魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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ムネノリリィ……(語呂良い)

こちらとは関係ないのですが、別作の方で流行のAI画像生成でオリ主の画像に近いモノをアップロードしました。

もうちょっとアルトリア顔な魔法科高校制服にしたかったのですが、ううーみゅ精進せねば。

などと愚痴りつつ新話お送りします


第382話『魔法の宴 双盾死闘編1』

 

 

 

大会5日目は男子・女子・混合のシールダー・ファイトのペア決勝までの試合スケジュールとなっている。

 

本来ならば並行して行われるはずだった氷柱倒しは機械の予定が着かずに休止となっている。

 

ある意味では単一の種目に注力できる状況に各校は嬉しく思いながらも、油断なく戦いは進んでいく。

 

そして現在、シールダー・ファイト男子ペアの準決勝の真っ最中だ。他の試合 四高と一高のペアの戦い次第では、同校対決になるだろうが。そこはまだ考えるべきことではない。

 

十三束が盾を掲げて突進する。一高のペアが二人ともベタベタの近接タイプであることをこれまでの試合で知っている。

相手である三高の選手は、桐原と十三束からずっと距離を取って戦っている。だが直接働きかける遠隔魔法は十三束の展開する狭い代わりに高強度の領域干渉、と三高選手は思っているが、実は接触型術式解体によってことごとく防がれているわけだが。

 

(強い!!)

 

決してこちらを侮らずヒットアンドアウェイ。蝶のように舞い、蜂のように刺すような戦いが徹底されていた。

……そろそろ超接近戦では勝てないと悟った十三束は、盾を片手持ちして後ろにいる桐原にもう片手でサインを出す。

 

ここで見せることは決勝戦を不利にするかもしれないが、ここで敗れては黙阿弥である。

3つのシールドの内の1つが砕かれている現状。

窮地ではないが、それでも……。

 

そんな十三束鋼の様子に少しだけやれやれと思うのは桐原であったりする。ここまでの戦いである意味、十三束の最大の爪を隠しながら戦わせてきたことでフラストレーションを貯めさせたのかもしれない。

 

実際、司波達也の見立てと桐原の見立てでは、このままいけば三高は息切れしそうなのだが。

 

(ピッチャーとキャッチャーの以心伝心でのやり取りとまではいかんか)

 

投げたいボール。特に覚えたての決め球があると使いたがる投手の心理と同じだが……。

 

(無理に抑えつけることも、あまり良くないか)

 

沢木であれば部活の先輩ということで十三束もダメだということを是としたかもしれないが、桐原は剣術部の人間でしかないので、結局したいようにさせるのであった。

 

逃げ回りながらも攻撃を続ける三高ペアを前に、十三束は盾を横持ち(・・・)して停止した。

 

その奇態な行動に三高は惑わされる。ハッタリか何かの新技があるのか大きめの盾で完全に見えなかった十三束鋼の顔が完全に見える。

短躯とはいえ胸の高さで持たれていた盾―――その行動を前に。

 

―――ハッタリだ!!

 

断じた三高ペアは、ここぞとばかり接近戦を挑もうと足を貯めた。恐らくあの動きに幻惑されたところに後ろの桐原が……という考えは、あっさり崩れ去る。

 

「魔砲展開発射」

 

盾の表面に砲が幾つも出来上がった。カッコ悪い表現だがフジツボが群生する防波堤の岸壁のようなそれを前にして……。

 

そしていくつもの魔弾が発射されていく。

 

「「なにぃいいい!!!!」」

 

空気塊を投げつけるのならばともかく、この魔弾の性質は遠坂刹那と同じもの。

 

その放る回転もまた少し劣るが、一見すればそこまで違うようには思えない。

 

三高ペアのサイドシールドが既に喪失して、手元の唯一の防御手段であるシールドが次々と凹んでいく。速度と物量(手数)がとんでもないのだ。

そしてそこに横合いに高速で回り込んできた桐原の攻撃が決まる。サイドアタックを許す……柔らかい脇腹を狙われたことで唯一の防御手段である持ち手の盾が砕けて、そうして三高を打ち破り決勝へと駒を進めるのであった。

 

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

 

そんな十三束・桐原ペアの戦いぶりに、苦言を呈するわけではないが、それでもここでやるかと嘆きを覚えるのは作戦参謀でもある達也であった。

 

「そりゃ十三束も刹那から魔弾の要諦を教わって、いつかは披露したいと思っていたんだろうが、ここで見せるか」

 

決勝にて4高の角隈・静希ペアに奇襲として放ることも出来たかもしれないのに……。

 

「けどよ達也。作戦として切り札を持っておくってのはいいが……速めに決着を着けるのも一つだろ?」

 

達也の内心を察したのかフォロー役として副会頭であるレオの言葉が入る。

 

「むっ、そうか?」

「如何に両名が鍛えているとはいえ、三高の戦術は基本に忠実なヒットアンドアウェイだったからな。追い足を使いすぎて体力を使わされるのも後に響くだろ」

 

登山家(クライマー)として、ペース配分や山の状況の察知に敏なレオの言葉に、それも一つかと思う。

 

「あと、多分だが桐原じゃ鋼を抑えきれなかったんだよ。俺みたいに直接の部活の先輩後輩だったらば、まだ言うことは聞いていたんだろうけど」

 

二〇分前に四高男子ペアにやられた沢木のフォローの発言で、そういうことかと考え直す。

 

結論としては……みんな自慢屋なのだった。

 

(((お前)もな!))

