魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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最後の方で出したあるパンクロッカーであり前地獄副大魔王で10万歳以上の歳であろう閣下のことを書いた時に。

「そういや昔、MAZE☆爆熱時空という実の兄妹が近親〇〇した結果、肉体を一緒にしちゃって異世界にいってしまうラノベがあったなぁ」

つまり佐島先生の考えている劣等生の次なる展開―――、それは深雪と達也が〇〇〇した結果、異世界にてフタナ―――(以下 自主規制)


と言う訳で世迷言はともかくとして、これにて長く書いてしまっていたピラーズも終わり、モノリスに移行していきます。


第78話『九校戦――ロスト・ファンタズム』

「いくらなんでもやりすぎではないか……」

 

「まぁ………まだギリで戦術級魔法の領域ではないかと考えます。しかし、問題は刹那君とリーナの方ですよ」

 

「む、というと?」

 

 

 達也の魔法。確かに見ようによっては、まだ誤魔化しは効く。原理としては単純に『巨大なエネルギーボール』を精製して『爆破』。

 そんなところで収まるだろう―――……第一、達也のように魔法式が分かる人間でもなければ、その原理を完全に理解出来ない。

 

 理解出来ないならば、偽証は幾らでも出来る。結果として使用者のみが原理を分かっていればいいのだから。

 それを論理実証できなければ意味はない。

 

 そんな頭を抑えた風間のちょっとした懸念とは違って、響子は観測結果からむしろ問題だったのは、刹那組であったという。

 

 

「簡単に言えばあのゲッテルデメルングを放った瞬間―――ピラーズのフィールドに掛けられた負荷は軽く『ジャイアントインパクト』級の重力異常を与えていました。一瞬でそれらの負荷は消え去りましたが、もしかしたらば日本か世界のどこかで海抜が一ミリは下がった土地もあるかもしれません……」

 

「ぶっ!!………そんなことが起こっていたのか!?」

 

「あくまでエネルギーの総量だけですが、発生したグラビテーション・エラー(重力異常)も、通常の魔法とは違っていましたしね……」

 

 

 制御にしくじっていたらば、あの氷原が吹き荒れてと蒼炎が大地に灯るセカイが出来上がっていたのかもしれないのか。

 

 汗を掻きながらも淡々と話す響子の言葉に風間が吹き出すが、ともあれ「世界を上手い事騙すのが魔法の技術」であるという「屁理屈」に従えば、刹那は世界を「ひっくり返して」でも「幻想」を世界に撒き散らしたのだ。

 

そんな独立魔装の懸念とは別に、USNAからの客人は―――興奮しきった様子であった。

 

「リーナ!!!! サイッコーにクール&キュートですよ!! そのままの勢いでセツナ君と一緒に勝利の凱旋を飾ってください!!!」

 

 ドローンではない定点カメラを用いての撮影。

 リーナとセツナの戦いを克明に映し出してUSNAでの結婚式にて編集した上で新郎新婦の馴れ初めとか絆の深さとして紹介しようという『恐ろしい野望』が披露されるのだった。

 

 しかし響子としては、リーナと刹那の結婚式ぐらいは日本で上げてほしい。シルヴィアとは真逆の考えだ。

 

 神前式……和服での婚姻もいいはずだ。実際、リーナとてそれを望む気持ちがあるはずだと思いたいが、今や日本女性の殆どがチャペル付きの式場で、呼び寄せた宣教師の下で愛を誓い合うクリスチャン方式を是としているのだ。

 

(リーナが望むかどうかよね。まぁ……ひ孫ぐらいは見せてほしいものね)

 

 そんな風な事を考えると、なぜだか『予感』とでも言えばいいのか―――その場面に『双子の女の子』が響子の前に現れて『キョウコ(キョーコ)おばちゃん!!』などと言ってくる未来が見えるのだった。

 

 黒髪のツインテールと金髪のツインテールの双子……リーナとセツナに似ている双子の姿が見えるので、少しばかり響子としては「おばちゃん」とは呼ばれたくないと思う気持ちもあるのだ。

 ぶっちゃけそんな状況になったら響子としては泣きそうである。

 

