魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
経験値先生もついに『うそつきのこ』の胞子に毒されてきたということか(失礼)
そして3年越しぐらいに遂にお虎に動きが出た!
SAKIMORIらしいバイクテク!(爆発していない)
SAKIMORIらしい巨大な武器!!(壁ではない!槍だ!)
ガムシンまで出てくるがレイドまでがはえーよ(泣)などと思いながらも新話お送りします
2回戦が始まった。
ペアピラーズは、男女ペアの第一試合と最終試合の余熱も冷めやらぬままに、熱気が残ったままに戦いたいのかゲームの展開が早い。
試合の流れが速い。
スピーディーになっていくゲームスケジュール。
それは、競技のための日程が決まっている競技委員会としては願ったり叶ったりだが、その一方で懸念すべきことが、現実に起こりつつあった。
「むぅ。それで製氷機はこのままであと何試合分できそうかね?」
「確実な作動が約束出来るのは四試合分かと……」
その言葉を聞くと同時に競技委員長は、現在までに進行しているスケジュールを端末で確認。
すでに設置して競技開始している人間たちを除いて……見るに……。
「九島閣下のお孫さんの二回戦までは間に合わないか」
何ということだ。別に忖度するわけではないが、それは色々と不味い。
全ては、準備不足と運動競技の運営としての経験不足から来たことだ。
現在も行われている甲子園、国立、インターハイなどの競技運営委員会はその長い歴史ゆえに、それら不測の事態におけるマニュアルなども存在していた。
軍人を主体とする今年度の九校戦競技大会というのは、その手の柔軟性を欠いていた。要は競技スケジュールとその手の備品管理に対する見込みが甘かったのだ。
「はてさてどうしたものか」
「とりあえず予備分を近隣基地に空輸してもらうようにはしていますが……」
それでも一日ほどかかるという試算を見せられて……。
「せめてこの一日だけは恙無く運営したいものだ」
そういうことで、何とかこの手の機械を正常に動かせるようにすべく、密かに会場内から技術者を募集していかなければならない。
「ダ・ヴィンチ先生やロード・エルメロイ先生を呼んではいかがでしょう?」
「むっ……それも1つだな」
部下である士官の提言に思わぬ天啓を得た気分だ。
となれば、すぐさま連絡を着けることになるのだった。
並行して新たな製氷機も空輸する。本戦のあとには、新人戦も同じく進むのだから当たり前だ。
(やれやれ、昨年度の魔法大学からの運営委員の気持ちも少しだけは分かるな)
不祥事で今大会での関与をシャットアウトされた人間たちのことを考えてしまうぐらいには、過密スケジュールなのが、今大会なのだから。
・
・
・
「
、
言葉に応じて黄金の魔法陣というには円形ではない。どちらかといえば鍵穴か精緻な金細工のようなものがいくつも展開する。
8つの宝石と宝石の杖を用いて作られたそれは。
「砲台か」
気づいた誰かの発言どおりに展開した砲台。
ならば、そこに込められるべき砲弾は―――。
「―――」
「―――」
やるべきことをやっていたパートナーの視線を受けて、最後の呪文口訣が2人同時に結ばれる。
『『―――
「ビーム砲の雨霰か!!!」
「直進するはずのビームが屈曲・湾曲する! こちらの防御術を無為にする!!」
本来の『打ち砕く雷神の指』は高速回転増幅炉―――言うなれば巨大エネルギーを作り出す『プラント』であり、そのエネルギーを放出させるものだったのだが、刹那はこの術式を少しばかり変化させた。
母である遠坂凛であれば、
主に誰かと組む、チームで戦うという手法だ。
だが、どうしても『一人』で戦う状況に至った場合のために、あるいは『誰か』とくんだとしてもそのサポートを無駄にしないために、こういうものを作った―――主に教室の
レーザービームのつるべ打ち、光の刃による同時切断とでもいうべきものを作り出すことに成功するのだった。
