魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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なんやかんやありましたが、とりあえず活動報告での皆さんの反応から察するに、そこまで深刻にならない方がいいんだろうか? とか考えて、突然の非公開の決定に申し訳ない想いが出てきたので……。

とりあえずボチボチ書いていこうかと思います。電子書籍で冒険を読んで、聖杯戦争的デモンベインらしき、斬魔大戰デモンベインも出てきたので沸々と湧き上がるものがあったので――――――とりあえず、あまり期待をせずにお待ちいただければ幸いです。


第344話『魔法の宴 魔剣の章Ⅱ』

 

「西城くん!! 言峰さん!! ありがとうございます!!」

 

「まだ一回勝ち抜いただけですよ。ビッグボス」

 

大袈裟なという想いで、頭を下げる中条会長に頭を上げるように言う副会頭。だが、2人が戻ってきた一高テントの面子は、本当に感謝しているのだ。

 

このままいけば、本当にエルメロイに会場の空気を持っていかれる。呑み込まれるところだったのだ。こういう戦いの場では理屈ではない勢いがあるのだから

 

(だが、まだチーム・エルメロイの選手たちは出ていない。紀藤先生の寄越した映像だけならば、剣術部の相津郁夫とモードレッド・ブラックモア……実際、エントリーの中で知っているのは、この2人だけだ)

 

普通に考えるならばモードレッドの方がセイバーだが、相津郁夫の魔法能力と『去年』までの九校戦競技との相性の悪さを考えれば……。

 

「お兄様、チーム・エルメロイが」

「出てきたか……」

 

深雪の言葉で大型画面に目を向ける。

 

第三試合。第四高校とチーム・エルメロイの戦い……現れた相津は朱色の武者鎧、いわゆる『赤備え』というものを着込んでいて、四振りほどの得物を持ってきた。

 

レオのように多手神腕を使えるわけではないから、2つの手でそれを使い分けるということだろう。

 

相津と同じように衣装が凝っているのは、レッドも同じだった。普段の彼女の印象ではないキュートな『魔女衣装』(ウィッチドレス)

紅い魔女衣装はとてつもなく似合っているのだが、顔が紅潮している辺り、彼女が好んで着ているわけではないと察する。

 

(ルーラー・モルガンの仕込みかな?)

 

なんとなくそんな気がしてならないのだが、ともあれレッドは一度だけ両頬を叩いてから気合を入れ直した様子。ウィッチハットをかぶり直したレッドが、高台に上がる。

 

試合の流れは先ほどのレオたちと同じ。当たり前だが変わらないようだ。

 

しかし、レオとカレンのコンビが見せた戦い以上のものがあるだろうか……。

 

出来ることならば『派手な戦い』を繰り広げては欲しくない。

 

などと妙なことを願ったとしても、チームのキャプテンは『あの刹那』である。そしてエンチャンターにしてウェポンマイスターたる刹那の『本領発揮』ともいえるこの競技……。

 

(相津の持つ武器―――何振りかは宝具だな……)

 

詳細は知らないが、それでも眼を焼くほどの魔力量からそれを察する。赤備えのサムライに赤き魔女……何ともチームカラーを意識したものだが、ともあれ……戦いは始まる。

 

 

―――四高とエルメロイの戦いは、序盤から乱打戦になっていく。四高の黒騎士、黒魔術師ともいえる相手は最初っから乱打戦で打ってきた。

 

マシンガンの一斉掃射のような魔法攻撃を前にして、チームエルメロイの相津は……。

 

「チェェエエスウウウトォオオオオオ!!!!」

 

その気合いの声を伸ばす意味が分からないが、それでもその言葉に違わず『相津』は宝槍と名剣を器用に操り、四高の攻撃を全てシャットアウトした。

 

―――疾い。

 

障壁魔法は使わずに、身体強化と自己加速魔法のみで四高の攻撃を迎撃した。

相津郁夫という一科生が今回選ばれなかったのは、その魔法特性が九校戦の競技内容とマッチしていなかったからだ。

 

