魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
FGOの裏側で様々行われていたことを再確認すると、とんでもないことが分かってしまう。
様々なユーザー知識を何とか吸収したい。つーか永人があんな感じだったとは、ハサン作家であるタスクオーナ先生GJである。(今さら)
追記
2018年7月20日 指摘から若干の修正
騒がしかった街から外れて適当な『場所』に簡易の工房を設置――――街並みを見た限りでは、もはや魔術は時代遅れの、科学技術に後れをとっている印象があるぐらいに、科学技術万能な世界であった。
全てを知るには何もかもの情報が不足しているが、オニキスが拾った『電波』を用いての情報システムへの接続によれば―――『魔法』という技術が確立された世界だとのこと。
『魔法といっても、どちらかといえば超能力の類に属するものだろうかね。神秘の堆積を用いた『現実』への干渉というよりも己の脳髄を使っての、『現象』操作』
「確かにそいつは超能力の類だな―――。しかし、あのプラズマリーナなる子の術式は……」
『法則があるそうだ。超能力といっても君の想像しているものとは少し違う』
そうしてオニキスの説明するところを埃まみれ、雑菌まみれ、もしかしたらネズミもいるかもしれない部屋にトパーズの術式で『洗浄』を掛けてから置いてあった椅子に腰かけて聞くことに―――。
黒いカレイドスタッフの説明するところは―――。
二つの『力』。惑星状に存在するある『非物質粒子』を利用しての行使であり、越えられない法則もまたある。
『オドとマナの違いなど―――君には今更過ぎる。がそれともまた違うが、この世界に存在する
「前者は?」
『後に説明しよう。まずは―――サイオンに関してだ』
回答を急かす生徒を宥める教師のようにオニキスは口(?)を開いて説明してくる。
サイオンは、掻い摘んで言えば『魔力』なのだ。この世界の解明したところ、どんな人間でも、このサイオンは持っているらしく絶えず微量ながらも放出されているものでもあるらしく……らしくが続くのは仕方ない。
実在の―――その『魔法師』なる存在をあのプラズマリーナ以外に見ていないのだ。見ていない限りはどうしようもない。
「サイオンは、どんな人間でもあるもの、か。これを利用しての『術式起動』―――」
『ただこのサイオン―――取り扱い次第では魔術回路よりも深刻な『ダメージ』を負いかねない。特に多量消費、小刻みな消費などによって『枯渇』という現象に至れば、たちまち『死』もしくは魔法能力の『喪失』という事態にもなる』
魔術回路とて『暴走・制御不能』になれば、たちまち荒れ狂う魔力が全身を痛めつけて、自傷となり―――最悪の場合は、『先生』の『恩師』のような事態にもなる。
だが、それは自己の制御下での話ではなく外的な要因が殆どだ。そして何より『枯渇』ということになる前に、幾ばくかの『補給手段』もある。
体外に『貯蔵』していた『魔力』を補充することも可能。魔術師の肉体とは『魔術回路』を扱うための制御部品だから、エラーが発生すれば即時の停止で緊急のシャットダウンも可能だ。
「魔術回路が無いのかな?」
『その可能性は高いね。素の身体で魔力を取り込み、それをある種の『道具』―――これがおそらく役目としては魔術回路と術式の安定になるといったところだ』
その言葉で思い出すのはプラズマリーナの武装だが、彼女はそうした道具を持っていなかったように見える。
熟達次第ということなのだろうか……。
同時に『魔力量』という意味では、現在の評価基準にはなっていないとされている――――プラズマリーナの量はかなりだったが、それ以上に『三種』の『能力値』が、問題視されているとのこと。
『そして君が疑問に想っているプシオンだが―――残念ながら詳細は不明だ』
「……どういうこと?」