自陣の氷柱を避けながら光速で飛来するビームの数々。防御術式としては全く想定外すぎる攻撃角度と威力を前に、嘆きの言葉を上げた四高の男女ペア
女の方はパンクゴスロリな亜夜子ちゃんの趣味だろと言わんばかりの衣装と昔懐かしのビジュアル系バンドな衣装―――それに違わぬ化粧を施したペアでも怪盗ペアに敗れ去ったのは言うまでもない。
『WINNER チーム・エルメロイ!!』
勝利者宣言を前にして、抱きついてきたリーナを櫓の上でも受け止める。
喜色満面の美貌を見ると回復の術でも掛けられた気分になるのだったが……。
『はいだらー!!!!!!』
別会場、別競技の映像で三高の姫騎士の顔が『ど』アップで巨大画面に映されて思わずお互いに吹いてしまった。
「なんかの術でこっちの状況でも察しているのか?」
「やーネー。
女の勘恐るべし―――ではなく、あちらにもこちらの試合状況は中継されているのだろう。競技中の選手にそれが見えるというのは、どうなんだろうと思うも……。
一応は、その試合だけではなく他競技の試合などを観戦試合が限定されてしまうことを避けて観客一同に多くの試合を見せるという思惑。
もう一つは、他試合を見せて試合のボルテージを更に高めようという試み、お互いをより刺激しあってさらなる魔導の高みへと登らせるため。
かつての時計塔でもやっていたことだ。
四角いジャングルで驚異のステゴロやりあう極東のソーサリスと北欧のミステルハンター。
ちなみに胸囲に関しては後者に軍配が上がっていたとのこと……左腕が痛むのは解せぬ。
現実を直視しろ母よ。息子の冷静な分析にケチをつけるな。
などと思っていたら……。
『はいだらーーー!!!!』
『ちょっ! 北山さん!?』
振袖姿の少女が映し出されて同じように言う辺り、自分たちがどう見られているのかが分かる。
「行くか」
「ソーネ」
流石に雫の心まで乱すのは忍びないので、櫓から降りることにした。
順調すぎる試合スケジュールの消化。だが、思わぬ所で落とし穴が存在するのだった。
・
・
・
「というわけで、私としては直すよりも一から作ったほうが早いんだが、急場をとりあえず凌ぐためにやってくれたまえ」
ダ・ヴィンチちゃん先生の言葉に考えると、達也辺りならば「製氷機」を『正常』な状態で『作る』ことは出来そうだが、いや彼でも流石に精密機器をイチから作ることは無理なのかもしれないが。
そもそも論として彼の技能は、軍としては特級の秘密なのだから。それは呼び出された場ーーー薄暗く、そして冷えるような場所にいた響子から理解できた。
「では、今後のペアピラーズは……」
「出来ることならば3回戦までと言いたいが、残念ながら
思わぬ進行の打ち切りを知ってしまうのだった。
そもそも新人戦の製氷も必要なので、一時中断するのはやむを得ないのかもしれない。
そんなわけで動作が不安定になっているという製氷機の1つに、刹那は右腕を当てる。
「
呪文1つで、製氷機の構造図が頭の上に浮かび上がる。その上で問題になっている箇所を正常に戻すべく魔力を流す。
(そういえば、親父は一成さんから頼まれてストーブを直していたそうだが)
それは実際、こういうことだったのだろう。ただ当時の親父は魔術を行使するたびに『魔術回路』を作っていたという話だから、構造解析だけで後は手作業だったのだろう。
(とはいえ、よく気付かれなかったよな)
微弱とは言え、魔力を通した器物があれば熟練の魔術師ならば何気なく気付くものだが、お袋は気付かなかったのだろうか。
二人の学生時代を何となく妄想。
(御三家の内の1つ、マキリが完全に没落した以上ある意味、冬木は『アタシの
父よ。母よ。妹よーーー妹はいないが、そんな風に親に関して他事を考えていた実時間2秒程度、その間に一高の『あかいあくま』は、力と技の魔力を回して製氷機の
「本当に助かるわ」
「下手に主電源を切らずに、作動状態は継続させておいてください。今日一日だけの
響子の言葉にそう返しつつ、本当にこんな調子で今大会は大丈夫なのかとちょっとだけ不安を覚えるのであった。
「で、ダ・ヴィンチちゃん先生は別場所で作業か?」