 そんな風に変に独身女として鬱っている間に、眼下の戦いは変化を遂げて、上方のVIP席にいる二人の十師族は、なんだかいちゃつき始めている様子に誰もが、眼を背けて―――違うバカップルに眼を向けるのだった。

 

 

 † † †

 

 

 ニブルヘイムとムスペルスヘイムの領域の奪い合い。もはや高校生レベルではない魔法のぶつかり合い。業火の灼熱と、絶対零度の冷気で己の領域にせんという二人の女神の戦いが、フィールド中央を彩っていく。

 

(雫には悪いけれど―――)

 

 やはり自分に追随するほどのレベルの魔法師は、十師族を除けば、一高ではこの女だ。

 本人はすっ呆けているつもりだろうが、USNA軍所属の『魔法師』。スターズ隊員―――こちらはまだ確証はないが、アンジー・シリウスかもしれないという少女。

 

 それと真正面から撃ちあい。己の巧緻を高めて、己の底を振り絞って戦える。全力で『ぶん殴っても殴り返してくれる』。

『思いっきり技をかけても怪我をしない』―――正しく同位の相手。

 

 相手にとって不足無し。それどころか自分が若干、負けてる分野すらあるのだ。

 

 ならば、何も遠慮することはない。しかし、チェックを掛けるにはある魔法が封印されたままだ。

 

 灼熱と冷気の狭間―――水蒸気すら発生させないで相手を己の視界に収め続ける。リーナに生じるかもしれない一筋の亀裂や隙を見逃さないとして、天輪(ハイロゥ)を回しながら魔力を回転させるリーナが、攻勢を仕掛けようとするのを見た。

 

 

 ―――先程からワタシの元に冷気を放とうとしているのは、ケッコウなんだけど……ミユキ、アナタのインフェルノは未だに封印(シールド)されているのよ?―――

 

 

 無言で、リーナは対面に向かい合う深雪に言っておく。今、深雪のインフェルノが使用不可能なのは、刹那が『略奪』しているからだ。

 

『眼』の中に封じられた『魔法』は、刹那が解放しない限り―――深雪の手札に戻らないだろう。

 その『理屈』を知っているだけに、リーナはここから先に決着を着けるべく―――ハイロウの魔力を回転させていく。

 

 

「スパークハイロゥ!!」

 

 深雪と灼熱と冷気の押し相撲をしながら、違う魔法を展開するリーナ。瞬間、魔力の環が四つ。

 

 雷のチャクラムとでも言うべきもの―――それをスケールアップしたものが、リーナの手振りに従って、ジャグリング、輪投げのごとく軽快に投げ込まれる。

 狙われたのは―――深雪の近傍にあるピラーズ。

 

 常に回転するチェーンソーの如く雷の刃が回転するものは、容易く氷柱を溶断するだろう。

 

 瞬間の判断が要求される中に、達也が『棍』とも『槍』とも言える武器を持ちあげた瞬間―――何かをすると思っていたのだが―――。

 

 深雪の視線を受けてそれを下げて、即座に銃を向けて魔弾―――スペルブリットで、雷の刃を撃ち落とそうとする。

 撃ちだされて飛翔した先には雷の刃。その際に放った細かな分解魔法が雷を―――『熱雷』とでも言うべきものを分解する。

 

 現象としての雷は力を無くし、形を失い、大気中に静電気として霧散する雷の刃。

 そして、その間隙を縫って深雪がニブルヘイムでムスペルスヘイムを押し返した。

 

 優勢を取った。しかし魔法自体は霧散せずに……巻き込みながらニブルヘイムの冷気が―――刹那とリーナの陣を襲う。

 

 絶対零度の空間が形成されて、大規模の冷気塊が―――作り上げられる世界。

 

 ―――待て、この一連の攻防。あるべきはずのものが無かった。戦慄した達也。そして違う形で気付く深雪。

 

 今の今まで―――なぜ気付かなかったのか。リーナの後ろで『鎧』の維持に努めていたからか―――。

 

 だが疑問はともあれ―――深雪の領域にいきなり戻ったインフェルノで、現象の不可解さはともあれ……過剰膨張現象を強制して18本の氷柱の内、10本が砕ける。

 

 クリーンヒットを取っ手相手からリードを奪った瞬間―――。

 

