GOD EATER 〜暗殺者の贖罪〜   作:KETAKETA

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面倒事6:庇われた少女

「あ、おはようございます...」

 

ケイトがいつも通り昼頃に起床(毎回ツバキ教官に怒られているが)し、エントランスまで降りてきたら第二部隊のカノンに困ったように挨拶された。ちなみにカノンは極東きって(?)の誤射姫(迷惑野郎)である。だから他者との任務同行回数が極めて少ない。一回の任務で10回誤射された瞬間から敬語を放り捨てた俺は間違えて居ないと思う。

 

「...ふわぁ。んでカノン。なんでそんな困った顔してんの?」

「ア、アリサさんが...シュンさんと...ちょっといざこざ起こしちゃいまして...」

 

カノンが申し訳なさそうに言ってくる。あぁ、どうせ妙に高飛車な態度で神経逆撫でしたんだろうなぁ。と思いながらケイトは一階のエントランスをチラっと見る。

そこでは案の定第三部隊の小川シュンとアリサが言い争っていた。

 

「さっきからいい加減にしろよ!この俺を邪魔呼ばわりしやがって!」

「邪魔だから邪魔って言って何が悪いんですか!そもそも___」

「___んあ、ちょっとお二人さん静かにしてくれ。お前らが言い争ってたら周りの人も叱られるんだ。面倒臭いのは苦手でね」

 

さすがに止めに入る。ツバキ教官がこの状況を見たら止めなかった周りの人も叱るだろう。

 

「なんだケイトか...。聞いてくれよ!こいつが俺に『邪魔ですどいてください』なんて言いやがったんだ!」

「へぇ...。で、アリサなんでそんな事言ったん?」

「だ、だって邪魔なんですよ!一回言ったの___」

「はいはいもういいや。面倒なんだよ。喧嘩すんならどっちかの自室でしてくれや」

「「嫌だ(です)!こんな奴(人)の自室なんて!」」

「そのまま仲良くなってくれ。頼むから」

 

シュンとアリサがそっぽを向きあっている。端から見てツンデレ×ツンデレの典型だろう。

 

「てかケイト!前と同じ部隊なんだがらしっかりと此奴を管理しろよ!」

「面倒だけど善処するよ。俺は細かい理由知らないけど、今回はどちらも大人になってくれ。頼むから」

「あ、あぁ...分かった」

「...分かりました」

 

シュンとアリサが渋々とした態で了承する。

それを見てケイトは苦笑いしながら、

 

「アリサ。この後任務行くぞー。コウタも居るけど我慢しろよー」

 

アリサの気を逸らす事に力を入れた。

 

 

 

その頃

 

「ありゃ、随分と適当だなぁ」

「そうね....。めんどくさいから妥協してくれって事しか言ってないからね結局」

 

リンドウとサクヤが遠くからその様子を眺めていた。

あれは喧嘩の仲裁では無い。面倒だから黙れと言ってるだけだ。

それで静かになるのも不思議だが。

しかし

 

「ケイトも随分と気にしてやってんなぁ」

「確かにね。随分と投げやりだけど」

「ありゃ惚れたか?」

「そんな事は無いでしょ」

「んだよ面白く無いねー。新人同士の初々しい恋が見たかったのに。」

「こらリンドウ。人の恋愛模様を野次馬根性で鑑賞しない!」

「そういうサクヤもニヤニヤして見てるじゃねぇか」

「あら、そう?」

「ずりぃもんだよ...」

 

リンドウ達は離れていった二人を見届けると、その場を去って行った。

 

 

 

ヘリの中____。

 

「ねぇ酷くない!?なんで会った瞬間『なんだコウタですか』って言われるんだよ!?」

「コウタだからに決まってるじゃないですか」

 

予想通り、コウタとアリサが喧嘩をしていた。

 

「はいはいちょっと黙っt」

「「ケイトは黙ってて(黙ってて下さい)!」」

 

