妖怪のヒーローアカデミア   作:座右の銘は天衣無縫

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騎馬戦、描写が難しい。


十五分って短いのか長いのかよく分かりませんよね

 

二つの騎馬の動きは対照的だった。

 

轟チームが距離を詰めようとし、射命丸チームは一定の距離を保とうとする。

何度か轟が氷に射命丸チームを捕らえるも射命丸は上空に避難し、その間に常闇のダークシャドウが氷を割り、射命丸チームはまた距離を取る。

 

イタチごっこだ。

 

「このままじゃ、互いに決定打には至りませんか。 十秒後に仕掛けます。 常闇さんとダークシャドウは合わせて下さい。 あと五秒、四、三、二、一、GO!」

 

射命丸の掛け声で射命丸本人とダークシャドウが轟チーム目掛けて飛び出す。

 

「来たぞ! 上鳴!」

 

「OK! 喰らえ!」

 

騎馬戦開始前に上鳴の騎馬側全体を絶縁体で覆い、通電対策をしていた轟チームは何の躊躇も無く上鳴の放電を使った。

 

「ダークシャドウ! 射命丸を守れ!」

 

「アイヨ!」

 

それに対して射命丸チームは常闇がダークシャドウに命令してダークシャドウを射命丸の前に行かせて感電を防いだ。

 

「イタイヨ!」

 

感電を受けてダークシャドウは常闇の下に戻る。

 

「居ない!?」

 

「ッ! 後ろか!!」

 

ダークシャドウの後ろに射命丸が居ない事に気付いた轟はすぐに真後ろを凍らせる。

 

「危なっ! いやー、流石は轟さん。 こんな子供騙しじゃすぐに気付きますか。 それじゃ、カウントもあるので戻らせて貰いますね。」

 

「させると思ってるのか?」

 

「やだなぁ、私を止められるとでも?」

 

轟が氷結を放つも、それを予測していた射命丸は簡単に避けて騎馬の上に戻った。

 

「チッ。」

 

「おお、怖い怖い。 それじゃあ、そろそろ離脱させて貰いますね。」

 

射命丸がちらりとモニターを見れば残り八分半ほど。

離脱するには丁度いい時間だ。

 

「常闇君と緑谷君は触ったよ!」

 

「それじゃあ、轟チームの皆さん、アディオス!」

 

轟が氷壁を張るも空を飛べる射命丸にとっては飛ぶ高度が上がっただけで何の問題もなく氷壁を越えた。

 

そして離れた場所に降りる。

 

「ん? うわっ! これ、峰田君の!?」

 

すると騎馬の緑谷から声が上がる。

射命丸が下を見てみると峰田の個性『もぎもぎ』の玉が地面にくっついている。

どうやら、緑谷はそれを踏んだ様だ。

 

「フッフッフ、見事に引っ掛かったな、緑谷ぁ!」

 

声がした方を見れば個性で作った腕で背中を覆った障子がいる。

 

そしてその中から射命丸チームを見る目。

 

「まさか峰田君その中に!?」

 

「ケロケロ、私もいるわよ緑谷ちゃん。」

 

「蛙吹さんも!?」

 

「完全防御態勢じゃないですか。」

 

中から聞こえた声に緑谷が反応すると腕の隙間から峰田と蛙吹が顔を覗かせた。

 

「緑谷ァ! お前は絶対許さん! ここで会ったが百年目! 覚悟しろ!」

 

「え、えぇ!? 僕、峰田くんに何かしたっけ!?」

 

「いや。」

 

「え?」

 

「その事じゃ無い! 第一種目の時の話だ! お前、射命丸の胸に飛び込んだろ!? そんなラッキースケベなんて絶対許さん!」

 

「蛙吹さん、パス。」

 

「ごめんなさいね、文ちゃん。 これでも騎手なの。 騎馬戦終了後に投げれば良いかしら?」

 

「ええ、良いですよ。 取り敢えず紐なしバンジー、体験してみますか?」

 

峰田の最低発言に本人以外がドン引きし、騎馬戦終了後の峰田の紐なしバンジーが確定した。

 

「別にそれでも良いぜ! 受け止め役は勿論」

 

「受け止め役は障子さんにお願いしても良いですか?」

 

「ああ、任せろ。」

 

「嘘だろ。」

 

それでも調子を崩さなかった峰田だが、落ちて来た峰田を受け止めるのが障子に決定したところで真顔になった。

 

