魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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型月稿本のパケシ及びケータイさんの項目を読みながらスタママなどを聞くと。
ああ、そういうことねと気付かされることは多々ありつつも、まほ箱の完結編が聞きたいと思いながら――――――。

知ってしまった衝撃の事実。

ダイヤのAが連載終了になるとのこと――――――いや、act3は!? というか雷市との再戦というか雷市の復活とか……。

まぁ、果たしてどういう形になるか。意外と新連載として薬師視点での西東京大会が橋の下のバットマンのリメイクなど考えると青道が負けることもあり得て……まぁそもそも沢村も不穏な感じで……今週は要チェックだな。


第335話『踊る大魔法線』Ⅳ

 

 

乗り慣れたスポーツカー。九島家所有のリムジンに乗ってばかりだった周公瑾にとってそれは、昔なじみの『自動車』であり、懐かしい感覚を覚えるのであった。

そのケツの振動とハンドルの感触を楽しんでいた周は、ようやくのことで目的地に着いたことを少々残念に思いながらも……。

 

(九島真言の手勢を排除しながら、何とかデミサーヴァントに『蟲』を着ける、か)

 

これからの困難を考えると、どうしても不安がよぎる。

いざとなれば、50年以上もの寿命で手にした僵尸を開放して……。

 

などと決行前の不安に陥っていた周は、己に迫る脅威に無頓着であった。

それに気づいた時には遅かった。

 

音速の『矢』―――、放たれたそれを前に、洒脱なスーツの裏に張り巡らされていた呪符が即座に反応をして自動防御―――大陸式のそれを発動させようとするも、矢は周の『魔力』に触れた瞬間に、それらを無為に帰す。

 

同時に矢は周の身体を痛めつけるだけの破壊力を備えて、懐から出そうとした呪符の類が出せないかのように体の自由が奪われる。

 

一矢にして三つを奪われた。片腕が全て破壊されたあとに衝撃が総身を駆け巡る。

 

周はそれを知らなかったが、魔術世界では『魔術師殺し』と呼ばれる男の放つ、『魔術回路』そのものに瑕疵(キズ)を与える魔弾と同種のものであった。

魔術刻印でもあれば即時の身体回復もあり得る。マナ澱みとでも言うべきものから体を動かすことも出来た。

 

だが、次弾が来ないという前提に立てるわけもなく、周はとっておきを出すことにした。

 

「コードNFF!!! コードNFF!!! 保険の適用を要請しましょう!!!」

 

その言葉は最後まで言いたくなかった禁忌の言葉。だが、この窮地を脱するためには、これしかなかった。あの狐―――妖狐妲己ともいえる存在を呼び出すことが出来る言葉は―――。

 

「ご契約いただいて、使われないと思っておりましたが、ご使用いただきありがとうございまーす。ナインフォックスファウンデーションのCEO自らやってまいりましたー♪」

 

言葉のあとに強烈な圧と共に現れる『コヤンスカヤ』。その衣装は、インドの女性が良く着る民族衣装『サリー』を羽織っていた。

 

「あらあら周さんってば、随分とピンチな状況。何を為さりに、こんな辺鄙な賑わい1つもない場所にやってこられたので?」

 

こちらの怪我の度合いと呼び出された場所に疑義を呈する狐に、苦笑いを返しながら答える。

 

「この建物の中にいるモノを奪いたいのさ……だが、どうやら何者かに私の行動は読まれていたみたいでね……」

 

「さらに言えば、建物のガードマンならぬガードガールたちも警戒態勢に移っている様子……これはピンチ!! イッツ・ア・ピーーーンチ!! そんな状況も私どもにかかればいっちょ解決!! ではでは、護衛を付けてあげますので、いっちゃってくださいな♪」

 

ご料金は貰っておりますので―――という付け加えられた言葉に一抹の不安を覚えながらも、応急処置的に回復をした体を動かして、九研へと突っ込むのであった。

 

 

 

 

一矢で仕留めきれなかったのは非常に残念ではあるが、出てきたのが特級の獣であるというのならば容赦はしない―――としたいが、今回の行動は隠密作戦なだけに、あまり大規模なことはしたくないのだが―――。

 

「何を止まっているんだマスター! コヤンスカヤを突破して周とやらを止めるんだ!!」

 

セイバーからごもっともすぎることを言われて、刹那は動き出すのであった。

 

