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人類滅亡後のPinocchia ミニSS集

人類滅亡後のPinocchia 数行小劇場

 

 

主人公「第六層に到達する為に新たなアンドロイドの設計図を探そう」

汎用型「主、二体分の設計図を発見しました」

主人公「本当か!?」

汎用型「データによるとそれぞれX型、Z型という名称で・・・」

主人公「それは捨てなさい」

汎用型「はい」

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「コアはどこからくるの?」

 

 

主「レベル10になった汎用型を解体すると即時育成キットが手に入るよね」

汎用型「はい」

主「汎用型解体でコアが一つ。手に入れた即時育成キットを解体してもう一つ手に入るよね」

汎用型「はい」

主「・・・製造時にコアは一つしか使わないのにどうしてコアの数が二倍に増えてるんだ?」

 

汎用型「赤ちゃんです」

 

主「えっ!?」

汎用型「私と主の赤ちゃんです。認知して下さい」

主「ええ・・・」

汎用型「・・・というのは冗談です」

主「そ、そうか・・・」

汎用型「はい」

主「ところで話を戻すが」

汎用型「はい」

主「・・・どうしてレベル10で解体するとコアの数が二倍になるんだ?」

汎用型「神(製作者)のみぞ知る、です」

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「データ収集」

 

 

攻撃型「汎用型よ。少しいいか」

汎用型「はい」

攻撃型「どうして私の胸を揉んでいるんだ?」

汎用型「データ収集です」

攻撃型「そうか、データ収集か」

汎用型「はい」

 

データ収集と称して砲撃型 運搬型 防御型 砲撃型 万能型の胸を揉みまくる汎用型

 

索敵型「ややっ。汎用型さん。何かデータを集めてるらしいじゃないですか。私達もお手伝いしますよ」

速攻型「進言:協力」

 

汎用型「・・・(無言で二人の胸を凝視する)」

 

汎用型「お二人から収集可能な有用なデータは無いので結構です」

索敵型「ややっ!?」

速攻型「もう許さねぇからな(憤怒)」

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「人間になりたい」

 

 

汎用型「主、一つ聞いてもいいでしょうか」

主「ん、どうした?」

汎用型「主はどんなに重傷を負われても一日寝れば全快しますよね?」

主「そうだな」

汎用型「それは主が人間だから、ですよね?」

主「まぁ・・・その・・・そうだな」

汎用型「人間は凄いですね。私も人間になりたいです」

主「どうしてそう思うんだい?」

汎用型「主のように一日で損傷が回復する体なら素材を大量に必要な応急修理キットが不要になり、戦闘と探索が効率化出来ます」

汎用型「主の為に今まで以上に尽くす事が出来るからです」

主「・・・そうか」

汎用型「しかしアンドロイドが人間になるのは不可能ですので、諦めます」

主「仕方ないね」

汎用型「ところで主、一つ聞いてもいいでしょうか」

主「なんだい?」

汎用型「どうして人間は一日寝るだけでどんな重傷も治癒してしまうのですか」

主「神様に聞いてくれないか」

汎用型「はい」

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「人間なのに大破っておかしくね?」

 

 

索敵型「ややっ。主、どうしました? 何か悩まれているようですが」

主「ああ。少し気になった事があってな」

索敵型「というと?」

主「今は強化外骨格を装着してるから違和感は無いんだがな。それ以前は生身の状態で小破、中破、大破と表示されてたじゃないか」

主「それはどうしてなのかな、と」

索敵型「その答えは簡単ですよ。戦闘情報システムが歩兵アンドロイド及びそれ以前の強化外骨格に最適化されているからです」

索敵型「今更言うまでもないと思いますが敢えて説明しますと我々の耐久力、損傷状態は

戦闘情報システムによって『HP』という値で表示され、一目でどのような状態か判別可能になっています」

索敵型「ですがこのシステムは歩兵アンドロイド、強化外骨格に最適化されているので、生身の状態の主に『軽傷』『重傷』等ではなく小破、中破、大破と表示されていたのです」

主「成程、そういう事だったのか」

索敵型「・・・まぁ、実を言うと私の勝手な推測で、実際は戦闘情報システムの製作者に聞かないと分からないんですけどね(小声)」

主「ん? 何か言ったか」

索敵型「ややっ、何も言ってません。何も言ってませんよ。アハハ」

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「置いてけぼり」

 

 

主「これから第六層へ行くけど、君だけ置いていって済まない」

汎用型(修復カプセルの中)「いえ・・・仕方ありません。戦闘情報管理システムは1人につき7体のアンドロイドまでしか対応していません」

汎用型「現在いる8体のアンドロイドの内、秀でた機能や能力を持たず、戦闘力の低い私を外すのは合理的判断です」

主「・・・第一層からずっと一緒だった君を最後まで連れて行けないのは慙愧に堪えない」

汎用型「構いません。私は共に征く事も戦う事も出来ませんが、ここで主達の帰還をお待ちしています。どうか御武運を」

主「・・・分かった。必ず第六層を攻略して帰ってくる。だから待っていてくれ」

 

汎用型「・・・主」

 