「全く同一のものは作れないが、規格に沿った物を作らせてもらうさ」
「アンタに贋作作りの才能があったとは初耳だな」
最近、忘れてしまいそうになるぐらいに教職に専念してもらっている魔法の杖に何となくそんな疑問を覚えてしまう。
レオナルド・ダ・ヴィンチといえば超大作ばかりをこしらえて依頼人に納品する万能の天才だと思っていたのだが。
そんなレオナルドは、メガネを掛け直しながら口を開く。
「まぁ私も私の贋作ばかりが出ることもあるわけだしねぇ。どっかの
あんたじゃなくて
「逆に考えるんだ。私の方で『多量流通』させちゃってもいいさと」
美術品の価値を暴落させかねない言い方であるが、まぁ言わんとすることはわかる。
「まぁ安心したまえ! この万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチは、無から有を、不可能を可能に、
「そこまで言うなら何も心配はいらないな。頼んだよ。カレイド・オニキス」
「アイアイ、マスター」
自信満々の笑みを浮かべるダ・ヴィンチちゃんを見てこれ以上は野暮だなと気付いた刹那は、別の厄介ごとの解決に挑むことにした。
戦い足りないというよりも、この辺で少しの決着を着けておきたいというところなのだろう。
誘いに乗る形で外へと出る。競技エリアを外れて物販、フードなどのスペースを外れる。
自分が有名人であることは自覚しているが、どうやらモルガンが掛けた術は確実に動作している。
(我が夫、そろそろだ)
リーナには既に連絡してある。本人は不服そうだったが、それでもリーダー2人がいなくなるのはマズイので、どうしても片方がエルメロイの本陣にいなければならないのだ。
(これ以上、真剣勝負に水入りされたくないからな。少々、痛い目を見てもらうぜ)
魔眼というほどではないが、眼筋に魔力を走らせると森の中に八卦図の
誘われているのを認識しながらも、虎穴に入り込む。
ポータルを踏んだあとには、どこかへと行く感覚。下腹から未知の臓器を喉元まで押し上げられるような違和感を覚えながらも、用意された場所は。
「古代中国の情景だな……」
横浜マジックウォーズの前哨戦とでもいうべき病院内で、フェイカー=王貴人にいざなわれた時と同じ。
だが、あの時とは少々面子が違う。
味方も、敵も。
目前ではないが……隆起した岩場に立ってこちらを見下ろしてくるものが数名。隠れているのもいるかもしれないが、とりあえず知っている人間を羅列していく。
呂剛虎、王貴人、周公瑾、レナ・フェール。
その他には周かレナが集めた手勢らしき人間がいる。主だった面子の中に、
「夜更けにこれ以上大挙して来られても困るからな。ここいらでアンタ達を叩きのめさせてもらう」
「魔宝使い、私はアナタと―――」
「手勢として日本の魔法師を軍基地に送り込み、更にはバーサーカーのサーヴァントをけしかけておいて、いまさら話し合いが通用すると思うなよ。教主レナ」
分水嶺はとっくに越えている。と告げてから全てのサーヴァントを出す。
「――――」
「――――」
「――――」
「……少々、大人げないのでは?……」
こちらの『手勢』を見た周が一歩退きながら言ってくるも、そんな言葉は『へ』でもない刹那は返す。
「ウチのチームの英仏美少女たちが赤備えなんて古式ゆかしいものを出してきたんだ。となれば、俺は城攻めの総仕上げとでもいうべきものを見せることにしたのさ」
天下全ての名将を勢揃いさせた豊臣秀吉の小田原征伐……それだけが真田一族が『敵味方』に別れず戦えた唯一の戦なのだから。
「別に
「ビビって逃げないかなー?」
「ビビって逃げるようならば決戦は挑みません!」
「武蔵、それは敵が言う言葉だ。まぁサムライとはそういうものなのかもしれんが」
ジェーンの言葉に武蔵ちゃんが答え、武蔵ちゃんの価値観にモルちゃんが疑問を呈する。
が、会話の時間はここまでである。
「では―――闘争を始めるとしようか」
その言葉が事実上の『死刑宣告』も同然であり、異界での戦いが始まる……。