魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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さぁfakeの放送まであと一日つーか、本日19時から。
全く関係ないがオーフェンは、まぁあそこまでやらないと尻切れトンボではあるか。

評価はさんざんだったが、『人一人を害するならば呪文詠唱するより拳銃ぶっぱの方が速い』というあまりにあまりすぎて『真理』すぎるものを当時のラノベ読者達に突きつけたオーフェンは、やはりバイブルだった……。

流石に『真理』が流行りすぎて第四部では流石に魔術にも優位性を出した苦心が見えたりしたのだが。fakeの冒頭でも真理を応用したことをファルデウスがやっちゃってましたが(虚淵氏影響もあるんでしょうが)

ともあれ原作を放送してくれたことは良かったと想いつつ、新話お送りします。




第360話『魔法の宴 氷柱死闘編Ⅱ』

既に他の試合の結果は出ている。

 

本戦 男子ソロ アイスピラーズブレイク

 

一高 黒子野 太助

三高 一条 将輝

エルメ 二三草 七郎丸

 

最後の四強を決める戦いに降り立った刹那は、魔術回路の調子を上げていく。

見据える敵は三高 一ノ瀬 界人。

向こう側の台に見えるは気合入ったツラだ。

このままエルメロイに独走を許さず、一条と轡を並べようという心だろうが。

 

(世の中、お前たちの頭の通りにうまくいくかよ)

 

そう胸中で宣言しつつ戦いは始まる。

 

―――戦いが始まってから一ノ瀬界人は、遠坂の恐るべき手際を味わうことになる。

 

一ノ瀬が苦心して築いたティラミス(多層魔砲陣)。遠坂の恐るべきジュエルマジックに対処すべくそれだったのだが……。

遠坂はそれを使うことなく、左右の掌、十指を用いて魔弾で戦うことだった。

魔弾が飛んでくる。まさしく機関銃か突撃銃のごとき(ブリット)のシャワーだ。

 

「くそっ、俺には宝石を使わなくても十分ってことかよ!!!」

 

だが、魔弾の勢いは凄まじい。何よりティラミスでは、それに反応しきれない。

左右の腕から放たれる魔弾の一発一発が、あまりにも特性が違いすぎるのだ。

 

「ストレート一本の頭の悪いピッチャーか!?」

「俺の魔弾(ストレート)の資質も測れないならば、それまでさ!!」

 

虹色のオーブのような魔弾が飛んできて氷柱の三つがまとめて砕かれてしまった。

 

予想を突き崩すような盛大な乱打戦に巻き込まれた一ノ瀬は応じるように砲撃を返すしか無いのだ。

 

「ストレートの資質の違いというのは?」

 

「簡単に言えば魔力の強弱・及び性質の違いということだな。例えば野球におけるピッチングでも当たり前だが、同じストレートでも150kmと130kmでは打席に立つバッターの体感速度は違う。更に言えば、ボールを握った際の縫い目の変化から落ちるストレート、上がるストレートと変えられる」

 

「2シームと4シームの違いですね」

 

「そう。そしてそれらが防御をすり抜けて攻撃を与える。ようは魔弾という単調な術一つとっても緩急が着けられるのさ」

 

ロード・エルメロイII世とライネス・エルメロイの説明を受けて遼介は劣等感を刺激されるばかりである。

単調な術とは言ったが、それを縦軸も横軸も変化可能とするだけのキャパシティを彼は持っているのだ。

魔法社会の変革者(イノベイター)にして破壊者(デストラクター)。誰しもが彼のようになりたいというのに……。

 

(道は険しすぎる……)

 

「君は、自分を狭め過ぎだな……」

「―――私は所詮、小者ですから」

 

不貞腐れるようにロード・エルメロイに言う遼介だが……まだロードは言いたいことがあるようだ。

 

「そういう意味ではないよ。だが、今の君には、利口なことも、情に依った言い分も聞きはすまい。だから良く見ておくことだ。捨てたくなかったのに全てを喪失(うしなって)でも進み続けた男の生きざまを」

 

そのセリフは少しだけ自嘲気味で、ロード・エルメロイにも色々あったのだろうと思えるものであった……。

 

 

ストレート(魔弾)1本で打ち勝つ姿―――そんな巫山戯た真似を許すわけに行かない!これ以上、コイツを万全以上の形で将輝の所に行かすわけには行かない!!

