魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~ 作:無淵玄白
具体的には一色との絡みや、ケガをおしてでも夕食会にやってきた森崎に対するSEKKYOUとかも構想に遭ったのですが丸々カット(苦笑
そして何より恐ろしい事は、前の更新の後にアニポケで『石破ラブラブ天驚拳』が出た事である。
そんなこんなで試行錯誤の新話どうぞ。
そして―――時は動き出す。だれもが掲示板に表示されないWINNERがどちらかで喧々囂々の様。
選手たちは、不動だが、目元をパートナーである女子に労われている様子。それぐらいに、とてつもない戦いだったのだ。
だからこそすっきりしない結果に決を出してほしいのだ。
「どっちだ!?」
「殆ど同時にしか見えなかったぞ!!」
もはやアイスピラーズ・ブレイクをやっていたなんて言いきれないフィールドだ。氷柱の痕跡などどこにもない。
穿ち砕け、陥没しきったフィールドの惨状。古戦場じみた様子だけが、そこで行われた戦いの凄まじさを物語る。
息を呑んで最後の戦いを見届けた観客たちが騒ぎを広げていく。ここまで縺れるような魔法戦はそうそう見られるものではなかったので、当然の話だ。
結末にして勝者がどちらかを誰もが言い争うように言い合う。
「司波達也の味方をするのは癪だが、どう考えても司波さんの魔法が先に氷柱を溶かしたよ!! 司波さんの美貌に違わぬ美しい魔法だった……」
「貴方の眼は節穴ですか!? アンジェリーナの味方をするわけではありませんが、セルナの魔法が先んじて貫きました!! 絢爛豪華な虹の輝きが目に焼き付いています」
「難しい判定だね……そして君ら、私情挟み過ぎだよ!!!」
三高の席では、一年男女のエースがぎゃーぎゃー騒ぎ、それらが収拾を着けないで行く。
伝播する騒ぎ―――。
パニックに陥っているのは、勝敗を告げるべき審判団であり大会委員たちが何も出していないのが、原因なのだ。
「正直、同時よ。もはや固体から気体に変わった時間のコンマ秒の差でしかないわ」
「ふむ。すさまじい戦いであったな……司波達也、遠坂刹那。この二人が一高にいてくれて良かったと思うよ」
「巧手妙手連手―――いやはや凄まじい戦いだったな。最後に決め手となったのは、お互いの絆か……」
「そんないい話で終わらせていいのかしらね……? それにしても2人は何者なのかしら……?」
魔法科高校の生徒三年 四人―――一人は一高ではないが、ともあれその話の最後を締めくくる真由美。
十師族が束になっても敵わないのではないかと思う程に、恐ろしい戦いを繰り広げた四人……中でも二人の男子には、やはり疑問があるのだ。
内面では二人を褒めながらも十文字克人も十師族の一人。様々な考えを巡らす。
(司波が何かしらの十師族関係者……市原のように『数字落ち』の家の可能性も考えたが、それでも「隠す」意味はないだろう)
司波―――『死の葉』……当て字であるが、そう考えれば当てはまり関係する家は『一つ』だ。
そこまでは『敏い』人間であれば、どれだけの公文書や戸籍の偽造を行ったとしても、なんとなく気付けるレベル。
しかし、『隠す』ということは、そこに『疾しさ』があるからだろう。
そして九島老師の意味深な言動と四葉師の家族から分かることもある。
終ぞ無き血の巡りの速さが、克人の頭に働き、司波兄妹の内情を察することは出来た。
だが、遠坂だけは見えないのだ。彼の後輩の足跡は―――3,4年前のUSNAでの登録が初。今まで田舎にいたという奴の言動を信じれば分からなくもないが―――。
致命的な何かを外されているような気がしてヤキモキする。
「秘密主義すぎる後輩二人だよ」
「信じてあげなさいよ。あの子は―――きっと『全てを否定する存在』に対としてやって来たんだからね」
「理珠?」
意味深な言葉の後には、立ち上がる伊里谷理珠。そして伊里谷理珠は―――。
ここからは隣にはいられないと告げてきた。
「後はミラージとモノリスのみ―――本戦及び新人戦共にね」
