魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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ゼウスの雷霆を取り込んだ竜種……。

つまり――『荷電粒子砲』か!! テュフォンはデスザウラーでBFでセイスモサウルスという恐ろしい存在!!

まぁ冗談はさておきプリズマイリヤも久々にコンプエースに載っていたし、これはズバリ冬コミのエルメロイでも某キャラが荷電粒子砲をぶっぱする展開来るかと思いつつ、サムレムもサバト鍋における戒厳聖都みたいな追加企画で由井正雪ちゃんに救いを――――――などと思いつつ新話お送りします


第373話『魔法の宴 双魔死闘編1』

 

 

「……これは、まずいな」

 

早朝のの富士演習場の一角にて、成人した男の苦り切った言葉が漏れ出る。

隣りにいた同僚の男もまた眉を顰めて頷いてしまった。

 

「まずいですね」

 

自分の担当する仕事で少々のトラブル。要するに、「しくじり」が発生したことで少しばかり焦るのであった。

 

 

「とりあえずこういった状況を想定して、製氷機の予備はあるのですが、それでもペアピラーズですからね……消耗・摩耗は避けられません」

 

だが、一応はこういったトラブルへの対応マニュアルや、事前の想定はされていたわけだが、それでも少々……大会スケジュールに変更があるかもしれないのだ。

 

「おまけに、ここ最近の夏の暑さは異常気象の類です。まるで地球規模の温暖化ですよ」

 

係官の嘆くような言葉通りに、 その暑さのせいなのか、それとも耐久年数を超えてしまったのか、はたまた……そもそもこんな暑さでの仕様を想定していなかったのか、それは分からない。

 

だが、せめて中三日、いや二日でもいいから、少しだけこの手の機械を使う競技以外を(あいだ)に挟んでくれていればと思う気持ちは切実だった。

 

そんな軍の係官の嘆きとは裏腹に、遂に関ヶ原合戦のごとき各校のエース級、ウルトラエースな連中の戦いは始まる。

 

 

「今日の戦いは正しく天王山や! 大返しして光秀公を打った太閤秀吉よろしく、勝ちを取りにいこか!!」

 

二高会長 植田 由宇の言葉に全員が威勢よく答える。会長がなぜ関ヶ原合戦としなかったのかは、まぁゲンが悪いからだろう。

関西(にし)の人間は、そういったことに敏感である。

 

「九島君も遂に出陣だな。期待しているよ」

「お任せを、気ままを通した分は働きで返させてもらいます」

 

先輩の言葉に返すも目指した敵は、トーナメント表においては反対の山。

戦うためには勝ち進まなければならないのだ。

 

そして、その願いは十分に叶うことになるのだった。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

「今日のメンバーは事前に分かっているとおりだ。

現状、俺たちが総合1位である以上―――この勢いのままに勝ち進めればいいが、他校もこちらの進撃を食い止めんと必死だ。だからといって見えぬ敵に怯えて、相手をデカく見すぎるのもダメだ。油断せず大胆に行こう」

 

「「「「イエッサー!!!」」」」

 

全員の唱和を聞きながら、さて、と思う。

一番早い試合は、女子ペアの……。

 

「刹那、随分と昨日はお疲れだったようですが、今日の試合は、大丈夫なんですかー?」

 

「ん。まぁ大丈夫。それよりもレティとて昨日は盾打ち決勝戦までやったんだから、大丈夫なのか?」

 

レティが問うているのは昨日の夜の闘争も含めてのことなのだろうが、そこを分かっているがあえて言わないのは節度である。

とはいえ、お互いに昨日も試合をやっての今日も試合。インターバルとしては一晩の眠りだけ。

 

問題なし(パルフェ)! 昨日は無骨な鎧を着ての戦いで少々不満を覚えていましたが、今日はエレガンスな衣装で戦えますからね!! 気合い入りますよー!!」

 