 

また砕け散る氷柱の飛沫の向こうに見える姿に決意を固める。三高の一員としての危機感が一ノ瀬を突き動かす。

 

流石に防御を最小限にしてのノーガード戦法らしく、遠坂刹那の氷柱にも攻撃を通る。

 

「俺の勝利はないとしても将輝の前に、このまま行かせるものかっ!! お前を少しでも消耗させてやる!!!」

 

「忠道大義である―――が、そろそろ仕上げとさせてもらおうか!」

 

上から目線の言葉に、頭にきた一ノ瀬の攻撃が通ろうとする前に、刹那の生き残った全ての氷柱にアルジズのルーンが円状に刻まれていた。

 

「守護のルーン!?」

 

「Foyer: ―――Gewehr Angriff」(Foyer: ―――Gewehr Abfeuern)

 

防御でこちらの攻撃が外された瞬間、聞こえてくる詠唱。キメるための言の葉が聞こえてきたことで一ノ瀬は焦る。

 

詳細は分からないが、複雑かつ精緻に描かれた魔法陣が幾つも遠坂の眼前に出来上がる。

来る。来るとわかっているのに、何も出来ない。

 

そして―――。

 

「Von der Göttin der Güte ausgesendete Strahlen.Von der bösen Göttin ausgesendete Strahlen.」

 

馬鹿らしくも『究極女神ビーム』という黄金の光線が刹那のガンドの指から幾つも放たれたあとには、一ノ瀬の氷柱は全て消え去ったのであった。

 

『WINNER! チームエルメロイ 遠坂刹那!!』

 

ド派手すぎる術で四強に名乗りを上げた刹那。

 

そして女子の方でも四強が決していた。

 

二高 九島ヒカル

一高 壬生紗耶香

一高 司波深雪

学連 シオン・エルトナム

 

 

「こうなるとはな……」

「全ては予測済みです。そして、サヤカさんとの戦いは私は望んでいましたのでね」

「というか進出した連中の都合でしょ?」

 

麦茶を飲みながらの刹那とアイスティーを飲みながらのシオンの会話に横入りしてきた桜小路の言葉に『そらそうだわな』という気持ちだ。

準決勝で『同校対決』などかますわけにも行かず、男子・女子ともども準決勝は、そういう構えだ。

 

「まぁヒカルちゃんの余力を削ることも出来なかった私が言うのもなんだけど、深雪がヒカルちゃんを倒すことを望むわ」

 

「おや、私の勝利を願わないので?」

 

「それ、暗に深雪が九島ヒカルを倒せないって言っているようなものよね?」

 

「私とてサヤカさんに負けるかもしれない。勝利の打ち筋を打っていくつもりですが」

 

女子同士の会話を聞きながらも示された準決勝のカードを見る。

 

男子

一高 黒子乃 対 学連 遠坂

三高 一条 対 学連 二三草

 

女子

一高 壬生 対 学連 エルトナム

一高 司波 対 二高 九島

 

40分後に、再び戦いへとなるのだが……。

 

(勝ち方に拘るようじゃ深雪の負けは確定だろうな)

 

今は袂を分かった形とはいえ 、一高の人間である刹那としては、そんなことを思うのであった。

 

 

 

「深雪……本当にそれで出るの?」

 

「当然よ。ほのか―――これこそが私の九島ヒカル対策!! ペンギンブラザーズを使うことも許可されました!! これぞ全ての勝ち筋!!!」

 

テンションが上りすぎた友人に、もはや何も言うことが出来ない。

準決に来るまで深雪の衣装は去年と同じくの巫女服衣装だったのだが、ココに来てペンギンパーカーという去年の文化祭で着たものを深雪は着て、そしてそれこそが決戦装備であるのだとしているのだ。