夜の明かりよりも輝く魔術師の眼がカレイドスタッフを見据える。その眼を見たカレイドスタッフは嘆息するように肩を竦めるように羽を動かして『落胆』を演じた。
『茶化しているわけじゃない。この世界の魔法師たちにも『あることはわかっても』『原理が分からない』―――そういう物質らしい』
思考や感情の昂ぶりで活性化するとも言われているが―――。その現象の実像はいまだに不明。
ただ『感情や思考』そのものであるという説もあるぐらいには、幾らかは分かっていたとしても、それが何をもたらすかは分からないそうだ。
「……真エーテルという可能性は?」
『ありえないね。その可能性を考えるほどキミは『蒙昧』になったのかい?―――まぁあらゆる可能性を考えるくらいには、頭が回って来たかな』
呆れるように言われてから―――『洗浄』が終わった部屋のベッドの感触を確かめる。
打ち捨てられた廃墟。しかし、棄民や物取りによって取られることなかったのは僥倖なのか、それとも自分のような存在がいたのか―――理由は分からないが、煤も埃もダニも無くなったベッドに横になる。
一瞬早く―――『先生』からの『警告』に気付かなければ自分はホルマリン漬けだったのが数時間前だとは思えない位にリラックスした魔術師―――俗に『魔宝使い』と言われる少年を見てオニキスは、最後に通告することにした。
『最後にもう一つ。この世界の神秘の法則『イデア』と『エイドス』―――これに関して調べたところ、君はあの美少女魔法戦士プラズマリーナに対して―――』
言葉は途中から聞こえなくなった。こと此処に至って少年は疲れたのだ。
永遠に生きるほどの願いも無く、信じるべきものは折れてしまい、さりとて―――目的意識もなく『長じれた』自分にとって、無意味な生であった。
けれど死にたいと思えるほど絶望してもいないし、黙って死ぬほど馬鹿ではなかった。
自分は呪われている。魔術師としては堕落した『逃げの人生』―――、だから……故郷の『日本』で流行りつつあった『異世界転生』の如く、どこか違う世界に流れつきたくてこうして流れ着いた。
静かな生が欲しいのだ。もう―――失うことで得られる人生などまっぴらだ。
煩悶は苦悶となりて、少年を苛む。この少年を救う――――何かはきっとあるはずなのに、それが見つからない。その苦悩をカレイドオニキスは分かっていた……。
『けれど見つかる――――でなければ、君に託したものたち全てが報われないんだよ■■。君の生には、きっと意味がある―――』
夢見心地に至ろうとしている狭間に、カレイドオニキスの言葉が聞こえたような気がした。もはや眠りに落ちている自分に聞こえるなど、何故だろう。
そんなオニキスの言葉を聞きながらも思い出していたのは―――深い『情報の海』とでも言うべき場所であのプラズマリーナなる女の子に接触した時で―――。
ほんの少しだけ■■の母親に似ている気がして―――手助けしてしまったのを思い出すのだった……。
† † † †
翌日、USNA所管の研究所の一つ。ボストンのウエストエンド地区にあるショーマット魔法研究所の一室。
食堂もあるにはあるが、そこは研究員たちのリラックスペースとでも言うべき場所にて三人の女が朝食を摂っていた。
女―――とはいうものの年齢にはバラつきがある。
一人は二十代前半。
カレッジに通う女子大生と言っても通じる年齢だが、感じる印象としては、スポーツ選手の特待生といったところである。
しかし彼女はまごうこと無き合衆国の軍人であり事務方と現場の半々―――将校であるが、兵卒の感じも受ける。一般市民が想像する女性軍人というのがいるならば、彼女―――アンジェラ・ミザール少尉を一番に思い浮かべるだろう。
もう一人は、ハイティーン。16-17歳のまごうこと無きここの研究員であった。
先述の女性と同じく、2090年代の職業観に照らし合わせて合衆国に限らず、似つかわしくない年齢での職業人であった。