テンションアゲアゲ(死語)な様子で腕を振り上げるレティは、何を着るつもりなのやら……それとなく聞くと。

 

「仏英同盟のテーマはズバリ!! 「アカゾナエ」!! これでいかせてもらいます!!」

 

アカゾナエ……そんなフランス語ないし英語はあっただろうか……と少しだけマルチリンガルとして刹那は困惑したが、思い至れる単語が1つだけあった。

 

「レティ、まさかアカゾナエって、赤い鎧で揃えた戦国の武者の威装「赤備え」のことか?」

 

コレクト(その通り)!! このチームのイメージカラー及びイメージグループから私は考えました。だから期待していてくださいネ♪」

 

人差し指を唇の前に持ってくるキメッキメのポーズを取るフランス美少女は、それでいいかもしれないが。

 

「―――レッドもそれでいいのか?」

 

「しゃーねーだろ。衣装に統一感をもたせることもユニゾンの基本だしな……それに、別に着たくない衣装でもないしよ」

 

(果たして何を着るのやら)

 

しょうがなさそうな面構えから、恥ずかしがるような顔も見せるレッドの変面に考えるも、自分も魔法怪盗プリズマキッドになるわけで、その辺はアレコレ言わないだけの節度は持っていた。

 

結局の所、九校戦が競技大会とは言え「お祭り」なのだ。

思い思いに自分の戦いたいように戦えばいいのだ。

 

策を弄して勝利に邁進するも、己の試したい戦術、自分の得意手で戦う……こだわりを持った戦いでも。

 

(それこそが俺なりのセオリーなんだよ達也)

 

策と戦略に長けた友人への回答は、どこまで伝わっているのやらと思っていると、シオンのCAD調整が各々で入るのだった。

 

「セツナ、とりあえずこれはお返ししておきます。ORTの仮面を着けた初期の魔法怪盗プリズマキッドというのも、一度は見てみたいんですけどね」

 

「アレはワタシとセツナの想い出(メモリーズ)だから、礼装・触媒として使う以外ではカンベンして」

「静かな抗議をアンジェリーナからされてしまいました。刹那からのフォローもありません」

「まぁ俺も同意見だしな」

LOVELOVE(ロベロべ)か!!」

 

古いスラングを使うシオンに苦笑してから、自分の礼装を出しておく。

魔法怪盗プリズマキッドはカレイドステッキを持つのが常だが、カレイドステッキは現在「TS英霊」として教師をやっている。

 

(さて、俺なりの魔法怪盗をやらせてもらおうか)

 

真面目なんだか不真面目なんだか分からない決心をしてから全体に目を向けておくのは忘れない刹那であった。

 

† † † † † † † † †

 

「今日という日が来なければいいなーと、私は昨日の二次会から思っていましたよ」

 

「飲んでないですよね?」

 

「まだ飲酒が認められる年齢(トシ)ではないので……飲めるなら飲みたかったですけど」

 

気弱になる会長を誰もが笑えない。

大会四日目。

 

昨日に続き、「氷柱」と「盾打ち」が続く競技プログラム。

 

今回は男子ペア、女子ペア、男女混合ペアでのユニゾン競技。

 

大会運営を行う人々は、これに限っては「三日間」要してもらいたいと思うぐらいには過酷なスケジュールだ。

 

盾打ち=シールダーファイトに関しては、選手本人と終わった後のフィールド清掃ぐらいだからいいかもしれないが。

 

問題は氷柱=アイスピラーズブレイクの方だ。

 

(ここまでかなりハードかつ展開が早い戦いの連続だ。製氷機とか大丈夫なんだろうか?)

