魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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全く関係ない話なのだが、新撰組の衣装のモデルとなった赤穂浪士がサーヴァントとなることはないのだろうかと、雪降りの12月14日に思ったりした。

そして……肺がんの治療か。辛かったろうな。色んな燃えるソングを歌ったヒトが逝ってしまった。
水木一郎アニキ……お疲れ様です。そっちに行った時にもう一度聞きたい歌声だ。




第342話『魔法の宴 序章』

 

 

変身魔法ないし変身魔術……一般的にトランスフォームマジック、メタモルフォーゼンと呼ばれるものでいえば、九島家での仮装行列(パレード)―――最近では、遠坂家という新興の家が発掘した『インストール』『ポゼッション』というものもある。

 

そして後藤 狼の『強烈な我』を持たない柔軟性溢れる特性は彼を変幻自在のマジカルスター(真)に進化させていた。

 

「多分だけど後藤くんに『モソキーターン』と『ゴノレゴ13』を読ませた上で、というか読んだな!? 5−10!!!」

 

何者にも染まる特性を持った彼は、競技特性に合わせた『MANGA』を読むことで、それに影響されるのだ。

 

(現代魔法師としては、何とも納得しがたいが)

 

エイミィが、拳を握りしめてここまで力説する以上、1科生の間でも共通認識なのだろう。

 

「ど、どうすればいいんだ!? 司波君!!」

 

「―――勉強してこい。というのも無情すぎるが、もはや開き直ってスピード勝負でいけ」

 

「それはつまり……ロケットで突き抜けろ!と!?」

 

これまたレトロなMANGAの名前を出してきた五十嵐に対して、その欠点を告げる。

 

「スピード勝負に今更切り替えるという完全にギャンブルだがな。伸るか反るかだぞ?」

 

「うむむむ!!!!」

 

頭を反らしてまで知恵を巡らせている五十嵐。頷くに頷けないことなのだろう。

 

「まぁバイアスロン部としての選手経験上、そういう戦いは好かんだろうから、お前に任せるさ」

 

結局の所―――五十嵐鷹輔が選んだのはスピード勝負のギャンブルであった。

そもそも緊張しいであり、本番に弱い『毛利小五郎』タイプな彼は開き直ってシングルタスクに打ち込ませた方が良い結果を齎すのである。

 

よって――――何とか三位に滑り込むことに成功するのだが、1,2位(ワン・ツー)は不動のまま。ナンバースリー付近がかなり入れ替わっていき、結局五十嵐は四位でフィニッシュとなるのだった。

 

 

「すまないでござる―――!!! 一番槍の務めをこなせなかった!!!」

 

「二位入賞のポイントゲットだ。誇れ誇れ!!!」

 

「SAWでは後藤君の仇を取るさ!! 一高2ーBの一員―――いやチーム・エルメロイの一人としてな」

 

手を合わせて顔を伏せる後藤君を全員して歓待しつつ、女子ソロを見ていく。

 

「どうやら後藤と七高の神奈の走りが、いい爪痕になっているようだな」

 

「ええ、出走者は全員がペースを乱している。練習時に採用した本来の戦術とは違うことをやろうとして、不調を来していますね」

 

参謀役であり、技術主任たるシオンの言葉。女子ソロの出走者……七高とチーム・エルメロイ以外は、ものの見事に混乱させられている。

 

トップスピードレースを練習したこともないのに、いきなりそんな出走スタイルを取るなど不可能。

 

「ふふふ! まさしく此処こそが巌流島!! 船島での戦いを制するものこそが、藩の指南剣士になれるのよ!!!」

 

特別コーチとして斉藤の指南役であった武蔵ちゃんという不詳の剣士……いや、本当に実は宮本武蔵なのではないかという疑惑を持ちつつある御仁の言葉を受けたわけではないだろうが、他の選手とは違い、光剣……というよりもスティックコントローラーを手にボートに『立つ』斉藤。

 

