魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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遂にゾウを倒して、アナスタシアを倒して、空想樹を切り落して(?)ロシアを脱出! 

長かった……そしてペペのロストベルトがインド系だと……やはり『ヤツ』が来るのか。

異聞帯の歴史に降り立つサーヴァントに似て非なるもの……第四のクリプターを殺すべく送り込まれた『代行者』―――パスタシスベシセブーン!!などと叫びながら、本場のインドカレーの匂いに釣られて―――。

「ほーいいじゃないか こういうのでいいんだよ こういうので」

と言いながらカレーを十杯はいける女―――錬金術師、真祖に続いて、聖堂教会の代行者―――参上

……は……ディライトワークスさんと菌糸類次第ですね。つーか帝都新鯖はランサーか。

社長……初志貫徹わすれちゃいかんですよ。(無礼極まり)

そんなこんなで動きが見えつつある色々ながらも新話をお送りします。


第68話『九校戦――決戦Ⅲ 決着』

 

 男子ピラーズの選手控室。

 

 そこにてUSNAスターズのファッションリーダー(自称)シルヴィア・マーキュリー・ファーストから送られてきた衣装に袖を通していた刹那は、他会場の試合の様子を見て苦笑せざるを得ない。

 

 あとで少しのお説教だな。と考えてしまう。しかし、あそこまでの能力値で一色愛梨がやってくると思えなかったのも事実。

 

 聖堂教会の代行者の対軍レベルの体術に魔術の上乗せ―――刹那の知る代行者は数名しかいないが、そのレベルに通じるものをアイリに見た。

 

 となれば、魔道の中の魔道の輩であるリーナが、これを使うのは予測されていたことだ。

 

「あれがリーナの力の一端か……美しい魔力…しかし悲しい想いが混じるもの……―――美月辺りだったらば、そういうかな?」

「カンがいいね。あれは悲恋の戦乙女の力だよ。やけに親和性が高かったのが北欧系の魔術霊基であったからな―――それに沿って『置き換え』を実行させた」

 

 分かるものにしか分からぬ会話。達也はリーナの力の正体を半ば見破っている。しかし、どこの『存在』であるかまでは分からなかったのだろう。

 槍を持った『英雄』などいくらでもいるのだから―――半物質化した鎧から見ても西洋系の存在か、それにかぶれたコスプレ衣装…としか達也には分からないかもしれない。

 

 世の中広いが、アーサー王にスカートを履かせて、征服王イスカンダルにズボンを履かせたのは刹那の身内だけではないだろうか?

 まぁ、英雄たちの衣装と言うのは星の端末たる『精霊』『妖精』の作るものだったりするので、その辺りの『飾り』は、当然の如くあるのだ。

 

 想像の夢想を終えてから隣にいる達也を見る。

 緑色の上下―――一高制服など目ではない真緑の衣服。

 スーツタイプというよりも何かの軍服を思わせる上から表が赤に裏地が紫の『陣羽織』を羽織った達也の姿も存分に飾りと外連味を出していた。

 

 この格好で特化型CAD。要するに拳銃タイプを使うのだから、なんだか変な気分である。

 ぶっちゃけ、『最高のスピードと、最強の剣を所望する』なコスプレである。

 

「……妖怪首おいてけの方が良かったんじゃないか?」

 

「―――『赤』はお前の色だろ? 黒が良かったんだが……何故か『マスケラ』の衣装しか入っていなかった……」

 

 震える達也。会長のイタズラだなと気付き、ドンマイと言っておく。そうしているともう一人のメンバーC組の最終兵器。

 

 ぶっちゃけ一高で最強になりえる可能性があるのは、コイツだと思う……『黒子乃太助』が声を掛けてきた。

 

 太助の衣装は、ギャングスターでも目指しそうな。やるといったらやる『スゴ味』を感じてしまう。そんな衣装である。

 

「第一試合は遠坂君からです。決めて来てください」

「おうっ。フラッグファイターとしての意地を見せてやりますよ!」

 

「フラッグファイターって何だよ?」

「きっと司波君や遠坂君みたいな女の子との『旗』ばかり立てる人間のことですよ」

 

