魔法科高校の魔宝使い ~the kaleidoscope~   作:無淵玄白

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やはりパロディやメタネタは評判悪いと言うか、私では稚拙なものになってしまうのかなー。

などなど聖飢魔IIの虚空の迷宮を聞きながらも考えて、新話どうぞ。


第83話『九校戦―――プリズマ☆アイリ』

『くっ……このままでは司波深雪、アンジェリーナ・シールズ、司波達也……同年齢の恐るべき使い手に勝てない―――何よりセルナの隣で戦えない……!』

 

 一昔前の映画のように、プロジェクターよろしく林の中に邂逅した時の映像を映し出すガーネット。

 

 そんな風に想われていたとは―――。恐縮すぎると思いながらも、映像の中の愛梨はフェンシングサーベルを操って立木の枝を次から次へと何かに削り取っていく。

 

 朽木へと変貌させられた枝。青葉が舞い落ちる中、流れる汗を拭う愛梨の表情はとても熱心だ。

 

 そんな中、夜の闇を切り裂いて暴君のパーソナルの杖が動き出す。

 

『よい! 実によい!! 敵わぬものを前にしても諦めぬ闘志。その心と行動は、天に在るマルスの眼とアテナの眼も楽しませて加護を与えてくれよう。金色に輝ける遠雷のものよ!!』

 

『だ、誰ですか!? ま、まさか、おおおおお化け!?』

 

……お化けを怖がるという一色の意外な一面を見て、何となく可愛く思えてしまう。

 

『誰がスペクターか!? しかしある意味では間違いではないな。余はこの世界では稀人も同然。しかし、輝ける意思持つものに手を貸し共に戦うこそが我が道、我がローマ!!』

 

 その時、夜闇の上空から黄金に輝く塊が降り立ってきた。

 それを見て眼を覆う愛梨。汗だくの身体に冷や汗が流れ落ちて―――降りてきたもの、杖の輪郭が見えた。

 

『杖……?』

 

『お初だな異界のウィザードよ!! 余の名前は遙かなる偉大なローマに連なりしものの一人『カレイドガーネット』、もしくは『マジカルガーネット』とでも呼ぶがよい!!』

 

『カ、カレイド? マジカル? え、え、え?』

 

 困惑しきった一色愛梨の面が気の毒に思える程度には、本当に唐突な自己紹介である。

 そしてカレイドステッキの一方的な台詞が続く。

 

『主役でなくとも主役になろうとする。届かぬ天の星に、手を伸ばそうとするその気概! 己を輝かそうとするものは、余の奏者たるものに相応しい心!!見事だ、若芽から大樹を目指す者よ!! そなた! 名は何という!?』

 

『一色愛梨ですけど―――はっ! なぜか『王様』に話しかけられているみたいで自然と答えてしまいました―――』

 

 最新型のカレイドステッキは血液認証もいらなければ、接触による使用の契約もいらない……ついでに言えばオトメのラブパワーなるものも必要ない。

 必要なのはただ―――お互いが『名前』を名乗ることだ。

 

『よくぞ名乗りを挙げた。金色の雷を纏いしものよ。そなたの運命はここから始まるのだ―――!!!』

 

 ・

 ・

 ・

 

「そして、ガーネットによって『この格好』にさせられた愛梨を見つけた沓子(爆笑)と私(抑えた笑)とで、ガーネットのことは秘密にしていた」

 

「破格以上の道具であり楽しいパートナーなのだが、どうにも振り回されっぱなしで、少々難儀していたのじゃ」

 

『この世界のウィザードは頭が硬すぎる。これではピクト人やゲルマン人どもがやってきた時に橋一つ守れんぞ』

 

 神代の理は既にこの世界から崩れ去った。

 

 人理―――世界の可能性が多様化された。人の発展する様が多く見えるもの。

 

 この世界では人々が発展していくために『魔法師』を作り出した。世界の裏側で隠遁すべき隠者という立場を捨てさせて、世界の表で何かを担わせる道を選び……そして、どうなるかは分からない。