他の魔法使用も決して2科生のように達者ではないということではないのだが、どうしても『器用貧乏』という感覚が、色んな面から審査をしてきた首脳陣に残ったのだ。

 

同じ器用貧乏であっても今回、一高が選手として選んだ『十三束 鋼』との比較の天秤(アストライア)で、やはり『十三束』の方を重く選んだ。

 

魔弾を使いたいという願いから刹那が鍛えてきたことと、達也のCADの調整力ならば十三束を九校戦の有力選手として登録出来るとしたからだが……。

 

その天秤の篩から落とした方を、刹那は選手として登録してきた。そして現在……こうして九校戦にて「敵」として活躍しているのであった。

 

「相津の剣、一振りごとに多段の斬撃を発生させているな」

 

剣術部の後輩だからか、この試合に注目している桐原の疑問に達也は答える。

 

「ええ、武器の効果なのでしょう。そして思い出しましたよ。アレはサーヴァント 鈴鹿御前(ミニスカサンタ)のツインブレード(両刃剣)『両通連』と、サーヴァント ディルムッド・オディナの『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』」

 

どちらもこの大会で使うにはチートすぎやせんかと言いたくなる得物である。当然、達也は「おまいう」であることは自覚しているのだが。

 

範囲守備(ゾーンディフェンス)対面守備(マンツーディフェンス)か」

 

桐原の言う通り、相津の戦い方は正しくソレだ。

 

両通連で子弾をばらまく範囲攻撃を散らして、破魔の紅薔薇で大魔法をディスペルする。

堅実な戦いだ。

武器に付与された術式(効果)に身を預け、その上で身体強化の限りで敵の攻撃を防御する。

 

そう……本当に堅実な戦いだ。

 

(刹那のことだから、なにかビックリドッキリガジェットな得物を出してくると思ったんだがな)

 

相津はレオのような反射攻撃はしていない。ただセイバーの本領よろしく防御に徹している。

 

得物だけでディフレクト。

それだけでも結構スゴイことだが……。

 

「レッドの方も見ておかないとな」

 

セイバーの方にだけ注目していてはならない。ウィザードの攻撃力も見ておかなければ――――。

 

――と思うのだが、レッドに関しては特筆すべきものはない。

レッドの一高での普段どおり、荒っぽい性格の通りにプレデトリーな魔法攻撃が、四高のセイバーをふっ飛ばし、シールドに吸い込まれていく。

 

亜夜子と文弥が鍛えただけにロアガンでも、いい線行っていた四高ではあるが……。

 

(闇討ち専門の黒羽は、正面切っての戦いでは分が悪い……)

 

何とかセイバーの為に、いい武器を確保したのだろう。ウィザードにも必勝の策を授けたが、如何せん……パワーが違いすぎた。

 

朱色の雷光がレーザービームのように解き放たれる度に四高のセイバーは、その圧に抗しきれない。

重く鋭い攻撃の連続でシールド破壊を行うレッド……そして勝敗はレオとカレンの如く決まるのであった。

 

「上がってくるか?」

「出来ることならば、どこかで『コケてくれれば』とは考えます。桐原先輩の後輩の戦いぶりは予想外すぎる」

 

先程の試合で相津郁夫が使った得物は2振り。残りの2振りの詳細はまだ分からないが、魔力封じの布で包み隠していても、『漂う魔力』から宝具級の得物であると断じてはいるのだ。

 

「ですが、ぶつかった場合を想定して動き出す必要はありますね」

 

レオの神腕幻手……それは『神を喰らったもの』と同根でありながらも、少しだけ違うものと聞く。

 

(エルメロイ先生は、レオが『負担』なくそれを扱えることに疑問を覚えていたな……)

 

ならば、その先に至るものを理解していたはずだ。

 

「急激なパワーアップなんて無理なんですし、とりあえず戦う選手たちを万全にしておきましょう」

 

結局、スーパーエンジニアなどと他校から呼ばれている達也でも、次善の策しか取れないのであった。

 

