それはそれとして低評価が増えて凹む。
誰か高評価ください。
高評価を燃料にして頑張りますので。
USJ 吹雪・高山ゾーン
ここに射命丸は一人だけで送られた。
周りには既に何十人ものヴィランが待ち構えており、傍から見れば絶対絶命、だが、
「全くあの二人は。 私が何のために攻撃しなかったと思ってるんですかね。」
頭を抱えて愚痴を言っていた。
「送られた先は私一人。 しかも相手は沢山。 あ〜〜あ、面倒臭いですねぇ。」
その舐め切った態度にただ個性を持て余しているだけのチンピラが苛つかない筈も無く、
「舐め腐ってんじゃねぇぞ、クソガキがぁ!」
襲いかかって来た。
「風神『風神木の葉隠れ』改め、風神『風神雪隠れ』」
それを見た射命丸は風で雪を舞い上げ、姿を消す。
射命丸の姿を見失い、動きを止めたヴィランに延髄蹴りを叩き込む。
その蹴りで失神したヴィランを一瞥した射命丸は笑顔で
「それじゃあ、お次にこうなりたい方、いらっしゃいましたら前へどうぞ。」
煽った。
それを聞いて一斉に襲いかかって来るヴィランを見て、
「団体様のご案内っと。」
ニヤリと笑った。
数分後。
「クソ、化け物か、よ。」
「…………」
雪山に配置されていたヴィラン全てを制圧した射命丸。
だが、その顔は曇っていた。
射命丸にとって『化け物』『ヴィラン』の二つは禁句。
本当に親しい者以外が言おうものなら強い拒否反応を見せる。
「化け物なんかじゃない。」
「いいや、お前は化け物だ、ヒーローの卵。」
自分に言い聞かせるように言う射命丸だが、どこかに隠れてた一人のヴィランがその言葉を否定する。
「まだ一人いましたか。 それと訂正して貰いましょうか。 私は化け物なんかじゃない。」
「いいや化け物さ。 何十人もの相手をたった数分で一人で制圧。 これを化け物と言わずして何と言う?」
「黙れ。」
ヴィランの言葉が何故か自分の耳に強く残る。
「いいや、黙らないね。 お前は化け物さ。 俺達みたいなチンピラよりよっぽどヴィランっぽいしな。」
「黙れ……!」
何故か昔の事を強く思い出す。
ずっと昔の事。 心の奥底に沈めたはずの事。
「そうさ、何度でも言ってやろう。 お前はヴィランで化け物だ。 この妖怪。」
その一言で昔の記憶が完全に蘇った。
『なぁ、知ってるか? コイツの個性って妖怪なんだぜ。 妖怪って悪い事する化け物なんだってさ!』
『本当!? じゃあ、こいつヴィランじゃん!』
『じゃあじゃあ、俺達がこいつを倒せば俺達ヒーロー?』
『ああ! ほら、ヴィランを倒すぞ!』
『『おおーー!!』』
そう言われて急に殴られた。
イヤだったから抵抗した。
その時から他の子より強かったから三対一でも勝って。
そうしたら、先生も皆も私が悪いみたいに言ってきて。
今度は十人くらいに殴られた。
ボコボコにされて、『見下された』
『ヴィランだ』『化け物だ』と言われた。
『俺達ヒーローの勝ちだー!!』
黙れ、そんなのヒーローじゃない。
『ヴィランめ、思い知ったかー!!』
黙れ、私はヴィランなんかじゃない。
『うわ、こいつまだ動けるのかよ、本当に化け物じゃん!』
黙れ、私は、私は……!
「■■■■■■■■■■■ーーーーーーー!!!」
嵐が吹き荒れた。
射命丸が気が付くと、さっきまで自分に話しかけてきていたヴィランはいなくなっていた。
「私はヴィランでも化け物でも無い。」
自分に言い聞かせる。
「私はヒーローだ。」
だからヴィランを倒さないと。
ヒーローだと証明しないと。
ふらりふらりと歩き出した。
確か入って来た広場に一杯ヴィランがいた。
それを倒せば、きっと、
USJ 水難ゾーンの端
「個性を消せる。 素敵だけどなんてこと無いね。 圧倒的な力の前では、ただの無個性だもの。」
モヤに包まれたヴィランにより水難ゾーンに飛ばされた蛙吸、緑谷、峰田の三人は水難ゾーンに配置されていたヴィランを行動不能にし、噴水広場の付近まで戻って来ていた。
だが、そこで信じられない、否、信じたくない光景を目の当たりにした。
見えたのは脳をむき出しにした異形型と思われる個性のヴィランの下敷きになり、腕をへし折られた相澤の姿だった。
「死柄木 弔。」
「黒霧か。」
そこに黒いモヤのヴィラン、黒霧がヴィランが現れた時と同じ様に黒いモヤの中から現れる。
「13号はやったのか?」
「行動不能にはできたものの散らし損ねた生徒がおりまして、一名逃げられました。」
「は? はあ…………黒霧。 お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ。」
黒霧からの報告に不機嫌そうに首を掻き毟るヴィラン達のリーダー格と思われる男、死柄木。
「さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。 あ~あ、今回はゲームオーバーだ。 帰ろっか。」
「アイツ、今、帰るって言った?」
そう言うのは峰田。
ヴィランの呟いた言葉に、これでヴィランの襲撃も終わりだと喜ぶ。
「でも、何で急に。 不気味だわ。」
「うん、ここまで来て何で。 これじゃあ、雄英の警備レベルを上げるだけだ。」
「そんな事どうでも良いよ! これで助かるんだ!」
その言葉に警戒心を抱く緑谷と蛙吸だが、峰田はヴィランの言葉を信じ、喜んでいる。
「ああ、でも…………帰る前に平和の象徴としての矜持を、少しでも……」
そう言いながら悪意に満ちた目を緑谷達に向け、
「へし折って帰ろう。」
気が付いたら目の前にまで接近されていた。
死柄木の手が蛙吸の顔に迫る。
それを見た緑谷はこの先の未来が簡単に予測できてしまった。
先程の相澤の戦闘時。
相澤の肘鉄を手でガードし、掴んだだけで相澤の肘がボロボロに崩れ始めた。
そんな個性を顔に使われたら、
だが、意志とは関係なしに身体は動かず。
ただ、手が触れるのを見ているだけだった。
指の先から手が蛙吸の顔に触れる。
が、
「ホント、カッコいいぜイレイザーヘッド。」
何も起こらなかった。
相澤が巨漢のヴィランに取り押さえられながらも個性を発動。
死柄木の個性を抹消していた。
が、巨漢のヴィランに顔を地面に叩き付けられ、個性の効果が無くなった。
と、同時に死柄木が急に居なくなった。
その代わりにそこに現れたのは、足を振り抜いた射命丸。
「射命丸さん!」
緑谷が急に現れた射命丸の名前を呼ぶ。
だが、射命丸に一切の反応は無い。
何か様子がおかしい、そう思った時、それなりに強い風が体に当たるのを感じた。
「これは、射命丸さんの個性……?」
よく見れば射命丸を中心に風が渦巻いている。
「クソッ! 何だあのガキ!? 脳無の反応速度が追い付かなかっただと!?」
蹴られた死柄木が脳無と呼ばれた巨漢のヴィランに抱えられ、悪態を吐く。
脳無には死柄木が攻撃を受けそうになった時に何よりも優先して死柄木の壁になるようにインプットされている。
だが今の一撃、死柄木は射命丸の蹴りをマトモに喰らった。
自分が反応できなかったのならまだ話は分かる。
だが、『先生』に貰った脳無が学生如きに反応出来なかったなどあってはならない。
故に、蹴られた事に対する怒りよりも焦りが先に出た。
「脳無! あのガキを殺せ!」
脳無へと指示を出す死柄木だが、相手が悪かった。
今の射命丸は一種の『ゾーン』に入った状態である。
戦闘訓練の時のような慢心は無く、余計な思考も無い。
ただ、今射命丸の頭の中にあるのは『どうしたら最速で敵を潰せるか。』
それだけである。
故に『ちょっと自分よりも速い』程度の愚直な攻撃など避けてカウンターを叩き込む程の余裕がある。
脳無の真っ直ぐな左ストレートを体一つ分横にずれるだけで躱し、その拳圧で生まれた風も個性で無効化する。
そして鳩尾に重い一撃を返す。
「?」
だが、その感触がおかしかった。
そして射命丸のカウンターが無かったかのように右のフックを出してきた。
それを飛び上がって回避し、今度は側頭部に本気の蹴りを叩き込む。
が、これも先ほどと同じような手応え。
それを感じると同時に上空に離脱した。
「ッハハハハハハハ!! どうだ『先生』の作った脳無の『ショック吸収』の個性は!?」
『ショック吸収』、それを聞いて、なるほどと納得する射命丸。
『ショック"吸収"』である以上、吸収出来る衝撃には上限がある筈だが、取り敢えず自分にはそれを超えられそうには無い。
故に攻撃方法を変える。
葉団扇を手に取り、風を操る。
「魔獣『鎌鼬ベーリング』」
幾つもの目に見えない真空の刃が飛ぶ。
個性が『ショック吸収』なら斬撃には弱いはずと考えての技である。
幾ら改造に改造を加えた脳無とは言え、目に見えない攻撃を避ける事は出来ない。
四肢を斬られ、その場に倒れ込んだ。
それを見て、信じられないという目をする緑谷達。
簡単に相手の命を奪えるような攻撃を一切表情を変えること無く、淡々と行った。
「チッ、何やってる脳無! さっさと起き上がれ!」
それを聞いて脳無の方を振り返ると斬れた筈の手足が再生していた。
「『ショック吸収』の個性に『再生』の個性!? どうなってるんだ!?」
「もしかしたら誰かがあの脳無ってヴィランを回復させてるんじゃないかしら。」
驚く峰田に『一人で二つの個性を持つ』以外で一番可能性のある予想をする蛙吸。
だが、緑谷がそれを否定する。
