魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

377 / 420
今更ながら信長さん。ご結婚おめでとうございます!!!

んでもってアスラウグ―――――電子版を待つんじゃ無かったぁ! 

けどなぁ。なんて言うか……各同人ショップも結構、忙しそうだし。いやお届けならば早いところは早いんですけど――――――まぁ待ちます。

ただ色々と、もどかしい気持ちを持ちながら新話お送りします。


第345話『魔法の宴 魔剣の章Ⅲ』

 

「遂にSAWの決勝戦か……」

 

「先にやった三位決定戦(さんけつ)で、チームエルメロイが三位を取ったのがキツイぜ」

 

決して全ての競技種目で1位の優勝を取っているわけではないが、ジワジワと加点範囲に選手を送り出しているチーム・エルメロイなのだ。

 

現在の得点勘定で言えば、ここで優勝を取っておかないと後々がキツくなる。

 

(しかし、まさか……ここまでとはな)

 

別に弱点を突かれたわけではない。相津とレッドは正攻法で勝ち上がってきたわけだ。

 

まぁ英霊の宝具=ノーブルファンタズムを使われたことは予想外だったが、ソレ以外は正しく正攻法であった。

 

「頼んだぞ西城、言峰。何とか勝ってくれ!」

「もはや祈るだけだな」

 

会頭である服部の祈るような所作を桐原も笑えない。

 

会場は満員大入り、初日最後のビッグイベントを前にヒートアップするのは当然であった。

 

そして、その戦士たちが現れるまで―――残り5分……。

 

 

「最後には犯人の犯沢さんみたいに真っ黒クロスケになるかと思っていましたけどね」

 

「何の話だよ。まぁ俺の中にいる相棒はそんな存在か……」

 

この少女と話している時に自分(レオ)の中の相棒は、押し黙る。

何というか、意固地になっているとでも言えるかもしれない。

 

どういう因縁であるかは分からないが、どうやらチカラは貸してくれるようだ。

 

「それと―――レオ先輩、ちょっとばかり頭を屈めてください」

 

「? こうか?」

 

なにか頭に変なものでも着いていただろうか?と考えていると、何かが巻き付けられる。

 

聖骸布だ。バンダナのように額に巻き付き、しかし遊びを持たせるように側面で少しだけ伸びている。

 

「完璧です。前から思っていましたけど―――、貴方、ロックスターみたい」

 

朗らかな笑顔。まるで聖女のようだ。強く握られた指の柔らかさでありながらも、少しだけ硬いそれは、彼女の努力の証。

 

「どちらかと言えば海賊だろ。この巻き方は―――だが、シンセサイザー奏者は任せたぜカレン」

 

海賊という単語に自分のチカラと同じものを得ていた人物を思い出した。彼―――青年エルゴは、その旅路の果てに何を見たのだろう。

 

「ええ、お任せを」

 

それを見るまでは終われない。彼と同じものが見れるのか、それとも……だが、何となく予感を感じていた。

 

神霊をその身に降ろしたものの宿星を―――。

 

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

遂に現れた四人の魔法師の姿に、大声援が送られる。四人の姿は此処に至るまでの姿とは違っていた。

 

まずは一高側……レオとカレン。

レオはバンダナなのか赤色の布を額に巻いていた。

 

それと同じくカレンも聖歌隊で着るようなガウンローブのミニタイプ……赤色を着ていた。

 

すなわち―――。

 

「「「「「ペアルック!!!!!」」」」」

 

妙な意味で女子の耳目を集めてはいた。だが、ソレ以外に意味はあった。

 

あえてエルメロイカラーに被せてきたのは、「赤」という色の持つ視覚から心理的効果を奪う意味もあった―――というのはもっともらしい言い訳であり、結局の所……千代田委員長とカレンの意見の折衷案なのだ。

 

(やはりあの戦い……東京魔導災害の最後の方で現れたマジカル紙袋こそが、彼女なんだろうな)

