―――願わくば彼の足跡が無意味でありませんように。
因みに藤丸くんは第五特異点を正した直後ぐらいです。
科学の発展、繁栄。18世紀という時代は正にそういう時代であった。
農業改革に順ずるように起きた工業技術の発展、即ち産業革命によりヨーロッパ各所では未だ類を見ない激しい産業競合が行なわれ、そこにはイギリスやフランスといった次の時代に列強と呼ばれる後の大国らの姿もあったという。さらには電気技術の始まり、後の世に繋がるそれもミュッセンブルークの発明により遂に日の目を見始める。発展目覚しいヨーロッパでは啓蒙思想が広まり人間の様々な権利が保障されていき、その大々的市民改革はアメリカ独立、フランス革命と言った世を騒がせる大事変へと繋がる足がけとなった。
―――世は改革期、従来の道理は時代の流れに排他されていき、人類の最盛期へと動いていた。
近代史と呼ばれる近歴史の始まりを告げる福音。それが18世紀である。また文化の発展も目覚しく、文化……特に音楽は18世紀を彩るものとして欠かせないであろう。何せ、モーツァルトを筆頭にバッハやベートーヴェンと誰もが知る大音楽家もこの時代に生きたのだから。
転換期。歴史に存在するターニングポイント。或いは後の魔術師の行方を定め、そして魔術の衰退を決定付けたのもこの時代だったのかもしれない。
しかし、明かりが強ければ強いほどに闇が濃くなるのは道理である。華々しく綺羅綺羅しいこの時代。となれば必然闇も深くなる。―――或いはそんな時代だったからこそか。
旧きを廃滅し新しい道理を築く時代だったからこそ、其れは起きたのかもしれない。
☆
「キュー、フォウ!」
ペロ、と生暖かい何かに舐められ、彼は目を覚ました。
「ん……フォウ?」
「フォウ!」
中途半端な睡眠から目覚めた藤丸立香は気だるさと微睡みに揺られながら目を覚ます。目覚めた直後で視界は安定せず、しぱしぱする目を何度か瞬かせ、ようやくしかと現実を見て……。
「あれ? ここ……どこ?」
ここがカルデアでないことを自覚する。
―――人理継続保障機関カルデア。国連に承認を受けた秘密組織で魔術と科学を融合させた人類史を継続、保障するための組織。立香はそこに身を置く48人目のマスター候補者であった。
あった、というのも肝心要の他のマスターはある男の謀略により組織責任者もろとも爆破され、生死の境に今も凍結されており、立香こそが実質組織最後にして、人類史最後のマスターである。
そして今の立香は今の、そして未来の人類史を焼き尽くしたと思われる原因、聖杯という特級の聖遺物によって乱された人類史のターニングポイント、『特異点』を正すために長き
「……カルデアにも連絡がつかないし、マシュもいない……もしかして、これは……迷子?」
「の、割には冷静だ。流石は、というべきか、ぼんやりしていると注意するべきか。どちらだと思う?」
「……ビリー?」
周囲を森に囲まれた見知らぬ土地を見渡し、ぼんやりと呟いた立香に言葉が降りかかる。見るとそこには金色の髪を持った人懐っこそうな笑みの少年が立っていた。立香はその少年を知っていた。第五特異点探索時、ともに戦った英霊―――即ちは人類史に刻まれた英雄―――の一人、少年悪漢王の異名を取るアメリカの地に語り継がれる英雄、ビリー・ザ・キッドその人であった。
「うん、そうだよ。でも僕だけじゃあない」
「ああ、無事のようだな。見たところ我々の縁に引きづられた連鎖召喚か。或いは初めから君の方に縁があったのか。なんにせよ、久し振りだな。カルデアのマスター、いや立香」
「ジェロニモも……! もしかしてここはアメリカ?」
「そのようだ。最も以前、君とであった特異点ではなくまた別の、小規模な特異点と呼ぶべきか……いやそれも正しくないな。夢、そう、夢だ。恐らくは私達との縁が影響し、異なる英霊の夢に引きずりこまれたのだろう」
