魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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少し短いですが、とりあえずアップ。

しかし今更ながら読み返すと、二年生編で黒羽姉弟が四高に入ったのと五高でのアレコレ以外……六・七・八・九なんかは雑な扱い。

パワー系だのテクニックが持ち味だの大雑把に言われるよりはマシか。


第39話『九が始まる前―――大混乱編―――』

 前回のあらすじ――――『バカ』が魔法でやって来た。

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「―――で、何なんですかあの人ら?」

 

「簡単に言えば『エレメンツ』の『末裔』であり、その中でも最優良の存在だ」

 

 

 光井や一高のOGである風祭先輩のような人間ばかりがエレメンツの系譜というわけではないと説明する十文字会頭。

 かつての魔法師研究。いわゆる遺伝子改良において主題となったのは、やはり既存のイメージに沿った『自然現象』を発生させる魔法師の創造であった。

 その倫理の是非はともかくとして、そういった経緯で研究開発された魔法師は、見事に『発火・燃焼』『氷結・放水』などなどの魔法技術を身に収めることとなった。

 

 

「その後、現在の四系統八種の現代魔法が発見されてエレメンツ研究は2020年には廃れていったのだがな……」

 

 刹那からすれば、それが廃れた理由というのが正直、意味不明である。確かに現代物理法則の最先端を魔力で再現してしまうというのは、確かに分かる理屈だが……。

 何も自然の全てを『超越』するのが、『超人』の特権ではない。

 

 機械工学とて『自然』を模するところから始まったのだから……どうにも魔法師達のこの『偏り』が、刹那には雑に思えるのだ。

 つまり人間の能力とて引き出せば、とんでもないものがある。同時に自然の全てを人間が『逸脱』すれば、機運が―――星は、自然に『権能』を与えるだろう。

 

 そんな刹那の内心に構わず、九大龍王たちは十文字の言葉に合せる形で言ってきた。

 

「しかし、下野されて放逐された我々の先祖は生き残り、子を為して『群れ』を作り、寄り添いながら生きてきた……そして『王』の来臨を待っていたのだよ」

 

「王?」

 

「エレメンツ―――自然現象や元素属性を操ることで魔道としてきた我々の王。それは四つ、否―――五つの属性を自在に操り、全ての魔道に通じたモノ、我らが総帥となるに相応しい存在だ」

 

 ……おや? あれ? もしかして――――、一高とは違い、薄緑を基調にして白をアクセントとした宮城県仙台市にある『第五高校』の人間が、言ってくる言葉に汗が出る。

 

「即ち、我らが王とは我らが力を全て万全に引き出せる存在―――。エレメントマスターと呼ぶことも当然の存在」

 

 鮮やかなオーシャンブルーを思わせる深い青色の制服『七校』の制服の女子が言ってくる。

 その艶やかな視線が、刹那に向けられる寸前で、会頭の後ろに引っ込む。

 

 十文字バリアの効果は3ターンは持続するはず。

 

 

「御指名だ。ドンペリ入れてもらうまでは前に出てろ」

「第一高校ホスト部!?」

「桜蘭高校みたいに言うな」

 

 

 桜蘭高校でも飲酒は禁止である。ともあれ、猫のようにつまみあげる『ファランクス』で無理やり前に出された刹那としては、如何ともしがたいものがある。

 十文字バリアは呆気なく罠解除の魔法カードで外されてしまったようだ。

 

 そして、演説は最高潮に達していき―――彼らの目的が知らされる……。

 

「そして、ここには光属性のエレメンツの末裔もいるとのこと、彼女をメンバーに迎え、九大竜王を十傑集にしたうえで―――遠坂刹那、いいえ、我らがビッグ・ファイア様! 今こそ我らが十師族に代わり魔法師社会をリードすべき時です!!」

 

「「絶対イヤです」」

 

 九大天王なんだか十傑集なんだか分からないが、別に魔法世界征服なんて野望を抱くほど暇じゃないし、面倒だし―――というかいつの間にかやってきた光井とリンクする形での返答になってしまった。

 

 

「むぅ……まさかの塩対応。しかし、俺たちは君を求めていたんだ。遠坂君……せめて俺たちの決意表明だけでも聞いてくれないか?」

「察しは着きますよ。あなた方、エレメンツの歴史は放逐されて十大研究所での成果のみが尊ばれて、その連中のみが『フォーマルな魔法師』と見られてしまうことの嫉妬でしょう」