「ああ、ウチの後輩は『厄介な連中』のネズミ避けにはなったか?」
「もちろん。そして私もそろそろ四高の責任者として動かせてもらうわ―――今からは本格的に敵同士よ」
「そうだな……一年の頃から少し憧れていた君に言われると少しばかり堪える」
心底の苦笑と共に答えたことで、隣にいた七草が『不機嫌です』オーラを出してくる。
だが、十文字克人が一年の頃から見てきた女子は彼女だったのだ。だから―――このぐらいのワガママは会長として容認してほしいものだ。
「それじゃね。カツト―――」
自分の前から去ろうとしている伊里谷の背中―――それに対して十文字は声を掛ける。
「一つ約束が欲しい……九校戦……パーティーでの最後のダンスは俺と踊ってくれるか?」
「―――考えておくわ。アナタを少しだけ私のお父様と同一視しているファザコンの女でよければね」
少しだけ寂しげな顔を見せた伊里谷理珠。銀髪の美少女が見せるその顔は―――最後の十文字克人の賭けが成功したことの証左であり、同時に真由美の不機嫌が最高潮に達した瞬間。
そんな風な会話の間に―――大会委員長に代って九島烈及び十師族が出てきて口を開く。
『試合結果はドローゲームだったが、例年この上なく白熱して年甲斐もなく興奮するものだった。多くの痛みに耐えて、魔法を撃ちあい!!よくぞ立ち上がった! 感動した!!!』
いつの時代の主席宰相だ。と言わんばかりの九島老師の言葉で、協議結果は知れた。反論は出ない。
しかし、燃え盛る様な雄叫び―――会場全体を揺らすものが、とりあえずこの結果の是々非々をどう判断したかを示していた。
『だからこそ―――司波達也君、遠坂刹那君……諸君二人はまず――――』
何を言うつもりだ。九島老師という空気が生まれて誰もが息を呑んだ……。
呑んだのだが、予想外の台詞が出るのだった。
『女子といちゃつく前にドクターロマンの治療を受けたまえ―――』
『君らね!! 競技種目で『魔眼』の最大展開とかバカなのか!? とりあえず今すぐに!! 救護室に来るように!!
ああ、その前にリーナでも深雪でもいいが、キミたちは『聖骸布』を持ってくるんだ!! いいね!? 全く……男としての意地ぐらいは分かるが、頼むから少しは己を自愛してくれ』
引率教師と医者としての判断をごっちゃにしているが、会場アナウンスを奪ってでも心底心配されていることを理解した二人の魔王は、救護室に行くことにするのだった。
半ば自傷を覚悟してでも、戦いきった刹那と達也。その姿に―――モノリス出場選手たちは、打倒を誓う。
「引き分け決着は、いいとしても、成程、刹那だけでなく司波達也も要注意だな」
立ち上がって、色々と明日の準備をすることにした将輝の言葉で全員が引き締まる。
そんな中でも少しばかり、心配を吐露するのは中野新であった。
「俺との戦いの時以上だったな。司波達也は……悔しいが、ウチで撃ちあえるのは将輝だけか………」
「新。心配するな。刹那も司波もまとめて俺が引き受ける―――どちらともモノリスで戦えるならば僥倖であり俺には幸運以外のなんでもないな」
飢えている………。
今まで将輝は同年代で相手になる人間など同じ十師族の……上の人間である十文字克人、七草真由美、もしくは九島の末子ぐらいだと思っていたのだ。
井の中の蛙というわけではないが、それでもここで出る杭を打っておかなければいけないこともある……。
日本国内最強の魔法師の一族の一人として……
強敵に挑みかかる気持ちが強いようだ。そんな風に尊敬していたというのに……。
「さてと―――今日の夕食会は俺も出るぞ!! そして司波さんと、何とか話したいんだ!!!」
「うん。まぁがんばって」
「ジョージ!? なんでそんなやる気なさげ!?」
当たり前だろうが。という皆の視線を受けて咳払いする将輝。そしてそんな将輝への抗議を分かっていて一色愛梨は少しだけ自重するのだった。
自分も刹那と話したいどころか密着したかったのだから……。
ともあれ、色々と白熱した男女ペアによるピラーズブレイクを終えて、大会六日目は終了となった……。