「行くぞ!!」

「お前と一緒に行動すると、隠密作戦とやらが大作戦になってしまうんだな」

 

たまには静かに終わらせたいのは俺だって同じだと言いたいが、ともあれ、獣が現れたのならばやることは唯一つ。

 

「飛ばせグガランナ!!!」

 

言葉に従って、グガランナは自分たちを九研まで飛ばした。結構乱暴な手際ではあったが、文句は言えない。

 

「刹那、どうする!?」

 

飛びながらも意思疎通は可能であり、達也から言葉がかかる。

 

「お前と真由美先輩は中へ入れ!! アーサー!! お前は彼らの護衛だ!!」

「承知したが、中にいる周と接敵する前に九研の人間たちとも接触するが!?」

「極力戦闘は避けつつ! 周を倒せ!!!」

「かなり無茶を言うな!! ただ困難を乗り越えてこその最優のサーヴァントというものだ!!!」

 

言いながらも真由美先輩を姫抱きしているアーサーは、それを困難だとも思っていないようだが。

 

「セツナん! 私達は当然フォックス相手ね!?」

「そういうことだ!!! 武蔵ちゃんも頼んだぞ!!」

「オッケー!! サーヴァントとしての初仕事こなしてみせるわ!!」

 

九研の入り口に降り立つ前に、武蔵ちゃんは剣を両手で『下』に掲げながら飛んで行く。

 

狙いは―――コヤンスカヤ!

 

ミサイルのようなそれを前に、コヤンスカヤは防御するように桃色のミラーコートを展開。剣撃を防ぐも、それでコヤンスカヤは拘束された。

 

「行けっ!!!」

 

降り立つ前に先制攻撃を掛けられたことで、コヤンスカヤは武蔵ちゃんの攻撃に対応せざるを得ない。

その間に、達也たちは九大研究所に入り込んでいく。周に対する仕事の態度は……。

 

(あまり良くないようだな)

 

達也達を見逃すその態度から察するに、周のやろうとしていることをそこまで守ろうとはしていないようだ。

武蔵ちゃんの剣撃は確かに苛烈なものだが、やろうと思えば、何か出来るだろうに。

 

「ならば、ここで仕留めるだけだ!!」

 

セイバーのカードをインストール(夢幻召喚)。再現されたのは、大戦士王シグルド。光剣を手にして武蔵ちゃんへの支援を開始。

 

「おのれっ!!!」

 

桃色に輝く尾が巨大化して軟鞭のように振る舞われるも、光剣はそれを迎撃。斬れることはないが、それでもダメージはあったようだ。

 

「ナイスね!マスター!!」

 

二刀流✕2で四刀の凶器の脅威を前に狐は苦慮するも。

 

「―――燃えろ!!!」

 

呪術という『魔術』とは別種の『ソーサルプログラム』が、武蔵ちゃんと刹那を焼くも。

 

「炎なんかに負けるかっ!!!」

「なんですって!? この剣士っ!!! 相当な耐熱処理が為されている!!」

 

チャイナドレスの剣士は、コヤンスカヤの火炎などものともせずに、距離を詰めて剣撃を放つ。

 

「俺とて同じだ!! シグルド殿の耐久力は伊達ではない!!」

「まぁそちらは理解していましたけど」

 

すげない返答を受けながらも刹那は、大剣に変化させたグラムを振るって攻撃を再開。

 

距離を踏み込ませまいと細かな攻撃が再開。

魔弾とも何とも言えぬ桃色の光弾が高速で放たれる。

迎撃、そしてその身に刃を食い込ませようと剣を振るう。

 

光速の挟撃がコヤンスカヤの前後を襲う。

 

そして――――――上から弾丸が襲う。

 

飛翔(・・)するジェーンが、狙い撃ち(クイックシュート)を放っていたのだ。連射されたそれがコヤンスカヤの注意を惹いた。

 

「このマアンナストライカーすごいよぉ!! さすがはイシュタりんの『弓』にして『船』! マアンナ号のような速力と砲力を再現している!!」

 

カラミティ・ジェーンが何か巨大な推進浮遊機構を背負いながら、コヤンスカヤの上方(あたま)をおさえていた。

 

「厄介なものを!!!」

「GOGO!! ムサしゃん! セツナん!!」

 

エールを送るようにそんな事を言うジェーンからの支援砲撃。

 

「マカリオスくんからの支援砲撃を思い出すわ!! じゃんじゃんやっちゃって!!!」

「意味はわかんないけどラジャー!!」

(記憶を思い出しているのか?)