 

ミート()を切らせて、ボーン()を断つだっけ? こういうの?」

 

「まっ、実にエミヤ的な戦いだが、やってくれてありがとう。―――そしてごめんリーナ……深雪に一敗させてしまって」

 

苦しげな刹那と対称的に陽性の笑顔で迎えるリーナは男の『ケツ』を叩いて、『しゃきっ』とさせる。

 

「ノープロブレム♪ 意地があるんでしょ? 男の子には―――その為ならばワタシの全てを使ってでも勝利を掴みとりなさいよ!!」

 

 

 今の今まで瞑想して集中していた遠坂刹那の秘奥の一つが晒される。眼を開く。肉体が覚醒を果たす。魂が高次の世界に―――接続される。

 

 

『赤』の魔眼。『魅了』を司り相手の眼に介入しての意識制圧をするもの―――。

 

『橙』の魔眼。『強制』を司り相手が意図しない行動を強要と惑乱するもの、―――。

 

『緑』の魔眼。『停滞』を司り相手の全ての動きを止める活動・運動の停止を実行するもの―――。

 

『白』の魔眼。『共有』を司り己が視たモノを相手にも体感させ万物を詳らかにするもの―――。

 

『灰』の魔眼。『変成』を司り己が視たモノを相手に重ねて万物流転を固定するもの―――。

 

『青』の魔眼。『略奪』を司り己が視界にあるものから正負に関わらず『熱』を奪い去るもの―――。

 

『■』の魔眼。『■■』■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――。

 

 

 系統七種の魔眼の変化を見せる刹那の眼の行き着くところは――――七色の輝き、虹色に光り輝き転輪を繰り返す『魔眼』の姿だった。

 

 

 ―――その宝石のように光り輝く魔眼を、こうして直視していると美しさと美しさと―――どこまでもある美しさで、気が狂いそうなぐらいに魔性の輝きを見る。

 

 その途端、―――達也は、己が、かしづきそうになっているのに気付いた。

 

(魔眼の打ちあいじゃ、分が『無い』な……)

 

 完全に『酔わされた』。やられた。己の行動を制限させられるかもしれない―――。

 視れば分かるかと思っていた刹那の魔眼を前に、このままでは不味い。深雪もまた酔いそうになっていたのを見て―――。

 

「仕留めるぞ」

 

「ええ」

 

 もはや時間の猶予はないことを悟る。遠坂刹那は秘奥を二つも晒した。そして―――フィールドに走る魔力の線―――何かが仕掛けられている。

 

 しかし、それに消波を叩き込むことは出来ない。楔のように打ちこまれて達也と深雪側にまで走るそれは―――。

 

線路(レール)か……)

 

 そんな達也の値踏みに頓着せずに、刹那は『七輝の魔眼』を最大活用した秘奥を使うのだった。

 己を高揚させる。世界に神秘の層を作り上げる。

 

 人理を無くしたいわけではない。ただ文明の力が及ばぬ怪異が、この世界にある以上、それを捨て去ってはいけないのだ。

 

 ヒトは神の権能を悉く奪い去ったかもしれない。けれど―――何か超常のものがあると信じなければ生きていけない。

 多くのどうにもならない『自然の脅威』の前で、人はいるかどうかすら懐疑的と言っている神仏に、先祖の霊に、祈るしかない。

 

 ヒトは祈るしかないのだ。そうして願いを聞き届けるものがいると信じる心こそが人の『知性』なのだ。

 

 多くの『不可能』を消し去る魔法師達が行き着く先は、際限のない『否定』。それは世界を■■してしまう禁忌……。

 すなわちこの世界そのものが『■定■■』になるかもしれないのだから……

 

「行くぞ達也!」

 

「ミユキ―――これこそがワタシと!」「俺の!」

 

『愛の証!! 全ての魔法師達に見せる―――『黄金劇場』!!!』

 

 手を重ねて『三度』(みたび)放たれる複合魔法(ユニオンスキル)

 深雪曰く『石破ラブラブ天驚拳』―――俺たちはデビル〇ンダムか。と思ってしまう命名に汗を掻いてから―――。

 