 

「―――そして決勝を壬生先輩と共に……ってその壬生先輩はどちらに?」

「平河と美月が連れて行って最終調整さ。せめて、刹那からアドバイスを貰いたかったな」

 

きょろきょろと一高テント内を見回した深雪に答えを告げつつ、少しの嘆息。

 

「仕方ありませんよ……。やっぱり、こう刹那くんがアドバイスすると途端に……ですから」

 

歯切れの悪いほのかの言は理解できている。

昨日の三高 十七夜 栞との戦いの『原因』を理解していた二高からその手の接触禁止令を委員会側から出されたほどだ。

 

「まぁな。とはいえ、いつまでも刹那におんぶに抱っこでいられるわけじゃない」

 

結局、どこかでチームエルメロイとの直接対決がある以上、こうなることは必然だったのだ。

 

事実、大会スタッフ―――独立魔装や士官候補生のメンバーが軍服ではなく、スタッフとしての服で少しだけ監視しているほどである。

 

「そして遂にエルメロイのキャプテンとウチの太助君が戦うことになったな」

 

「問題ないですよ。ただ……久々にワクワクする戦いが出来そうだ」

 

今までの戦いは腹一分にすらならなかったと言わんばかりに、高揚する黒子野太助の様子。

 

誰もが、この男を見誤っていたのではないかと思う。期待をしてしまう……。

 

ジャイアント・キリングならぬジュエルズ・キリングを……。

 

「ホウキ及び魔道具の最終調整を行うぞ。太助」

「よろしくおねがいします。ブチャラティ」

「誰がスティッキー・フィンガーズのスタンド使いだ」

 

そんな様子の一高の一方で……。

 

「間違いない―――司波深雪はリヴァイアサンのチカラを使ってくる」

 

挑戦的な笑みを浮かべながら対戦相手の動向を見なくとも察したヒカル。

 

「あのペンギンパーカーの波動は僕もなんとなくだけど理解できる。大丈夫かい?」

 

その言葉にさして疑問は挟まないが、それでもサーヴァントのマスターというよりも義理の兄妹として、光宣は少しだけ気遣いをしておくのであった。

 

「問題ないね。ただ、準決で消耗が激しくなると思うから補給は頼むね」

 

その言葉、つまり準決勝の司波深雪は『勝てる』と確信しているヒカルの言葉に、一応は四葉の家人である水波は少し言いたくなるが……。

 

(深雪様、達也様―――水波はもはや上方の人間なのです)

 

悲劇のヒロインよろしく妙なことを考えていた桜井水波たちのもとに二高会長 植田由宇がやってきた。

 

「お三人さん。入場曲なんやけどリクエスト。これでええの?」

「ええ、間違いなく、ヒカルも確認して」

「問題ないよ。頼むロード・ユウ」

「まかしとき!!!」

 

このエンシェント・妖精・ドラゴンを倒す存在がいると思えるなど、誰が想像できるものか。

 

(ヒカル―――君の勝利を糧に明日の戦いは、僕たちも勢いづけよう)

(今日がチーム・エルメロイだけでなく、他校全てが味わう最後の勝利です)

 

明日のタッグマッチこそが二高の本領発揮である。

 

((ダウンタウン、やすしきよし師匠たちを輩出した関西(にし)の実力を見せてやる(見せてあげます)))

 

そんな意気を上げながらも、ヒカルへの支援の為に、食材チェックをしていく学生カップルならぬ学生夫婦なのだった。

 

 

「すまん!!」

「気にするな界人。刹那があそこまで極端な砲撃戦に入ったのは、それだけお前を意識していたってことなんだからさ」

 

そして同時に将輝を意識してくれていたということであるのかもしれない。手を叩き顔を伏せて謝る同級生をフォローしつつそんなことを考える。

 

究極女神ビーム……頭悪すぎる名称の術だが、アレを使うということは、魔眼がマクロコスモスとミクロコスモスとして展開することも出来る。

 

つまり……目蓋を開けた瞬間に巨大な『防御陣』が展開される。

あのブリテン島での戦いで『敵味方識別型の広範囲魔力攻撃』を行ったのと同じだ。

 