 

 全面核戦争によるクライシスを回避したものこそが、魔法師であるが、同時に魔法師が核を凌駕すべき存在へとなってしまった。

 

(変化の拒絶は死を招くシステム。また不可能の『転覆』もいずれは死を招くシステム――――)

 

 ある意味、魔法師は勝ってはいけない『勝負』の負けを『認めてこなかった』……。

 

(だが、そうしなければ人類社会の中で魔法師は生きていけなかっただろうな)

 

 そんな風なある種の『外様』ゆえの考えを出してから、何が出来ないのが不味いのかと聞く。

 

 予想はあるが、とりあえず聞いておくのが礼儀というものだろう。そうして聞かされたことを聞いて、まぁ実演するのが一番だろうと思えた。

 

 オニキス(封印状態)を手に持ち起動させる。本格的なプリズムトランスはムリだが―――。

 飛行することじたいは不可能ではない。

 

 

「「「―――」」」

 

「久しぶりに見たわね。セツナ!抱っこ! あのボストンでの一夜の如く、ワタシを空に誘って!!」

 

「はいはい」

 

 

 飛翔の飛行をする刹那の姿に三高女子は唖然の沈黙。ジャージ姿のリーナを抱き抱えるために、一度だけ地面に戻ってもう一度、地面から飛び立つ。

 

 その姿―――正しく『魔法使い』として正しいものだろう。時間を食らい、夜を呼吸し―――神秘の力を世界に示す姿こそが魔法使い。

 

 優美かつ豪快な飛翔すら見せる刹那の姿と……姫だきされて笑顔のリーナにイラッとしつつも、再び地上に降り立つ魔法使い、遠坂刹那が口を開く。

 夜の生気―――まだ日は沈んでいないのだが、それを吸ってきたように感じる。

 

 

「とまぁ、こんな塩梅だ。流石に自分ひとりで制御しなきゃならないから結構大変だがな」

 

「それでもそんな普通にできるものなのかの?」

 

「俺のお袋は、魔女だったからな。魔女の血を引く男子はウォーロック(男魔女)として雌性の魔術基盤も得る―――噛み砕けば、トンボとキキの間に生まれた『男子』(トト)も『魔女修行』が出来るわけだ」

 

 自分探しの旅に出る男子の方にも魔法使いの修行を―――そういうことである。

 実際、『刹那―、ちょっとお空に行くわよー。今日こそはちゃんとアンカー打ちこみなさい』などと箒を手にして空へ行くこともあった。

 

 いま考えれば、お袋は綾香さんと同じく俺に『陽性陰性』の両属性の系統が出来ると踏んでいたのだろう。実際出来るようになったわけだが……。

 

「現代魔法における難点などは、俺も理解している。それでも最後に必要になるのは、右脳の柔らかさだな」

 

「けれどやはり私には無理ですわ―――このガチガチに固まった脳にエクレールを叩き込みたい気分です!!」

 

「待て待て待て! 分かった。これ以上は『利敵行為』になると思ってあまり関わりたくなかったが、ここまで来るとどうしようもない―――」

 

 魔法式を頭に掛けようとしている愛梨を見て肩を掴んで押しとどめる。

 その際に魔法少女の服。オフショルダーで剥き出しの肩を掴んだことでリーナの眼がきつくなったが、構わずに言っておかなければならない。

 

 

「カレイドステッキを用いての飛行はどちらかといえば、俺の分野だ……。望むならば―――俺が適正に教えられるが……それはもしかしたらば、今までのアイリの努力とは真逆になるし……何より俺は一高の生徒なんだ。その辺を考えて、今日か明日の夜までに―――『パーソナル・レッスン』を受けるかどうかを教えてくれ」

 

「お願いしますセルナ」

 

「即答しないで……一高に有利なように、俺がお前によろしくない術式を教える可能性だって考えないのか?」

 

