GOD EATER 〜暗殺者の贖罪〜   作:KETAKETA

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面倒事7:悲劇・蒼穹の月 〜上編〜

ミッション:蒼穹の月

ミッションランク:3

依頼主:フェンリル

同行者:藤木コウタ,ソーマ・シックザール,橘サクヤ

場所:贖罪の街

討伐対象:ヴァジュラ

 

初めてのヴァジュラ討伐である事を除いて、

 

何の変哲も無いただのミッション。

 

______の筈だった。

 

 

 

「うー、緊張するー。」

「大丈夫だろ?コウタ。お前はともかくソーマとサクヤさんが居るから。病み(?)上がりの俺は静かに観戦させて貰う___」

「...お前も戦え」

「はい分かりました分かりましたからチャージクラッシュの構えしないでくださいお願いしますソーマさん」

 

やあ、ケイトでーす。

アリサを庇って大火傷した俺は、ゴットイーターの力と主人公補正で1週間で完治しました。

だからってさ...。

 

「初っ端からヴァジュラは無いよなー。」

 

戦闘の勘を取り戻す為に、オウガテイルぐらいにしようと思ったのに.....。

あの時退院を認められて病室を出た俺を待っていたのは、分厚いファイルを持って「早々にミッションがある」と仰るツバキ教官であった。

ツバキ教官に連れられてエントランスに降りたら、ソーマ,サクヤさん,コウタの三人が居た。

どうやらこの三人と俺でミッションに行くらしい。4人で行くぐらいだから、シユウ辺りは覚悟しておかないとなーと思っていた頃が僕にもありました。

 

「ミッション名、蒼穹の月。贖罪の街でヴァジュラの討伐だ」

「...へ?」

 

ツバキ教官は優しく無かった。

 

「ヴァジュラの討伐に、なんで病み上がりの僕を連れて行くんですか?他にもリンドウさんとかアリサとか___」

「リンドウとアリサは二人でミッションだ。残念だったなケイト。分かったらさっさと準備しろ」

「......了解です」

 

まさかいきなりヴァジュラとはね...。

 

 

 

「これから、ブリーフィングを始めるわ。まずは私とコウタ、ケイトとソーマに分かれて索敵して。見つかったら信号弾を打ち上げて、ヴァジュラをできるだけ広い所に誘導してね。...くれぐれも、ヴァジュラを余計に刺激しないように。」

「一人一人に分かれて索敵した方が早いんじゃないの?」

「私やソーマならともかく、貴方達1人1人だったら危険だわ」

 

ケイトは納得する。ふむ、確かにコウタ一人だったら10秒で瞬殺されるな。どうせ信号弾を打ち上げるのも失敗して、石につまづいて転けたりするだろう。

 

「なんか俺ケイトにすごい失礼な事思われてない?」

「...別にどうでもいい。...さっさと始めるぞ」

「そうね。...それでは、索敵開始!」

 

サクヤの合図と共に、ケイト達は二手に分かれて索敵を開始した。

 

 

 

索敵を開始して10分。

 

「いねぇなー。サクヤさんとコウタの方は見つかってるかなー?」

「...黙って探せ」

「へいへい」

 

ケイトとソーマの二人は、未だヴァジュラを見つけていなかった。

二人は黙々と索敵を続ける。

 

「ねぇソーマ。疲れたから休憩しない?多分この辺りには居な____」

「黙れ」

「んだよー」

 

そこから暫く索敵をして、右半分を探し終わったが何も居なかった。

サクヤ達の居る左半分に居るか、何処かの獣道に隠れているか。二人は元来た道を引き返そうとすると、少し離れた所で信号弾が上がる。

 

「...見つけたらしい。行くぞ...」

「ったく、見つかんなくても良かったのによー」

 

二人は信号弾の元に走って行った。

 

 

 

「中々来ないわね.....。」

 

サクヤ達は前方でオウガテイルの捕喰を行っているヴァジュラを警戒しながら、ケイト達が来るのを待っていた。

 

「ここ?」

 

暫く待っていると、ようやくケイト達がやってきた。ケイト達は急いで来たのか、少し息が上がっている。

サクヤが状況説明を行おうとする。

 

コツン。

「わっ」

 

コウタが石につまづいて転けた。

 

〈ギャオオオオオオオオオオ!!〉

「コウタぁ!お前アホか!?」

 

ヴァジュラが雄叫びをあげてこちらに気付き走って来る。

 

「...作戦話そうと思ったけど、奇襲は失敗ね」

「...役立たずが...」

「俺の予想通りつまづいたねー」

「...ゴメン」

 

コウタがシュンととなる。

一方ヴァジュラは走ってきた勢いのまま、跳飛かかってきた。

 

〈ギャウゥ・・・?〉

 