 さりげなく太助に毒を吐かれるも、二人に拳をかるくぶつけてから戦いのフィールドへと赴く刹那。

 

 その脳裏にあったのは―――今でも大モニターに映し出されている乙女に秘術を託した時の事だった……。

 

 

 ――――Interlude――――。

 

 

 魔術師の工房。そこにカレイドオニキス、遠坂刹那と共にやってきていたリーナは、己の鑑定結果を知る。

 

 

『ふむ。リーナ、君の魔術特性はかなり変化系統によっている。スパークも放出するだけの電子を空気中から集めている以上、それは変化に転じたものと言える』

 

「パレードからしても、君は直接的な戦闘技術に付随したものよりそちら(変化系統)を学んだ方がいいな。もちろん、別に他も収めていいけどな」

 

「具体的には、どんなものがいいと思える?」

 

 今までの自分を否定せずに、されど少しだけ回り道していたと言われて、自分の適正を知りたくて問いかけると、簡単に答える刹那の声は確信を持っていた。

 

「フラッシュ・エア―――俗に置換魔術と言えるものだ」

 

 

 そして魔術師の説明は分かりやすかった。本来ならば、何か、物質や物体を変化させる際には様々な『工程』が踏まれることが多い。

 

 水なども『液体』『固体』『気体』に変化する際には、融解、昇華、気化、固化などなどそういった工程があってこそ水という物質は変化を果たす。

 

 それらの『工程』をすっ飛ばして、『結果』として『存在』するものを手にするのが、置換魔術の要諦である。

 

「本来的には劣化交換にしか使えないはずの基礎魔術なのだが―――これを極めていった人間が作り出したものがいる」

 

 そうして刹那は手の中に『七枚』のタロットカードにも似た札を出してきた。

 

 カード自体は、リーナも知っていた。

 カレイドオニキスなどのカレイドステッキを介して、刹那曰く『英霊の座』とかいう死後の世界……リーナ的には『エデンの園』に色々な英雄が笑いながら天上の御加護を受けているとしか思えない所から、英雄たちの武具や乗り物を召喚するカードであった。

 

「リーナには教えておくが、このカードの本来の力は、英霊『そのもの』の力……もちろん、伝承(ヒストリエ)全てを引っ張ってこれるわけじゃないが、ある程度、『クラス』に限定した上で己の身体に宿すための器物なのさ」

 

「――――すごいわ……流石に私だってゼウスやポセイドンなんかは知っているもの。ヘラクレスなんかもね―――彼らの力を身に宿せるんだ?」

 

『ゼウスとポセイドンは英霊というよりも『神霊』の類で、無理だろうが、ヘラクレスなんかは『半神半人』の英雄だからね。何とかなりそうだが―――ともあれ、開発した人間やらの詳しい説明は省くが、君の祖父の生家の究極系も恐らく『置換魔術』に類したものだったのだろう。

 もっとも、それが『偽装』程度に落ち着いてしまったのは残念だがね。彼の『湖の騎士』もバーサーカーでは、そんなものに落ち着いてしまうのだが……』

 

 感嘆するリーナに少しだけ窘める魔法の杖。研究者として、『クドウ』の家が目指すべきものは『そちら』(上位変身)であったはずだと言う。

 そう言われるとリーナも苦笑せざるを得ない。お爺様から母へ、そして自分に譲渡されたもの―――今まではあまり熱心にしてこなかったものを、必死になって覚えようと思ったのも、セツナとの出会いが発端である。

 

『とはいえ、それでリーナがいきなり『大蛇』に変化して逃げ込んだシェルターごと刹那を蒸し焼きにするという現実があり得ると思うと、おおっテリブルっ! ちなみに言えばベンジャミン少佐の娘さんはどう見ても刹那に胸キュンドッキュン♪だがね』

 

「さり気に爆弾を落としていくな!!」

 

「セツナ――。『キヨヒメ』っていう英霊はどのクラスが適当なのかしら?」

 

 殺る気満々になりつつあるリーナに恐れを為す刹那。ああ、笑顔が怖い。けれど教えるからにはそのぐらいの方がいいのかもしれない。

 やる気満々とも言えるリーナならば、完成はかなり早いはず。その為にもまずは……。

 

