魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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第七章は、アレか!! 恐竜惑星か!? フォロルとギラグールの対立 アッケラ缶みたいなの出てきたりするのだろうか。などと考えつつ、新話お送りします


第343話『魔法の宴 魔剣の章Ⅰ』

始まるSAWのステージは少しだけアイスピラーズブレイクに似ている。だが、砕くべきものは氷柱ではなく標準設置されている耐久値付きのシールド6枚。

しかも、魔法を投射するウィザードの前面に存在している。

 

ウィザードの攻撃を防ぐことが許されているのは、守護者にして使い魔(サーヴァント)たるセイバーのみだ。

 

(言峰のCADも万全、レオの方も仕上げた……あとは運を天に任せるのみか)

 

「言峰さんが乱射型―――相手が、どう来るかだね」

 

「五高ウィザード 寺沢……データはないですが、三年生の魔法力がどれほどかです」

 

五十里に言いながらも純粋な魔法力という意味で言えば、言峰の能力値は下手な上級生よりも上である。

実際、他の立候補者たちを色んな意味で『黙らせた』上でレオのパートナーに収まったのだ。

 

練習球というわけではないが、相手方にちゃんと魔法が『翔ぶ』かどうかを確認。

寺沢というウィザードもサイオン弾を一高側に飛ばしていく。

それはまるで嵐の前の静けさのように、ラリーの如く始まる。

 

「そういえば達也さん。カレンちゃんに登録した術式は何があるんですか?」

 

緊張感に耐えきれなくなったのか、ほのかが話しかけてきた。別に拘るものはないので正直に話す。

 

「特別なものはないよ。ただやはり直接的な現象改変術は禁止だからね。放出系の術が主だよ」

 

聞いてきたほのかにそうは言うが言峰もまた一廉の人物……刹那の世界で言うところの聖堂教会のエージェントであろうことは既に調べが着いている。

 

何かの『異能』(スキル)はあるだろう。

そしてそんなエージェントは刹那やエルメロイ先生ではなく、レオに張り付いているのだ。

その理由は未だに分からないが、それでも今だけは信を置くことにするのだった。

 

「それじゃ西城君の方は?」

 

「そちらもあまり、ただファランクスに関してはフィッティングしたかな。いざとなればレオには『盾』で防ぐように言っといたし」

 

「あっ、そうですね。いざとなればそういう障壁魔法で防ぐことも可能ですか」

 

セイバーは剣だけで、全てを防ぐわけではない。

時には『盾』を展開することもありなのだ。

これはちゃんと運営委員会にも確認したことで決して隣りにいる少女の『太陽拳』のごとく去年のようなルールの『穴』を突いたような戦術ではない。

 

そしてセイバーが『剣』を持つことのメリットを……。

 

(刹那は既に知っているんだろうか?)

 

そうであると確信しつつ戦いは始まる……。

 

シグナルランプが点灯していくにつれて互いのセイバーとウィザードが魔法を読み込んでいく。そして―――激発をしたかのように、魔法が翔ぶ。

 

距離としては彼我700m―――去年まであったクラウド・ボールのステージにも似ている。

 

だが、魔法を放つウィザードは高台(うてな)から放つ辺り、やはりピラーズにも似ている。

 

つまり……。

 

五高ウィザード寺沢は乱射型ではなく、『狙撃型』のようだ。

相手セイバーが防御できない速度で翔ぶ弾丸。すり抜けて敵のシールドを砕いていく戦法のようだが、レオの身体強化からの剣戟が、三連射のそれを砕いた。

 

驚く寺沢。軌道も様々に工夫をした火炎弾を、身体能力の強化だけで防ぐとは―――。

準サーヴァント級とも言える運動性能は、五高の度肝を抜いた。

そんな驚く寺沢に構わず、言峰は魔弾『フライシュッツ』を機関銃のように五高フィールドに打ち放つ。相手セイバーをが防御しきれない球数を放つが―――。

 

「舐めるな一高!!!」

 

威勢ある言葉で五高セイバー上川が、障壁と剣戟を組み合わせて、50発以上もの魔弾を迎撃した―――のだが、やはり打ち漏らしはあり、固定シールドに罅が入る。

 

昔懐かしのカードゲームで言えば、LP4000で400程度のダメージ。とでも言えるか。

 

聖子(しょうこ)! 西城が対応できない砲弾ブッパだ!!!」

「言われるまでもないよ! 大輔!!」

 

ダメージと防御されたことで、五高が対応を変えていくが―――。

 

「このまま続けますよレオ先輩」

 

「構わねぇ。打ち続けろ」

 

「では遠慮なく」

 

打ち合わせ通りを崩すことなく、カレンとレオは攻撃を再開する。

 

散弾のような攻撃が、五高陣に飛んで行く。

セイバーの妨害を乗り越えても飛んで行くように散弾は行くのだが。

 

流石に五高もそこは考えている。障壁魔法と剣戟でそれらをシャットアウト。

乱打戦には持ち込ませない。俺は崩れないと息を吐く五高セイバーだが、構わずにカレンは魔弾の散弾(シャワー)を飛ばす。

 