そういってジェロニモは空を指差した。そこには人類史焼却の発端となった巨大な魔術式はなく恐ろしく澄み切った青空が広がっている。特異点各所にあったアレが無いとするとここはやはり特異点ではないのだろう。されど、過去も現代も未来も総じて燃やされたしまった以上、この光景を見られる場所は、特殊な事象で起こりえた小規模の特異点ぐらいだ。そして……ジェロニモ曰く、この小規模な特異点は英霊の夢だと言う。
「なんで分かったの?」
ジェロニモは英霊、クラス・キャスター。魔術に長けた英霊。確かにそんな彼からしたら置かれている状況を適切に判別することもできるかもしれないが、それにしてもこの予想外の事態に冷静すぎやしないだろうか。
内心に生じた疑問に首をかしげているとそれを見て取ったのかビリーの方が答えてくれた。
「そりゃあここの発生原因となった英霊に悪意を感じられないからね。というより、本人もこれを発生させる心算も僕達を引きずり込む心算もなかったんじゃないかな? だろ? ジェロニモ」
「ああ。ここはいわば固有結界……というには過大か。……そうだな、この特異点の持ち主の特性がゆえに生じてしまった想定外の夢というべきか」
「想定外の夢……って二人ともこの特異点の原因に心当たりがあるの?」
先ほどから妙に危機感のかけている……どころか、原因を知っているという言い様に立香は目を丸くして問いかけた。
「ん、まあね」
「そうだな」
あっさり肯定する二人、しかしビリーは何処か歯切れ悪く、ジェロニモは困ったように頷く。その、二人を知る立香からして違和感のある反応だ。違和感に口を開こうとするとそれよりも先に、或いはそれを封じるようにビリーが口を開く。
「それと、召喚されたのは僕達だけじゃないようだよ? テスラにエジソン、後は……」
「ブラヴァツキー夫人もどうやらこの特異点に召喚されたようだな。最も彼らは既に用件を済ませこの特異点を去ったようだが」
「用件?」
他の召喚されたメンバーにも驚いたがそれよりも降って沸いた新たな疑問。三人にあった用件とは一体なんだろうか?
「ま、危険はないから安心しなよ。あっても僕らが守るからね。だから君は……」
「
そういって彼らは道を先導するように歩き出す。いまだ疑問だらけでイマイチ事態は不明慮だが……。少なくとも彼らは立香が知るその人で害意も敵意も持ち合わせていない。そしてそんな彼らが危険はないという以上は、
「とりあえず、ついて行こうか?」
「フォウ!」
何時の間にやら着いてきていたらしいフォウを肩に乗せ、立香は彼らに続いて歩き出した。
―――そうして道往くこと五分と少し、立香は小川流れる緩やかな坂道に辿り着いていた。
緑を揺らす緩やかな風、水のせせらぎ、穏やかな日の光。
文明に侵されない自然のカタチ。そこに異物感もなく、極々自然に彼は溶け込んでいた。
「―――やあ、初めまして。悪かったね、どうやら巻き込んでしまったようだ」
浅黒い肌を持つ温和な笑みを浮かべる青年がそこに居た。幾人もの変わりものを見て来た立香をして間違いなく普通の人。英霊にはとても思えないただの人間がそこにはいた。
「えっと……?」
「ああ、すまないね。まずは礼儀は挨拶からだ。僕は……そうだな。イシ、うん、イシと呼んでくれ。本当の名前は訳あって捨てたと言うか止めたと言うか、ともあれイシと呼んでくれ。これでもこの名前は気に入っているんだ」
「えぇと、藤丸です、藤丸立香。カルデアのマスターで……ってそうじゃなくて巻き込んでしまったっていうのはじゃあ貴方が?」
「うん、そのようだ。全く自覚はなかったが、どうやらこの場所の原因は僕らしい。さっきライオン顔の変わった人間とその彼と折り合い悪そうな青年、それから可愛らしいお嬢さんと話して判明したんだ。原理は全く分からないと言うか理解できなかったけど、ここの発生源が僕であるのは間違いない」
