魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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悟空も死ぬときは、笑顔で『バイバイみんな』とかって言ったからか笑顔で行く印象が多い。

やっぱり笑顔でお見送りしなきゃ先生も未練でいつまでも蛇の道を通って界王様に会いにいけない……いやいやそうじゃない。
今度はあっちでドラゴンボールやネコマジンやドクタースランプを描いて楽しませているにちげぇねぇ。もう少し頑張ってからそちらに行きたいもんだ。

そんなこんなで新話お送りします




第379話『魔法の宴 ~4日目終了~1』

 

 

「大手柄と言いたいところだけど……まぁいいわ。結局の所どいつもこいつも魔法犯罪者みたいなものだから、立件は出来ないけど強制送還するぐらいかしらね」

 

「失礼極まりない。私はUSNAの魔法団体のリーダーでしかありません。不当な拘束には断固抗議させてもらう」

 

「そんな人が夜中に元気いっぱいにサーヴァントを繰り出して学生を襲うとか意味不明だな」

 

明確な罪状というわけではないが、サーヴァントなどの『魔術的な傀儡』というのは、戦闘行動に入れば『A級の殺傷性魔法』という見方がなされつつある。

 

ただ自意識を持った存在で、しかもその『人権』というものをどう定義していいのか分からず、魔法協会としても難儀しているようだ。

 

そもそも、殺傷性ランクというのも時と場合によりけりというかそこまで杓子定規に決められるものではない。

 

(とりあえず不正な魔法使用及び国有地への無断での戦闘行為、不法侵入等々で拘束というところか)

 

部下である遠上遼介と同じような沙汰ではあるが、まぁそれが適当なところだろう。

 

周、呂、王貴人の三者は現在完全に拘束中である。

特に王貴人の方はどうやって復活したのかは分からないが、霊基錠で封印しておかなければどうなるか分かったものではない。

 

FEHRが潜在的な敵であるならば、この大亜からの『はぐれもの』達は完全に敵である。

 

(あれだけこっぴどくやられたんだ。多少は凹んでいてもらわなければな)

 

とりあえず大人しくしてはいるようだ。

 

政治的には周の取り扱いが問題だ。彼が九島家に匿われていた食客扱いであったことは明白。

 

公然としたものではないが、それでもどうするか……九研にいたモルガンを支配しようとした時点で手切れになっていると見るのが普通だが。

 

(どうにも政治的な動きがこちらに縛りを与えているよな)

 

厄介な限りだ。もちろん刹那とて無闇矢鱈と人死にを出そうとは想っていない。ただ『公の敵』(パブリック・エネミー)とも言えない存在が多々いるのも事実。

 

今もFEHRという組織の首魁をどう扱っていいのか分からない。テロを起こしたといえるほどの何かがあるわけでもない。

 

同じだ。

 

完全な怪物にでもなってしまえば、公然と倒せるのだが……。

 

「それであの赤毛のヒトは……?」

 

「そちらは実に厄介な限りなのですよね。まぁ記録映像を見せてもらいましたが、遠坂クンに襲いかかったのは事実で戦闘に至った経緯も分かるのですけど、どうしようかと悩んでおります」

 

自分と響子が話していた場に割って入るように口を出してきたのは、響子とは少し違った印象を持つ女軍人(WAVE)であった。

 

士官なのかどうかは制服だけではわからないのだが、茶系統の地味なタイトスカート型の軍服を着た女性の登場。

 

場を測っていたな―――と冷めた思考で考えつつ、あの東京魔導災害での後始末で、こちらに接触しようとして『失敗させた女』であることを思い出すも……。

 

「すみません響子さん。こちらの響子さんと同職(サゲマン)らしきヒトは?」

「同職ってのは軍人かどうかってことよね? まさかサゲマンかどうかってことを言ってるわけじゃないわよね!?」

「そんな失礼極まること、私には恐れ多くて口に出せませんよ」

「うわぁ、うそくさーい! 自分も騙せない嘘云々とか言っているヒトとは思えない」

「場合によりけりだとは言っておきましょう。じゃあこちらのサゲマンは響子さんと同じサゲマンなんで?」

「やっぱりそれやないか!!」

 

刹那の訂正した質問に最後には思わず関西弁が出ちゃう藤林響子。そんな刹那と響子のやり取りに戸惑ったようにきょろきょろする……遠山つかさという女性軍人。

 

なんだか軍務に就いている割には、あの時と同じく化粧をバッチリ決めすぎていて、服務規程違反なんじゃなかろうかと想いながらも……ようやく自己紹介をする機会を得た女性は咳払いしてから口を開く。

 

「国防軍情報部所属の遠山つかさと言います。サゲマンかどうかは分かりませんが、これでも十八家の人間ですので、なんとか心を通じ会えた殿方とは良縁を結んで出世してもらいたいとは想っていますよ」

 

「そうですか。がんばってください」

 

「あら? 私に自己紹介はないので?」

 

「俺を遠坂くんなどと呼ばれている。いらないでしょ」

 

別に行儀が悪いとは思わない。こういう法政科の陰謀系統の女性とはあまり近寄りたくない。

 