「そんな個性、ありえない。 あの脳無って奴に直接触れてもいないのに斬られた手足が再生するほどの回復を与える個性なんて。 リカバリーガールの『治癒』ですら直接触れる必要があるのに!」
「なら、」
急に聞こえた射命丸の声に、射命丸の方を見るが、そこには誰もいない。
「先にこっちを潰す。」
先程から脳無に指示を出していた死柄木の前に現れた。
その手は腰の模擬刀に伸びている。
「死柄木 弔!」
それを見てその攻撃を阻もうとモヤで死柄木を包もうとする黒霧。
そのモヤを風で吹き飛ばし、攻撃するための視界を確保する。
だが、その一瞬で脳無が立ちはだかる。
そしてまた、射命丸と脳無の戦闘が始まる。
「緑谷ぁ!!」
「あ、相澤先生!? そうだ、射命丸さんと脳無が戦ってる今の内に。 蛙吹さん!」
「ケロ、梅雨ちゃんと呼んで。」
相澤から呼ばれた緑谷が蛙吹に指示を出し、蛙吹の舌で相澤を助け出す。
「大丈夫ですか、相澤先生。」
「大丈夫ではない。 そんな事より聞け。 理由は知らんが今の射命丸は暴走状態に近い。 正気に戻すか意識を奪え! 今は脳無とかいうヴィランと戦ってるから良いが、さっきのを見たろ。」
そう言われて何の躊躇も無く脳無の四肢を斬り落とした時の事を思い出す。
「相手が『ショック吸収』と『再生』の個性だから良かったが、戦闘が長引けばその他のヴィランを殺しかねない! そうなればもう後戻りは出来ない。 相手がヴィランだとしても『人を殺した』という事実がついて回る。 下手をしたら射命丸自身がヴィランになる!」
「そんな事言ったってどうやって。」
「知らん。 出来れば気絶させるのが一番なんだが……」
チラリと脳無と射命丸の戦闘を見れば、既に目では追えないスピードで戦闘が行われている。
「あの中に突っ込むなんて自殺行為だ!」
「ああ、それにあそこで射命丸を気絶させたら射命丸が殺される。 脳無を引き離し、射命丸を気絶させる。 戦闘特化の奴が最低でも二人は必要だ。」
(どうする!? 考えろ。 射命丸さんの個性は『鴉天狗』 水中に落とせば泳げないからそれで気絶させる事が出来るかもしれない。 けど、あの脳無って奴は? 個性は『ショック吸収』と『再生』 打撃には滅法強い。 OFA100%ならダメージが通るかもしれないけど、それで倒せなかったらダメだ。 せめて脳無の動きを止められる個性があれば。)
その時、周囲の気温が一気に下がった。
「これは…………どうなってんだ?」
聞き覚えのある声、そして下がった周囲の気温。
そこから導き出された答えは
「轟くん!」
「緑谷か。 どんな状況だ、コレ。 取り敢えず射命丸諸共、足を凍らしちまったけど良かったのか?」
そう言われて射命丸の方を見れば、確かに脳無と射命丸の動きが足を脹脛まで凍らされて止まっている。
「ッ!」
氷から抜け出そうと藻掻く射命丸だが、そんな射命丸に轟が声をかける。
「やめとけ、芯まで凍らした訳じゃねぇが、無理に抜け出したら皮が剥がれるぞ。」
「何だ、皮が剥がれるだけか。 脳無。」
轟の言葉を聞いた脳無が無理やり氷から抜け出す。
皮が剥がれるがすぐに再生した。
「マズいッ!! 射命丸さん!!」
それに気付いた緑谷が声を上げる。
脳無の拳が今度こそ完全に射命丸を捉えた。
アッパーが腹に入り、殴られた射命丸は綺麗な弧を描いて緑谷達の頭上を通り過ぎ、水難ゾーンの人口湖の中に落ちた。
大きな水飛沫を上げ、それが収まった時には既に水面に射命丸の姿は無かった。
「蛙吹!!」
一番早く我に返った相澤が指示を出す。
「行け!!」
「はい! 文ちゃん!!」
指示を出された蛙吸が水中に飛び込む。
「あ〜あ、手間かけさせやがって。 でも、まあ、あのガキ流石に死んだろ。 これで平和の矜持も圧し折った事だし、今度こそ帰るか。 黒き」
「そこまでだ!! ヴィラン共!!」
射命丸を脳無が吹き飛ばしたのを確認すると、今度こそ帰ると言う死柄木だが、その瞬間にUSJの入り口にある分厚い鉄板のドアが吹き飛ばされた。
「すまない、遅れたな。 だが、もう大丈夫。 何故って?」
入り口からの逆光を受け、そこに現れたのは平和の象徴、ヒーローの中のヒーロー。
「私が来た!!」
「いや、コンティニューだ。」
オールマイト。
それを見た死柄木は再度、その目に悪意を乗せ、怪しく笑った。
因みにあややに精神攻撃をかけたヴィランですが。
個性はそのまま『トラウマ』。
記憶の底から強いトラウマを読み取り、引きずり出す精神干渉型の個性です。
ただ、トラウマを読み取り、引きずり出すには本人がその事を、『トラウマ』とは別に少しでも思い出さなければいけないので使い勝手は悪いですが、ハマればかなり強い個性です。