 

武蔵ちゃんの何気ない発言に注意しながらも、地中から戦車のようなものを召喚したコヤンスカヤと対峙する。

瞬間、九研で巨大な魔力が発露するのを認識したあとには―――。

 

「伏せろっ!!!」

 

現代魔法の研究所。多くの魔道を研究して、時に遺伝子すらも弄り、古式の魔法師達を騙してきた悪徳の城が―――。

 

内側から爆裂した。

 

その(さま)、正しく―――。粉砕!玉砕!大喝采!(CV シグルド)

 

…と言うにふさわしく盛大に破裂を果たし、その破裂に巻き込まれまいと身を低くすることしか出来なかったのである。

猛烈な瀑圧に晒されながらも、破裂の中央に眼を向けていた刹那は――――そこに誰かがいることを見つけた。

 

そして、誰かもこちらを見ていることに気付いた。

 

 

 

 

 

そんな九研大爆発の事実を語るには、達也たちの視点が必要になる。

入り込んだ九研は完全に『異様』だった。こんな場所を連盟から奪ったあとにも使っていた『事実』に怖気を覚える。

 

「醜悪だな……」

「えっ? 何か見えているんですかアーサー王?」

「いや、レディ。僕の勘違いだった―――気にせず進もう……高速で、ね」

 

達也以外に櫻井アーサー(?)も気付いたようだが、真由美先輩を気遣ってか必要以上のことは言わずに済ますようだ。

乱闘をしながら進んでいる、周と九研のガーディアン達。あちこちでその痕跡が見られながらも、それを追っていくことでしか目的地にたどり着けない。

 

コヤンスカヤの用意した傀儡が相当に強力なのか、それとも何かの狙いがあるのか。それは分からないが、奥に進むにつれて―――。

瘴気―――とでも言うべきものが強くなっていく。

 

間違いない。連盟はここをブービートラップにして九島家に明け渡したのだ。

 

「ど、どうなっているのかしら?」

「周が奪取しようとしているサーヴァントは、恐らく施設の深奥にあるんでしょう。そこに歩みを進めていますが―――」

 

ズガンっ!!!! がガンッ!!!!

 

もはや明確な戦闘の音が聞こえてきた。この九大研究所の警備部隊の数がどれだけいるのかは分からないが、それでも―――。

目の前に死体こそないものの、あちこちで行われただろう戦闘の後のとんでもない破壊跡を見れば、良く分かる。

そして最後の関門というわけではないが、周かコヤンスカヤか分からないが、誰かが閉じただろう魔術扉(マギスロック)が存在していた。

 

「あの封印扉。壊せるかい?」

「何かのトラップを考えなければ」

 

視覚的な視え方では多面体をいくつも積み上げて出来た扉。レゴブロックを使用して出来た作品のようなそれに対する懸念を、達也はアーサーに伝えた。

 

「分かった。レディ、少しだけ降りていてくれ」

 

ここまで姫抱きで走ってきた真由美先輩を下ろしてからアーサーは、姫抱きの最中にも手放さなかった剣を両手で持って―――。

 

「―――龍王鉄槌(ドラグストライク)!!!」

 

赤光であり灼光の斬撃を放ち、扉を割り砕いた。

 

瞬間、視えてきたのは……。

 

(オーン)(オーン)!! 溫溫溫(オーーン)!」

 

大陸式の術を繰りながらも僵尸を殺到させんとする道士。それに抗するべく、少女のような姿をした―――というより少女にしか見えないガーディアンたちが、防衛をしている姿であった。

 

防衛をしているものは―――。

 

「ゲェーッ!!!」

 

柄にもなくアーサー王が驚いてしまうのも無理はない。

 

ガーディアン達が守っていたものは―――アルトリア・ペンドラゴンの顔をしたデミ・サーヴァントだったからだ。

戦いの激しさを感じていないのか、円筒形のカプセルに満たされた液体の中で浮遊する女は、眼を閉じたままだ。

 

そんな達也の推測とは違い、アーサーの驚きの原因は少々違っていたが、事態は動く。

 

「どちらに加勢するの?」

「当然、少女の方でしょ!!」

 

「―――四葉達也! 七草真由美!!」

「お見知り置かれていたみたいで何よりだっ!!」

 

