魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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おおっ……スタママ、まほ箱……けっして忘れ去られていたわけじゃ無いんだ。

まだ僕ら(?)には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない。わかってくれるよね?

そんなわけで、スタママ3巻で全てに決着を見せて欲しいんだよな。トレンデルの正体やら、パララララ機関のあれやこれや。などと少しだけ期待を寄せつつ、今作で拾い上げていたのは間違いじゃ無かったんだなどと自分を持ち上げつつ新話お送りします


第385話『魔法の宴 双盾死闘編4』

 

 

ついに始まる女子のシールダー・ファイトの決勝戦。

 

その戦いの凄まじさは男子に劣るもの―――どころか明らかに勝っている。

ここまでの予選では強烈な打つかり合いとなっていたのだから。

 

一人は女子ソロ氷柱の優勝者、一人は女子ソロ盾打ちの準優勝者。

 

一高側は実績を伴ったまさしく最強の布陣で三高を迎え撃つ。

 

三高側もまたここに至るまでの戦いで色々ととんでもないものを見せているのだ。

 

簡単に勝負は決まらない―――のだが。だが……。

 

「おい。この状況は何なんだ?」

 

チーム・エルメロイのキャプテンである刹那の周りには女子ばかりが密集することになっていた。

主導したのは、我がB組の人間たちであった。

 

エルメロイの女子選手を何故かキャプテンの周辺に集めるというこの状況察するに……。

 

「こんなことしたとしても愛梨が惑わされると思うか?尼利はどう思う?」

「ウチのエクレア先輩は、まぁイノシシですからねー。意外と色々とスゴイことになっちゃうかもしれませんよー♪」

 

チーム・エルメロイの中でも珍しい三高生の一人である尼利ミサオに問うたが、ケラケラ笑いながらそんな先輩を舐めきったような言葉を放つ。

 

「スゴイことねぇ……」

「アカハパイセンの策が実るには、エクレア先輩とは別に何も心動かないタッチーがどれほどやるかにもよりますが」

 

尼利が宣うタッチーというのは、愛梨のパートナーである『光主タチエ』のことであろう。細い目で何かを思い出すかのように、眼下の少女を語る。

 

その様子から只者(ふつう)ではないことは理解できる。いや、九校戦に選出されている時点で何かしらの特別な技能があるのだろうが……。

 

「とにかく!いまはハーレム王の気分でいてくださいよーセツナー♪なんやかんやとアイリスの心を乱すにはこれがメイラープランなんですからー」

 

おはようマラカスでも振り回しそうなパリジェンヌは、刹那の膝に乗りながらそんなことを言う。

 

ちなみに刹那の近くにいる人間たちはじゃんけんで勝った順に好きな位置にいるわけで……リーナは最下位だったわけで、ちょっとばかり遠い位置にいたりする。

 

こんなことで本当に乱れるような女の子だろうかと愛梨を信じたい気持ちが勝る。

 

(とはいえ、エルメロイとしては三高よりも一高に勝ってもらった方がいいが……)

 

得点上の表(ランキング)では一位状態のエルメロイだが、その下があまり何処かが突出されるのは避けたい。

 

ダンゴ状態のまま新人戦に進出したいというのもある。

ここで一高が勝つことは、その団子状態の維持に一役買う。

 

(ただ尼利を始めに三高からやってきたメンバーがいないわけじゃないから、こういうのは如何なものかと思う)

 

こういうのは寄り合い所帯のエルメロイの泣き所である。どこかを贔屓出来ないというか、ある種の戦略上の優遇が出来ないとも言える。

 

当然、『おれたちナンバーワン!』で突っ走るのも悪くないが、それが出来るほど自校に愛着がない人間ばかりでもないのだ。

 

そして、そんな四者のプリンセスナイトがやってきたフィールド上。

 

取り決め通りのことを審判員のドローンから告げられて頷く四者。

 

三高 一色愛梨・光主タチエ

一高 壬生紗耶香・千葉エリカ

 

今日のプログラムの最終を飾るに相応しいものだ。

 

男子の様に無骨なアーマーではなくダ・ヴィンチちゃんなどが認定した霊衣での戦いを行うことを認められていた。

 

例えそれが魔術的作用をもたらすものだとしても―――今回に限っては見逃すようだ。

 

 

愛梨はもはや見慣れたともいえるブラダマンテの霊衣。

 

光主タチエは、身体のラインを知らせるボディスーツだが、その色合いは三高のカラーとも言えるが、赤と黒とマゼンタの混ぜ合わせ。

純色の赤に関しては彼女の身体を縛り上げるようにラインとして配置されている。

 

(初対面時にも思ったが、どう考えても異常だな)

 

別に殊更関わろうとも首を突っ込もうとも思わないが……それでも―――。

 

(俺を嫌うぐらいならば、『助け』を求めるなよな)

 

彼女の心の声を聞いた身としては、そんな風に嘆くしか出来ないのだ。

 

対する一高もキマった衣装で迎え撃つ。壬生もエリカもここぞとばかりに2人に対抗する。

 

「この戦隊タブーじみた環境を見せられてアイリスは平常心で戦えますかねぇ」

「こういう策略・奸智にばかり長けすぎるとツキが逃げるぜ」

「おおう。雀聖理論。坊や哲ならぬ坊や刹か」

 

レティの言葉に返したわけだが、返した言葉にレッドが言う。ギャンブルであることは間違いないのだが。

 

そんな風なやり取りは、エルメロイ占有の席より少し下にいる少女の耳目を引いたようだ。

 