 

正体不明の戦闘者……その少女の正体を見たのだ。

 

高台に上がり、髪をかきあげてから帽子を被ったカレンの姿に熱狂が湧き上がる。

 

そして相手もまた変わっていた。

 

レッドの姿……それは……大変に露出過多なものであった。これまたあの戦いにて最後の方でレッドが霊基を最大に上げた姿だった。

 

「むぅ。あれは脱げば脱ぐほど強くなる伝説の武術、裸神活殺拳!!!」

 

「何!? 知っているのか雷電(ライトニング)!!」

 

「更に脱ぐ気ですか!? ブラックモアセンパイ! やはり私もクピドフォームになるべきでした」

 

「言いたい放題言ってくれているが……生憎、この姿を取る以上、お前たちに勝機はないぜ」

 

言いながら、銃型にした「クラレント」を持つレッドは、その身から朱雷を迸らせながら対面にいる一高組を威嚇する。

 

だが、それでビビるほど浅い相手ではないことは先刻承知。

 

「相津はなにか無いのか?」

 

「無いよ。後はお互いの魔法を競うだけだ。もはや言葉ではなく魔法をぶつけあうのみ」

 

「そうかい」

 

それは苦笑したレオも同感だったらしくセイバー同士の会話は特に無かったが―――。

 

(虚勢でも張っていなければ、呑まれそうだったんだろうな)

 

刹那だけは理解していた相津の心、そして腰に差した打刀2振り。

 

思いっきりやれや。と想いつつ、祈るように手を組んでいる斎藤の姿を見ながら、そして練習ラリーのごとき魔法の飛ばし合い―――、確認は終わる。

 

そして。

 

『これよりソード&ウィザーズ 本戦決勝戦を開始します―――』

 

去年同様にミトのアナウンス。今年は劇的なドラマが少ないとか嘆いていたのだが……。

 

(いくらでもドラマはあるものさ)

 

そう心中でのみ返してから、試合の号砲が鳴り響く。

 

 

魔法を発動する速度はお互いに同等。

干渉力も殆ど同等。

 

優勢を取れる要素はウィザードに互いに無い……と思われがちだが。

 

「オラオラオラ!!! アタシの朱雷弾は止まらねーぜ!!!!」

 

「このブリティッシュヤンキーが、粗雑なんですよっ」

 

レッドが初っ端から乱打戦に持ち込んできたことで、カレンとしてもビックリするのであった。

ここまでの戦いで、確かに傾向としては有り得たのだが……。

 

(成程、レオ先輩を消耗させようという所存ですか)

 

確かに英霊憑依の一撃、一撃は重く硬いものだ。

 

だが、それは我が校の副会頭を舐め過ぎだ。

 

「甘いぜ!! レッド!!!」

 

6連射ものごん太ビームを迎撃しきるレオ。獅子の名前を持つものを侮っていたわけではないが、それでも自信を無くしそうになる。

 

(くそっ、神代魔術の類だと理解していたが……)

 

正面に打ち出せばビビると思っていたレッドは自戒してからレオのフィールドを通りつつもカバーしきれない範囲から魔法を通すことを企図する。

 

当然、威力はマシマシにするわけだ。

 

対するエルメロイ側の受け手―――セイバーである相津郁夫もまた、後輩の魔法力の高さに驚いていた。

 

放たれる桃色の光波や光線……レッドの銃という器具は対称的に前時代的な『弓』を用いた攻撃。

 

どんな系統魔法にも属さないそれの重さは確実に相津のカラダに響いていた。

 

(演出なのかどうかはワカラナイけど、このピンク色のハートのエフェクト(効果)になんか意味はあるのか!?)

 

もしかしたらば、一高ブレーンたる司波達也の策略なのかもしれない。自分を動揺させるために、このような奇策を用いるとは!!

やはり四葉の魔法師であるという事実は伊達ではないのか!?