 瞬間、リーナの背中に『タイプ・ヴィーナス』の翼が展開される。『飛行』するわけではないだろうが、聖女にハイロゥと翼が展開される様子は演出過剰だろう。。

 

 しかし、その魔力の高まり、放射され収束する魔力の凄烈さで完全に二人の近傍にある氷柱に魔法式が展開されない。完全に上回っている。

 

(古式魔法は、その発動の遅さゆえに現代魔法に侮られがちだが……こうして『層』を展開すれば、現代魔法では干渉できない壁が展開されるのか……)

 

 そして唱えこむ詠唱が重ければ重いほど世界への干渉が高まる。その究極系を見ようとしている。刹那の眼が導く―――魔法の結果の前では氷柱にかけた情報強化など無力だろう。

 

 最大攻撃を防御した上で、消耗しきった二人に一撃を叩き込む。それしかないだろう。

 

 その為の鍵は―――達也が持ちこんだ。この『杖』のみだ。

 

「深雪!!」

 

「お兄様!!! 私達の愛であの二人の攻撃をしのぎ切りましょう!!!」

 

「そこまで言っていないが、協力してくれよ!!」

 

 まさか、これを使うことになるとは思っていなかった達也だったが、どうしても過剰極まる刹那の攻撃力に対して、防御策が欲しかった。

 かつて自分を守ってくれた女性……その願い『自分の死にざまぐらい選ばせてほしい』―――そう言った人が、最後に願ったのは……。

 

『心はいつもあなたのそばに―――』……。そうして、達也の足元で死床に就いた人……絶望的な戦場で、『■■・■■』……今ではなんだったのか、誰が唱えたかすら分からぬ『呪文』の後に、変化をする……作られた魔法師。

 

 最後には『人間』として、死んだ人の身体が―――……。『杖』と言うべきものへと変わったことを思い出す。

 

 それを解き放つ。四葉家に眠りし解析不能・起動不可能の魔導器。『聖遺物』であるという結論だが、微かな変化を期待して達也と深雪の元に預けられていたそれが―――。

 

(ダメか……!!)

 

 深雪と達也。双方が魔力を込めても反応しない長い柄の杖。頭には『桜』の蕾のような器物が付けられているものが―――反応せず。

 

 ……窮地に陥る二人……。応えてくれない『桜の杖』に精神を集中させるのだった――――。

 

 

 ―――そんな様子を見ていたリーナと刹那。特に刹那はその『杖』の本質を見抜き、ヤバい位の防御武装だと気付き―――しかし発動条件を満たせぬ二人を前にして―――甘さを捨てる。

 

(取るぞ!!)

 

(いいのね!? ワタシも甘さを捨てるわよ!!)

 

(ああ!!! やるぞリーナ!!!)

 

 二人の前面に展開する複雑な魔法陣。循環し回転し複雑な紋様と色彩の魔法陣の中心に対して、重ねた手でアゾット剣を持つ。

 

 最後の準備は整った。燦然と黄金に輝くアゾット剣。

 

 この期に及んで動くかどうかすら器物に頼る達也の博打を否とした。

 そして唱える最後の呪文を蟠る異界の魔力、放たれし幻創の魔力、あえて達也たちに『氷柱』を爆破させることで繋げた『富士山の水』を利用したライン。

 

 全てが勝利を導く工程となって刹那とリーナを輝かす。

 

 意を込めて解き放たれるその『ロスト・ファンタズム』の名前は―――。

 

 

『刮目して見よ!! 『魔星』を砕きし『ロスト・ファンタズム』、其の名は―――“掲げ蕩う極光劇場”(チャリタス・ドムス・アウローラ)―――!!』

 

 虹の極光が―――司波兄妹に残された氷柱を砕くべく迫る。

 

 圧倒的な魔力の圧―――世界すら切り裂きそうな『星界の幻想』の限りが粉微塵に氷の姿のままに切り刻み、雪の結晶が陣地に吹き荒び―――。

 

 あっという間に、残りが2本となった、ありとあらゆる防御策を病葉も同然に切り裂く魔力の斬撃が、眼には見えぬぐらいに細かく吹き荒んでいるのだ。

 

 

 そしてセンターラインの並ぶ2本の氷柱は、残り一本となり断頭台の処刑のように最後の時が訪れようとしていた。

 それでも―――達也と深雪は、未だに『それ』()に頼っていた……。

 

(俺はお前を見誤っていたのかよ―――達也!!!)

