魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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サムライレムナント……。

年末特番でのPV見たときから思っていたことだが主人公のサーヴァントであるセイバーは既視感を覚える。

そう、CLAMP先生の東京BABYLONの皇昴流に似ているような気がする。まぁああいう服装(陰陽師的な法師服)でちょっと性別不詳となると、そんな想いをするのかもしれないが。

何はともあれ新話お送りします


第359話『魔法の宴 氷柱死闘編Ⅰ』

 

「さてさて、どんな顛末になるやらだな」

「優勝するんだろ。だったらば、そんなこと言うなよ」

「何処で刹那とかち合うか。そして、その前に倒されるか、だ」

 

この辺りは、甲子園のように勝利者が抽選し次戦の相手をランダムで選べるようにしていければ、とか思うのだが……。

まぁ試合間隔は結構早い。チーム戦なのに地方予選では、一日に2試合あるいはソレ以上もやることがあるバスケ、卓球、テニスなどの方がハードという意見も正しい。

 

(ある意味、文科省の指摘も正しいのかな?)

 

そんなことを考えつつ、朝食を終えた一条将輝は父親からのメールを受けて気が早すぎると思うのだった。

 

「剛毅さんからかい?」

「ああ、俺の優勝を祈念及び記念して、ここに本マグロを届けるそうだ」

「漁業権とか大丈夫なのかな? そして確かに気が早すぎるね」

 

海洋資源に関わる会社を経営しているとはいえ、そんなことが出来るのだろうかと思ったのだが……。

 

「どうやら一本釣りで釣り上げるとのことだ」

「普通にシーフィッシング!?」

「俺には海の神が着いているなどと言っているからな。しかも、それを神経攪乱で『活かしながら』持ってくるとのことだ」

 

活け締め・神経締めにした方がいいんじゃないかと真紅郎は思うが、『活けのマグロ』など現代でも不可能な話ではある。

 

高速で動き続けなければ『死んでしまう』魚な以上、生きている姿は中々水族館でもお目にかかれないものであったりするのだが……。

 

「しかも、それを刹那に捌いて調理してもらおうという趣向らしいが……そりゃ目算が高すぎやせんかと思う」

 

「それ以前にセルナならば『ここの寿司職人(名人)に頼めや』とか言いそうですけどね」

 

「私もそう思うよ。中華を得意としている刹那くんだからこそ、(シビ)に関しては小細工なしが一番。刺し身と白い飯、酢飯に醤油でいっとけ、とか言うと思う」

 

どこから現れたか、刹那に詳しすぎる三高女子2人(愛梨、栞)の進言を受けて、言われてみればと思う将輝ではある。

 

逆にその言葉にちょっとした符牒も覚えるのは真紅郎だったりする。

 

刹那の戦い方は魔法師からの見方でならば、かなり『変化球』を多用した組み立てなのだが、本質的には、そうではないのかもしれない。

 

実際、彼のスタンダードな戦術は『魔弾』という己の『体』を『銃身』『砲身』に見立てた術を放つところがあったりする。

 

後で聞いたのだが、彼のガンドは『この世全ての悪』(アンリ・マユ)という人理における超特級の呪物を加工したものらしく、容易に使えない恐ろしいものとのこと。

 

ある意味、全身GUNDARMな男であることを思い出した……。

 

(ちくしょう……何かの突破口、何か閃いているはずなのに、もしかしたらば遠坂に対する攻略法になるかもしれないのに……)

 

どうしても、ソレ以上にインスピレーションを先に進めないことに、もどかしさを覚える吉祥寺真紅郎。

 

そんな真紅郎もまた今日の試合を控えているのだから、それだけにかかずらっているわけにはいかないのだ……。

 

 

「もはや何も言うことはない!! この勢いを維持したままに優勝まで駆け登れ!!!」

「とはいえ、聞きたいことなどがあれば遠慮なく聞くように」

「行けぇ!! 我が分身!! オートスコアラーたちよ!!」

 