明日からは、またもや熱き戦いがあるのだから―――いつまでもギャラリーのままではいられない。特にあれだけ熱い試合を見せられては無性に身体を動かしたくなるのだ。
† † †
「これで良し―――夕食会までは、少し時間があるから、聖骸布の封印で眼を休ませておくことだよ」
「世話かけます」
「栗井教官。やはり俺の眼は変化していましたか?」
魔眼に対する『適切な処置』を施されて、救護室のベッドに寝転がる達也と刹那。
純粋に、礼を言った刹那とは対称的に、達也は疑問があるようだ。
妖精眼―――ランクとしては、流石に刹那の持つアウロラ・カーバンクルに代表される『ノウブルカラー』よりは劣るものの、見ることで理解する魔眼としては最上級。
浄眼と同じ類だろうが、もう少しこちらは、能動的に見ることを可能としたものだ。
元々、達也の持つ眼は見ることに特化したものだったが、これによって進化したとも言えるだろう。
しかしそれは――――。
「まぁね。司波、君が刹那に対抗心を持つのはいいが、その為に見えぬものを無理に見続けようとすれば、いつか『パンク』するよ」
「―――パンクですか?」
「ああ、君の眼は恐らく世界の構成情報。恐らく『この世の全て』を分解するのに適したものなのだろうね。ああ、殺気を向けないでくれよ。僕は医者なんだからね」
刹那も見えていないが、達也も聖骸布で眼を封じられている状態なのだと気付く。それでも、ロマン先生の言動はあまりにも聞かせたくないものなのだろう。
「君自身、その眼がどういうものか分かっているのかどうか知らないが、世界の『情報』を『全て』読み取るというのは、言うなれば脳機能の逸脱だよ。我々の視覚がどういったことで像を結んでいるかは、ご存じの通りだ」
「光情報を受容体で受け取りそれを脳が処理をする……」
「そう。言うなれば脳は、受信と送信を司る機能を有している。本来的に生物は生物の呼吸と鼓動しか分からないものだ。そこから違うモノの『呼吸と鼓動』まで読み込んで受け取ると言うのは、脳機能の逸脱だ」
かつて、直死の魔眼というものを持つ人間と深く関わっていた刹那は、その原理を知っていた。
彼の白の吸血姫の騎士たる人間は、もはや既に長くないことを悟ってその眼がどれだけの無茶をしたとしても構わないとしていたのを思い出す。
「魔法師がエイドスに干渉して、現象の変化と操作を司るのとは違う。君の眼は視えぬものまで見て、後には『ジャンクヤード』行きになる……特に君のような特異な術者は、『よろしくないもの』まで見てしまい脳を焼き付けさせる」
「けれど―――これが便利なのは間違いないんですよ。それに―――今までも大丈夫だったんです」
「ああ、そうだろうね……まぁエレメンタル・サイトが『受信した情報』はきみの脳内で機械的なメタデータとして処理されているだろうから……余計なお世話だな。だが、刹那と関わるということは『よろしくないもの』を見てしまうことだ。覚えておくことだ」
達也の力の源泉の一つ。眼の良さ―――起動式の複雑極まるコードを読み込んでそれに対してカウンターを打てるというこの男の異常さを今さらながら思う。
色彩や感覚、はたまた『嗅覚』でそれらを読み取る人間もいるが、達也の場合は、もっとも単純な起動式……分かりやすい表現で言えばアルファベット3万文字以上の情報量。
しかもそれはアルファベットのように単純ではなく……まぁ常人では無理だろう。達也の場合『無理なこと』を『当たり前』の如く出来るからこそ危ういのだ。
「あれこれ言ったが、魔眼の制御は密に行うことだ。下手をすれば
結局の所、言うだけ言っても聞かない相手と言うのも司波達也の人間性なのだから……ロマン先生もその程度で収まる。
そして出ていく気配。同時に『シャットアウトだ。』と救護室の外にいた連中に言う気配。魔眼の癒しは、デリケートなものだ。
余計なものを見せないで自分の内側に入り込む……瞑想は必要な作業だ。
魔眼の代表『バロール』は己が目を開ける為に、屈強なるフォモールの魔神の戦士が四人がかりでようやっと開けられるほど。
厳重な封印がされていなければいけないものなのだ。