「礼装の作成にはアビーの協力も必要だが、一先ずリーナが、どの『クラス』が一番適正あるのかを知りたいな」

「バーサーカーかランサーがいいかな? 嫉妬の炎でセツナに近づく泥棒猫を焼き尽くしたい♪」

「なんで知っているのさ!? ああ……余計なことを教えやがって……」

 

 刹那が豪奢な木製の机にカードを敷きながら言っていた傍らで、後ろで『清姫は霊基グラフ的には『狂戦士』か『槍兵』ダヨ』とか電子的に表示してくれやがる魔法の杖(?)もはや最近、何でもありになりつつあるなコイツ。

 

 恨みながらも鑑定は密に行う。彼女の将来をある意味、歪めてしまう『魔術的教導』……もしかしたらば本来の運命に自分などのような異物は存在しなかったのかもしれない。

 運命を歪めるか正しているのか……それは分からない。しかし、リーナが自分の運命に着いてくると言った以上は真剣にならざるを得ない。

 

 

『自分の恋人を再び触手まみれのR-18指定な場面に陥らせたくないだろう? ならば、真剣にやるべきだね。君の判断は間違いじゃないよ』

 

「―――ああ、ありがとう。リーナ、敷いたクラスカードに魔力を与えてみて―――それで『夢幻召喚』する上でのクラスカードの適正が分かるはずだ」

 

「うん。セツナと一緒に戦うために、セツナと愛し合うためにも―――私はアナタの運命に入るんだから―――だからお願い―――答えて、私に力を貸してくれる英雄達……出来ればセツナのお父さんに『近い人達』。具体的にはアルトリア・ペンドラゴンとか!!」

 

 少しだけ赤い顔をしたリーナが、快活に、少しだけおどけて最後には言いながら陽性の魔力が放射されて、彼女の想いに応えるように、一番に反応したのは――――……。

 

 

 

 ―――Interlude out――――。

 

 

 ランサーのクラスカードの『情報』を刻まれた星晶石―――『星霊装甲』は、ブリュンヒルデの槍を生み出す。

 

 ミスリルで鍛造された大槍の情報、魔力放出で動ける鎧などをリーナの身体に再現していた。

 八つ目のボールがシュートされる。しかし今のリーナにとっては苦ではない。本来の大槍ならば撃ちかえせない、というか破裂どころか粉微塵になるだろうが、それでもこれはあくまで『贋作』(フェイク)

 

 しかも穂先に当たる部分はラケットである。ここまで応用を利かせられたのは、やはりパレードの方向性を矯正してくれた刹那のお陰だ。

 パレードの元となった古式魔法師たちの秘術は、もしかしたらば『神降ろし』などが『大元』だったのかもしれないのだから―――。

 

 

「くっ!! 私のスクリーマーを力づくで撃ちかえすなんて!!」

 

「悪いわねアイリ―――アナタの努力は認めるわよ。それは凄い事だわ。物凄く努力してきたって分かる……」

 

 

『ロマンシア』を振りかざしながら、豪風雷雲を巻き起こすまではいかずとも猛烈な勢いで振り回される槍によって、ボールは全てアイリのコートを穿っていく。

 

 無論、アイリもまたリターンを行う。超人的な動きに、変態的な武器のセレクトでクラウドの新規格を見せて、己の『魔法』を示す二人の戦乙女。

 

 低反発のボールがよく砕けたり割れたりしないものだ。そう思わせるほどに力の運びはかなり緻密且つ流動的に行えている。

 

 そして互いの得点盤に刻まれる数字とタイムが『増減』していく。

 

 

「けれど、それはたった一人だけで得たモノでしかないわ。ワタシとセツナとアビー……そしてもう一度会いたい『魔法の杖』とで築いてきたこの『力』は、アナタには負けない!!」

 

「戯言を!! 私とて一人ではありませんでした!! それでも叶わないというのは、なんでなのよっ!?」

 

「セツナの運命は、修羅道(シュラドウ)。良かれ悪しかれ『戦い』に満ちている―――ならば、ワタシはその運命に着いていくために、隣で歩けるように!! セツナに『パーソナル・レッスン』を受けていたのよ!!」

 