アンタは何処の錬金術師だ!! チームエルメロイ全員の心が一致した瞬間だった。

ライネス先生の言葉にそんな風に考えてから、各々で言い合う。

 

「決勝は、君との戦いをしたい。俺も刹那くんと同じく多属性を持つ術者だ……比べたいんだ」

「ああ、そうなることを期待しているさ二三草」

 

左手の拳を軽く叩き合わせてから、第1試合へと赴く人間を見送る。

 

「それじゃ私達も行きましょうか。セツナ、戦果を期待していてくださいねー♪」

 

「アリュマージュの秘技にて勝利を掴み取りましょう―――その時はワタクシにも『ご褒美』お願いしますよセツナ」

 

いつもどおりなレティシアはともかく、ワインレッドの爛々とした瞳を輝かせてから秘め事を言うかのように耳元で言うアンジェラ。

 

ストロベリーブロンドの髪を長く延した彼女は、どちらかと言えば、モードレッドやエリカの系統の子であり、不意にこういう女らしいところを見せられると、少しばかり困るのだ。

 

ちなみに言えば三高の火神とは少し遠い親戚とのこと。そして彼女は九高出身らしい。

 

「なんで選ばれなかったんだろうなぁ……」

 

彼女がアリュマージュと呼ぶ術法は、かなりとんでもない。特にシールダーファイトでは無類の強さを誇るのだが……。

 

「アンジェラと話したけど、あっちの学校の執行部が結構『保守的』だったそうだからね。欧米系の血が入った子は選ばれなかったんだって」

 

試合に備えてテントから出ていったアンジェラに対する刹那の感想に桜小路のレスが出てきた。

 

それが真実と見るかどうかはさておくとしても、九高は日本の南西部を統括する学校であり、中には沖縄からの学生もいるのだろう。

その中には米人との血が混ざった人間もいるのだろうに……。

 

「まぁそれはさておき桜小路……」

 

「―――無粋なこと言わなくてもいいわよ。まぁ踏ん張ってくるわ。いいえ『楽しんでくるわ』」

 

その言葉に女粋を感じてソレ以上は言わなかったが、坂神と後藤が『FIGHT!』『でござるよ!』などと激励をしていたので、それで十分だろう。

 

「ではオレも行くとするよキャプテン」

 

「タケシ……美人のお姉さんに眼を奪われるなよ」

 

「はっはっは! 貴重な忠告だ。紙に書いて壁に張っておこう」

 

「つまりムダということだな?」

 

「君も美人のお姉さんは好きなんじゃないかい? だからさ、同類には言われたくない」

 

見抜かれてしまっている。男子シールダーファイトの生き残りである、上田武司の持つ人生の厚みには勝てそうにないのだ。

 

そんなわけで一部を除き、試合が近い人間たちはテントから居なくなる。

 

シオンと刹那の試合はまだ少しだけ余裕がある。

もっとも試合進行の速度次第では、すぐさま出番になるかもしれない。

 

緊張の糸は切らさない。

 

「キンチョーしている?」

「うん、まぁね。ただ、この緊張感こそが俺には必要なんだ」

 

平常心と緊張感は表裏一体。ガチガチになりすぎていても悪いが、それでも弛みきってもダメなのだ。

そういう意味では、昨夜のちょっとした攻防は少しだけ良かったとも言える。

 

「疲れているならば膝枕するわよ?」

 

「んじゃよろしく」

 

「ドゥー・イット・クイックリー!?」

 

ただし疲労自体はあったわけで、あっさりと恋人の膝に顔面からダイブするのであった。

 

その様子を見ていたテント内にいる全員が、少しだけ驚くのだが、そんなことはお構い無しで髪を撫でられながらのゆっくりとしたリーナの労りに感謝しつつ30分後……。

 

「――――――来たワヨ」

 

端末に連絡が入る。ベスト4のうちの2人が決まったようだ。

 

「あいよ……んじゃ―――王様になって帰ってくらぁ」

 

ゆっくりと顔を上げて額に一度だけ口づけをもらった刹那は戦いに向かう気持ちを改めてから向かうのだった……。

 