ケイト、撃沈。これでは仲介の仕様が無い。

今から愚者の空母でシユウとオウガテイル数匹の討伐だ。あの時アリサの気をシュンから逸らしたのはよかったが、コウタとの仲がここまで険悪(?)とは知らなかった。

 

「なんなんですかこのシスコン!バガラリーオタク!」

「なんだとこの下乳ツンデレアリ...ギャーーーーーーーーー!」

 

コウタがアリサに絞められている。どうやら禁句のようだ。(何がとは言わない。)

コウタの顔が青くなっていくのを見て、一応止めに入る。

 

「おいおい、一応殺すなよ?」

「何でですか。こんなゴミを生かしておく必要は」

「うぐっ...死ぬ...」

 

そしてがやがやと騒がしい一行を乗せたヘリは、目的地に着いた。

 

 

 

愚者の空母____。

アラガミが出現し始めた当初、その混乱に乗じて盗みなどを行っていた犯罪集団と、それに抵抗する者達とのせめぎ合いがあった場所。

結局その争いは、混乱の根元であるアラガミの侵攻により集結したという、なんとも皮肉な終わり方をした。

海岸に衝突した空母の上であり、見晴らしが良いためアラガミを見つけやすいがその分隠れる場所も少ない。

地面に着地して少し目を凝らすと、空母の部品を捕喰しているシユウとオウガテイルが見えた。

隣のコウタとアリサに目配せをする。2人は手で合図すると、銃口をシユウの周り群がって捕喰しているオウガテイルに向けた。

 

「3...2...1!」

 

2人の銃口から銃弾が発射された。アリサとコウタはアサルトなので貫通弾丸でオウガテイルを狙い撃ち、真っ正面を狙っててもおっぱぴーな方向に飛んでいくケイトは神機を剣形態にしてスタンバイしている。

カシュ、とアリサの神機の引き金が空しく音を立てた。弾切れだ。

アリサも神機を剣形態に変形させ、ダウンしているオウガテイルに近付き、

 

「「喰らえ!!」」

 

更に捕喰形態(プレデターフォーム)に変形させ捕喰する。コウタとアリサの銃撃で弱っていたオウガテイルはあっさりと絶命した。

三人に気付いたシユウが低空飛行で突っ込んでくるが、それをステップでかわし、アリサはシユウを、ケイトは周囲のオウガテイルを攻撃する。

 

〈ギャァオ!!!〉

 

オウガテイルが左右から噛み付いてくるのをしゃがんでかがんで危機一髪かわし、横薙ぎに神機を振るった。胴体を横に真っ二つにされた二匹のオウガテイルがダウンした。

 

「危ね!」

 

残り一匹のオウガテイルがシユウと交戦中のアリサにニードルを放つのを発見し、咄嗟にニードルの進行方向に突っ込みタワーシールドを展開する。オウガテイルのニードルは直に当たらない限り威力は無いので、難なく防いだ。

 

「よいしょ!」

 

ニードルを防がれて怯んだオウガテイルに、力一杯上段斬りを叩き込み、今度は縦に真っ二つにする。

シユウと交戦中のアリサとコウタの応援に行こうと走り出したら、ちょうど左翼を破壊されたシユウが見えた。

 

〈ギャァオォォォォォォ!〉

「っ!?」

 

怒りで活性化したシユウにアリサが突っ込んで行った。それを予想していたかのようにシユウは両腕で大火球を生み出し、アリサに発射しようとする。

 

(___あの距離じゃ避けられない!)

 

シユウの行動に気付き回避しようとするアリサだが、シユウはすでに発射していた。

高熱を周囲に発しながら大火球はアリサに接近し、直撃する直前、

 

「___ぐぅ!!」

 

間一髪アリサと大火球の間に体を滑り込ませたケイトに火球が直撃し吹き飛ばされ、近くの瓦礫の山に突っ込む。

そのままケイトは、走って近づいて来るシユウを視界に捉えたのを最後に、______気を失った。

 

 

 

「........?」

 

目を開く。視界に映るのは前も見た病室の薄汚れた天井。また存命してしまったようだ。

 