五高ウィザードは、レオを崩すべく強力な放出魔法を解き放つ。

 

地面を這う雷と上方から落ちてくる雷。スリザリンサンダースとサンダーボルトだ。

2つの系統魔法の同時使用というかなり高度なことをやってきたが、それでも……。

 

「俺じゃなくてカレンに向けてればまだ違ったぜ」

 

レオの防御が固く疾いと思ったことが仇となる。瞬間―――レオの周囲に積層型障壁が展開。

 

壁を展開して、その後に―――。

 

「返すぜ!!!」

 

『リフレクトアタック』として壁が受け止めた雷霆を神腕が打ち返した。

向かう先は当然、五高陣―――ウィザードの前に展開していたシールドの内の二枚が砕け散る。

 

『あんなのアリなのか!?』

『レオさーん!!!! サイコーです!!!』

 

観客席から聞こえてくる後者の声はともかく、前者の疑問に答えるように達也は―――。

 

「アリなんだな。コレが」

 

実を言えばルールに明記されている。

セイバーがホウキ(CAD)で発生させた魔法や剣を使っての衝撃波でシールドへの『直接攻撃』(ダイレクトアタック)をすることは反則だが、相手の魔法を『反射しての攻撃』(リフレクトアタック)は、『可』としているのだ。

 

「もっとも、相手の魔法を『反射』する魔法なんてのはない。魔法で出来た運動現象などを反転させる魔法はあるがな」

 

「けれど西城君の神腕は、それを成し遂げる」

 

「雷を視認するなんてのは、通常ならば不可能だ。ならば一度、壁で受け止めた上でそれを投げつけるのみ。あるいは剣に絡ませて打ち出すか。だ」

 

レオが十文字家に足繁く通うことになり、その上で会得した『盾壁』はとてつもなく重く、大きく、広いものだ。

 

一高を守る壁として―――、十文字おらずとも『山城の大盾』ありとして喧伝されただろう。

 

そして対戦相手の五高としては、たまったものではない。クイックショットは身体強化で防がれ、そして工夫した上下雷術は打ち返される。

 

そんな中でもカレンは仕事はきっちり行っていて、ショットガンのような魔弾で打ち据えており、防御しきれなかった魔弾はシールドに吸い込まれていく。

 

あれよあれよと言う間に、五高のシールドは既に五枚失い、最後のシールドもひび割れがあちこちに走り、風前の灯火だった。

 

「このまま!! ピエロで終われるかよ!!!」

 

何の爪痕も残せないままではいられない。五高の最後の抵抗が走る。

幾つもの魔法陣が展開して射出する物体を形成。火焔の玉が幾つも打ち出された。

 

系統魔法としては珍しいタイプだが無いわけではない魔法『ヴェスヴィオ・ボルケーノ』だ。

戦術級魔法として登録されつつあるこれは、最近になって出てきた『新しい魔法』と言える。刹那の『魔術』的アプローチから出てきたものであり、単純な火球ではない。

 

(火山弾のようなものによる発破だ。降り注ぐ火山弾の勢いは、通常の勢いではない)

 

普通に考えれば、火球を高速で打ち出せば、その勢いで火球の炎は飛び散る。それを防ぐための『中心核』として形成された『塵芥の弾』が存在している。

物理と魔的な威力を両立させたそれが、十数―――いや、数十も飛んでくる。

 

全てがレオに向かっているわけではない。その狙いは当たり前のごとく一高側に設置されているシールドである。

 

セイバーのフィールドは確実に通過している。

 

だが―――。

 

(届かせるな。一つたりとも!)

 

達也の内心での言葉を受け取ったわけではないだろうが、レオの幻手は仏像で見る観音様のような広がりを見せて、その手は武器を持ち火山弾全てを迎撃した。

 

「跳ね返すばかりが、俺の本道じゃない。受け止めることもその一つさ」

 

「まだまだっ!!!!」

 

「だが、そろそろ終わりだろうさ」

 

その時、五高は悟る。レオの背中(せな)が庇っていた敵ウィザードである銀髪の女子のチカラが、最大級に高まっていたことを―――。

 

「それではフィッシュならぬフィニッシュとさせていただきましょう」

 

カレンの手には玩具のような白弓があり、弓弦を引っ張った状態でいたのだ。

 

「ザ・フィッシング!!!」

 

言葉と同時に弓からは……頭がおかしくなりそうな『ピンク色』の光条が勢いよく解き放たれ、五高側に走る。

当然迎撃しようとする五高セイバー上川であったが。

 

「ぐおっ!!!!」

 

剣では受け止めきれないほどの圧は障壁すらも越えて、五高の盾に向かう。

 

「私のレオ先輩への愛の重さが威力へと繋がる。このラブアース・アロー。簡単には迎撃できませんことよ」

 

最後の方には無理やりなお嬢様言葉を使ったカレンであったが、言葉通り矢という名の光は上川を吹き飛ばし、それをシールドに届かせた。

 

威力は魔弾よりも高い。よってシールドは病葉よろしく砕け散った……。

 