 

 その起動せぬ杖に頼って、終わりを迎えるのが……これが決着か―――ならば容赦はしない。

 雄叫びが最大級の魔力を動員。『七輝の魔眼』を通じて開かれたロスト・ファンタズムが、現代魔法の全てを打ち砕くと思った瞬間―――

 

 桜の花弁……に見える魔力が―――吹き荒れる。一本の氷柱に纏わりつき、蒼と桜紅がどこまでも幻想的な一本の桜の樹にしている。

 そんな表現でしか言えない霧状に見える桜色の魔力が防御障壁であり、最大級の『概念防御』を展開している。本来ならば、それすらも切り裂ける―――斬撃が、通らない。

 

(やられたな。この土壇場で起動させるとは……)

 

(概念武装なのね。『アレ』は―――あんなものを持っていたなんて)

 

 二人揃えての起動で首の皮一枚繋がった司波兄妹だが、刹那はこの状況からでも幾らかの崩し手は残されている。

 だが、投影した『幻想』を放てば、心情的には敗けだろう。

 

 信じるべきものはたった一人の女神だ。

 

「俺は最後までリーナを信じるよ」

 

「ならばワタシはワタシを信じてくれるセツナを信じるわ」

 

 自分の内心を読んでその手を否としたリーナに感謝をする。

 改めて硬く握り合う手でお互いに苦笑する。

 

 そして黄金の輝きから虹色の輝きに変化する魔力が―――『桜』の魔力を砕いていく。

 

 防御だけでじり貧であろうと思えていた頃に―――。氷の女神は攻勢に出る。

 

「魔力の通り道が無いならば、己で『作る』―――いいヒントを貰いましたよ……刹那君!!」

 

 挑戦的かつ挑発的な言動の深雪が言うと同時に変化が起こる。桜色の雪が場に吹き荒れる。

 

 どうやら防御を担当するのは達也で、攻撃をするのは深雪……杖を介して放たれる新たなる魔法『桜花の氷結世界』(ブロッサブルヘイム)が刹那とリーナの領域を侵食していく。

 

 

「この土壇場で新魔法を使い、雪女から!!」「ミユキはオトメ妖怪ザクロに進化した!?」

 

「アナタ達のウイットに富んでいるようで人を逆撫でする言動は実に不愉快ですね。本当に氷の彫像にしてやりましょうか―――!!!??」

 

(この決着―――とどめの刻にも関わらず、余裕あるな)

 

 深雪の『デーモン〇〇閣下』じみた言動に答えるように、桜の雪は領域を冒していく。

 ―――『穂■』さんが力を貸してくれているのだろうか、そう思えるほど返す刀で八本の氷柱を襲おうとしている桜色の雪の魔力は付着すると同時に融解を果たしていく。

 

 防御策が無いわけではないだろう。慢心しているわけではないだろう。それでもその隙に食らいつく。どちらが勝ってもおかしくない一髪千鈞を引く戦い。

 

 リーナと刹那の攻撃を耐え凌ぐ達也とて辛くないわけではない。しかし耐え忍ぶ。あの日―――生き方を決めて、死に方を決めた人の意思が達也を動かす。

 

 

 お互いの身体が最後の力を振り絞る。魔眼の酷使ゆえか刹那と達也の眼から血が流れ出る。それでも止まらない。持てる手を振り絞って勝つ。勝ちたいのだ。達也は、あの―――「魔法使い」に―――。

 

 失い続けてきた二人の男の『絶対に失わない』と信じた意思、そんな男達に寄り添うと決めた女の心が、ぶつかり合い。凌ぎあい―――そして決着した。

 

 桜雪の浸食を受けて融け散る最後の氷柱。

 

 魔剣の斬撃で結晶として虚空に散った氷柱。

 

 ―――誰もが固唾を飲んで見守っていた永遠にも似た時間は終わりを告げる。

 

 ―――晴天のもと男女混合ダブルスのアイスピラーズ・ブレイクは終結するのだった。

 

 

 

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