「ぐっ.........」

 

起き上がろうとするケイトだが、今度は胸から腹の辺りまで大火傷をしてしまった為起きるどころか頭を上げることも出来なかった。

 

「おーう、起きたか。ケイト」

 

声が聞こえて声の根元を見ると、案の定腕組みをして壁に寄りかかっているリンドウが居た。

 

「あ、リンドウさん。アリサとコウタは無事ですか?」

「まぁ待て落ちつけ。...二人とも怪我は無い。一番無事じゃないのはお前だよ。胸から腹にかけての大火傷にデカイ脳震盪。ったく病院の人もお前を覚えちゃうぜ?」

 

リンドウが呆れたように言う。ケイトが何も言わないでいると、

 

「エリックといいアリサといい、人を助けるのは大層な事だが、次から自ら死にに行くようなマネはすんなよ?」

「...死にに行ってるんですよ」

「ん?何か言ったか?」

「いや、何も言ってませんよ」

 

リンドウが訝しげな表情をしている。

 

「大丈夫ですよ。リンドウさん。任務も忙しいだろうしさっさと行ってきて下さい」

「口調は相変わらずだな。気を使わせたな。...あ、この後アリサとコウタも見舞いにくるらしいぞ。」

「...コウタはいいですが、アリサは来させないで下さい」

「ん?何でだ?」

「...アリサには適当に理由付けしておいてくださいよ。可愛い後輩からの一つの頼みです」

「自ら『可愛い後輩』とか言うクソ生意気な後輩は持った覚えねぇんだがなぁ。ま、たまには頼れるオッサンは頑張りますよ」

「感謝しますよ。オッサン(笑)」

「俺まだ26歳だぞ?」

「さっき自分で言ったじゃないですか。」

 

「ったく、一本取られたよ」と茶化しながら、リンドウは出て行った。

 

 

 

それから一時間後、エントランスのエレベーター前で口論が行われていた。アリサとリンドウである。(アリサが詰問してリンドウが受け流しているだけだが)

 

「なんでですか!?」

「『俺なんぞに庇われるくらいの実力しかないなら、特訓にでも行ってこい』だってさ。んな訳で俺は本日アリサの監視係兼特訓の付き添いを頼まれた訳なのさ。ほら、さっさと行くぞ。」

「けど...」

「ケイトの意思だ。それともお前は庇われた上に意思まで踏みにじるつもりか?」

「...すみませんでした」

 

(なんでだろうなぁー)

コウタは端から見て不思議に思っていた。

アリサとリンドウの会話。普通に考えたら何の違和感も無いのだが、アリサの質問に答えているリンドウの態度に少し違和感を覚えた。はっきりとではないが。

アリサが渋々といった態でその場を去って行く。コウタはさっき感じた違和感は気のせいだと考えたが、リンドウがコウタに近づいて来て「話がある」と言った瞬間さっきのは間違えでは無かったのだと確信した。

 

「実はな...さっきアリサに言ったことは、あながち嘘なんだ」

「へ?」

「ケイトはそんな事はいっていない。あいつは俺に対してアリサに見舞いに来て欲しくないと言っただけだ。『理由は適当によろしく』とな。」

 

アリサに見舞いに来て欲しくないとはどういうことだろう。

ふと、アリサが来た時のケイトの不自然過ぎる態度が目に浮かぶ。

何か、あるのだろうか。

 

「コウタ」

「へっ!?」

「アリサとケイトには直接じゃないがなんかの関係があると俺は思う。詳しく調べたりする必要は無い。二人を上手くフォローしてやれ。...な?」

「俺そんな事できませんよ...」

「お前なら出来るさ。じゃ、宜しくなー」

「えっ!?ちょっと待って下さいよリンドウさん!」

 

行ってしまった...。

コウタは考える。二人の間には何があったのだろう。ケイトは何故アリサに対して不自然な態度なのだろう。

 

「よく分からないけど、何とかしてみるか!」

 

俺も居心地悪りぃしなー。

 

 

 

 

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