先生の宿敵ともいえる化野菱理と同じ匂いがするのだ。自分たちこそが何かの守護者だとするような……。

誇りもすぎれば驕りとなるとでもいえばいいのか。

 

そんな感じ。まぁ軍の情報部ということは、戦国時代の忍者より以前から始まっているようなもの。

 

小国ゆえに生き残るために組織された真田の忍者衆。日の本全土に『草』を派遣した柳生一族なんかは有名である。

 

その任務の性質上、色々と後ろ暗い部署だから必然的に自分たちが実働部隊よりも重要なのだと思って、その情報も少しばかり取捨選択されたものばかりになる。

 

だから……。

 

「情報部なのに、あの化粧はいいんですかね?」

 

日本の軍部の規定に詳しい響子に聞くのであった。

 

何年か軍で生活していた刹那ではあったが、情報部という職務の軍人は、地味ならいいってものでもなく、敵とは異なっていながら、目につきにくい服装……都市迷彩とでもいうべきものが、必要なはずだが。

 

「一応、彼女も本当は『十山』で魔法師的な特徴はあるはずなんだけどね……刹那君をハニトラしようとしているんじゃない?」

 

「無駄な努力 乙としか言いようがない」

 

「せめてそういう話は私の聞こえていないところで言ってくれませんか? 藤林中尉、遠坂刹那君」

 

怒っている。というかようやく見えた人間らしい表情に少しだけ安堵しつつ、話を戻すことに。

 

「で、赤毛の男性がどういうヒトなんで?」

 

「そ、そこに話を戻すのね。いいけど……彼、アレクセイ・ローゼン・クアトロはその姓から分かる通りローゼン・マギクラフトの関係者というか、CEOなのよ」

 

あそこは同族経営の見本みたいなものだからな。と魔術師的な考えでの企業だと思い出すのだった。

 

そして、よく考えてみれば北山の御曹司である北山 航に接触をしてきた人間(フルーツベリー贈呈)であることを思い出す……。

 

そんな彼が……エルゴさんと似ている道理―――ただ刹那の印象でしか無いから見間違いの可能性もある。神腕幻手を使えるのと赤毛からそう感じているだけかもしれないから……。

 

「で、身柄を引き渡せとでも言われているので?」

「実を言うとその通りなのよ」

 

それでは渡すしかない。あの隠された世界での戦いを全て見せつけるわけにもいかない。

 

こちらにも不実が出ているのは確実なのだから。

 

「ならば渡すしかありませんよ。しかし神腕による自己封印を解けるのですか?」

 

「その辺りはローゼン任せかしら。というか西城君みたいな術者って多いのかしら?」

 

響子の問いに答えるには少々、刹那では知識が足りなさすぎた。唯一、全てに解を与えるのは……ロード・エルメロイII世ことウェイバー・ベルベットだけなのだから。

 

ともあれ基地の一室で決めるべきことなどそれぐらいであり、唯一この場にいる拘束者であるレナ・フェールに関しては遠上遼介と同じような処遇でいいんじゃないかと言っておくのであった。

 

「なんだったらば私がアナタのチームの応援隊でも指揮しましょうか? 2010年代のコリアンガールズポップな衣装でやってあげますが」

 

「最大級のサゲマンにそれやられると運気が下がるんでNO THANK YOU(ノーサンキュー)だ」

 

今まで黙っていたレナ・フェールの言葉を一刀両断。

やられた方はすごく落ち込んだようだ。

 

「刹那君、色々と生臭いハラワタが透けている遠山曹長から色目を使われて気が立っているのは分かるけど、もうちょっとこう手心というか……」

 

「さり気に私をとんでもなくディスらないでくれませんかね中尉、いや昨今、優勝から遠ざかっている2高のtheサゲマンOGの藤林センパイ」

 

ゴゴゴゴゴゴという新手のスタンド使いでも出てきそうな効果音を奏でる睨み合う2人の女性軍人に呆れつつ退室許可を勝手に貰って出ていこうと決めた刹那。

 

「ミス・レナ、あんたは少なくとも俺の分水嶺を越えている。そりゃ遼介さんが自分の意志で決めたことだとは言えるが……それでもアンタの団体に入ったがばかりに、1人の前途ある青年が実家に帰らずに行方知れずになったんだ」

 

「―――」

 

「どうやら遼介さんはよっぽどアンタに心酔して、家族も何も捨てる決意をしているようだ……馬鹿げている。俺には理解できない……自分の持ち物(いままで)を捨ててまでアンタの団体に、いやアンタに、レナ・フェールという教主にこれからの人生を捧げる気持ちのようだ」

 

「わ、私はそこまで……」

 

「俺には分からない。レナさん、アンタやアンタの作った団体にそこまでの価値があるのか。そしてアンタにも考えてもらいたいよ。自分のやっていることが、一人の若者の人生を奪うほどに意義や意味がある尊く立派なことであるのかどうかをな―――」

 

「……」

 

「そして俺は……遼介さんが捨て去ったものが……『家族』が一番欲しかった。魔術の達者さが、運命が、俺から『家族』を奪ったというのならば、俺はそんなものいらなかった。運命こそが俺の最大の敵だ」