そんな風に戦力半減の現状に―――何となく言っておく。
「俺もそうだが、お前も馬鹿だな。森崎は出る気満々だとは言え、明日のモノリスは俺たちが主戦力だってのに」
「だが、これ程までに熱狂した試合も無いな。同時に、俺も男なんだ。意地も誇りもあるさ―――」
とんでもない意地の張り合いが、あんな惨状を齎したことに達也は、あんまり頓着していない。無論、刹那としてもその思いはある。
どうせ、公然と魔術が使える世界―――神秘の薄弱化があまり起こらず。というよりも……かつての『ミス・オレンジ』のように『死蔵』されていたルーンを再採掘の復元しなければ、固定化が起きないでいるのだ。
正直、この世界では『多少』の大っぴらなことはしなければいけないのだ。
その相手として達也と一条は、実に好都合だった。そして、正しい意味での魔術戦ではないが、それでも刹那も白熱したものがあったのだ。
時には―――『バカをやるのもいいもんである』。
「しかし、光井の守り形見を使ってでも戦った達也をトータルドローにしただなんて、こりゃ俺総スカンかも」
「手を抜いたらば、それはそれで面倒な辺り、俺も坊主にするべきだったかな?」
坊主頭の達也を出したら出したで光井は、アレな表情だろうな。
ともあれ、疲れも溜まっていたのかお互いに自然な寝息を立てて寝てしまう。夕食までの一時の休息。
天使の休息。羽根休めをしている二人の傍らに――――、小豆色の髪をした少女と黒髪に白のハイネックの上に赤いコートの女性……。
二つの幻影が白い救護室に現れて、その身を休ませるのだった……。
幻影と言うには、はっきりした輪郭を以て現れた片方は、自分の『分身』の頭に手を合わせるのだった。
† † †
『大きくなっても寝顔だけは変わらないってのは皮肉ね。アンタの髪……アイツに似てきて……あんまり心配させんじゃないわよ。私じゃなくて、アンジェリーナさんをよ。そこは忘れんじゃないわよ
それと、こんな時にしか会えなくてゴメンね。―――刻印に根付いた先代の意識を表している時間はそこまで無いから言伝は、色々とあるのよ。
女の子を泣かせるんじゃないとか、あちこちにいい顔しないとか……外面取り繕っていたのは私も同じとかツッコまれそうだけど……ともあれ、『自分にできた繋がり』をちゃんと認識して生きなさい』
口うるさいお袋の言葉が、夢の中でもプレイバック。何の悪夢だ。この小言を実で聞けない自分にとっては、この上ない苦痛だ。
『エルメロイ先生ならばあれこれあるかもしれないけれども、アンタの判断は間違いじゃないわ。やれると思ったならば、突き進みなさい―――それじゃ、そろそろお別れね』
―――母さん――――。
聞こえるはずのない言葉。言っている訳がない言葉が聞こえて辛そうな、それでも最後には笑顔を見せてくれる母・遠坂凛の顔が向こうに遠ざかっていく。
『愛しているわ刹那―――だから、最後まで戦いなさい。戦って勝って―――未来を―――』
掴みとれ。と言う言葉を言おうとした母を追って左手が―――伸ばされて―――……。
「母さん……――――」
「気が着いた? うん、見える眼は普通の色ね。ロマン・ティーチャーから入っていいって言われて入ったのよ」
手を伸ばした先には、いつも見る顔。どうやら膝枕をされていた様子である。髪がロールしていないのは、自分が掛けた魔術が残っているからだろうが、少しだけ新鮮な気分である。
制服姿で髪を降ろしたリーナの姿というのは……。何となく母親にも重なるもので顔を赤くしてしまう。
「起きて早速で悪いけど夕食会行きましょ? タツヤは30分前に起きて行ったわよ」
「ああ、悪い。待たせた―――んじゃ行くか」
身体の調子を上げる。寝起きでありながらも身体の調子をトップに持っていく手腕は流石であり、母親を呼んでいた姿を誤魔化せたと思っていた―――。
「お母さんの夢を見ていたのね? 寝言がそれだったもの、バレバレよ」
ばれていたか。少しだけ気恥ずかしい想いをしたが、どうせ自分がマザコン気味の小僧であることなど取り繕ってもどうしようもないのだ。
