画面向こうに映る君   作:kwhr2069

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完全にやらかしました...。

にこちゃん、Happy Birthday!!


にこside

 私、矢澤にこは、高校卒業後、アイドルになるために芸能界入りした。

 

 A-RISEに勝ち、全国の頂点に立ったμ’s。

 そのメンバーということで、業界からの注目もかなり大きかった。

 

 

 しかし、それはあくまで”スクールアイドル”においての話。

 芸能界に入れば、そんなことは関係がなくなる。

 

 そこからは、アイドルとしての下積みをつくる日々が始まった。

 厳しいレッスンに耐えられず辞めていく人も、数は少なかったもの、やはりいた。

 

 ただ、既に”アイドル”として自分がどうあるべきかが分かっていた私にとって、その日々は全く苦ではなかった。

 

 そして...その努力が実ることになる日が来た。

 

 同年であり同期生だった四人と一緒に、“BLITZ”を結成。

 年が明け、遂に私は念願のアイドルデビューを果たす。

 付け加えると、デビューシングルではセンターでの歌唱。

 自分にとってみればまさに、大成功、と言える幕開けとなったアイドル生活。

 

 

 しかし、そう簡単にうまくいく世の中ではない。

 デビューしたばかりの頃は、それこそテレビ出演の機会も多かったが、それも日が経つごとに減少。

 

 また、私にとって悲しい結果となったのが、第一回人気投票。

 2ndシングルセンター争奪戦として銘打たれた投票で、皆、運動に力が入った。

 

 ネットを使っての生放送で発表された投票結果。

 残念ながら私の得票数は、五人中三位。

 一位とも大きく離され、すごく悔しい形になってしまった。

 

 

 そして、事件が起こる。

 

 それは、2ndシングルの発売を目前に控えた日のこと。

 

 

 グループのリーダーだった小野辺智江が、交通事故で亡くなった。

 

 智美はその日、リーダーとして2ndシングル宣伝の仕事を一人で任されていた。

 それは、智美が先の人気投票で一位に輝き、センターを獲得していたからでもあった。

 

 その仕事の帰り。

 乗っていたタクシーが、信号無視で交差点に突っ込んできたトラックに撥ねられた。

 

 

 信じられなかった。

 

 日が経てば、また智美の元気な姿が見られる、そう考えもした。

 

 

 だが当たり前ながら、死んだ人間は生き返らない。

 

 そうしてリーダーのいなくなったBLITZ。

 これからどうしようか、と画策していた時。

 

 

 更にBLITZに、不幸が襲い掛かる。

 

 人気投票二位だった橘璃々乃の母が、重い持病を再発させ長期入院することに。

 璃々乃は、最初の頃こそ母の世話とアイドル活動の両立を試みていたが、半月ほどたった時に、BLITZからの脱退を表明した。

 

 後から聞いた話だと、璃々乃の両親は離婚していて、また、母の容態も芳しくなかったため、母の様子をしっかりと見てあげられるのが璃々乃くらいしかいなかった、らしい。

 

 

 二人がいなくなり、さらに路頭に迷うことになった私たち。

 立て続けに起こったこの二件で、社会からは同情の視線が向けられた。

 

 

 が。

 それだけで終わらないのが世論というもの。

 

 一部の間では、”にこの呪い”ということが囁かれるようになっていたのである。

 

 元々センターでの歌唱に並々ならぬ思いを注いできた私だ。

 そういう風に受け止められるのも仕方のないことなのかな、と思わされた。

 

 

 しかし、ここから人々の間で論争のようなものが巻き起こり始める。

 

 そういう呪いのような力が働いたのだ、という人たち。

 そんなことを悲しい出来事を味わった彼女たちに言うのはふざけている、という人たち。

 

 意味不明に始まったこの論争は、残った私たち三人に当たり前のように影響を与える。

 

 その中で最も大きかったのは、さらなるメンバーの脱退だった。

 それは、いきなりのことだった。

 

 メンバーの一人、轟アリスは、全国で有名な家系の生まれで、元々アイドルになることを反対されていたのだが、今回の件を受けて、辞めさせられることになってしまったのである。

 

 

 ここまできて、BLITZが活動を続けられるわけもなく。

 たった半年で、私はまたスタートラインに戻ることになってしまった。

 

 

 そんなことがあって、私の心は少し変わっていた。

 

 ネットでは未だに蔓延り続けていた私へのディス。

 それに何故か、対応する気すら起こらない。

 

 テレビでやけに悲劇的に表現される私たちBLITZの解散。

 それに対して、もはや何の感情も起こらない。

 

 

 いつしか、私のこころは冷めきってしまっていたのである。

 

 

 その後私は、所属事務所を辞めた。

 

 

 そして、保育士養成専門学校への入学をすることに決めた。

 

 試験に無事合格し、高校卒業から二年経った春、私は久しぶりに学校へ通い始めた。

 

 そこからの三年間は、とても濃厚なものだった。

 心理学的なことだったり、子どもの保育についてだったり。

 また、ピアノの授業もあって、それは真姫ちゃんにけっこう教えてもらった。

 