ボードのような平らな板とは違い、立つことの意味はあるのか―――、様々な疑問を乗せつつも……斉藤弥生のケンゴウゲットライドが水面を乱していくのであった。

 

――――――――

 

 

……そんなケンゴウゲットライドを魔法理論で解釈するに、後藤とは違った意味で達也は頭を悩ませる。

 

「ボート自体を己の『乗りやすい』『操りやすい』乗り物に『改変』した上で、持ち手の剣を『オール』()も同然に虚空で振り回すことで、さらなる推進力を得ながら進む」

 

「神奈選手と同じでしょうか?」

 

中条会長の疑問はもっともであるので、少しだけ解説をすることに……。

 

「いいえ、斉藤のは明らかにチカラの『無駄』があります。まずそもそも如何にボートの形状が定形通りとはいえ、水上を推進するという目的一点だけならば、現代魔法は当たり前のごとく、移動魔法で駆け抜けていく方がいいですよ」

 

現代魔法のエイドス改変において、物体・質量の大きさはやはり術者の力量次第で、『出来る』『出来ない』が定められている。

 

だが、あえてそれを更に動かしづらいものにしてまで、動かす道理は存在していなかった。

 

斉藤がボートに被せた『モーターボート』のガワというのは、道理に沿わない。

 

「だが、そういうセオリ―を崩すのが、魔法の本義ですからね」

 

恐らく斉藤にとって、あの武蔵ちゃん(仮)の宝具なのかスキルなのかで、出てきて操るモーターボートこそが、操りやすい舟の形だった。

 

愛着とも言えるかもしれない。

 

その内心は分からない。だが、モーターボートの形を被せたボートで駆け抜けながら振るった剣が、衝撃波とも翔ぶ光刃とも言えるものを発生させ―――。

 

「女子ソロ1位か、いや剣術部の先輩として見るならば、スゴク嬉しいんだが、一高の一員として見るならば、複雑すぎるぞ」

 

―――最終的には七高と同じようにトップスピードのオールストライクアウトでフィニッシュするのであった。

 

競技種目がない桐原の嘆きは、そんな走りを見たテントにいる一高生たち全員の同意であった。

 

「シュート競技で、スラッシュザンバーとは、弥生ちゃんってば型破りさん♫」

 

訂正……明智エイミィだけは違う意見だった。

 

ともあれ、ハイスピードで駆け抜けることが本義となったことで、委員会側も配点を間違えたという苦悩をしていそうだ。

 

(だが、このロアーアンドガンナーの本義というのは敵陣地に対する浜辺への上陸作戦や洋上に浮かぶ船舶や水上から重要施設への侵入・制圧作戦の訓練が主な目的だ)

 

当たり前のごとく、ちまちま目標物などにかかずらっているよりも、先に敵陣に深く食い込むことこそが先決だろう。

 

火点の消火は、後続任せ。

速度こそが、制圧作戦の第一義なのだから……。

 

(だが、それでもここまでやるか?)

 

ペア競技の方でもこの調子ならば、どうなるか。分からぬままに―――。

 

それぞれの競技開始時間は迫っていくのだった。

 

 

「何とか男子ソロの三位は取っておけたね」

 

「ああ、だが……チーム・エルメロイ……ここまでやるとはな……」

 

正直、三高陣営としてはナメていた部分があった。

如何にこちらが選抜から漏らしたとはいえ、魔法能力では劣る連中を、ここまで仕上げてくるとは―――。

 

げに恐ろしきは、石を宝玉に変えると言われているロード・エルメロイII世の『魔法』か。それとも刹那の逆張り戦術・戦略か……どちらにせよスゴすぎた。

 

「七高とelmeloyの名前ばかりが目立っている」

 

ロアガンの上位入賞者の欄を端末で見ると、目眩がするほどに乱された形だ。

殆どの高校はこの2校の後塵を拝する結果である。

 

「まだ初戦なんだジョージ。あまり先制点だけで勝敗を決したと思うなよ」

「うん。そうだね将輝」

 

そう気落ちしていた参謀を持ち直させた一条将輝だが……少々気にかかることも出来ていた。

 