「その通りだ。しかし、政府上層と繋がりを持つことで今の地位を得てきた『ナンバーズ』の功績そのものを評価しないわけではない。でなければ魔法師など異能力を持ったミュータントとして人類社会に存在していただろうからな」

 

 あっさり看破されて、あっさり降参する第五高校の『影守』という三年生が言ってくる。

 知性的な人間なんだろう。スマートな印象と長髪が少しだけ先生を思い出させる。

 

「しかし、結果として政府上層と繋がった十師族及びナンバーズ以外のエレメンツ、古式魔法師などの存在は彼らに利用されるだけの下位的存在になってしまった。我々にも歴史はあったというのに、それを無にするかのような行いは実に不愉快だな」

「まぁ師族は数字持ちの家の持ち回りだそうからな。ある意味、前時代の相撲協会みたいなもんか」

 

 確かに魔法協会及び師族など……凡そ魔法師社会の権力者。時計塔で言う所の『ロード』たちは、どちらかといえば「新しい」人間を重用している。

 歴史の古さゆえの『貴さ』とは真逆の『価値観』の前では、彼らの席が無いのも当然なのかもしれない

 

「俺たちは、そんな風にお前たちを見た覚えはない影守。確かに現代魔法においての価値観の前ではエレメンツは時代遅れなのかもしれないが、それでもお前たちの魔法力を侮ったことは無いんだぞ」

 

 だが、古式魔法など……数百年、もしくは数千年の歴史を辿ってきた人間の中には忸怩たる思いを抱いていた人間もいるだろう。

 日本の霊脈管理などを請け負っていた人間たちが、ないがしろにされて、結果としてCADという器物を用いた現代魔法師たちばかりが要と見られる。

 

 

「ああ、だとしてもだ……『違う山』を作ることすら許さずに、己達だけの専横体制を作るというのは、実に横柄じゃないかな? 十文字」

 

 違う山? その言葉でどういうことなのか―――分からぬわけではなかった。

 

「……神代秘術連盟……、本気でそんなことを考えてるんですか?」

「そうだな。しかし、『終末の眷属』たる『獣』が現れた以上、現代魔法では対応が出来ないことも増えてきたのではないかな? 吉田家の次男坊よ」

「二言目には速さ、硬さ、大きさだのでのみモノを語り、『物質界』にある理屈だけが全てならば、この星の覇者には『恐竜』が君臨していただろうよ」

 

 

 幹比古の汗交じりの言葉に、冷笑と共に語り始める『祭神』『砂島』の言葉。一理どころか二理、三理はあるものを受けて何人かは俯く。

 

 何より幹比古は、古式の中でもいわゆる『伝統派』というものと反目する吉田家の人間なのだ。

 神代秘術連盟の中には、彼らも含まれているらしい。

 

 伝統派の中には、刹那もあちらで聞いたことがある『密教系』の集団もいたのを覚えている。

 

 真言立川流―――正確な名前は覚えていないが『マントラ』『呪法』の類の家だろう……。

 

 

「となれば、『こちら』の力を存分に見せつけるのみ―――私達が言うのもなんだが元々、一高、二高、三高以外なんてどんぐりの背比べ、そういう状況ならば、注目も上がるだろうな」

 

「私達を人寄せパンダか噛ませ犬みたいに扱うのは、随分と尊大が過ぎないかしら? 七高の水納見さん」

 

「勝てばいいだけでしょうが、七草―――王者というのは、挑戦者の不遜な態度に余裕で答えるべきだと思うけど?」

「言いたい奴には言わせておけばいいだけ……ミナ姉さんの言葉は正しい。言葉ではなく魔法で応じるのが魔法師」

 

 文明人としては、どうなんだろうと思うも、水のエレメンツの一つ『水納見』と風のエレメンツ『風鳴』とが答えた言葉に―――会長は笑っていた。

 

 そりゃもう肉食獣も同然の笑みだ。怒りとか余裕ではなく、『ようやく好敵手』と相まみえた顔だ。

 

「ならば、今度は私と本気でやってくれるというのね? バトルボードではなく、シューティングで私と闘うというのね」

「さぁ、七高の方針に私は異を唱えられないから当たるかどうかは分からない」

 

 挑戦状叩き付けておきながら、それは無いんじゃないかと思うぐらいには、嫌な態度だが―――七草会長は笑みを崩していない。

 