「そんな!?」

 

五高も決して弱かったわけではない。寧ろ、オーソドックスに強い部類だったろう。

だが……規格外の『チカラ』を持つものたちを相手にしては、どうしてもリードが生まれなかったのが不幸の始まりだろう。

 

ブザーが鳴り響き、勝負は終了したのだと気付ける。

 

勝者と敗者の境界が刻まれる。嘆きの言葉を放った寺沢聖子が額を抑えて、少しだけ俯く。

 

―――完敗。

 

その苦さを噛み締めているのだった。

また上川大輔も、眼を瞑り少しだけ天を仰ぐようにして敗北を噛み締めている様子。

 

セイバーアンドウイザード 第1試合は、ロアガンのような混乱を見せず、されど大いなる熱狂を沸かせながら終結した。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

 

完全な力勝ちである。レオの得物は、流石に宝具ではないが、概念武装ではある。

 

おまけに柄、持ち手部分に巻き付けてある聖骸布……ヴァレンティヌスのそれが、力を倍増させて言峰からも供給を確かにしている。

 

(考えてやがるなぁ)

 

達也の入れ知恵なのか、はたまた2人で考えたのかは分からないが―――。

 

(こいつらが決勝まで上がってくるだろうな)

 

最大の敵が現れたことを認識するのだった。

そんな刹那の認識と同時に少しだけ気負うものもいるのを目敏く感じる。

 

(相津……レオを結構、意識しているな)

 

武器検査から戻ってきた相津が、がっつり第一試合の様子を画面越しに見ている。

声を掛けるべきかどうか、少々悩む―――が……。

 

「ミスター・イクオが、レオを意識する―――それは当然です。今は静観しておきましょう刹那。過酷な砂漠を行く旅人には、水を差し出すことだけが手助けではありませんから」

 

「己で喉の乾きを癒やす術を見出だせ。ということかな?」

 

参謀役であるシオンの言葉の意味をそう解釈すると頷く。

 

「ナアム、今はあえて言葉を掛けずに―――掛けるべきは、レッドの方ですね」

 

「成程―――しかし、意外だなシオン」

 

「理屈と計算だけを頼みとする錬金術師らしくないと言いたいならば、それは誤解と不見識というものです刹那」

 

こちらに長いおさげが垂れている背中を見せながら口を開くシオンは、きっとスゴイドヤ顔をしているに違いない。

 

「つまり?」

「日本のことわざ『風が吹けば桶屋が儲かる』ということを計算しているだけですよ」

 

くるんと反転して言うシオン、口元をおさげの先で隠しながらイタズラっぽく言われたことで、更に成程と思いつつ―――。

 

「助かるよ。キミにいてくれると」

 

世話焼きがちな刹那を少しだけストップしてくれる彼女の先読みは素直に嬉しかった。

 

「そう言ってくれると何よりですね。ただ私も女子ソロピラーズがあるので、いざとなれば『頼らせてもらいますよ』」

 

「CADの整備は俺よりキミのほうが……ああ、そういうこと、か」

 

本戦女子ソロに登録された面子の中でも最大級に『ヤバい』相手がいることを見せられたトーナメント表から察する。

 

だが、そこまでいけるかどうかである。そう考えても、とりあえず『分かった』と言っておくことで、シオンを安堵させるのであった。

 

(さてさて、んじゃレッドに言っておくか)

 

少しだけ脇役になってくれというか、見せ場を作ってくれ―――という要請に。

 

「も、もちろん、だ、大丈夫だぜ!」

 

さんざっぱらモルガンによって玩具にされて、昔懐かしの『プリティー・ウィッチー・もーどれっちー』(爆)な衣装を着せられたレッドの引き攣った笑顔が、非常に印象的であった。

紅い魔女衣装は、胸元の調整に若干時間がかかったらしく、モルガンが、『これ』を着せようとしていた人はレッドよりも『ご立派』だったことが理解できた。

 

「ジロジロ見るなよぉ……」

「すまん。けど似合ってるよレッド」

 

恥ずかしがるレッドから少しだけ眼を反らしつつ、そうフォローを入れておく。

 

もう一組の参加者である新島と伊達も、気合充分。

同校である第五高校の坂神となにかやっているのかと思う。

 

「ただのまじないさ。キャプテン、俺たち五高の一種のジンクスさ」

「まっ、期待しといてよ遠坂君。アタシたちのレッツパーリィな戦いぶりにさ」

 

新島八郎(別に八男ではない)と伊達麻依の言葉に、大丈夫そうだと思っておく。

 

「―――で、正味のところ。西城・言峰ペアに勝てそうか?」

 

「幸いながら、準決・決勝戦まではウチのエントリーは当たらないよ。その前にコケる可能性を考慮しなければ、な」

 

二人と別れて坂神が問いかけてきたので、どこまでいけるかの予測を言っておく。

 

しかし、チーム・エルメロイの独壇場になるほど容易い相手ばかりではない―――。

ふんどしを締め直すつもりで、刹那は各選手の様子を見ていく……。

 

 

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