(会場の空気が……何というか、マズイよな)

 

判官贔屓的な空気とでも言えばいいのか完全にエルメロイ贔屓になっている。……そういうのを将輝は敏感に嗅ぎ取っていた。

 

この空気を一新するためにも、将輝が―――、三高の顔である自分が出なければならないのだが。

 

(今回は、男子ソロピラーズブレイク(2日目)まで出番なしだからな)

 

午後の部であるSAWでの同輩、先輩たちに期待をするしかないのが、少しだけ心苦しくもなる。

 

(こんな事ならば、正しい意味ではないが『埋伏の毒』として、一色をエルメロイに送り込めば良かったかもしれないな)

 

あまりにも下策だが、それでもこちらが好転出来る材料が欲しいのが将輝の本音であった。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

昼食……午後の部に入る前の小休止で、達也は『観客席』に寄越していた選手から、どういう『空気』であるかを、聞くことにした。

 

「あまりいい空気じゃないな」

 

苦い顔をしながらお握りを食らうレオの言葉に予想通りすぎて、ため息が出てしまう。

 

「やっぱりか」

 

「観客席におけるムードの差ってヤツだな。このままじゃ一気に刹那の作った『宇宙空間』『大劇場』に持ってかれるぜ」

 

テントではなく観客席でギャラリーの反応を窺っていた副会頭の言は、達也も予想していたが―――予想以上だった。

 

これ以上、流れを持っていかれては得点での逆転の芽云々ではなくなるかもしれない。

そういう……空気が、選手を萎縮させかねない。

 

ならば――――。

 

「頼むレオ、この流れを変えてくれ」

 

「言われずともそうするつもりだったさ」

 

四葉が大漢襲撃の際に回収した武器、そして九重寺からも借り受けたそれらを渡して副会頭と……そのパートナーたる修道女に運命を託すのだった。

 

 

九校戦、午後の部―――ロアーアンドガンナーが水の競技ならば、昼を越えて行われるこの競技は地の競技と言える。

 

「さぁて!!! ようやく出陣だぜ!!!」

 

セイバーアンドウィザードことSAWのウィザードであるモードレッドの威勢のいい言葉。第三試合であるはずだが、準備は今からやっておかなければならない。

 

レッドのパートナーである相津は斉藤の付き添いありで、使用する武器の検査をしてもらっている。

 

「あまり今から気合い入れすぎてコケるなよ」

 

「誰にモノを言ってるんだよ。安心してオレとイクオが優勝してくるのを待っていやがれ」

 

自信満々な顔をして、牙を見せてくるレッドに、刹那は苦笑する。

 

今さらながらSAWは、完全新規のペア競技だからか、特に性別による競技の組分けというものはなく、完全に『無差別級競技』となっているのだ。

 

正しく出来上がる戦場は『Bright Burning Shout』。マスターとサーヴァントのうわべの優しさより剣を見せろ。なものである。

 

「ふむ。モードレッド、戦に臨むものが、そのような衣装でいいのか?」

 

などと思っているとモルガン(幼女)が、どこからともなく現れて、刹那の肩に乗りながらモードレッドに問いかけた。

 

「いや、別にいいと思うんだけど……ダ、ダメなのだろうか? これで?」

 

「別に構わないと想うけどな……モルちゃん的にはダメなわけか?」

 

「ダメですね。ウィザード、メイガス、マギクスとして纏う衣装ならば、私が用立てたいのです」

 

刹那としては女子ペア氷柱でレティと出場する際の『衣装』を何とかしてほしいのだが―――。

 

サングラスを頭に掛けた赤黒のガンマンスタイルは、容貌が容貌だけに産みの母的な想いから『魔女っ子』らしい格好をさせたいのかもしれない。

 

そうしてモルガン(幼女)と押し問答をするレッドから意識を離して、モニターに出てきた第一試合の中でも……一高側に注目せざるをえない。

 

西城レオンハルトと言峰カレンが出てきたのだ。

 

 

 

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