朗らかに笑う青年。その様はとても小規模とは言え特異点を引き起こした人物には思えない。それどころか、青年はどこまでも普通の人間にしか見えない。
「じゃあ、その……この特異点を」
「ああ、僕も誰かを困らせるわけには行かないからね。直ぐにここは閉じるよ。やり方もさっき教えてもらったしね。宝具、というのだったかな。ともかく僕のそれが原因のようだから。でもその前に少し君と話してみたくてね、そこの二人に無理を言ってつれてきてもらったんだ」
二人、と言いながらビリーとジェロニモを見るイシ。感謝の色を浮かべながらイシは小さく頭を上げながら、
「有難うございますお二方。僕の無理に付き合ってくれて」
「別にお礼をされるほどのことではないよ。ただ話がしたかったぐらいはね。それに僕もまたあの時代に身を置いた身だ。君から見たら加害者側の人間ではあるけれど……」
「まさか、歴史に名を残したビリー・ザ・キッド。僕は貴方に感謝と尊敬の念を向けることはあっても憎むことはありません。貴方に手を下されたわけでもなし、そして彼らにも彼らの事情があったのでしょう。アレは、間が悪かっただけですよ。詫びるとしたら私が、ジェロニモさんを含めた先祖の方々にこそ、お詫びをしなければいけない。つなげてきてくれた血脈、それを私の代で断ち切ってしまったのですから」
「それこそ君のいう間の悪さから生じた出来事だ。君が気に病む必要はないだろう」
まるで旧知の仲のように会話をする三人。何となく察していたがもしかしてビリーもジェロニモも彼と面識があるのだろうか、ともすれば既に此処を去ったと言うエジソンやテスラ、エレナも。
「と、時間もそう長くあるモノじゃないだろうし、速く用件を済ませなよ。僕達は……そうだな、用件が終わるまで此処を離れているから。終わった頃に戻ってくるさ」
「立香よ、何かあれば呼んでくれ、そうすれば直ぐに駆けつけよう、といっても何かあるとは思えないが……」
そういって何時の間にやら話し終えたらしいビリーとジェロニモはこの場を離れていく。ポンポンと事情を弁える前に流動する状況に立香はなんだか取り残された感を覚える。
「気を使わせてしまった。……と、すまないね。せっかく彼らに要してもらったこの場なのにほったらかしにして」
「いえ……あの、それで用件って言うのは?」
「うん。まあ、別に用件と言うほどの用件ではないんだ。僕はね、君と話してみたかったんだ。人類最後のマスター、人類史を取り戻すために戦う勇気ある人間とね」
敬意のこもった穏やかな笑み。それは立香が向けられたことの無い、立香自身が英霊らに向けて自然に行なっていたものだった。その笑みに立香はこそばゆさを覚え、思わず縮こまる。
「い、いえ、俺なんてとても……それに俺は俺に出来ることを出来るからやっているだけで……!」
「自分に出来ることを当たり前にやる。それは案外難しいものだ。出来るから、それで圧倒的絶望に挑めるものはそう多く居ないよ。誇りにしていいと思う。君は、間違いなく勇気ある人間だ」
「う………そ、そうだ。イシ……さんは」
「イシでいいよ。敬称は余りなれていないんだ」
「えっと、イシは一体なんで此処に?」
「さっきも言ったけど、僕も想定外でね。僕はどうやらいつの間にか英霊、と呼ばれる存在になっていたらしい。この特異点も僕の宝具によるものらしい。まあさっき話した彼らに教わったことだけど」
宝具。それは英霊が持つ切り札のようなものだ。英霊らが生前に持ちえた聖剣、魔剣、魔槍、弓、呪具など英霊にその縁のある武具であったり、或いは英霊自身の逸話を昇華したものであったりとその部類や効果、能力は様々だ。
しかし小規模とはいえ、特異点を発生させるほどの宝具を持ち合わせているとは、イシはさらりと発言しているがとんでもない能力である。でも、それにしても、なんと言うか……。
「イメージに合わないかい?」
「え? えぇと、あの……はい」