 もともと、子どもが好き、という理由で保育士を考えて、資格を取ろうと思ったわけだけど、色んなことを学んでいく内に、どんどん憧れも大きくなっていった。

 

 

 そして三年制の専門学校を無事にしっかり卒業して、すぐに就職

 

 

 

 …というわけでもなく。

 

 その後、私は保育園には就職せず、アルバイトを中心に生活することにした。

 この頃仕事に追われていたママの代わりに、妹と弟の世話をやることに決めたのだ。

 

 とはいえ、彼らはもう小学校高学年になっているわけで。

 子供のようで大人になっている妹たちに余計に絡む必要もないように思えた。

 

 まあ、何が言いたいのかというと。

 

 要するに、結構ヒマになってしまったのである。

 

 

*  *  *  *

 

「…今日も、他に用事もないし、聴こうかしら」

 

 私はそう呟きながら、自分のパソコンを開いた。

 

 その画面にはちょうど、いつも見ている一人の少女...いや、堕天使ヨハネの姿が。

 

『今日も始めるわよ、リトルデーモンの皆。準備はいいかしら?』

 

 

 この故に出会ったのは、確か約一年前くらい。

 学校が夏休みに入って時間が空いていたため、私はネットで、何か時間が潰せそうで面白そうなものを探していた。

 

 そこで偶然出会ったのが、この堕天使ヨハネだ。

 

 実は、私はこの()を知っていた。

 いや、正確に言うならば、この娘の正体を、だろうか。

 

 この粉の名前は、静岡でスクールアイドルをやっていた、Aqoursの津島善子。

 

 

 アイドル界から離れたといっても、私の心はやはりアイドルを想っていた。

 

 いや、むしろ、あそこまで没頭しておいてなかったことにする方が、無理な話だと思う。

 

 私の想いは、自身が最も輝けていたであろう、スクールアイドルへと向けられた。

 追っかけとは言わないが、スクールアイドルについての情報は基本的にほとんど頭に入れていた。

 

 その中で、私が専門学校二年生の時に優勝したのが、Aqours。

 

 Aqoursは、私たちμ’sと同じように、九人で結成されたスクールアイドル。

 また、結成の動機も私たちと同じように学校を廃校から救うため。

 残念ながら、Aqoursの通う学校は統廃合になってしまったみたいだけど。

 

 他のグループと比べて共通点も多く、気にかからないわけがなかった。

 

 そして、津島善子。

 自分のことを”堕天使ヨハネ”と称するなど、ちょっと変わった娘。

 

 

 しかし私は、その()のことをただの変な娘で片付けようとは思えなかった。

 

 彼女の”堕天使ヨハネ”は、設定、と言われる類のものなのか。

 なんだか、すごく気になった。

 

 その翌年の夏に、彼女の生配信を動画サイトで偶然見かけた。

 

 そこから私は、特に用事がない時にはその配信を見るようになったのである。

 

 

 

 

『今日はワタシ、一つアナタたちに報告しておきたいことがあるの』

 

 それは、突然のことだった。

 

 

『私...アイドルになるわ!』

 

 

 思考が止まった。

 

 他の視聴者も私と同じなのか、コメント欄の流れが止まる。

 

『ずっと考えていたの。

 私を、この堕天使ヨハネを、全世界の人々に愛してもらう方法を』

 

 

 画面越しにいるこの娘は、正気でこんなことを言っているのか。

 

『アイドルの頂を取って、この私の名を世界に轟かせるのよ!

 それが...私のホントの夢だったのよ。

 

 …こんなふざけたこと言ったら、アナタたちは呆れるかもね。

 でも、私はもう決めたの。逃げないわ、成し遂げるまでは。絶対にね』

 

 

 力強く、そう語る彼女の目からは固い意志が感じられた。

 

 それと同時に、私の背中も押されたような、そんな気持ちになった。

 

 

 そして、私は――。

 




まずは何よりも先に、謝罪の方を。
この度は、矢澤にこの生誕記念話を、当日に投稿できず、誠に申し訳ございませんでした。
四月の一件で学習していたはずにも拘らず、再びこのような失態をやらかしてしまったこと、本当にすみません、という気持ちでいっぱいです。
ごめん、にこちゃん...。

…と、いうことで。
にこちゃん生誕記念話でした。

実は、もう少しのんびり進める方を当初は予定していたのですが、もう、このような形になってしまったため、テンポを上げたパターンになりました。
その結果、展開が結構雑になった気がしてなりませんが、そこのところはご了承願います。

今話の終わり方で察する方もいるかもしれませんが、一応続きがあります。
まあ、エピローグみたいな感じになる予定です。

いつ頃投稿するかは未定ではありますが、なるべく早いうちに...。頑張ります。
誕生日に遅れておきながら続けるのもどうなのかとも思いますが、中途半端が一番最悪だと思うので...。
最後まで、お付き合いくださると嬉しいです。

後書きが長くなってしまいました。
それでは、このあたりで失礼します。

ここまで目を通してくださり、ありがとうございました!


…にこちゃん、ホントにごめん!誕生日、おめでとうございました!
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