 

「チェストォオオオ!!! 負けるものか司波達也ァアアア!!!」

 

その心が肉体をいっそう躍動させ、おピンクな攻撃による影響をシャットアウトさせる。

 

「「なんでさ」」

 

奇しくも離れた場所で同じセリフを呟いた刹那と達也。

 

策士策に溺れるではないが、相津の心中で、かなり不名誉なレッテルを一方的に貼られた達也は、言峰カレンの攻撃手が原因じゃなかろうかと推測しつつ……現状の分析をすすめる。

 

(レッドの攻撃を『跳ね返す』までは至っていないか)

 

レオから聞いた限りでは、レッドの攻撃……朱雷を用いた攻撃であることは理解していた。そしてそれを跳ね返せるかどうかが勝利の鍵であるとも理解していた。

 

(もっともそれが出来るまで、どれだけの時間がかかるか、だ)

 

イメージはしていたに違いない。実際、達也もレオにシミュレートもさせていた。

無論、現実に放たれるレッドの魔法との齟齬(ちがい)は実戦の中ですり合わせていくしかない。

 

(あるいは、言峰の攻撃能力(オフェンス)が完全に相津の防御力(ディフェンス)を上回ってくれれば良かったんだが……)

 

一番良かったのは、それだが……残念なことに相津の防御力に衰えはない。

 

お互いに僅かな罅割れだけが寸刻みに入っていくジリ貧の持久戦に持ち込むか―――と想いながら見ていた瞬間……。

 

遂に均衡を破る音が達也だけでなく全員に響く。

砕ける一枚のシールド。

 

先制したのは……。

 

チーム・エルメロイ―――そしてその攻撃は、相手のお株を奪う反射攻撃。

やったのは当然、エルメロイ側のセイバー、相津郁夫。

 

その手に握られている2本の刀……遂に開帳された秘剣―――その輝きが奇跡を生んだ。

 

 

「うっしゃーーー!!! いけー相津君!!!!」

「ちょいちょい! 弥生落ち着け!!!ビー・クール!!!」

 

チーム・エルメロイの観客席にていっそう声を上げる。斎藤弥生を抑える桜小路紅葉の様子。だが、大歓声があちこちで上がる。

 

「千日手になりそうだった展開が一気に動く予感だからな。当然か」

 

「イクオに渡したのってセツナが前から研究していたアレよね?」

 

「研究していたというと語弊があるが、まぁ概ねその通りだ」

 

リーナの言葉に返しながら、発端は自分ではなかったりする。どちらかといえば刹那は引き継ぎ役ということである。

 

相津があの初の作戦会議の際に刹那に求めたのは―――。

 

武装付与魔術師(エンチャンター)として最高の一振り。キミの作る剣を僕に振るわせてほしい!』

 

『僕という身体を使って最高のセイバーを仕上げてほしい!!』

 

その言葉、人体実験に供されてもかまわないという実に魔術師的な考えは―――少しだけ『待て』を掛けたが、ともあれ……。

 

「レッドがクラレントを鍛え直させてもらったときから羨ましがっていたんだろうな。故に、相津に渡したのは最高の一振り、二剣で完成をするものだ」

 

剣の()無銘の弐劍(エミヤ)

 

親父が、エルメロイ教室の面々及びお袋などとの共同研究の末に創ろうとして―――完成を見なかったもの……。

 

親父はそれを完成させる前に、去っていったのだ。

 

息子である俺が、残されていた走り書きのメモなどから推測したそれが、お披露目される。

 

 

相津郁夫が見せた二刀流の剣―――否、無限の剣の列がカレンの攻撃を切り捨てていく。

 

(刹那の剣の要塞! 魔剣城砦(ツィタデレ)。それを武器に付与したのか!?)