「アハハ、素直で宜しい。実際、僕も似合わないと思うし、君が思っているほど凄いものでもないよ。これはね、
「置いて行かれている? 一体何に?」
「時代に、さ。―――少し僕について語ろうか」
そういってイシは適当な石の上に座る。同時に君も座りなよ、と立香に促してきた。立香は彼と同じように適当な石の上に座って話を聞く姿勢を作る。
「ハハ、そう畏まらなくていいよ。そんな凄い話でもないからね」
―――僕が生まれた時代はね。丁度、皆がみんな新しいことを始めようとしていた時代だったんだよ。新しい時代、新しい秩序、新しい国、新しい社会、新しい未来。そうして今まで頑張ってきた成果が結んだような転換期の頃が僕が生まれた時代だ。
といっても僕ら、僕を含む一部の人たちはそんな時代についていけなかった。いや、ついて行かなかったんだよ。未来は大事だ、僕らは前のめりに進み続けて、明日の希望を信じて今の今まで先祖から脈々と血を繋いできたんだから。だからそんな未来のためには過去を時には切り捨てなくちゃいけない。そう、時代は転換期。皆がみんな新しくなる世界だからね。郷に入れば郷に従えとは、君の国の言葉だったかな? なんにせよ、そういう時代に僕らは過去を尊んだ。時代に取り残されることを選んだんだ。
そして、だから当たり前に滅んだ。当然だ、明るい未来ではなく終わった過去を見詰めたんだから。破滅は外因だったけど、結局は僕らの自滅さ。過去を尊んで、未来から離れた。人間の道理に欠いた行動をした僕らの自業自得。
「宝具は、逸話をも昇華する。ようはこの特異点は「時代に取り残された」という逸話をカタチにしたものなんじゃないかな。彼らからはそう聞いているし、僕もそう思う」
懐かしげにゆるりと己と己の一族の絶滅を語る彼には一切の後悔も嘆きもそして哀しみもなかった。あるのは仕方がなかったと、それが道理であったという納得のみ。
「……その、恨んだりしなかったんですか? 貴方と貴方達を滅ぼした原因に」
滅びは外因にあったといった。そして時代は新しい世に転じる最中とも。……その言葉に何故、ビリーやジェロニモたちの態度が歯切れ悪いものであったのか分かった。恐らく彼は、彼らに滅ぼされたのだ。新しい時代を築こうとする人間に、旧い人間として。そしてビリーたちの態度からして、イシは……。
「恨みかい? 無いといったらウソになるだろうね。だって僕は人間で、人間である以上どれほど清廉潔白な人も何かされれば不愉快だし、挙句に滅ぼされれば恨み言の一つや二つ無意識にでも持っていて可笑しくない。まあでも、言ったように過去を選んだのは僕らだ。新しき時代で過去を尊んだのは僕らだ。だから、滅んでしまっても仕方がないかなって、僕はそう思うよ」
暖かな微笑を浮かべるイシ―――そこには憎悪はなく、後悔も無く、寧ろ、誇るように自分たちは過去を選んだのだと胸を張るようにその滅びを受け入れていた。
「まあ、そんな僕だから未来のために戦う君と話してみたくなったのさ。こんな機会、今後あるかどうか分からないしね。だから、聞かせて欲しいんだ。君の旅路を―――」
☆
「有難う。僕に君の輝くような旅路を聞かせてくれて」
「そんなお礼を言われるようなことじゃ」
―――その涙を拭うため、信じる者のために殉じた聖女が居た。
―――愛する己の国のために焔の激情で人を魅了した王が居た。
―――嵐の海を夢と希望を携え恐れ知らずに駆け抜けた海賊が居た。
―――霧煙る魔都に己の所業を誇りとする誉れ高い叛逆の騎士が居た。
―――死と言う絶望に立ち向かい、生涯を命の救済に費やした者が居た。
旅路で出会った数々の出会い。その道往きは過酷なれど素晴らしく、とても綺麗なものだった。
「成る程。これが人類最後のマスター。これが歴史の最先端を行く今のヒトか」
うん、うん。と何度も何度も、まるで子供のように立香の話をかみ締めるようにしてイシは肯く。