 

「そうか。風のうわさ程度には聞き及んでいたが……アリサがそう決めたのならば、俺が何かを言うべきことではないよ」

 

「遼介さん……」

 

それはこういう場面で遼介から言われるだろうと想定していた言葉の中でも、情がない返事の一つであった。

 

しかし、遼介もその感情の動きを認識していたのか、俯きながらアリサの方を見ずに言っていたのだから、まだ希望はあった。

 

「俺は……確かに遠坂君とは違う。アリサを十文字の家に向かわせたのは、そういう意図なんだろうね。けれど俺は違う―――俺は……自ら親不孝者になろうとしている……そういう愚か者だ」

 

遠坂刹那の人生を聞いたアリサが、その言葉で己と重ねたのならば、遼介はそれとは真逆だと伝える。

 

その動機に対して疑問を持つ……。

 

「そこまでお兄は……レナ・フェールなる人のためだけに働きたいの?」

 

同血である自分や血を分けた両親……妹ではなく女として、男である遼介を慕っている『妹分』の女も捨てるのか?

 

言外に茉莉花(いもうと)が含んだものを読み取った遼介は、更に苦しくなりながらも告げる。

 

「そうだよ。彼の言う通り。俺には出来ることなんて少ない。魔法能力も格闘能力も……財力も、知力も、政治力も―――何もない。遠坂君の言う通り俺には手札も、その手札の数字すら低すぎる」

 

一息に自己分析の言葉を吐いた遠上遼介は、続けて言う。

 

「そんな俺がレナ……ミレディの為に出来ることは、全て捨て身でのことでしかない。全てにおいて捨て身であたって、結果を拾えるかどうかすら分からない―――けれど、それでも構わないんだ。例えどれだけ彼女から遠ざけられても、俺は彼女のために働きたいのだから」

 

―――洗脳されているようには見えないし思えない。魔法的なそういうものではないとしても、そういう風な感じではない。―――

 

急遽、観客席の中でも父母など親族が集まる席に呼ばれた黒羽姉弟は、近くで会話を側聞していた十文字克人と七草真由美に端末で伝えておくのであった。

 

その報告を受け取った2人は『ありがとうございます』と畏まりながら返信すると、四高の方の観客席に戻るようだ。

 

そして、それを受け取った2人は少しばかり思い悩む……つまり、遠上遼介は……心の底から、FEHRの教主『レナ・フェール』に心酔しているということだ。

 

(厄介ですねカツトさん)

 

(全くですね……ですが、まだ俺はレナ・フェールなる女性のことを知りませんからね)

 

遠上遼介のアサシンの首を『刈り取れる』ように後ろに回っているヒルトさんの言葉に反しておく。

 

彼女も姫なだけに、宗教というものが持つ脅威を認識しているのかも知れない―――が、そういうことではなかった。

 

(リョウスケさんは、気付いていないようですが、そういう『待っている人を顧みずに何かを行って満足して果てる』というタイプの末路なんて、決まっていますから)

 

(アナタの夫と同じですか?)

 

(……私の夫は『英雄』として皆が求めた通りの姿でいることをこなした人物です。ですが……このヒトの在り方はそれとは真逆……どちらかといえば……そうですね。私の■■に少々似ているかも知れません。あの子も、自分を活かしてくれた『英雄』のために駆け抜ける子でしたから)

 

私などよりも弱い、不完全な肉体しか持たないのに……などと、終始嘆くような調子で思念だけで言うクリームヒルト。

 

そんなクリームヒルトに思われている人間に、少しだけだが……克人は嫉妬を覚えてしまうのであった。

 

そうしていると、遠上遼介が話題に出して、魔法師界隈の台風の目が全てのセットが終えられた男子ピラーズの高台に現れる……彼がなぜ、温情を遼介にしたのかは不明だが、それでも……彼の戦いをみるべく、席に座りながらも俯いていた遼介の顔がようやく上がった。

 

ベスト4進出をかけた最後の第4試合が始まる……。

 

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