 

決して予想していなかったわけではない。実際、剣を無線兵器として運用してくるという予想は、服部会頭はしていたのだ。

 

とはいえ、それをクセのある魔法適正持ちである相津郁夫がやってくるとは、自分を棚に上げつつ、レオは分析していた。

 

カレンのアローの光線を弾き返したのは、多くの剣の列だ。その軌道はまるで『湾曲』。その変則的な返球には驚いた。

 

(リフレクトってよりは、スイープってところか?)

 

成程、と思いながらも―――レオもまたそろそろ……『攻勢』に出ることにした。

 

カレンは広範囲に細かな散弾攻撃をすることで、いい感じにリフレクトをさせないでいる。

 

セイバーに『攻撃行動』を容易に取らせない技ありの攻撃。だがそれでは、相手方のシールドを破壊出来ないわけで……。

 

レッドが放つ朱雷の光線、そして雷球……まだ隠している牙はあるだろうが……。

 

神腕で防ぎながらも、打ちやすくも、『相津』が捕球出来ないだろうものをレオは打ち返した。

 

打ち出された攻撃は6つの朱雷由来のもの。

 

レオの神腕幻手のうちそれを成したのは―――その数、4つ!!!

 

4つの軌道や規模、威力も『変化』をつけたレッドの魔法が見事に打ち返されたのだ。

 

驚くレッドだが―――同時にこの時になって気付かされる。これは―――マズイ! と。

 

背中が泡立つのを覚える。

 

「イクオ!!! 無理に受けるな!!! 打ち返せそうなものだけを防いでくれ!!!」

 

言葉が届くかどうかは分からない。だが、それでも―――その指示が届くことを願っておく。

 

そして―――打ち返されたレッドの魔法が、レッドのシールド2枚を砕いたのだった。

 

 

「レッドの攻撃力に対応するのが早かったな」

 

「ええ、もう少し時間がかかるかと思っていたのですが……」

 

この戦いにおいて恐れていたことが現実化してしまった瞬間である。どうやっても返球(リターン)された『魔法』というのは放った威力に比例して、その脅威度が増す。

 

本来ならば相手セイバーをふっ飛ばし、シールドを破壊するべく放たれた魔法が、こちらのセイバーを襲う脅威になる。

 

(アンリマユの霊基も影響しているんだろうが、この戦いにおいてレオはトップの資質を持ってやがったからな……)

 

アヴェスター(報復転写)に一度やられた刹那としては、カウンターパンチャーの攻撃という脅威を認識して―――。

 

「遠坂!!! どうすんのよ!!!???? このままじゃ郁夫君もモードレッドも負けちゃうわよ!?」

 

「ぐえええ!!! 斎藤!!! 襟を掴むなぁ!!」

 

いきなりな後ろからの抗議と攻撃に刹那としても、対応が遅れたわけだが……。

 

「ヤヨイ! ワタシのダーリンは、ソコまで浅いオトコじゃないわよ!!!」

 

斎藤を引き離してくれたリーナ。ようやくのことで、呼吸をしてから……対策というかやりようはあるとだけしておく。

 

「この展開は予想していた。それはレオを想定していたものじゃないが、返球された攻撃が、セイバーに対処出来ないものであるという場合をな」

 

襟を直しながら放出系魔法は現象を改変するタイプの系統魔法と違って、放出された時点でただの『物理的』『魔力的』なエネルギーの波動になる。

 

それゆえに、こちらからそれをキャンセルすることは当たり前に出来ない。

 

「ならば、対策は2つだ。その返球された自軍ウィザードの攻撃を破却するか。再びの返球をするか」

 

「そのどちらもレッドの過剰な攻撃力がネックになっていると想って――――」

 

刹那の講釈に呆れるように問題の根本を提示してきた斎藤だが、戦っているフィールドに変化が訪れる。

 

「あとは相津の努力と根性だけだ。どんな形であれど終わりまで見届けろよ斎藤。お前の―――同輩の戦いっぷりをよ」

 

きっと恋人とか言おうとしたんだろう、と全員が察しつつも、試合への応援は絶やしてはならないのだ。

 

決着の時は近い……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。