかった連中を選んで、勝ちに来る―――それを楽しみにするのだが……。

 

 その前に最大級の問題が降りかかる。

『なんやっかあああ!! どういうことねんて!! うちかてまざりたか!! ぐっすいけええええ!!!!』

「アイリス、言いたいことというか、何を考えているかはは分かりますが、もう少し明朗な日本語で」

 

 ようやく繋がった三高のモニターいっぱいに映し出された金髪の美少女の泣き顔に、もうなんていうか全員して居たたまれない。

 一応、親族であるレティが少しだけ戸惑うように嗜めるも、あまり効果はない。

 これが残っていた最大級の問題だ。

 

 たとえ、刹那本人が『はぐれもの』を自称して、あぶれものを束ねるとはいえ、自校の勝利よりも自分の気持ちを優先する人間がいるのだ。

 つまり―――、刹那を個人的に慕う人間がいれば、それが、他校のエースであれば、こうもなる。

 決戦よりも、共闘したい。その想いを持つ筆頭がこの金沢の姫騎士なのだった。

 

 響子との話し合いが終わると同時に第二ラウンド。 各魔法科高校との話し合いが始まる……。

 

 

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