色々と後書きで言っているので、そちらまで目を通してくださると有難い限りです。
では、ヨハにこ短編、HBP第四弾の締めの回です。よろしくお願い致します。
とある雑誌のインタビューを受ける、二人の女性。
片方は、ツインテールがよく似合っている、小柄で可愛らしい女性。
もう一方は、頭の右上に作ったお団子が特徴的である、色白で綺麗な女性。
二人の後ろには、
『史上初!現二大アイドルグループのリーダーの共演!』
とある。
まず、矢澤さん、と記者らしき女性に呼ばれたツインテールの女性が話す。
その際、にこよ、と呼び名を訂正することを忘れない。
「そもそも私は、アイドルにも元から憧れていたんです。
実際、高校の頃からスクールアイドルをやっていて」
ここで記者が、μ’sですよね、と意を得たばかりに口を挟む。
ええ、と笑顔で相槌を打ち、さらに続ける。
「それで、高校卒業後はアイドル事務所にも入って、プロアイドルとしての活動を始めていたんですけど、そこで色々あってしまって、一時はこの世界から離れました」
その複雑な表情から察したのか、二人は黙ってその女性の話を聞き続ける。
「それでそんな時、偶然出会ったのがこの、ヨハネの生配信だったんです」
そう言いながら、隣の女性に目をやる。
「暇つぶしがてらに見てたんですけど、そんな日にとあることがありまして。
そこでヨハネがいきなり、プロアイドルとしてデビューするって言ってたんです。
それで私、ビックリしてしまって。と同時に気付いたんです、自分の気持ちに」
「にこさんの気持ち...ですか?」
そう、記者は尋ねる。
「はい。
…私は、自分の幼い頃からのアイドルという夢を、無理に忘れようとしていたんです。
色々悲しいことが重なった結果に、自分を抑え込もうとしている事に気付けたんです」
そうですか...という相槌に、首を縦に振りながら話を続ける。
「だから私、ホントにヨハネには感謝してるんですよ」
そう言い、満面の笑みを隣の女性に向けるにこ。
その流れから、次に話し始めるは先程からヨハネ、と呼ばれている女性。
記者には津島さんと呼ばれ、ヨハネで、と訂正をしている。
似た者同士の二人なのか。
「私は、そうですね...正直に言ってしまえば、アイドルというものに興味を元々持っていたとか、そういうわけではありませんでした。
ただ私自身...いや、これ以上は恥ずかしいのでやっぱりナシで(笑)」
なにかを言おうとした様子だったが、恥ずかしい、と話を切る。
それに対し、他の二人は追及を続ける。
折れたのは、ヨハネの側だった。
話題にしたのは、スクールアイドルの話。
そう、先程のにこと同じように、ヨハネも実はスクールアイドルをやっていたのだ。
「スクールアイドルは...先輩から誘われて、でした。
私はその頃、というかそれ以前から、堕天使ヨハネという名を名乗っていて、というかそれが本当なんですけど...。
まあそのせいで学校内に友達もいなくて、色々と人間関係とかに困っていたんですよね」
二人は、所々で苦笑を浮かべつつも、黙って聞き続ける。
「そこで、とある一人の先輩に言われたんです。
そのままでいいんだよ、って。そのままでいいから私達と一緒にスクールアイドルをやろう、って。
私はその時、何だかすごく救われた気がして、それで、力を貸すことに決めたんです」
そこから、Aqoursとしての活動が始まって...と続ける。
「私は、スクールアイドルを始めて、なんだか心の整理がついた、と言いますか...。
それからは不思議と、学校生活の方も普通に過ごせるようになっていったんです。
堕天使ヨハネとしての自分を解放できる、そしてそれを受け止めてくれる、そんなAqoursとの出会いは、やっぱり私にとってはすごく大きな分岐点だったように思えますね」
なるほど、と頷く記者とにこ。
なかなか知られていない裏話なだけに、聞けることはかなり貴重である。
「中でも本当に、リーダーの先輩には感謝しきれないな、っていう気持ちで」
「確かリーダーは、二年生の...?」
「はい、そうですね。その人は、自分の事を全く分かってなくて。
自分が”普通”であると思い込んで、それに悩んでいたんですね。
でも、そんな彼女を変えたのは、にこさんのいるμ’sだったんです。
μ’sの姿をたまたまTVで見かけて、そこから憧れを持って。直向きに、走り始めたんです」
あ、私語りすぎてますね、と笑みを浮かべて頭をかくヨハネ。
それほど、Aqoursのリーダーへの感謝は抑えきれなかったということだろう。
そして記者は、ここぞとばかりににこに話を振る。
もちろん話題は、μ’sについて。
先程たくさん語った自分の恥じらいを隠すためか、ヨハネもそれに同調する。
しかし今度は、にこが恥じらうターン。
なかなか話そうとはしないようだ。若気の至り、だからこそだろうか。
そうしてしばらくの後。
にこの重たかった口がようやく開き始める。
「…私は高校一年の時、まず自分の意思でスクールアイドルを始めました。
そこには、生半可な気持ちなんて微塵もなくて、ただただ頂点に立ちたいと、そう思っていたんです。
ですがその結果、一緒にやっていた同級生たちは私の気持ちについてこれなくて...いや、私が勝手に突っ走っていったせいなんですが、やめてしまいまして」
そこからはアイドル活動は行わず、他のスクールアイドルたちを見て楽しむようになりました、と続けて言う。
「それでは...どういう経緯で再びスクールアイドルの世界に?」
「はい。えっと...すごい偶然なんですが、私もヨハネと同じように、リーダーに背中を押してもらったんです。
その頃の私は、すごくとんがってて(笑)
スクールアイドルを興味本位で始めた彼女たちによく、突っかかっていたんです。