シャツとパンツと白衣―――ステレオタイプなヤンキーの科学者『らしい』ラフな格好の上に白衣を着た女性は、本当にステレオなアメリカの研究者であった。
そして最後の三人目は――――。
「――――はふぅ………」
完全に紅潮しきった顔で弛んでいた。だが彼女の年齢では本来、そういうのもあり得る話であった。
彼女―――少女は先述の二人から更に下がって年齢は12歳―――来年でようやくローティーンになるのだ。何かしらに―――まぁ憧れたりする年頃だ。
しかし、彼女の公的な地位と持つべき称号は、年齢にはあり得ない。
軍人―――しかも将校の準備段階の『准尉』である。更に有りえないことに彼女はUSNAでも選抜された一級の魔法師部隊の
『スターズ』という部隊の隊員候補で構成された『スターライト』の一員である。
軍人としては叱りつけるべきだろう当面の上官筋である『アンジェラ・ミザール』であるが、研究員『アビゲイル・ステューアット』博士に、まぁ待てよと止められる問答が少し続いていた。
(彼女がこうなったのは君にも問題があるよアンジ-、あんなフリフリのロリポップな服を着せておまけに聴衆からアイドル扱い―――12歳の少女には中々に夢見がいい体験だったんだからさ)
(だ、だけど―――これはれっきとした任務なのよ。特に一等星級であるリーナは、これからが期待されているんだから)
そう小声で喧々囂々の言い争いを続ける二人だが、二人の目の前の少女―――豪奢な金髪を巻いている少女の様子は、それだけなのだろうかと疑問符を持つ。
昨晩多くの人間から名付けられた『美少女魔法戦士プラズマリーナ』の正体は―――先程から遠くを見ては、夢見心地だ。
というよりもアイドル扱いを嫌ってリーナは、その場から『跳び』去って、その後を継いだアンジェラ―――アンジ-が、ひったくり犯及び―――今回の騒動で動き出した『鼠』の候補者をあぶり出そうとした。
後処理は普通に終わったが―――、てっきり意気揚々か、意気消沈―――半々かと思っていたのに昨夜からこれである。
そんな『アンジェリーナ・クドウ・シールズ』の様子―――そして、恐らく……。
(リーナのエイドスに干渉を果たして、あの『魔法』を変化させた存在がいる……)
恐らく思念を放ちリーナと会話もしたのだろう―――。ドローンが撮影した昨夜の一件の周囲の映像。『赤いコートを着込む東洋人の少年』―――サーモグラフィーの解析からしても、この少年。
現在、各方面の情報機関なりを総動員して身元の確認を行っている最中……。
アンジ-とアビゲイルことアビーの二人だけが見ているこの少年に―――リーナは憧れ―――ようは『恋』をしてしまっているのだ……。
((どこのロミオとジュリエットなんだか……))
ウイリアム・シェイクスピアの歌劇の如き一瞬で燃え上がり―――現実的に考えれば、後に鎮火して冷める間柄になるだろうと、『フィクション』を軽視している実践派たちは考えていたのだが……。
この時のことを―――後のリーナの姉貴分となるシルヴィア・マーキュリー・ファーストと話すことがあり―――。
『まぁ仕方ない話ですね。リーナも女の子ですから―――』
などと一致した見解を見せた時には、心底の『祝福の苦笑』を浮かべるしかなかったのだった……。
そして―――アンジェリーナ・クドウ・シールズは……。
また『彼』と会える。と確信して―――表情を引き締めた。いつまでも緩んだままではいられない。
対面に座るアンジ-とアビー(写真持ち)よりも早く、彼―――あの時に自分の魔法の制御を手助けして『共同作業』してくれた日本人だろう少年を見つける。
もしも、彼が件の『新ソ連』の鼠だとするならば―――、その時は……。
(私がどうにかしなくちゃ)
言葉は、どことなく軽いが、決意そのものは軽くは無い。軍人という修羅巷の道を選んだリーナの決意は硬く結ばれるのだった……。