妖怪のヒーローアカデミア   作:座右の銘は天衣無縫

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人には知られたくない事、触れられたくない事の1つや2つ…………あるんですよ。

戦闘訓練のあった次の日。

雄英高校正門前には多数のメディアが押し寄せていた。

 

「教師としてのオールマイトはどんな感じですか?」

 

と、登校する生徒達に片っ端からこのような質問をしていた。

だが、生徒の殆どが無視したり当たり障りの無いコメントをしたりでメディア的には全く面白くない事になっていた。

 

だからと言って学生の邪魔になるのはどうなのか、という話だが。

 

無論、射命丸も話しかけられる生徒の一人である。

だが、射命丸はどちらかと言えばマスメディア側。

ここでマトモなコメントが無いのがどれだけメディアにとって美味しくないのかは経験済みである。

 

そこで、

 

「オールマイトですか? やっぱり人を教えた経験が余り無いみたいで教師としては少し辿々しいところもありますが、ナンバーワンヒーローの経験から意見を言ってくれるので、ヒーロー科からすれば凄く有り難いです。」

 

かなりマトモなコメントを返した。

更に、ニコニコと笑いながら言う射命丸はそれなりに顔の形が整っている。

 

コメントも良し、カメラ映りも良し、表情も良しの三拍子揃っており、さらに、テレビに映っても別に気にしないと言う事で、今晩のニュースでは射命丸への取材が放送された。

 

 

 

 

 

 

「凄いね、射命丸さん。」

 

「うん? ああ、緑谷さんじゃ無いですか。 凄いって何がです?」

 

学校の敷地内に入った所で射命丸に話しかけたのは緑谷。

 

「何がって、あんな風にカメラを向けられても全く動揺せずにちゃんとコメントを返してたでしょ?」

 

「ああ、あれですか。 実は私、中学の時からフリーライターをやってまして。 ああいう時にマトモなコメントが貰えないのって結構辛いんですよね。 だから同業のよしみと言うかなんと言うか。 それに今からテレビに出てヒーロー科アピールをしておけば色々な事務所の方に知って貰えますし。」

 

それを聞いてハッとなる緑谷。

 

「そうか。 そういう考え方もあった。 一年の時から自己アピールを続けていればプロヒーローとして登場した時から知名度もそれなりにある筈。 人気を得たいなら今の内からアピールしておかないと駄目じゃないか。 それにそのアピールを事務所の人が見たら『社交性があって人気も出やすそう』って考える筈。 射命丸さんは『個性』も強いし、その制御もちゃんと出来てる。 その上、ルックスも良いから多分、すぐに人気が出る。 それはそうとして結局、射命丸さんの『個性』って何だ? 最初は背中に翼のある異形型だと思ってたけど、個性把握テストの時と昨日の戦闘訓練を見てる限りでは風も操ってた。 なら、異形型と風を操る個性の複合型か?」

 

突然、ブツブツと独り言を言い出し、傍から見れば不審者に見えなくもない。

 

「あの〜〜、緑谷さん?」

 

「あっ! ごめん! ちょっと癖みたいなもので。」

 

「あ、はい。 それで、私の『個性』が知りたいんですよね?」

 

「え、あっ、聞こえてた?」

 

「ええ、割とバッチリ。 女子の皆さんにはもう話したんですが、私の『個性』は『鴉天狗』です。」

 

それを聞いて今度は鞄からノートを取り出す緑谷。

 

「『鴉天狗』か。 そう言えば異形型の中で妖怪型って呼ばれてるのがあった。 『河童』『鬼』『天狗』とかそういうのが。 射命丸さんもその内の一つだったんだ。 確か妖怪型はかなりの強個性だけど弱点が本当の妖怪と同じだった筈。 射命丸さんは『鴉天狗』だから鯖かな。 あ、でも確か『鴉天狗』って泳げないっていう風に一部地域で言われてるってネットに書いてあった。 だから、射命丸さんの弱点は鯖と泳げない事? だとしても戦闘中に鯖なんかそう簡単に用意出来るわけ無いし、飛べる射命丸さんを水中に引きずり込むのも難しい。 実質、戦闘における弱点は無いことになるのか?」

 

二度目。

放っておいて教室に行っちゃいましょうかね、と考え始める射命丸だが、これで緑谷が遅刻してもこっちが悪い気がするのでもう一度声をかけた。

 

「緑谷さ〜ん。 そういうのは教室についてからやって下さいね。」

 

「あっ。 うん、そうだね。 ごめん、二回も。」

 

「いえいえ。 それと弱点、あってますよ。」

 

「あっ、また聞こえてた?」

 

「はい。」

 

そんな感じでまた一日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ。 ブイと成績見させてもらった。 爆豪、お前もうガキみたいなマネするな。 緑谷、個性の制御が出来ないから仕方ないじゃ通さねえぞ。 俺は同じ事言うのが嫌いだ。 個性の制御さえ出来ればやれる事は多い。 焦れよ緑谷。 それと射命丸。 昼休みに職員室来い。」

 

朝のHRが始まり、相澤から昨日の戦闘訓練について爆豪と緑谷の二人に注意が飛んだ。

爆豪は不貞腐れた表情で取り敢えず返事をし、緑谷は普通に返事をした。

 

そして呼ばれた射命丸は昨日の戦闘訓練の事でしょうね、と当たりをつけながら返事をした。

 

「さて、急で悪いが、」

 

ここまで言われてまた初日のように何らかのテストかと構える生徒達。

だが、

 

「今日は君らに学級委員長を決めて貰う。」

 

(((クソ学校っぽいのキターー!!)))