でも...ある日、そのリーダーの子が私に手を差し伸べてくれて、それで気付いたんです。
私はやっぱり、スクールアイドルとしての活動をやっていきたいんだ、って」
話してみて思いましたけど、私っていつも年下の子に助けられてるんですね、と笑いながらにこが言う。
* * * *
雑誌のインタビューも、そろそろ佳境。
話題は、プロアイドルデビューのきっかけに移っている。
私、実は元々アイドルになる予定なんてなかったんですけど、と前置きしてヨハネ。
「とある友人が、プロアイドルのオーディションがあるとかで、何となく見に行ってみたんです。
そしたらそこで、とある方にお声がけいただいて、その方が私の今いるグループの創設者の方で」
そんな漫画みたいな話本当にあるんですね、と記者。
「はい(笑)
…でも、初対面でいきなり、『君の本性をもっと曝け出す気はないかい?』でしたからね。
正直なところ、怪しさ全開だったんですけど」
笑いながら話すヨハネ。
「でもやっぱり、自分の事を認めてもらえたというか、許されたというか。
とにかくなんだか、この人についていったらこれから楽しそう、なんて思いまして。
それが、私の始まりですね」
では、にこさんは、と記者が問う。
「前にも言った通り、私は一度アイドルとしてデビューしていたので、その伝手を手繰り寄せて、引っ張って、色々足掻いてみた結果、今がある...という感じでしょうか。
まさか、現在のような状況になるとは思ってもみませんでしたね」
そうなんですか?と、記者が驚いたように問い返す。
「いや、だってそうでしょう。
ほとんど何もない手探り状態から始まって、今のような人気をいただけているんですから。
本当に、グループ創設者のあの方には感謝してもしきれないな、っていう思いです」
にこのこの言葉に、ヨハネも反応する。
「そうですね、ホントに。
あの方の企画力というか、才能というか、そのおかげで今の私たちはあると思っているので」
二人してこんなに褒めて、すり寄ってるとか思われたら嫌ですね、とにことヨハネが笑う。
では最後に、と記者がまとめに入る。
まずはヨハネから。
「この度は、このような機会をいただけたこと、本当にありがたく思います。
にこさんは、私の中でも大きな存在で、そんな方がまさか私のことを頼りにしてくれていたなんて思っていなくて、正直今でもビックリなんですけど...。
いつもは争い合う立場のグループ同士、そのリーダー同士ということでしたが、これからはこういう機会も増えていけばいいな、と実感しました。
では、今後とも私ヨハネ、そして所属グループの応援をして下さると嬉しいです。
今回は本当に、ありがとうございました」
アンタはやっぱりこういうところでは真面目なのね、と笑いながら続けて話すのは、にこ。
「は~い、皆さん、宇宙ナンバーワンアイドルこと、にこです~!
今回は、ヨハネとの対談、すっごく楽しませてもらいました~ふつうは聞けないような話も聞けたりして、にこは大大大満足です~!
ヨハネも言ったように普段は競い合う立場のグループですけど、仲良くするのもやっぱり良いな~とか思ったり、思わなかったり(笑)
ということで、これからもにこのこと、応援してくれると、嬉しいな~!
もちろん、私の所属するグループも、ですよ?では。今回は、ありがとうございました~!」
はい、ありがとうございました、という記者の言葉で、場の雰囲気は落ち着く。
最後にツーショット写真と握手を、と言われ、顔を見合わせる二人。
その顔に浮かんでいるのは、どういう感情か。
これから、日本のアイドル界、ひいては音楽界の中心となっていくであろう二人。
二人の未来に広がっているのは、希望かはたまた絶望か。
ただ、満面の笑みで握手を交わし、写真に写る二人には、どちらが待ち受けているのかは明瞭のような気もする。
まず最初に、メチャクチャ遅れてしまって本当にごめんなさい。自分で言ったことすら破綻してしまって...本当にダメダメですね、自分。
そして、かなりぐっちゃぐっちゃに終わってしまった感が否めないです...なんか、本当にすみません。
そして、もう一つ。
千歌ちゃん、穂乃果ちゃん。Happy Birthday!!
ここで言ったのは...まぁお察しの方もいるかもしれませんが、生誕記念話を私が書かないからです。
直接祝うことができなくてごめんなさい!来年は、しっかりと小説を書いて祝おうと思います。
その代わりと言っては何ですが、この話に、一応二人を間接的に登場させているので、それでお許し下さると...。
と、ここで、さらにお知らせしておきます。
おそらく9月に誕生日がある三人を祝う記念話も、今年には書きません。
実はもともと決めていたことなのですが、8、9月の記念話はこのシリーズの締めという形で書こうかな、と何となく思っていたので...。
ですから次は、10、11月の二人の記念話、そしてその後、年をまたいで、まだ書いていない2、3月の三人の記念話。そして、先程言った8、9月の五人の記念話、という形になっていくと思います。
年をまたぐ必要があるのか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自分がそうしたいと思っているので、そのような形で今後進めていこうと思います。
それでは、長くなってしまいました。
ここまで目を通してくださった方々、本当にありがとうございます。
今後とも、このHBPシリーズを応援してくださると嬉しい限りです。
では。
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございました!!!