 

司波達也の我だけは違う的な発言を内心でのみ否定してから、今後のことを考える。

 

目下最大の敵であったチーム・エルメロイは、シールダー・ファイトにおいては全滅。当然いくらかのポイント圏内に選手が進めれたのはいる。

 

準々決勝の混合ペアで一高 由比睦心・河西伊織と戦ったエルメロイ 相津郁夫・斎藤弥生などはそうだ。

 

しかし、勝ったのは前者で西城・言峰ペアの決勝の相手はまたもや一高出身者なのであった。

 

そこでの戦いはどうするのかは四者の意思表示次第だ。

問題は女子・男子ペア決勝。こちらは完全に他校との戦いである。

男子ペアは先程述べたとおりに四高である。見ていた限りではどちらもなにか派手なものを見せていたわけではないが。正直言えば、どうして沢木・縣ペアが負けたのかが分からない。

ただ、四高応援席から響く声。特に達也にとっての親戚である黒羽文弥・黒羽亜夜子の応援で。

 

『我らがザビエル会長!!! 仕上がってますよ!!』

『驚異のYAMA育ちパイセン!! その勢いで我が校に優勝旗を!!』

 

……どんな応援?と誰もが首を傾げるものがあったりする。

 

そしてさらなる問題は……。

 

女子ペア決勝……。

 

三高 一色愛梨・光主タチエ

一高 壬生紗耶香・千葉エリカ

 

この戦いがどうなるかである……。

 

(どうもできんな!)

 

もはやこの戦いは不確定要素なんぞない。ガチンコでぶつかり合う力押しの戦いだけになる。策なんて『しょっぱいもの』を勝負の場に持ち出そうものならば、一挙にどちらかに天秤が傾く戦いだ。

 

唯一の策といえば、リーナと刹那のロベロべ(LOVE LOVE)っぷり(死語)。観客席の様子でも見せれば一色を逆上させることもできるかもしれないが―――それがデバフになるかバフになるか分からない。

 

「チーム・エルメロイの選手がいなくなっても、中々定まらんか」

 

寧ろ、場の流れが更にこちらにとって読みづらくなった気がする。昨夜、真由美OGから教えられたエルメロイ先生の『勝負事』の流動性・固定性とやらを考えるに、ある意味では「いち抜けた」チーム・エルメロイによって場が乱れている。

 

「このままだとどうですかね?」

「―――チーム・エルメロイは、既に照準を明日の前倒しして行われる新人戦に向けている。まぁそれは他のチームも同様だが、刹那に一手先んじられるのはマズイな」

 

由比・河西ペアのCADを調整及び作戦参謀として試合に帯同していたケントの言葉に答えてから、中条会長にはそれとなく一年の様子を見つつ、なにか緊張しているようならば声掛けをするように言っておく。

 

梓弓を応用した『術』ならば今から緊張をせずにいられるはずだ。

 

そうして明日の戦いに意識を向けながらも、何かの陥穽は無いかと四高ペアの戦いに達也は目を向けるのだった。

 

 

「さて、今日のスケジュールは他の試合を見て『勉強』することになるが……その前にやっておくことがある」

 

各種競技の決勝開始は午後二時からと決められている。

 

それぞれで赴く競技場は決めてもいいし、エルメロイのテント・会議室のモニターで全てを見てもいい。その辺りは自由にさせていた。

 

特製担々麺を食わせていたエルメロイの面子を前にして刹那は、締めるべきところをいっておく。

 

「明日からは前倒しされた新人戦だ。スケジュールは間を挟む本戦とは違ってぶっ通しだが、順番は基本的に変わっていない」

 

いよいよやってきた新人戦を前にして一年の緊張が見て取れる。

 

「というわけで―――トップを切るペペロンチーノ、六道。まずはお前たちにバトンタッチだ」

「予想外に重いバトンですこと」

「大変なものをいただいちゃいましたね」

 

ある意味ではこの二人の歳にそぐわない落ち着きっぷり。トップバッターであることに安堵する。

 

「チームとしての勝敗は気にするなよ。自分の出したいことを出せ。そのうえで勝つことが目的ならば全力を尽くせ」

 

「仮にそれでチームの優勝に瑕疵が出たら?」

 

「あのメンバー初顔合わせの時にも言ったが、勝ち負けに必死で拘るつもりはない」

 

その刹那の言葉に少しだけの落胆を生むものもいた。都合一ヶ月以上も同じようにやってきた人間の集団であるのだ。

 

同じ釜の飯を食う仲間であった一時だけの連合チームだが……戻るべき自校があるのだが、それでも―――。

 

「しかし、団体としての勝敗は俺たちが何とかする。たとえ一年生たちがどれだけ失点したとしても、後半本戦で取り返してやるさ」

 

―――チームとしての勝利を目指すべき心はキャプテンが示してくれたのだ。

 

「遠慮はいらんぞ一年生たち。ここまで取ってきた貯金はお前たちが遣うためにあるんだ」

 

その言葉に、紅白のエルメロイ制服に輝きが戻った気分なのだ。

 

「―――ケド、本音は?」

 

「いや、本音のホンネ! 勝負どころで宝石をケチるようなヤツに勝利の女神は微笑まないんだよ!! たとえ後に宝石箱の中身の空虚さに頭を抱えたとしてもな!!」

 

恋人とのやり取りでそんなオチを付けられてしまっては、このキャプテンの為にも自分たちも貯金をしてやるかという気持ちが生まれて、チーム・エルメロイは新人戦より再始動を果たす。

 

そして午後二時より盾打ちの決勝戦は始まるのであった……。

 

 

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