リーナにその通りと言うと頬を人差し指で突いてくる様子。このごまかしが効かなかった時のからかいをしてくる辺り深刻である。
「そうだよ。恐らく、刻印による回復呪法が変にお袋の意識体…残留思念を引っ張って来たんだろうな。夢の中に現れたよ」
「きっと心配になって出てきちゃったのよ。あんまり心配させるんじゃないとか言われなかった?」
「言われた。そんなに心配になるほど情けない男かな……」
「一人前のつもりでいて一人前になれていないのよ。お互いにね―――もしくは、『親』なんてそんなものかもね?」
そういって自分の端末を見せるリーナ。そこには『ファーザー』『マザー』という宛て名からのメールがびっしり。
自分が、一条をシューティングで下した日から、そればかりが届く。どうやらアメリカに帰ったらば、シアトル行は確実だ。
ホテルの廊下。全員が夕食会に行っているのかなと思う程に魔法科高校の生徒の姿を見ない。
歩きながらの疑問だが、やはりまだ頭はトップに入っていない。
牛乳が呑みたい気分である。やはり寝起きの低血圧は、遠坂の宿業かと思いながら、答える。
「その境地に達するには、もう少し『時間』が必要だよな」
「
「勘弁してハニー。責任を取るつもりはあるけれども高卒資格ぐらいは欲しい気持ちを察して」
しかし、この時代……『様々な事情』で『結婚』『妊娠』『出産』となった『高校生』でも早々に『退学』とはなりえないらしい。
日本だけの制度かもしれないが、ともあれ世界全体で人口が半減してしまったような世界。大事にしたいのだろう。
「セツナ―――」
「? 早く入ろうぜ。牛乳飲んで覚醒したい」
どういう意味だ!? とか言う言葉が締め切られた扉の向こうから聞こえてくる。電子施錠でない扉だがわざわざ締め切られている理由など―――分かりやすすぎる。
制服の袖を引っ張って、留めるリーナも一口噛んでいるのか。そう思う。恐らく―――そういうことだろう。
探ってみるに―――『全員かよ』と嘆きたくなる結果が出たので、『お袋』に頼んで、部屋を
達也ほか敏い連中が気付いたようで慌てて開錠を試みるも―――。簡単には開けられない。
「君も思惑に乗ったの?」
「ご褒美欲しかったからよ……ダメ?」
「みんなに見られるのはいやだな。君の艶美な姿は俺だけの見ていい宝石だよ。マインスター」
イタズラがばれたことで観念して、てへぺろ(・ω<)してくるリーナに、苦笑してから顎を持ち上げて顔を、惚けた顔をするリーナの高さまで下げて行き―――。
「どわらっしゃああああ!!! くそっ企みがばれてしまって―――」
「いやなんでさ。つーか悪趣味ですね会長、こういうのってエリカの芸風だと思いますよ」
どう言う意味だっ!? という言葉が奥から聞こえてくる。先程のリプレイにも思える言葉が出てきたが、壊れた扉。トロ箱から溢れる魚の群れのように色とりどりの魔法科高校の生徒達の姿。
最大級に違う点は――――。
「ああ……シアワセ―――もう今日は簡単に眠れそうにないわ♪―――お部屋行くから寝ないで待っててねセツナ♡」
『『『なんでだぁあああ!!!???』』』
というか時間にして一分もしない間に何があったのかと思えるリーナの表情の変化。そして、少しばかりしゃきっとした刹那の姿。
リーナの表情に関しては、本当に幸せそうに頬に手を当てて真っ赤な顔をして自分抱きをしており、一分もしない内に何をしたんだ―――!?という無言での圧力を掛ける。
気付いた刹那は振り返り一言。
「もちろん。企業秘密です♪」
その仕草に、どこか女性的なものを匂わせる刹那の姿を見ながらも夕食会は二人の主役(一人はトリップ中)を迎えてヒートアップする。
―――――たとえ明日にはライバルと分かっていても、多くの友誼を交わすことで大事にしたいものを確認する魔法師達の姿は普通の高校生にしか見えなかった。
大会六日目はそうして終了を迎え、熱き戦いは残すところ四日間……波乱が起こるか起こらないか、奇妙な興奮と期待感で、誰もが浮ついてしまう程に今年の九校戦は、見逃せなくなっていくのだった……。