 

深雪などの高レベルの魔法師や術者ならば、競技用の氷柱を作ることは可能だろう。

 

だが誰かの「術」で作られた物体・物質というのは、エイドス的な観点からしても競技に使うのは不平等な所はある。

 

学校での練習程度ならばともかくとして、こういう場では不適切だろう。

 

(ルーラー・モルガンならば出来そうだな)

 

キャスター適正を持つ刹那の契約サーヴァントのことを考えておいたのだが、現状では何の意味もないことを思い返して、副会長として本日の競技参加メンバーを改めて読み上げることにするのだった。

 

男子ペア アイスピラーズブレイク

森崎瞬・五十嵐鷹輔

久里栄純・北大路比呂

五十里啓・高瀬和樹

 

女子ペア アイスピラーズブレイク

千代田花音・北山雫

千倉朝子・岬美涼

鳥飼雛子・猫津貝鬼代

 

男女混合ペア アイスピラーズブレイク

吉田幹比古・柴田美月

來野巽・桂美々

 

「続いてシールダーファイト」

 

男子ペア シールダーファイト

桐原武明・十三束鋼

沢木碧・県 謙四郎

有間文臣・高橋アニー

 

女子ペア シールダーファイト

壬生紗耶香・千葉エリカ

五河野華・悟道沙都子

刀道水狐・山瀬舞子

 

男女ペア シールダーファイト

西城レオンハルト・言峰可憐

河西伊織・由比睦心

 

「以上だ。呼ばれていない人間はいないよな。いたらばホラーだが」

 

達也のその言葉に少しだけ笑う人間は多いが、ともあれ発された選手たちは間違いない。

 

「では皆さん―――思う所は色々ありましょうが、担当エンジニアと連携しながら全力を尽くしていきましょう―――出来ることならば上位に食い込めるように!!!」

 

「と、中条会長のオーダーも発された。今日こそは刹那に、いやエルメロイに対して勝ちに行くぞ」

 

その言葉に最後の気合いが入り、一高は動き出す。

 

(ファーストゲームは森崎と五十嵐の試合だな。そことバッティングする形で、レッドとレティのゲームが始まるわけだが……)

 

警戒すべきはエルメロイだけではない。

ともあれ、まずは初戦である。

 

森崎・五十嵐組のCAD担当である達也は恙無く、それを万全に行いまずは一回戦を勝った。

 

相手との差は明確に合ったので力勝ちなのだ。特に番狂わせもなく、何か異常なものもなく勝った。

 

(まだ出すべき時ではないからな)

 

森崎が狙うものが何であるかは分からないが、担当エンジニアとしては十二分に仕上げた。

だが、五十嵐は作戦か指示が欲しいようだが、三回戦までは特別問題なくイケるはずだとは言っておいた。実際、その見立ては間違いではない。

 

森崎が目指しているものは何となく分かる。

 

(力を力で凌ごうというのなら技はいらず、力を封じて勝つために技は在る。力の追求と技術の追求の比べあい……そういうことだ)

 

それを体現したいのだろう。

そうであると示したいのだろう。

 

力の追求と術の追求。

 

両者のどちらが上である。下であると決めつけることはまだ出来ない。

どちらであろうと強いものは強い。

 

主に武道……剣での立ち会いなど肉体を用いての戦いでならば、両者がぶつかった時、戦いを主導するのは後者(技術)だろう。

その技術を力尽くにでも破らなくては前者()の勝利はない。

 

(考えてみれば、俺もそちら(森崎)側の人間ではあるか)

 

ふと皮肉な考えが浮かぶ。普遍的な魔法能力が著しく乏しい達也には、「技」で以て相手の「力」を上回ることが求められている。

 

もっとも達也の技は「技術力」(テクノロジー)というものであって、森崎瞬の方は「技巧」(テクニック)と呼ばれるものなのだが、実際、この場合の「技」はやはり後者だ。

 

達也の場合は、やはり物心ついた時から巨大な能力値を持ったのが実妹にいたので、どうしてもそれを信奉できないのだが……。

 

それが夢想の境地でないことを願いつつ、達也はとりあえず昔気質の刀剣鍛冶か研ぎ師よろしく、彼らの技が十全であるよう、存分に挑戦できるようにしておくのだった―――。

 

 

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