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

「レオさん! グッドファイトでした!!」

「おう竜樹くん。ありがとう!」

「お疲れさまですレオン先輩。スゴイ競技でしたね……まさかカードゲームじみたものを九校戦の競技にするとは……」

「アレならばアーシャと私でも出場できるよ! 大丈夫!! アーシャに届く魔法は私が砕く!!」

 

いずれは魔法科高校に入るだろう後輩一同より構われている西城レオンハルトだが、ここまでの会話を聞いていて、思うところも一つある。

 

「遠上くんは一高に入るのかい? それともアリサちゃんが、八高に行くのかい?」

「多分、私が一高に行くことになりますよ。もうアリサは十文字アリサなんですから、マズイでしょ」

 

アリサとしてはミーナの心遣いは気を回しすぎだと思うのだが……まぁあまり言わないでおく。

 

ただ北海道内(じもと)ではマジックアーツで優秀選手で知られている以上、そんな人間が東京に行っては八高の人間たちは面白くないのではなかろうかとも思ってしまう。

 

まぁ先のことは先のことだ。竜樹も金沢行って一人暮らししたいとか言っているのだし……。

 

(全ては遠坂刹那という魔法科高校生徒の生き様が原因なのかしら?)

 

男として独り立ちすることで作られる『分厚さ』というものを、敏感に下の世代は感じているのだった。無論、彼の場合はそれだけではないのだろうけど……。

 

(だからといって、アナーキーなことをしたいという欲求もどうなのかしらね?)

 

「姉さん。口に出てる。内心でのみ言っているつもりだったんでしょうが、完全に口にしていましたからね」

 

大変な誤解を受けて苦い顔のままに、それを解こうと試みる弟だが、姉としては一家言あるのだ。

 

「竜樹さん。ちゃんと『避妊具』は常備しておくように、そういうの女の子に用意させないでくださいね。でないと私みたいなのが生まれちゃうんですから」

 

「自分を卑下するような発言はしないように、ただまぁ……別の地区の高校に行ったからと、そんなことになるかなぁ」

 

反対に窘めつつ、頬を掻きながら姉の懸念は的外れだと思う竜樹がいた。

 

自分がモテるかどうかは微妙だなぁと思っている思春期真っ盛り。

まだ普通(・・)の中学生の竜樹ではあるが、魔法師だけの学校という特集環境下に置かれれば、十文字という『名跡』は、色んな意味で注目の的になるだろう。

 

特に魔法教育云々ではない公立中学に通っている内は、まだそういう風に感じてしまう。

 

別に女の子に興味がないわけではないし、憧れるような女子もいるが……そういうのはまだまだ縁遠いと思えるのだ。

 

「まぁ刹那みたいな生き方なんてのも、忙しないような気もするけどな」

 

だが男ならば、誰であれその生き方に羨望も生まれる。

それをレオはよく理解していた。

 

しかし、彼の場合は止むに止まれぬ事情もあったのだから……。あまり羨むことは良くないかもしれない。

 

(さて、どこまでいけるかね?)

 

当然、優勝するつもりではあるのだが、それでも……。

 

立ちはだかる敵は全て強敵だ。

 

しかし―――。

 

(十文字克人が望んだ不動の城壁であろうとは思うぜ)

 

そして―――レオの気持ちに答えるように、試合は順調に推移していき……。

 

セイバー&ウィザーズ 本戦 決勝

 

一高 西城レオンハルト&言峰カレン

チームE 相津郁夫&モードレッド・ブラックモア

 

そういう展開になるのだった。

 

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

結局の所、ここに至るまでにかなり白熱した展開ばかりではあったが、最終的にはこの2組に軍配が上がっていったのだ。

 

遂にある意味では『同校対決』となった決勝戦……ウィッチドレスのモードレッドの姿に熱狂したり、ギリギリアウトな薄手の露出衣装で会場を沸かせたカレン。

 

この2組が上がってくるのは仕方なかったのだ。

 

イロモノよろしく感はあるが、それでも会場の空気を持っていったのは間違いない。

 

ただ不安要素はある……。

 

(未だに秘されている相津の『秘剣』……ブラフで持っているにしちゃ、随分と業物の雰囲気が漂う)