____しかし、それは叶わずヴァジュラは空中で静止する。

 

「ホールドトラップ。成功っと」

「ホールドトラップってこんな使い方があったのね...」

 

ヴァジュラはケイトが上空に仕掛けたホールドトラップに見事引っ掛かっていた。

 

「この隙に貴方とソーマは捕喰して!!私とコウタは尻尾を中心に狙い撃つわ!」

「...了解」

「りょーかいっと」

「分かりました!」

 

サクヤの命令に三者三様の返事をする。

空中でホールド状態になるという奇怪な状況になっているヴァジュラに近付き、ソーマとケイトが捕喰した。バーストモードになり、身体中に力が漲る

 

「捕喰完了っと!ソーマ、受け渡すよー!」

「...てめェ!何をしやが_____何?」

 

ケイトが打ったアラガミバレットが直撃し、ソーマの体に力が漲った。神機連結強制解放(リンクバースト)である。

アラガミバレットによる受け渡しによる神機解放、「リンクバースト」はレベル3までと義務付けされている。レベル3を超えるとオラクル細胞が暴走してしまう恐れがあるからだ。

ケイトはぴったり三回ソーマに発射し、ソーマはリンクバーストのレベル3まで活性化した(リンクバーストのホーミング性は高い為、ケイトの射撃力でも当たるのである)

 

「何だこの力は?」

「俺ら新型の特有能力、『リンクバースト』だってよ!時間制限あるから、どんどん弱点を攻撃して!因みに詳しくい事は知らんッ!」

「...了解だ。喰らえッ!!」

 

ソーマのチャージクラッシュが空中でホールド中のヴァジュラの尻尾に直撃した。サクヤ達の銃撃により脆弱になっていたのか、尻尾が一撃で結合崩壊を起こす。

 

〈ギャォォ!?〉

 

ホールドから解放されたヴァジュラだが、尻尾が結合崩壊した事もあり空中から着地した勢いのままダウンする。

 

「ヴァジュラがダウンしたわ!私達は結合崩壊した尻尾を狙うから、あなた達はマントを中心に狙って結合崩壊させて!」

「「喰らえッ!」」

 

激しい銃撃の雨に晒されているヴァジュラの背中に、ケイトと未だバーストモードであるソーマのチャージクラッシュが叩き込まれる。

 

〈ギャォッ!?〉

 

ヴァジュラがダウンしている間ひたすらチャージ状態を維持した(・・・・・・・・・・・)状態でマントを狙うと、続け様にマントも結合崩壊した。

 

「___チャージ状態を維持してるだと...!?

〈ガォォォォォォ!!〉

 

ソーマの驚愕の呟きを遮り、起き上がったヴァジュラの咆哮を聞き一旦2人はヴァジュラ付近から離脱する。

ヴァジュラは2人に攻撃を仕掛けようとするが、サクヤとコウタの激しい銃撃に邪魔され標的をサクヤ達に変えた。

 

〈ギャォォ!!〉

 

ヴァジュラの周囲に放出された電撃をかわし、ヴァジュラが怯んだ所を狙いケイトとソーマが捕喰する。

 

「ソーマ!作戦がある!ちょっと格好良いぞ!」

「...なんだ」

 

ケイトから作戦を聞いたソーマは一瞬にやりと笑うと、ヴァジュラに向かって大きくジャンプした。ゴットイーターの身体能力である事を差し引いても、かなりの跳躍力によりヴァジュラを飛び越す。

コンマ一秒遅れてケイトも同じ高さまで(・・・・・・)ジャンプし、ソーマの下に辿り着くと、ソーマの足にバーストの刀身の腹を当て力一杯振るった。

投げ飛ばされるように上に放り出されたソーマは近くの建物をも優に越し、落下時にヴァジュラに狙いを定め神機を捕喰形態(プレデターフォーム)にする。

 

「喰らえェェ!!」

 

___落下の勢いを利用し捕喰形態(プレデターフォーム)の刀身をヴァジュラのコアの辺りに強く突き刺した。

 

〈ギャァ...!?〉

 

コアとその周辺を半径1m程深く抉り取られたヴァジュラは、断末魔の声を上げ絶命した。

 

 

 

討伐対象を討伐し、任務を終えたヘリの到着地点に向かうケイト達が、教会の辺りに差し掛かった時である。

 

「んな!?なんでここにリンドウさん達が!?」

「...それはこっちが聞きてぇよケイト」

 

何故か同時刻に贖罪の街で任務を行っていたリンドウとアリサと鉢合わせした。

 

「おかしいわね....。混乱を避ける為に同一区画で2つの任務を行うことは避けられてる筈なのに...」

「任務受注の手違いじゃねぇか?まぁ考えるのは後だ。とりあえず、さっさと終わらせて帰るぞ。俺達は中を調べるから、お前達は外を見ていてくれ。じゃぁアリサ、行くぞ」

 