「しかし、アンタは魔法大学付属でこんなことばっかりやっているのか?」

「今回は特別ってか、色々あったんだよ千鍵、招待状送っておきながら、なかなか迎えに行けなくて申し訳なかったな」

「いや、そういうのいらないし、勝手に見て回っていたし」

「心細くならなかった?」

「なるか!ひびきだっているんだからありえねーだろ!!」

『おやおや〜チカギさんにとって私は頭数に入っていない?それはトホホの限りですね〜〜〜ひびちかラジオは永久に不滅です!!』

「うるせぇ!!」

『『すたままっ!?』』

 

馴染みの茶店であるアーネンエルベの看板娘の一人が、怒りのままにレトロな携帯電話(自動会話機能付き)を刹那に投げつけてくるのだった。

 

頬にめり込む携帯電話だが、両隣の少女が「険しい顔」で見る。

 

『お、ほほほほ! ワタシのようなベストビューティーなキシオ(?)に何か御用なのかしらお嬢さん方?』

「カマ言葉混ぜると余計に変ですよ」

 

最初の言葉もどもっている様子だったし、まぁ神の加護を得た聖女、聖剣使いに睨まれると、元の属性的に色々あれなのだろう。とはいえ、知っている限りでは、この携帯電話(?)も元は神父の類だったはずだが。

 

「チカちゃん。ケータイさんを投げちゃダメだよ」

「お返しするよ。ひびき」

『まったくもってこのミドリってば、久々にセッツナきゅんに会えたからと照れ隠しせんでもいいでしょうに〜』

「そうなのチカちゃん?」

「違うけど!……色々あるんだよチクショー!」

 

ゆり百合な片割れから聞かれたことが原因か、エルベの看板娘の真っ赤な顔での慟哭を聞きながらも、まぁ今夜の夕食会にはチカとビッキーには来てもらおうと思うのである。

 

「始まるぜ」

 

気付けの言葉と同時に四者のルール確認は終わり、そして激突の瞬間は始まろうとしていた。

 

 

四者のプリンセスブレイブが選んだ戦術。それは、男子決勝でのようなものではなく―――。

 

四者が激突する道であった。もう戦術も戦略のへったくれもない大激突。己の力のかぎりを盾に込めて相手の盾を砕こうとするのであった。

 

がっぷり四つの超接近戦。だが組み合う相手は―――分かれる。

 

千葉エリカと盾を合わせるは一色愛梨。

壬生紗耶香と盾を合わせるは光主タチエ。

 

この組み合わせが果たして吉と凶、お互いにとってどちらに出るかはわからない。しかし、最初の激突は四人が弾かれた。

 

四者の強烈な押し合いが、反発力を生んだ形だ。いち早く立て直したのは―――。

 

(光主タチエ)

 

盾の扱いに長けているとしかいえない『盾捌き』という造語を使わざるをえないもので、前進のダッシュを行うタチエに対して狙われたのは、エリカである。

 

舐めるな!とでもいうべき無言の反発を感じさせながらも一歩遅くとも起き上がったエリカは即座に水の鎧を纒いて、タチエに盾を向ける。

 

魔力放出によるチャージ(突進)の勢いを食い止めるべく、盾と盾とが強烈に打ち鳴らされる。

 

そこから先は、怒涛の盾打ち(シールドアタック)の連撃の応酬である。どちらも身体をフルに使い、魔力を全力で回しながら相手の予想していない方向から攻撃を食らわすべく激しく打ち合う。

 

分が悪いのはエリカだが。そんなエリカを支援するように、魔弾が幾つもエリカの後ろから飛んでくる。その攻撃はタチエに必死の防御をさせるような強烈なものだったらしく、大盾がその攻撃を遮断する。

 

「てやぁあああ!!!」

 

その隙を見逃すエリカではなく、即座にシールドアタックを敢行する。

 

それに対してタチエはサイドのラウンドシールドで受けてその勢いで後ろに飛ぶ。バックステップと背面ジャンプの応用だ。

 

しかし、それを追撃のチャンスと見たエリカが動こうとした瞬間。

 

「もらいますわ!!!」

 

タチエの足元をすり抜けるように姿勢を低くして突撃をしてくるは、金髪の姫騎士。回転する盾。緑光を撒き散らしながらのそれは―――。

 

(ブークリエ・デ・アトラント)

「Bouclier de Atolante!」

 

刹那の心の声とレティの声が重なる。光盾を前にして突貫をする愛梨。そして、虚空に何かの『足場』を設定したらしきタチエが、斜め上からエリカの盾に対して突撃を仕掛ける。その様子はさながら天空×字拳というところか。

 

様相こそちょっとアレだが、その二重の脅威は侮れない

 

(した)(うえ)からの同時攻撃。圧は当たり前のごとく、どれだけ強化したとしてもエリカの盾を砕くだろう。

 

「エリちゃん!!」

「さーや!?」

 

だが、その結末を防ぐべく、壬生は動き出してエリカの防御に己の盾を合わせる。

 

集中したのか目を閉じる壬生。しかし数秒もしないうちに、目は開かれて盾は二重の圧を跳ね返すことに成功した。

 

何をやったかは定かではない。単純に強化しただけとも取れるが、これによってこの戦いは縺れるということが理解できた。

 

どっちかがよろしくないことになった瞬間、変化が起こり、その為に攻撃手段に多彩さは生まれると気づく……。

 

「私とチカちゃんみたいに、最高のコンビネーションが出来たらば別なんだけどなぁ。きっと神様も倒せちゃうよ?」

「いや、それは知らんけど」

 

下の百合百合ウェイトレスコンビの言葉を聞きながらも、戦いは続く。

 

 

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