 

念の為に美月にも、どういったものであるかを「魔眼」で見てもらったのだが、達也と同じような感想であった。

 

だが面白いことに、美月は『カン』ではあるが、アレは『日本刀』……打刀拵であると推測していた。

 

それは達也には見抜けなかったものである。

 

(美術部として数多のスケッチをしていただろうからな。隠された被写体の内部を推測したんだろう)

 

サーヴァントのスキルで表すならば『芸術審美:C』というところだろう……。

 

考えてから、衣装のことで喧々囂々としているカレンと千代田風紀委員長のところに仲裁に行くのであった。(中条会長からの要請)

 

 

……かたやエルメロイ陣営も、正しくここが勝負所と見ていたりする。

 

「相津、いまさら何も言うことはない。試合に関してはな」

 

「決勝戦だから何か言ってくれると思ったんだけどね」

 

黒糖飴をかじりつつ、ブドウ糖を溶かした茶を飲んでいた相津は苦笑しながら言う。

 

「だが、レオや言峰の弱点を突くなんていうのは相津もレッドも好かないだろ? 今更死ぬ気で勝ちをもぎ取れとかも言えない」

 

そもそも、この競技ルールではどうしようもなかったりするのだが、それでも……サムライとナイトは好かなかっただろうと告げてから―――。

 

「だからこそ聞きたい。何故、レオをそこまで意識しているんだ?」

「―――流石に見抜いたか……キャプテン」

「気合いが入っているならば、聞かないでおくのも一つだったんだけどな」

 

だが、もはやここまで来たならば、洗いざらい吐いてもらったほうがいいと思えたのだ。

 

気負いで空回りされてはマズイのだから。

 

「羨ましかったんだ。西城くんが……」

「羨ましい?」

「僕は……確かに1科生として一高に入学出来た。魔法剣術でもそこそこ……上位の術者だった」

 

自画自賛ではなく、彼の評価はそうであった。その通りすぎるが、そこから伸びてきても――――――。

 

「所詮は2科生よりもマシでしかなかった。キミ風に言えば、オールマイティステータスを求める実技テストの中で、僕は一芸特化の男だったから……」

 

「だが」

 

言わんとすることは分かるとした刹那を遮る形で、相津は口を開く。

 

「うん。それでも実戦の場でならば戦えると思っていた……けれど、一高が巻き込まれた大戦(オオイクサ)の中で、僕は満足に動けず、代わりに率先して前に出ていった人間がいた―――千葉さんと西城くんだ」

 

その場にいたというだけで勇気を振るったのか、それともただカラダが勝手に動いただけなのかは分からないが……。

 

確かに、相津の上げた2人は事態が起こると、中心ではないが最前線に立つことが多かった。

 

「そして、その後には西城君は資質を見いだされたのか、十文字先輩の後釜を任された……城壁(ファランクス)を教えられてね」

 

「レオに教導するように十文字先輩に頼んだのは俺だったんだけどな」

 

「だとしても十文字の家伝だ。最後には彼を認めたんだろう……総じて言えば……僕は西城レオンハルトという魔法師に、コンプレックスを抱いていたんだ」

 

だからか。内心でのみ吐き出した息と言葉。刹那には何も言えない。

誰かの背中に追いつきたいという心は、男ならば誰もが持っているものだから。

 

(俺とて……)

 

あの赤き弓兵。そしてオヤジの背中を見ているのだから……。

 

「僕にだって、西城くんみたいに出来るはずだ! 僕の魔法、身体強化からの身体狂歌を以て、西城くんに勝つ!! 言峰さんの魔法を―――」

 

僕も打ち返す! と決意を込めて言われた以上、もはや何もなかった。

 

男としてただ見送り、戦いの場に送り出すだけだ。

 

「いいだろう。■■を開帳しろよ。お前の全能力を以て戦いを楽しんでこい。勝つことがお前の望みだとしてもな」

 

「―――恩に着るよ。キャプテン」

 

その快活な笑みでの言葉を皮切りに、戦いは更に変化を果たす……。

 

 

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