(一条)トリック(最速爆裂)自分(刹那)には通用しない。そう言いたいんだろうな)

 

魔眼。最速のシングルアクションにして、現代では不可能な神代の能力を発揮するものだ。

 

例え最近、アレコレと開発・進化が進められている思考操作型CADでも見ただけで起動式も魔法式も必要としない『侵食術』の前では意味を持たない。

 

「とはいえ、そんなことは前からわかっていたことだ。今更ジタバタするようなことじゃない」

 

「では何か秘策があるんですか?」

 

一色愛梨の腕組みしながらの怪訝そうな声。

自信満々すぎる様子は今大会の『負けフラグ』などと揶揄されているぐらいなのだが、将輝にもソレが適用されるかもしれない―――という懸念なのか、それとも想う相手を考えてのことなのかは分からない。

 

「こんにちに至るまでに何の策もなしに手ぶらで対峙したらば、『魔宝使いさん』に失礼というものだからな。とっておきの『手土産』を用意して来たのさ」

 

ニヤリと笑いながら、ロンドンで手に入れた『呪体』を加工してジョージと共に作り上げたものを開帳する。

 

「スカサハ先生に封印措置を施してもらっているとはいえ、かなりのアーティファクト(魔神器)だ。こいつさえあれば刹那との戦いも万全さ」

 

「―――何度か使ったんですか?」

 

「ああ……制御に難がある代物だが、それでも使わずに勝てる相手じゃないからな。魔宝使い遠坂刹那は」

 

一色の質問に答えつつ、ぶっつけ本番ではないとして……。

 

「エルメロイの男子No.2。二三草 七郎丸―――ある意味、『小型セツナ』ともいえる術式パターンは、実験として最適の相手だ」

 

「新型デンプシーロール見せようとしてフィリピン王者に負けるフェザー級日本王者(元)みたいなパターンやめてくださいよ」

 

「……思うんだが、一色は本当に俺に辛いよな。何ていうかもうちょっと優しげな言葉で『がんばってね♪』とか『応援してるよ☆』とかスポーツ漫画の女子マネのように言ってくれてもよくない? ミオリネ(水星タヌキの嫁)かっ!?」

 

流石にここまで塩対応をされると将輝としても言いたくなる。別に気があるわけではないのだが、美少女からこうも言われると、何というかアレな気分になるのだ。

 

「三高女子一同がアナタに甘いんだから、私一人ぐらいはバランス取ってアナタを戒めとかないとマズイでしょうがっ!! 慢心・油断全てが敗着の一手なんですよっ!!!」

 

もっともすぎることを返す刀で言われて将輝及びテント内の三高生一同が少しだけ呻くことになってしまう。

 

ぐうの音も出ないとはこのことだ。

 

「うぐぐっ……ならば、刹那はどうなんだ!? 仮にチームメイトだったとして一色愛梨という魔法女子はどういう対応をするんだ?」

 

そういう意味のない想定を言われた愛梨は、エクレールのあだ名の通りに即答する。

 

「もちろん『がんばってくださいね♪』『心より勝利を信じています』『勝利の報酬はベッドの上で♡』と隙を生じさせぬ三段構えでセルナのやる気をニバイニバーイさせますよ」

 

喜色満面で手を組み合わせて想像の世界に浸っている一色愛梨の顔が出来上がっていた。

 

「なんでだっ!!」

 

一条将輝の魂の叫びに誰もが内心でのみ同意をするのであった。

 

とはいえ、引き締め役という嫌われるかもしれない相手を引き受けられるのは、一条将輝に特別な感情を抱かず忌憚なく意見を言える一色愛梨だけである。

 

だから、懸想している相手と同じチームであるという仮定ならば、それぐらいは許すのも慈悲というものかもしれない―――などと三年生一同が思っていると、準決勝の為の所定事項(CADチェック、選手の健康診断)をこなすための時間だとアラームが告げてきた。

 

戦いの時は迫る……。

 

 

 

 

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