『会長は一年時に、七高の水納見とスピード・シューティングで決勝をやり合っているのですが、その際に『手加減』されたことを今でも根に持っているんです』

 

 小声で耳打ちしてきたスズ先輩に、なるほどと思う。手加減とは何のことか……。

 

『エレメンツ特有の属性魔法―――それを使ってこなかったことです。あとは後ほど……これ以上は北山さんとクドウさんの魔力が背中にいたいですから』

 

 妖艶に耳打ちせずとも良かったんじゃないですかね? などと思いつつも、とにかく『九大龍王』は―――一高に挑戦状を叩きつけにきたのだ。

 

 誰もが理解して、その中でもこの校門前に『縁』がある男が飛び出してCADを構えてきた。

 

「何がエレメンツだ!! 馬鹿馬鹿しい!! 半世紀も前に廃れた魔法研究の遺物が、今更何をしにきたってんだよ!!」

 

 バカが! などと言いたくなるぐらいに再び頭に血が上った行動を取る森崎。こいつにとって校門前は鬼門なのかと思うぐらいに、アタマが痛くなる行動。

 

 とはいえ……森崎の行動も分からなくもない。

 民間軍事の世界を問わず、みずからが認めた指揮者、指導者に対する侮辱は自分に対する侮辱と考える伝統は、大は軍閥、小はスポーツクラブに至るまで、そういった縦社会の伝統が根付いたうえで、実力を発揮してきたからだ。

 

 特に七草会長も十文字会頭も実力だけでなく、その出自もとんでもないノーブルなのだ。森崎でなくとも、他の百家、支流の家が出てきたかもしれない。

 抑えに抑えていた服部副会長が最有力だったのだが……それよりも先に爆発したのが森崎であった。

 

「驕るなよ! お前たちが時間の裏側に封印されている間、魔法師は進歩してきたんだ!! 旧時代の遺物など、この森崎駿が倒してくれる!!」

 

「やめろ森崎! そんな死亡フラグ満載なセリフは!! いくら新シリーズ(?)が始まったとはいえ」

 

 

 魔王の力を借りて魔王を滅ぼすなどという愚行の如き台詞と同時に魔法式が――――九高の『霧栖』……あの肉食恐竜じみた男に向けた瞬間。

 

 

「ウザい魔法(ぎじゅつ)だ。食え―――貴様の好物だ」

 

 森崎の魔法は一秒もしないで霧栖を打ち倒すはずだったが、その秒の間に、その言葉が聞こえた。

 霧栖の心底の憐憫を含んだ言葉が聞こえた後には、森崎の魔法式は――『食われていた』。

 

 

『食われた事』と因果関係があるのか、森崎の腕からは血が流れていた。銃型のCADを持てなくなるほどの出血量。握力が無くなるほどに血を失ったのだ。

 

 

「あぐっ……っあ!!」

 

「森崎!!」

 

 腕を抑えて、足を崩した森崎を見て、誰もが四か月前のことを思い出して泣きそうになったり、忌々しい顔をしたり―――つまりは、沙条愛華を思い出す行為だ。

 明確に何をやったかは分からない―――しかし、『眼のいい』美月が、震えて歯を鳴らすほどにとんでもないものが見えているのだ。

 

「霧栖、お前―――」

 

「お前には教えていたはずだがな。俺の能力は『竜』だとな……十文字―――遂に俺たちの王様が現れてくれたんだ……今までのお遊びは終わりだ。魔道の真髄で俺たち九大龍王が、『魔法師社会』を制す時だ!!」

 

 眼を開いて睨みつける十文字克人に構わず霧栖という男は、笑みを浮かべて哄笑を上げながら―――次なる魔法式を編んでいく。

 

 とんでもない密度のそれが具象化するのは巨竜。それぞれに火竜、水竜、風竜、雷竜、光竜を思わせる魔法の竜達に見えるエイドスの情報量。

 

 まるで生命でも創造したかのように、達也の眼に見えている竜たちは吼え猛る。そして向けたのは―――無粋者であった森崎―――。

 

 

(死ぬぞ。あれは!)