「どけモブが!」

 

「ぬっ!?」

 

そんな掛け合いをしていると障子を足場にして爆豪が突っ込んできた。

 

「1000万、寄越せ!」

 

「うわっ!? 旋符『紅葉旋風』!」

 

突っ込んできた爆豪の手を避け、即座に爆豪を真上に吹き飛ばす。

 

「爆豪さん、予想よりも復帰早いんですけど! B組の人、思ったより頼りない!」

 

「射命丸さん。」

 

「何ですか? これ以上、イヤな報告とかいりませんから。」

 

「ごめん、けど轟君たちが来た。 他のチームのハチマキを根こそぎ奪いながら。」

 

『おっとぉ!? 轟チーム氷結で動けなくなった騎馬から悠々とハチマキを奪いながら来た! 射命丸チーム、囲まれたぁ! ピンチ!』

 

『轟チームに爆豪チーム、そして峰田チームか。 これはそう簡単には逃げられないぞ。』

 

それを聞いて片手で顔を覆い、空を見上げる射命丸。

 

「流石に爆豪チームと轟チームと峰田チームを相手にするのはキツイんですけど。 上手いこと互いに妨害しあってくれれば良いんですけどねっ! 魔獣『鎌鼬ベーリング』!」

 

伸びてハチマキを狙ってきた蛙吹の舌を避け、威嚇としてそれぞれの騎馬の前の地面を鎌鼬で斬りつける。

 

(峰田さんの『もぎもぎ』のお陰でどのチームもそう大胆には動けなくなってるのは良いんですが、先に緑谷さんの足についた『もぎもぎ』をどうにかしないと。)

 

「緑谷さん。 靴を脱いで、動けるようにしといて下さい。」

 

騎馬戦の残り時間は七分と少し。

ここを何とかして堪えなければと、気合を入れる射命丸チーム。

 

「麗日さん、私がそれなりのスピードと機動力で離脱したら、どうなります?」

 

「吐く。 絶対に吐くわ、そんなん。」

 

「でしょうね。」

 

(と、なれば離脱する時には三騎が動けない、もしくは動きにくい状況を作り出さないと駄目ですか。 仕方ありませんか。 いやはや、世の中上手くいかないもんですねぇ。)

 

騎馬戦と世の中を比べないで欲しいが、考えていることは確かである。

 

「ハァ、出来れば温存しておきたかったんですが、仕方ありませんね。 これで次に行けなかったら元も子もありませんし。」

 

今まで出来る限り温存していた風を操る能力を開放する。

 

「障子! 一時撤退!」

 

「…………良いのか?」

 

「バカ言うなよ! 爆豪に轟に射命丸の三チームなんて同時に相手になんか出来ねぇよ! 『三十六計逃げるに如かず』! 逃げるんだよぉ! 嫌がらせに『もぎもぎ』は大量に置いていくけどな!」

 

そう言って『もぎもぎ』を大量にばら撒きながら、峰田チームはその場を去っていった。

 

だが、

 

「ハッ! 俺には関係ねぇ!!」

 

「同じくだ。 凍らせちまえば関係ねぇな。」

 

爆豪は『爆破』で宙を舞い、轟は氷結で『もぎもぎ』を無効化する。

 

「ええ、知ってましたとも。」

 

先に飛んできた爆豪の伸ばした腕を掴み、一瞬だけ宙に浮いてその勢いのまま轟チームに爆豪を投げ付ける。

 

「上鳴!」

 

「おうよ! 悪ぃな、爆豪!」

 

飛んできた爆豪に対し、上鳴の放電で身体の自由を奪う。

動きが止まったのを確認し、飛んできた爆豪の持つハチマキに手を伸ばす轟だが、

 

「舐めんな、半分野郎!」

 

意地でも取らせまいと偶然横を向いていた手を爆破させ、轟の手から逃れる。

 

そこを瀬呂が拾い、騎馬の上に戻った。

 

「危ねー!! さっきとは別の意味で危ねー!! 爆豪、一人で突貫すんなって!」

 

「るっせぇ! 一度で無理なら何度でもやってやらァ! テメェ等も酸でソレ溶かしてとっとと俺のサポートしやがれ!」

 

おや、と射命丸が意外そうな顔をする。

 

「かっちゃんがちゃんと指示出してる。」

 