「……と、どうやら時間のようだ。僕が閉じるまでもなくここは力を失ったらしい」
イシの言葉を聴いたと同時に急速に立香は何かに引っ張られるような感覚を覚える、レイシフトと似た感覚。即ち立香はカルデアに戻されようとしている。
「いや、本当に有難う。この偶然を作り上げてくれた奇跡とこの機会を設けてくれた彼らには感謝しなくてはね。それと何より話を聞かせてくれた君に」
「また会うことができたら、その時はまた話を聞かせて欲しい。僕は過去を取ったけれど、その選択に後悔はないけれど、やっぱり人間って言うのは未来を向いていた方が似合うと思うんだ」
「だから、バイバイ。絶望に立ち向かうヒト、偉大なるマスター。願わくば君の旅路に多くの幸があらんことを―――」
そうして―――藤丸立香はカルデアに戻った。
刹那の邂逅、不思議な出会いをした立香はどうやらカルデアの方では突然に気を失ったと見られていたらしく心配する相棒のマシュやカルデアを仕切るDr.ロマン、それからダ・ヴィンチちゃんに気を使われながら、不思議な出会いについてを語る。イシという人物と、彼との会話を。
すると、マシュもロマンもダ・ヴィンチちゃんも目を見開き、驚き、そして哀しげな顔をする。そのわけが分からず聞いて、そして真実を知った。イシという、一人の誇りある人間について。
「藤丸くん、君はイシという人間を知っているかい? 絶滅の今際に、その尊厳を奪われながらも、己は
クラス:アーチャー
真名:イシ
性別:男性
属性:秩序・善
筋力:D 敏捷:C
耐久:C 魔力:E
幸運:B 宝具:EX
保有スキル
対魔力:E
魔術に対する抵抗力。
魔術の無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。
単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
マスターを失っても、一日ならば現界可能。
弓矢作成(偽):C
材料さえあればたちまち弓と矢を作成することが出来る。
弓には物質的な材料が必要だが、矢であれば自らの魔力を削ることで作成可能。
また弓に関わる道具ならば弓以外でも作成可
最後の生き残り:EX
部族最後の生き残りという逸話が昇華したスキル。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能であると同時に彼が死なないように周囲が生かす因果を帯びる。例えば、彼に害意を覚えない、悪意を向ける気が起きないなど敵対者・味方問わず精神にも影響が出るほど。
宝具
ランク:B
種別:対獣宝具
レンジ:1~30
最大捕捉:1
後の世の狩猟弓術に影響を与えたイシの弓術。
地形に影響されず正確無比に相手を穿つ。
攻撃対象が獣、或いは獣に順ずる存在であるならば即死効果を発揮する。
尚、これは人類悪に対しても特攻を持ち、回復能力の減衰、不治の特性を齎す。
ランク:EX
種別:対国宝具
レンジ:1~99
最大捕捉:1000人
常時発動型の宝具。彼自身の生涯。
彼が人間であることを如何なる呪いや宝具、能力でも侵すことはできない。
彼が持つ唯一にして誰も踏み込めない宣言であり誇りであり決意。
真名:イシ
ヤヒ族最後の生き残り。18世紀に起こったゴールドラッシュにより民族浄化を受けて絶滅した数多居るインディアン最後の生き残りでもある。
「野生のインディアン」「最後の原始人」などと報じられ、稀少な人的資料として人類学者の下保護され、ヤヒ族の文化再構築に貢献した。
イシは、彼の本名ではない。彼の本名は秘され、その死ともに葬られた。
イシとはヤヒ族の言葉で「人間」。即ち彼はインディアンとして民族浄化を憂いに合い、生き残った後も珍獣扱いをされ、その死後も稀少資料として弄ばれながらも人に、国に、社会に、世界に叫び続けたのだ。
私は人であると―――。