 

 

 殺傷性ランクで言えばAに相当するものだ。どんな防御術式を編んでも、『あれ』は防げないはずだ。同質の威力で相殺せねば―――全くの無意味となるはず……。

 

 だから―――。同質の威力と属性を持ったものが、それを行った。

 横合いから魔弾を飛ばしてきた刹那。

 

 とんでもない情報密度、魔力圧縮、屈曲レーザーの如き威力……色で言えば赤、青、緑、黄、白という魔力の光線が霧栖という九高の三年生の魔法を打ち消した。

 魔法どうしの打ち消し合いで、行き場を失ったエネルギーが、互いの中央で顕現―――空気の破裂で全員がたたらを踏んだ。

 

 

「流石は我らが王―――『竜殺し』の術法もご存じだったとは……ご無礼お許しください。許されないなれば、我が首と一族の女全てを捧げますので、どうかお怒りを鎮めてください」

 

「いらないよ。というかあんたらの盟主になるつもりもないしな……こいつも短慮があったのは確かだが、やり過ぎだ」

 

 心からの賞賛と共に無礼打ちすら覚悟する霧栖の言葉に、嘆息交じりの刹那。

 本当に刹那を、魔法師の一つの山の盟主に据えたいようだ。現代魔法からしても刹那の特異性は分かっていたが、それ以上にエレメンツの末裔たちにとっては畏敬の対象のようだ。

 ほのかはそうでもないが……やはり光弾の術式には興味を持つようである。

 

「今日のところは、ただの挨拶であり顔見世程度です。ですが、我々が本気であり、今の魔法師社会に『違う価値観』を認めない限り、『叛旗』になりえるだろうことはお忘れなく」

 

「ここにだってエレメンツや古式の魔法師はいる。卒業生にもな……彼らは、今の魔法師の社会で生きている。隷属なんて思っちゃいない。それなのに、アンタらは違う道を進むってのか?」

 

 対立ではなく共存共栄。それだってあり得るかもしれないことだ。

 温い意見ではあるが、刹那の意見に達也は、それとなく思うが―――『九大龍王』は譲らなかった。

 

「確かに十師族や魔法師協会は、限りなく『善政』は敷いているのかもしれない。多くの魔法師はそれを良いと言うだろうな。しかし―――どれだけの言葉を尽くそうとも、どれだけの善政を敷こうとも、『いるべき場所』(祖国)と誇りを奪われたものの怒りの前では無力なのですよ」

 

 その反骨精神はどうかと思うも、理解できる理屈でもある。人は時に安定や安住よりも危難極まる争いを選ぶのだから。

 

 

 ―――彼らもエルメロイレッスンを受けていたようで砕けた門や床を直していってから去っていった。

 

 後に残るのは……先程までの余裕のよっちゃんな会議など忘れて初夏に関わらず吹き抜ける冷風と一抹の緊張に晒される一高生徒達。

 

 

 此度の九校戦における事態は風雲急を告げるのだった……。

 

 

 

 † † † †

 

 

「やれやれ……まさかの事態だな。今まで爪を隠していた鷹が多すぎないか?」

 

「そうね。しかし、あんなテロ紛いの行為の宣戦布告をやっても何の抗議もないなんて、どんなトリックなのかしら?」

 

「恐らく今までエレメンツ研究を後押ししていた存在がいる。政府上層が怪しいが、それは魔法師協会及び十師族の上位にも食い込んだ存在だな……」

 

 もともと、今のナンバーズの大半が『魔法技能士開発研究所』と何かしらの関わりがあり、そこが今でも政府機関と関わりを持っている以上、そういった魔法師研究は―――止まないものだ。

 そして、この事態は全て、ただの学生同士の『研究発表』などというふざけたことになっていたのだ。

 

「なんであれ、予算が着かなければ多くの事は動かない。研究所もまた多額の投資があってこそ何とかなっていた。同様にエレメンツ……『元素魔法技能開発研究所』もな」

「ましてや魔法技能は多くのお金がかかる。いいえ、どんな技術研究であれ、多額の巨費があるのよね」

 

 こういった研究開発というのは、技術畑の人間からすれば『当然、これだけ必要です』などと言ってきたとしても、経営者及び出資者からすれば、『ふざけるな』ということも多い。

 無論、それに見合った何かが得られるならばいいのだが、それだけの巨費を投じても『実験は失敗であることが分かりました』そう言われることもざらなのが、研究開発の分野である。

 

「奴ら九大龍王……『ナインティル』に『予算』を着けていたものがいる……そういうことだな」

 