 もう少し深く考えての返答を期待したいのだ。それでも愛梨は揺るがない。揺るぎない意思を持った表情で答える。

 

「リスクを恐れてリターンを得られるほど、才気ある存在だとは思っていません。それと本戦ミラージを見るために、やって来るお母様に……この大会でどれだけ私が伸びたかを教えたいのです」

 

 

 胸の前で手を組んで必死な様子で懇願する一色愛梨……イヴェット姉弟子のように『愛人志望ですっ♪』などと公言した上で指導を受けていれば別だったのだが……。

 

「セツナ……どちらにせよガーネットはアイリから離れないんだから、少しは教導した方がいいわよ」

 

『確かにアイリよりも才気あふれるものは多かろうが……決めたのだからな。そしてアイリも、余を受け入れてくれた以上は、力を貸さねばなるまい」

 

 

 呪いのアイテムも同然であったのだろうが、それでも暴君はアイリといることを決めたようだ。

 

 そしてカレイドステッキはアイリといることを決めた。少なくとも第二魔法の産物であるならば、自分が関わらなければいけない事象だろう。

 

 

「分かった。今夜からやってやる……ものにならなきゃアーキマンでもトーラスでもいいからそっちに切り替えた方がいい」

 

「うん。いざとなればフォローを入れるから、愛梨と存分に睦んでから、私の元にも来てほしい」

 

 

 なんか変な誤解を招きそうだが、まぁとりあえず――――そういうことにした。

 

 

「と言うわけだ。後で会頭なり会長にも知らせとくが、お前たちの口から知らせても構わんよ」

 

「―――シズク、ホノカ?」

 

 

 この人気がない林の一角。ちょうど魔法練習に使える場所として開けた場所に、林の陰から出てくる見知った顔二人。何とも言えない顔をしているのは、分からなくも無い。

 

 あんまり殺伐としたくないが利敵行為でもあるからだ。しかし、二人は判断に困っているようだ。

 

 

「別に告げ口だなんて思わない。まぁミラージで使える手が俺にあるんならば、俺はそうしたいだけだ」

 

「けれど刹那君……深雪だって努力してきているのに、こういうのはちょっと……」

 

「そうでもないでしょ。だって二人のファーザーはFLTの社員で、タツヤはトーラス・シルバーのサンプリングユーザーなんだから」

 

「えっ!? それは初耳だよ!?」

 

 光井の百面相とでも言うべきもの。表情の変化は見ていて飽きないが、特にオフレコというわけでもないので、全員に話しているものだと思っていたが、そうでもなかったようだ。

 

 こりゃ達也から怒られるかな。と思いつつも、この辺りで納めておく方が、一番いいのだろう。

 

 

「どおりでシルバーモデルなんて持っていると思っていたけど、彼はFLTのモニターだったんだ」

 

「そんなわけで多分だけど、『例の術式』のサンプルも実験していると見た方がいいと思う……スタートラインから違うんだよ。インチキというわけではないが、誰もがいずれは手に入れられるものを、先んじて使ってフィッティングしているってのは、ちょっとズルくないか?」

 

 だが技術開発はそういうものだ。そして、家電メーカー勤務の父親を持つが如く、試供品を手に入れられる立場の2人(偽)ということに、栞を筆頭に納得する。

 というか、刹那の見立てでは達也の自己顕示欲はすごくて、言葉とは裏腹なことしかしていないと思っているのだ。

 

 ともあれ、一高首脳から止められれば、止められる可能性もあることだと愛梨に伝えておく。

 

 少しだけ寂しげな顔をする愛梨だが、それも仕方ないことだ。

 

 ただ一つだけ今の彼女のスキルで、深雪の『飛行』に追い縋れるものがあるのだとすれば……。

 

 

「やはり春日や里美を圧倒した、『稲妻』を利用しての、『跳躍』かな?」

 

 体電位を利用した運動能力でプリズマな魔法使いに追い縋った『少女』(プラズマリーナ)のことを思い出して、そんな風に呟くのみであった―――。

 

 

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