 

意外と普通な内容に内心で声を上げつつ、全員が手を上げる。

 

「静粛にしたまえ!! 学級委員長、これ即ちクラスの聖職!! ならば民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら………これは投票で決める議案!」

 

「そびえ立ってんじゃねぇか! 何故発案した!?」

 

真面目な飯田が手を高々と上げながら、学級委員長は選挙で決めるべきと提案した。

 

「まだ会って数日しか経ってないのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん。」

 

「だからこそ複数票集めた人が相応しいとは思わないか!? どうでしょう先生。」

 

「時間内で決められるんなら何でもいいよ。」

 

 

 

 

 

 

その後、八百万の個性で投票用紙と投票箱を作り、選挙を行った結果。

 

「僕、3票!?」

 

驚きの声を上げた緑谷が得票数3で1位となった。 2位は、2票獲得した八百万。 

 

「うん、まあ納得の行く結果ではありますね。」

 

そう言うのは自分で自分に入れた射命丸。

やっぱりイメージって大事ですよね〜、と昨日の戦闘訓練での事をほんの少しだけ後悔しながら話す。

反省は一切していない。

 

投票の結果により、学級委員長は緑谷、副委員長は八百万が務める事となった。

 

 

 

 

そして昼休み。

殆どの学生が食堂に向かう中、今朝のHRで担任から呼び出しをくらった射命丸は職員室に向かっていた。

 

職員室の前で一呼吸つき、ドアをノックする。

 

「失礼します。 相澤先生はいらっしゃい…………」

 

そこで言葉が止まった。

何せ入ってすぐの所に寝袋に入った担任が転がっていたからだ。

 

「来たか。 こっちだ。」

 

そう言って寝袋から這い出し、面談用の小さな部屋に連れて行かれる。

そこで机を挟んで、互いに向き合うように椅子に座る。

 

「今日呼んだのは他でもねぇ。 昨日の戦闘訓練、何で遊んだ?」

 

『遊んだ。』別に言葉通りの意味ではない。

相澤の言ってるのは『何で瞬殺できる実力があるのに瞬殺しなかった?』と聞いているのだ。

 

「それにだ。 あの時のお前、あっちが素だな? 性格を直せとは言わん、ただやり方を直せ。 あの時のお前は『ヴィラン役』じゃなく『ヴィラン』そのものに見えたぞ。」

 

『ヒーロー』を目指すものとして、昨日の戦闘訓練における戦い方、『自分の力を必要以上に見せつける』戦い方はいらない。

必要とされるのは『最速でヴィランを捕獲する』戦い方。

 

これは合理主義者たる相澤消太だけでは無く、全てのヒーローが心がけている事だ。

 

「何か反論はあるか?」

 

「…………いえ…………………何も。」

 

「嘘を言うな。 合理的虚偽以外の嘘は全部不合理だ、面倒だからって、」

 

「うるさい!! 何も知らないクセに知ってるかのように話すな!!」

 

突然の態度の豹変。

それを目の当たりにした相澤は今更ながらに後悔した。

『そう簡単に踏み込んではいけない所に踏み込んだ』と。

 

「あっ…………すみません。」

 

「いや、俺も悪かった。 今のは忘れてくれ。 ただ、戦闘時に手加減なんかするな。 それだけだ。」

 

「はい。 失礼しました。」

 

そう言って射命丸は逃げるかのように職員室から出ていった。

 

「ヘイ、イレイザー、何があった?」

 

それを見て相澤に話しかけてきたのは同期のプロヒーロー、『プレゼントマイク』こと山田ひざし。

 

「…………ちょっとばかり面倒な生徒が増えたってだけだ。」

 

後で射命丸の個人データを再度よく探ってみよう、と考える相澤だったが、

 

ジリリリリリリリリ!!

 

突然鳴り出した激しい警報。 そして、

 

『セキュリティ3が突破されました。 生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください。』

 

そのアナウンスで職員室内が一気に慌ただしくなった。

 

「俺と山田が侵入者の対処に当たる! それ以外は生徒の安全確保! 急げ!」

 

より早く状況を理解した相澤が指示を出し、近くにいた山田と共に駆け出す。

 

「オイオイオイオイ、侵入者? 冗談だろ?」

 

「冗談だったら良かったんだがな。 おい、セキュリティルーム! カメラには何が映ってる!?」

 

教師に配られた小型通信機で校舎内のカメラの映像がリアルタイムで表示されているセキュリティルームと通信する。

 

『それが、正門付近のカメラは全て壊されていて、侵入者がまだ確認出来ていません!』

 

「チッ、なら校庭のカメラは!?」

 

『いえ、まだ映って、いや! 今映りました! これは…………マスコミ!?』

 

「ハァ!? マスコミだぁ!? マスコミがどうやったらセキュリティ3なんか突破すんだよ!」

 

「それは後だ。 セキュリティルーム、警察を呼べ。 マスコミは下手なヴィランよりタチが悪い。」

 

『はい、既に呼びました。 後、数分もすれば到着すると思います。』

 

「ご苦労。」

 

通信を終えたところで校庭に出てマスコミの対処を始める相澤と山田。

だが、その間にヴィランの魔の手が雄英高校に迫って来ていた。




と、言うわけであややの闇がすこしだけ見えた『飯田くん非常口回』

このあややは妖怪じゃないからね。
相手を見下すのにもそれなりの理由があるのです。

あと、セキュリティルームですが、雄英ってあれだけの敷地と正門だけで相当量のセンサーがあるのでそれくらいはあるかなぁ、と。
小型通信機もコスチュームとは別で持ってそうなので。
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