「やれやれ、今まで目立ってこなかったのは、『機会』が無かったからね。切欠は刹那君なんだろうけど」

 

 言いながら、2人にとって懸念事項なのは、あのエレメンツの最終形態とも言える魔法師達が、いま現在のナンバーズに対する『カウンターマギクス』として育てられていた場合だ。

 無論、自分達とて殊更、政府などお上に反抗しようなどと言う考えはない。そもそも、大亜や新ソ連という脅威の前では、どうあっても魔法師という戦力は必要なのだから……。

 

 しかし、それであまり『横柄』になられても困るということか。

 

 

「あちこちから引っ張りだこね」

 

「だが、いままで見えてこなかったものが、隠されていたものが現れるぐらいにはいい傾向だよ。平穏を保った水面に大きな石を入れて出てきたのが、見たことが無い魚であれば、それは心躍る。そして―――その中には、いてほしくない毒魚もいるだろうが」

 

 今まで見えてこなかった膿を出すにはいい機会だ。この日本にしがらみなど無く、アメリカでもある意味、自由にやってきたメイガスの所業に期待しつつ、部活連での会議を前に十文字は真由美から提案される。

 

 

「司波をエンジニアとしても登録か、いいじゃないか。アイツの八面六臂のCAD調整技術は、あの一件で知れ渡っているしな」

 

「刹那君が『防衛部隊の準備10分で終わらせられるか?』といって『五分で十分だ』だもの……本当にあの二人は、謎よね」

 

 

 しかし、その謎を調べたいと思っても出来ることなどたかが知れている。しかし、『高校生』であってもそれなりに権力を持っている自分達(真由美&克人)であっても『シャットアウト』されてしまうぐらいの高度な情報操作が行われていることが、一つの事実を告げる。

 

『巨大な権力が二人の背後に存在している』。USNAはもちろん『政府上層』であろうが……達也の場合はもっと分かりやすい。要は十師族の誰かの関係者なのだろうと理解出来た。

 

 

「まっ、今は九校戦だ。内部調整は何としてもこなすぞ」

 

「了解。十文字君も苦労してくれて助かるわ」

 

「平穏無事な毎日を望むような性分じゃないからな」

 

 

 そういうのはもう少し、歳を増やしてからで構うまい。そうして生徒会と部活棟への分かれ道で二人は離れる。その際に―――少しだけ長めに七草真由美を見送ったのは……まぁ幼馴染としての少しの同情であろう。

 

 そんな様子は誰にも見られていなかったが、確実に何かが変わる思いはあったのだ。

 

 

 そんな風に見送られた真由美は生徒会室に戻ると『うへへへ…… 憧れのシルバー様にレオ様のモデル……もはや我が生涯に一片の悔いなし!!』などとFLTのシルバー・ホーンとマクシミリアンのカンショウ・バクヤを小さい両手に関わらず頬ずりして溶けている様子であった。

 

(この子が会長になった時の体制はどうなるのかしら……?)

 

 少しだけ慄いた真由美であったが、そこから飛行魔法のアレコレで、リーナと刹那が学園防衛戦で飛んでいた原理にツッコミを入れた末に―――。

 金色の翼を見せられたのは、いいことでミラージバットにて出すまでに『マクシミリアンや達也の親父さんの勤め先(フォア・リーブス・テクノロジー)から出ますよ』という驚愕の事実含みの刹那からの言葉を信じるのだった。

 

 その際に達也は『営業なのか開発なのか、はたまた広報なのかはイマイチ知らないんですけどね。窓際の管理職になっていたとしても稼いでいるならば、息子としては何も無いですよ』と言って少しだけ寂しげな顔。

 しかして深雪がとてつもなく怖い表情をしていたのが真由美には気掛かりとなった。

 

 そんな日を超えて―――後日の九校戦本部会議に入るのであった。

 

 

 ―――部活連の本部には多くの人間が押しかけていた。凡そ、呼び掛けていた人間は生徒会と部活連のトップなどで選び出した候補生達だ。

 

 今回ばかりは座長の他に末席の方に件のUSNAの人間二人もいた。彼らの役職は……。

 

 

「秘書の岡部〇リです」「顧問のキダ・〇ローです」

 

『『『『お前ら本当に21世紀人かよ!?』』』』

 

 

 怒涛のツッコミを皮切りに、選手選考及びエンジニアチームの選び出しが始まる……。

 

 

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