「ですね。 この数分で何があったのやら。 『男子、三日会わずば刮目して見よ』とは言いますが、たった数分ですぐに分かる程、変わるとは。 インスタント食品の親戚か何かなんですかね?」

 

「インスタントって。」

 

「しっかしどうしましょうかね、この状況。 騎馬崩しありなら楽だったんですが。」

 

「いや、普通の騎馬戦でも騎馬崩しは無しやからね?」

 

当たり前の話である。

 

「膠着状態なお陰で時間は過ぎていきますが、正直あの二人を同時に相手するのは骨が折れますね。 連携する気が無いのが不幸中の幸いでしょうか。」

 

「そうだな。 今、不用意に飛び立てば爆豪が追ってくるだろう。 これが修羅の道か。」

 

射命丸チームはほぼ打つ手無しだ。

下手にどちらかのチームを狙えば、もう一方のチームが後ろから迫ってくるだろう。

 

「他のチームも氷結が溶けたみたいで、段々と近づいて来てる。」

 

「お零れ狙いですか。 本格的に面倒な状況になってきましたね。 時間は?」

 

「あと五分半。」

 

「行くぞ、オラァ!!」

 

『爆豪、またもや突撃! だが、今度は騎馬も動いてるぞ!』

 

「常闇さんは瀬呂さん警戒! 緑谷さんと麗日さんは轟チームの動きを見といて下さい!」

 

さっきと同じ様に爆豪の腕を掴もうとするが、

 

「同じ手に引っ掛かるかよ、バーカ!」

 

直前で手を爆発させ、射命丸の視界を潰すと同時に頭上を越えて後ろに回る。

 

「で、最初の戦闘訓練と同じ手に私が引っ掛かると?」

 

それを予測していた射命丸はその場で体を回して蹴りを叩き込む。

 

『ローリングソバット! 射命丸の奴、爆豪の動きを完全に読んでいた!』

 

『ああ、そして爆豪もそれを読んでいた様だな。』

 

「知ってんだよ、そんなのに引っ掛からねぇのは! 狙いはテメェだ、半分野郎!」

 

蹴られた勢いを利用し、かなりの速度で轟チームに迫る爆豪。

 

「上鳴!」

 

「そろそろヤバウェイけど、やってやらぁ!」

 

上鳴が放電しようとした時、

 

「ッラァ!!」

 

爆豪が轟チームの目の前の地面を爆破した。

それで出来た瓦礫と土煙で思わず目を瞑り放電をストップさせてしまう上鳴。

 

「チッ。」

 

それに気付いた轟が構える。

 

「もう一発!」

 

「ッ!?」

 

先程の射命丸同様に目の前で爆破され視界を潰される。

 

「轟さん! 右ですわ!」

 

「瀬呂か!!」

 

二度の目くらましの間に轟チームの横に来ていた爆豪チームの瀬呂がテープで轟チームの持っていたハチマキを二枚奪った。

本当は全部奪うつもりだったが、咄嗟に轟が体を傾けた事により、奪われたのは二枚で済んだ。

 

「よっしゃ作戦成功!」

 

「やったね!」

 

「ったり前だ! こんな事で喜んでんじゃねぇ! てか、しょうゆ顔! 俺は全部奪えっつったぞ!」

 

「無茶言うなよ。 咄嗟に避けられたんだぜ?」

 

騎馬の上に戻った爆豪に声をかける切島と芦戸。

 

「うわ、本当に完璧なまでに指示してるわ。」

 

「かっちゃんが自分を囮にしてハチマキを奪うなんて。」

 

麗日と緑谷がそう声を漏らす。

 

「いや、ホントに気が抜けなくなってきましたね。 まさか私がダシにさせられるとは。」

 

「だが、これで轟と爆豪が睨み合っている。」

 

「ですね。 撤退!」

 

左右に居た敵チームが一塊になって睨み合い、動かないのでその間に距離を取る。

 

「待てや、カラス女!」

 

「待つのはお前だ、爆豪。 射命丸の前にお前が奪ったポイント、返して貰うぞ。」

 

「邪魔だ、半分野郎!!」

 

「おー、見事におっ始めましたね。」

 

戦い始めた爆豪と轟を尻目に安全圏に逃げる射命丸。

 

「そんでもって抜けた私達に迫る騎馬多数、と。」

 

ふう、と一息つき、

 

「纏めて返り討ちにしてさしあげます。」

 

「うわっ。 今、めっちゃゾクッてきた。」

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