「魔法師としても女としても羨ましすぎます!! 贔屓です!! 貴女だけずるいですわ!! 私にも選ぶ権利が欲しいのに!!」

 

 

 半分涙目で叫ぶアイリに少し同情も湧いてしまう。

 

 恐らくUSNAにいた頃の話なのだろう。そうであれば仕方ない。もしも、こっちに来てからの同棲生活ゆえだったらば、ギルティではあるが……。

 

 そこを責めるには一高では、他の『有名人』も攻めなければいけないわけで……。

 ともあれ、舌戦を繰り返しながらも九つのボールが互いの陣地を行きかう様子は既に、砲撃戦も同然であった。

 

 どちらが先に相手の要塞に榴弾を叩きこめるか、そういう戦いである。

 超次元スポーツも同然に打ち合い、時に風車のように槍を回されて吹き飛ぶボールを水飛沫のような輝線が撃ちかえす。

 

 最初にリードを奪われたリーナのスコアは同点になりつつある。

 

 しかし、一色愛梨もまた追い縋る。それでもリードをしているのは自分だ。勝つのは自分である。

 

 その意志一つだけでサーベルを振るっていく―――だが……。

 

 

 場合によっては自陣コート全ての領域を制することが出来る大槍に比べて、サーベルではあまりにも得物の長さが違い過ぎた。

 

 更に言えば今のリーナは、北欧神話に冠たる『神霊』にも届きかねない主神の娘『ブリュンヒルデ』の力の一端を降ろしているのだ。

 

 必定―――動きも精彩を極めていき、確かに人間としての能力の極致に至っている愛梨ではあるが、それでも終わりは突きつけられる。

 

 

「――――ッ!!!!!!」

 

 戦いの最中に歯ぎしりしてしまう程に理不尽なまでの『差』。一瞬だが歪む顔。だが、それでも―――勝負は諦めない。

 

 最後まで戦って見せる。そうすることで鼓舞しなければいけないものがあるのだから―――。

 

 

 しかし、最後の時は容赦なくやってきた。華麗繚乱に飛翔するように跳躍するアンジェリーナの槍の一撃一撃が重く、そして撃ち返すごとにサーベルごと腕を痺れさせる。

 

 もしも刹那の個人レッスンがあれば―――。だが、いまの自分にあるのは―――このサーベルと地力で掴んで積み上げたモノだけ。

 それはさらう波の前では、儚く崩れ去る砂の城かもしれない―――。

 

 

 その意志で至近距離ではなく離れた距離で武器を合わせあう戦乙女の戦いが始まる。

 剣合の代わりに撃ちだされるボール。互いの陣に落とそうと繰り出されて落とさせまいとする―――『ボールゲーム』の体を為した決闘の勝者は、三分間の撃ちあいの末に電子掲示板が示していた。

 

『決まりました! 女子クラウド・ボール新人戦 優勝はアンジェリーナ・クドウ・シールズ!! ここに超次元テニスの如き戦いの結末は―――っと、両者共にコートに倒れ込みました。

 紳士諸君! このような女子のあられもない場面を熱心に見るもんじゃないぞ―――!!』

 

 やかましい。と笑いながら答えたくなるミトの言葉に、互いに微妙な表情をするのみ―――。

 

「まったくここまでくると『ウォーター』&『オイル』ってところね。調和も因縁も丸呑みにしてどこで混ざり合わなくなったのかしら?」

 

「貴女が、セルナは自分のものだと主張してからです。そもそも出会いの遅い速いで全てが決まるのならば―――恋も愛も! 全て『理不尽ないんちきゲーム』ではありませんか?」

 

「む」

 

 黙ったリーナ。そしてアイリではあるが、それもまた真理の一つ。恋愛とは無情なことに『早い者勝ち』という側面もある。もちろん、時間を掛けていけば愛が薄れて気持ちも移ろうかもしれない。

 

 その時に、若干の倫理性を犯してでも、相手がいる相手を奪う。というのもあり得る話だが……付き合ってまだ二年ほどのカップルながら、二人の仲は、おいそれと他人が嘴を挟めるようなものではないことも見える。