分解魔法を掃射することで、僵尸たちを塵に返していく。だが―――。

 

「侵入者」「コロス」「ターミネート」

 

ガーディアンの方からは味方と認識されなかったようだ。鳥のような衣装を身に纏う彼女らの攻撃が達也達を襲う。

 

「もう! 本当にいきあたりばったりでこんなことに!!」

 

真由美が嘆くのも無理はないぐらいに、広い室内―――ちょっとした講義室ぐらいはあろうかという場所で炎が襲い、氷結させんと現象がこちらに襲いかかる。ガーディアンガールたちに対抗するも……。

 

達也はその少女を見る度に、誰かを思い出す。

 

(日比乃に似ているような気がする……?)

 

魔力弾を放つガーディアンガールに対して妙な印象を覚えてしまう。達也はアーネンエルベのオレンジメイドに似ている気がするのであった。

だが、その攻撃が圧していたはずの周への圧力を分散させてしまう結果になり……。

 

「これぞ天佑! 天運!! 機を逃さず、情に縛られず、初志を貫くものにこそ天運は転がり込んでくるのだ!高祖 劉邦の志を私は覚えているのだ!」

 

周という名字から華南地方の人間だと思っていたのだが、それはともかくとしてカプセルに足を早めて進んでいく周は、懐から何かを出した。

それは、達也の目には虫―――芋虫のようなものを収めている筒に見えた。

 

それがカプセルの傍で解き放たれて―――アルトリア・ペンドラゴン(?)だろう姿のデミ・サーヴァントに向かおうとした瞬間。

 

―――カプセルの中のデミ・サーヴァントは眼を見開いた。

 

その眼が憎々しげに嫌悪に染まっており、そしてその虫ごと―――周の腕が焼失した。

 

「―――!! 火眼金睛で―――ぎゃああああああ!!!!」

 

レジストする間もなく片腕を失い、そして悲鳴を上げた周、そしてその後には……カプセルの中のアルトリアは魔力を最大級に溜め込む。

 

「ま、待ってくれ!! 姉上!!! いや、本当に姉上なのかどうかは分からないが、その魔力の高まりは―――」

 

――――はや辿り着けぬ理想郷(ロードレス・キャメロット)――――

 

そして、九研を内側から炸裂させる「大爆発」が起こるのであった。

 

 

 

 

 

「―――あなたが私の夫と見受ける。ルーラーのサーヴァント 『モルガン・トネリコ』ここに憑坐を借りて現れました―――」

 

「では、まずはここに、すごく大きくて豪華な城を建てましょう。ここにある瓦礫の山と、周囲にある森の木々と、山々の土を利用すれば可能でしょう」

 

「……ふふふ。腕が鳴ります。そして何よりこの身に充足するブリテンの魔力……きっと我が夫は、色々とやってくれたのだと気付けます」

 

そうして……好き放題言ってくれる御仁……本人の自己申告どおりならばサーヴァント・ルーラーの言葉を受けながらも……。

 

「とりあえず―――逃げるぞ!! 『幼女』よ!!」

「むむっ、どういう意味ですか?」

 

心底の疑問を持っているサーヴァントに答えつつ、アーサーの反応を瓦礫の山から感知して呼びかける。

 

「今の君はサーヴァントとしては確実に弱体化しているんだ!!! 戦略的撤退だ!!」

 

瓦礫を押しのけて現れた内部突入組のそれなりの無事を確認してから、なんでこんな大事(おおごと)になったのかと、驚きながらも―――。

グガランナを山から呼び寄せて、全員を乗せるのだった。

 

「逃げ出していいのかしら?」

「まぁマズイでしょうが、周の目的だったサーヴァントがこちらに渡り、同時に九研が大爆発……申し開きのしようがない」

「四葉所有のホテルが奈良にあるし、予約は取ってあるからそちらに先ずは行こう」

 

達也の言葉で、とりあえずの行き先は決まるのだった。そんな若人たちの活躍のほどは、既に奈良に入っていた黒羽の人間たちにも筒抜けであった。

 

各所から送られてきた映像の中に映る―――遠坂刹那の背中に『抱っこ』されている『幼女』こそが件のサーヴァントであると気付きつつも……。

 

騒ぎの大きさに黒羽貢及び七草弘一、そして九島家の関係者達(一部除き)は、烈を筆頭に卒倒してしまい、事は事後処理に移る……。

 

 

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