 

例えそれが親からの愛を失う結果になった―――いや、あの両親はそれでも自分を我が子として愛してくれたはずだ。

 

そんな仮定(if)など意味はないのだ。

 

そういう捨て台詞じみたものを残しながら今度こそ部屋を出ていく。

 

 

残されたサゲマン3人のうち2人は……。

 

「で、結局なんでそこまで化粧をばっちり決めてきたの?」

「………かかる恥を理解しているのならば武士の情けを掛けてほしいものです」

 

結論、やはり十山つかさは遠坂刹那を籠絡するつもりだったようだ。

 

悔しげに俯く彼女は基本的には野心家ではないのだが、自分の家というか与えられた魔法の役目が国家単位レベルの危機を回避するという『大きすぎるもの』であるせいか、自分の判断こそが国家の危機を救うものとして危機回避を全力で為そうとする。

 

転じて、それが他人には。

『自分のことしか考えていない女狐』

という印象をもたせてしまうのだ。

 

自分の考えこそが正道であり公に認められたものであるというバイアスが掛かったものであるからこその齟齬なのだが……。

 

(まぁどうでもいいか)

 

刹那がリーナから離れることはなく、彼自身もあれこれと全ての女にからもうとしてややこしいことになるのを自重している。

 

自重していても向こうからやってくるのだからどうしようもないフーテンの寅(葛飾柴又の守護神)の気質があるのだが。

 

そんな風な結論をしながら自分の部下とまでは言わないがバディを組む事が多い一色家の長女 一色華蘭のことも考えて、これ以上面倒な女性の引き寄せ、寄り付きは止めとけと思っておくのであった。

 

 

「結局、つららは2回戦で一旦終了か……」

 

「その後の日程に関してはまだ決まっていないけど、明日はシールダーファイトがメインになるそうヨ」

 

「まぁ正直忙しない限りだったからな。ここでお客さんのためにも一つ競技に限定するのはいいんじゃないかな?」

 

男女混合競技は別日にしても良かったんじゃないかと思うぐらいには2種競技で3つもの試合形式―――大まか6つものゲームが一度に展開されるとなると運営委員会も大変だが観戦する人間たちも大変なのだ。

 

甲子園(野球)国立(サッカー)の全国選手権の開催季節がズレているのもまぁ分かる話。

 

「運営委員会としてはインターハイは多くの競技を殆ど一つどころでやっているから問題ないだろうという気持ちだったのかもしれないな」

 

バスケ、卓球、テニス、バレー、ソフトボール、柔道、陸上、水泳……世の高校学生競技の大半は、定められた都道府県や地域別開催で『全国大会』をやることになっているのだから。

 

そう考えて、やれると思っていたのかも知れない。大競技場を貸し切ってハイスクールアスリートのオリンピック……。

まぁ魔法競技なんてのは大っぴらに出来る場所は限られている上に、そもそも9つの学校しか無いので、そう考えたのも分かる。

 

まぁ運営側の不手際といえば不手際だが、それに対してあれこれケチをつけるほど刹那は狭量な人間ではない。裏側の事情も知ってしまったのだから。

 

お疲れさまですという感謝の気持ちである。

 

「ミノルとミナミ、ミキヒコとミヅキも上がってきているワ」

「まぁ妥当だな。ただ男子ペア勢が全滅するとは予想外だった」

 

情勢の良し悪しとしてはそんなところ……勝敗に関しては、あまり外様の自分たちが気にするべきではない。

問題は自分を出し切れたのか。競わず持ち味をイカセたかどうかである……。

 

あとで聞いておこうと想う。

 

「キョーコのセツナの拘束時間がズイブンと長かった気がするんだけど……」

「ああ、サゲマン3人によるジェットストリームアタックを食らっていた」

 

正直言って辟易する。げんなりするのだ。三人の成人女性の見目がことさら悪いわけでではないのだが……。

相性の問題なのだろう。

 

だからこそ……。

 

「正面で見ても、横から見ても、下から見てもイイ女すぎて彼氏としては困っちゃうっ」

 

リーナに癒やされたいのであった。

 

「モ、モウ♪ イイわよセツナ、アナタに付いたサゲマンの怨念じみたオーラをワタシが浄化(フレッシュ)してアゲル♪♪」

 

いきなりなハグ。正面から抱きしめ合う高校生2人に対して天下の往来(会場外)で何してんだコイツラという視線とか、これが有名なトオサカ・クドウのバカップルかとかそういう視線を受けながらも―――九校戦はトラブルありながらも順調に進み……。

 

 

「私が知っているエルゴという青年は、小国マケドニアから出て一大帝国を築き上げた征服王イスカンダル、アレクサンダー大王、アレクサンドロス三世ともいわれる偉大なる大王の正当な王位継承者……名を、―――アレクサンドロス四世。

私が仕えいつの日かその旗本として轡を並べたいと思わせる王のご子息だ……」

 

魔術師にしては直截さがない多弁な言いようでアレクセイと似ている青年のことを語る先生の暴露によって話は大きくなっていく……。

 

 

 

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