 悔しくて、涙が出そうになる愛梨。恋も魔法も―――この女が一番を奪っていった理不尽。いや、理不尽ではないのかもしれない。

 

 守るべき家名があり、守るべき伝統に縛られて……二十八家程度の肩書きしか持っていないアイリでは、『捨て身』で『好意』を示す「ただの」リーナには勝てない。

 

『今』は、まだそうであるという現実を認識してから現状に対して不満を述べる。

 

 

「ああ、全く以て足が棒ですわ……明日に障ったらどうしましょう」

 

「聞く限りでは、本戦のミラージまで(ナッシング)じゃない。ワタシなんてこの後、ピラーズの予選なんだから」

 

「櫓に立つぐらいは出来るでしょうが、そこまでやわなんですかアナタ?」

 

「……『ラストナイト』は燃え上がったわ……その疲れ プライスレス……SHIT! 何すんのよ!?」

 

 足を蹴られて起き上がりの立ち上がりをするリーナ。同時に、アイリも起き上がる。

 

 その姿。良く見ればかなりボロボロであり、見様によってはかなりあられもない恰好である。

 

 

「まだまだ元気じゃないですか? 栞も参加するピラーズ、満座で恥をかかなくてよさそうですね」

 

「イヤミったらしいわね! まぁいいわ。ともあれ―――今はワタシの勝ち♪ 残り期間中は戦わないし勝ち逃げさせてもらうわ」

 

「まったく……いいでしょう。けれどセルナは諦めません」

 

「そっちも全力で勝ち逃げさせてもらうわ♪ セツナのお母さん風に言えば『競争相手がいれば周回遅れにし、ケンカを売られれば二度と歯向かえなくなるまで叩きのめす』。そんなところね」

 

 

 どんな母親だ? 全力で誰もがツッコみたくなる人間を想像してから、アイリが問おうとした時に、放送が響き表彰式の準備が整っていたらしい。

 

 慌ててお互いのベンチサポーターがジャージの上と下を持って来てくれた。色々と聞きたいこともあるだろうが―――ともあれ結果としてクラウド新人戦。

 男女ともに……総合的には一高が取ったと言っていいだろう。リーナからすれば三位にも長谷川という三高の生徒がいるという事実に少し疎外感もあるのだが。

 

 

 ともあれ―――リーナの心はいますぐ刹那の胸に飛び込んで褒めてほしいなぁというので満たされていた。

 

 一位の表彰台に上った際の、歓声も悪くはない。降り注ぐものは少しだけこそばゆい。しかし、どうしようもないセツナ分が欲しいわけで―――。

 

 表彰式中にも映る空中に浮かんだりしている他会場の様子……その一つにて外連味たっぷりの存在が名乗りを上げていた。

 

『世界に神秘あり、人の心に謎あり、夜の闇に奇跡あり―――。

 万世のミスティックを秘蔵するため魔法怪盗プリズマキッドただいま参上。未来を生きるアナタの心に『永遠の魔法』を刻み付けましょう』

 

 男子新人戦アイスピラーズ・ブレイクにて、モノクルにシルクハット。そして白いタキシードに赤いマントを羽織った刹那の姿が見えて―――。

 

(あんな格好されたらば、彼女であるワタシは、『アレ』を着るしかないじゃない……)

 

 

 キザな名乗り口上を読みあげて七高の選手―――カジュアルなアングラー(釣り人)の服を着たものと相対しあう刹那。

 

 その勝利を疑わず、その姿に何度も助けられたことを思い出して――――リーナは熱くなるのだった。

 

 

 無論……両隣で『キッド様あああああ!!!』『ちっひー(千裕)! うるさいですよ!!!』『だって愛梨! キッドだよ!! プリズマキッドだってばよ!!』『意味分かりませんわ!!』と騒ぐ三高の面子を若干、無視しながらであったが……。

 

 

 ともあれ、その日の一高は当選確実となった選挙陣営のように万歳三唱を唱え続けるぐらいには大戦果。

 

 無論、振るわなかったものもいるのだが、ともあれ―――その日の話題を掻っ攫ったのは、やはり一高。

 明日の戦いに備えるピラーズは男女ともに三人予選を通過して―――、新人戦優勝に王手を掛けたのだった……。

 

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