そう言うや、リンドウ達は教会の中に入って行った。

 

 

 

教会の外を警戒するケイト達。

 

「リンドウさん達は、なんのミッションだったんスかね?」

「私も分からないわ...。ソーマ。知ってる?」

「...知らん。だが、何か妙な胸騒ぎがする...」

「うわぁぁっ!?」

 

突如コウタが悲鳴を上げる。その悲鳴で気付いた時には、ケイト達はヴァジュラ(らしきアラガミ)に囲まれていた。

 

「何なの、あれ...?ただのヴァジュラじゃ....」

 

サクヤが疑問の声を上げる。そう。このヴァジュラはただのヴァジュラではなかった。

全身は薄い白。何より目立つのは顔が女性の顔である事だ。

その女ヴァジュラが囲むように4体居る。4人対正体不明のヴァジュラ4体。だいぶ分が悪い。

4人は神機を構え直した。

______直後

 

「___いやぁぁぁぁっ!やめてぇぇぇぇっ!」

「___!?アリサ!?」

 

中からアリサの悲鳴が聞こえ、ケイトとサクヤは慌てて教会の中に飛び込む。

先程悲鳴を上げたアリサの前には、瓦礫がうず高く積み上げられていた。

中からは戦闘音が聞こえてくる。十中八九、中でリンドウとアラガミの戦闘が行われているのだろう。

しかし、リンドウが戦っている場所は退路が一つしか無く、その唯一の退路は瓦礫で塞がれている。

 

「アリサ...!?あなた一体何を!?」

「止めて...パパ...ママ...食べないで...!」

 

アリサは座り込んで震えている。どうやらパニックを起こしているらしい。

試しにサクヤが瓦礫の山に銃弾を撃ち込むが、積まれた瓦礫はビクともしない。

 

「わぁぁぁっ!」

 

後ろからコウタの悲鳴が聞こえて、振り向いたら先程の正体不明のヴァジュラが侵入していた。

こちらも退路を塞がれた。万事休すだ。サクヤは唇を強く噛む。

____その時

 

「サクヤ、アリサを連れてアナグラに戻れ!」

 

瓦礫の中からリンドウの声が聞こえた。

 

「で、でも...!」

「いいから戻れ!サクヤは全員を統率!ソーマ!お前は退路を開け!」

「嫌ッ!」

「命令だ!お前ら全員生きて帰れ!これは命令だぁ!」

「行こうサクヤさん!このままだったら皆共倒れだよ!」

 

ケイトがアリサを背負い、ソーマが神機を振り回してなんとか退路を開く。意を決したサクヤが命令を出し、ぎりぎり正体不明のヴァジュラの包囲網を潜り抜け教会を脱出した。

 

「行ったか...。配給ビール。とって置いてくれよ...」

 

リンドウはダウンしたアラガミを攻撃しながら呟いた。

 

 

 

「はぁ、はぁ、...ここまでくればもう安全ね...」

「そうですね...」

 

一行は贖罪の街を走り回り、スタングレネードを何個か消費しながら上手く隠れることに成功した。

突如、ケイトが口を開く。

 

「サクヤさん。もう自分で歩けますね?」

「...えぇ、歩けるわ。どうしたの?」

「そうですか....。じゃぁコウタ、アリサは任した」

 

ケイトがコウタにアリサを負ぶわせる。

 

「え?...ってケイト!?いきなり何で!?

「....何をするつもりだ」

「俺は少し散歩してきますよっと。___皆さん、お元気でッ!」

 

ケイトはポケットから出した3つのスタングレネードをそれぞれ三人の目前で炸裂させる。

 

「...それでは」

 

そしてコウタ達の視界が戻った頃には、既にケイトは居なかった。

 

 

 

「おっと!!」

 

リンドウは、突如侵入して来たアラガミと戦闘を続けていた。

ただのヴァジュラかと思いきや、顔が女性の女ヴァジュラ。正直見ていて気持ち悪い。

ヴァジュラは電気を操るが、この女ヴァジュラは冷気を操るらしい。

 

「うおっ!?」

 

女ヴァジュラが氷針を飛ばしてくるのをギリギリで避ける。

____しかし、一本で終わらずに、連続で飛ばして来た。

後ろに飛んで回避しようとするが、背中に当たる硬い感触。壁だ。逃げ場が無い。

 

(こりゃ、終わったな...)

 

リンドウが諦めて目を瞑る。

だが、

 

「___まだ諦めんといて下さいよ」

 

リンドウが何も来ないのを不思議に思って目を開けた時に見たのは、リンドウを神機の盾を展開して守った新入り(ケイト)の後ろ姿だった...。

 

 

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