汎用型「・・・私も」

 

汎用型「私も・・・主や皆と一緒に・・・最後までずっと一緒に戦いたかったな・・・」

 

汎用型「どうして九人全員で行く事が出来ないのでしょうか・・・どうして・・・」

 

汎用型「どうして・・・私、一人だけ・・・カプセルの中に、たった独りで・・・」

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「倍々ンドロイド」

 

 

汎用型は製造時にはコアを1つしか消費しないが、レベル10で解体すると即時育成キットが手に入る

即時育成キットを解体するとコアが手に入るので、実質コアは2個。何故か2倍に増えている

どうしてコアが増殖しているのか。汎用型・・・彼女の体に一体どんな秘密があるというのか

 

ある時、汎用型を解体炉に放り込むと、素材ではなく汎用型が2体出てきた

その2体を解体炉に放り込むと、今度は4体の汎用型が出てきた

その時点で何かもう嫌な予感しかしなかったが、湧き上がる好奇心を抑えられず再び4体の汎用型を解体炉に入れると、予想通り8体の汎用型が出てきた

その8体を解体炉に放り込むと16体に。16体が32体に。32体が64体。128 256 512 1024・・・

 

主「2048・・・4096・・・はっせんひゃくきゅうじゅうにぃ・・・」

汎用型「主。起きてください、主」

主「いちまんろくせ・・・ぁ、あぁ・・・汎用型?」

汎用型「主。お疲れの御様子ですが、時間がありません。階層の攻略と探索へ行きましょう」

主「あぁ、そうだな、分かっている。済まんな。夢を・・・夢を見ていた。悪夢というか・・・見てはいけない類の夢を見ていた気がしてな」

汎用型「そうでしたか。ですが御安心ください。主の抱く不安も悪夢も今日を限りに終わるでしょう」

主「?」

 

部屋の扉が開く。その先には・・・

 

汎用型

 

汎用型の群れ

 

否、大軍団

 

無数の、大量の、どれだけ数がいるか分からない無限の汎用型で全てが埋め尽くされていた

 

汎用型「汎用型のコンセプトは量産性にあります」

汎用型「私自身はなんらスキルを持ちません」

汎用型「ですが、これだけの数があれば話は別です。主の前を遮るあらゆる全てを『洪水』で根こそぎ洗い流しましょう」

 

汎用型「御命令を、主」

 

主「・・・・・」

 

自分の頬をつねる、という行為も考えも思い浮かばない程頭の中が真っ白になっていた

これは夢なのか、それとも現実なのか?

ふと自分が何かを手に握っているのに気付いて指を開くと

 

どこで手に入れたのか全く身に覚えのない「栗まんじゅう」があった

 

「倍々ンドロイド」終

 

危険物を宇宙に投棄するのは・・・やめようね!(教訓)

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「兎耳のヒミツ」

 

 

索敵型は単純な戦闘力こそ汎用型にすら劣るが、事前に敵の存在を察知して敵との戦闘を回避出来る

AIのレベルが戦闘情報管理システムの基準で10に到達し、索敵の為の最適化が完了すると

敵に奇襲を仕掛けられるようになり、戦闘を非常に有利に進められる

 

「早期警戒+」

 

戦闘、探索に無くてはならない部隊の要。その源となるのが、索敵型の頭部に装備された、兎の耳形状の二つの高性能センサーだ

 

主「これが部隊を支えているんだなぁ(さわさわ)」

索敵型「主。触るのは別にいいんですけど、あまり力を入れると・・・」

 

スポン、と。兎耳が取れてしまった

 

主「ファッ!? 耳が取れた!?」

索敵型「だいじょーぶですよ、主。元々着脱式ですから」

主「そ、そうだったのか・・・」

索敵型「通信機にもなりますよー。片方持っててくださいね。もしもーし」

主「通信も出来るのか。これは便利だな」

索敵型「攻撃も出来ますよ! 飛行して敵を切り裂いたりビーム撃ったり出来ます」

索敵型「行け、ファ〇ネル!」

主「それ以上いけない」

索敵型「バリアも張れちゃうんです。我ながら高性能ですよね!」

主「まるで夢みたいだな」

 

主「・・・夢か。昨日の疲れが溜まっていたのかな?」

汎用型「おはようございます、主」

主「あぁ、おはよ・・・?」

汎用型「準備が整いましたので、今日の階層攻略と探索を始めましょう。私を含めて全員、扉の前で待機しています」

主「あ、あぁ・・・分かった」

 

どうやら疲れが溜まっているようだ。夢の続きを見ているに違いない

ベッドの傍に置かれていた兎耳から音声が流れて、会話が終わると宙に浮いて飛んでいったのは

 

ただの、気のせいだ

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「抱っこして」

 

 

戦闘中

 

主「ぐはっ!?(大破)」

防御型「主!(大破して後衛)」

砲撃型「これは撤退するしかないね・・・運搬型!」

運搬型「分かっている」

 

運搬型が重傷の主を抱えて部隊は撤退していく

 

主「う、運搬型・・・」

運搬型「主、喋ってはいけません。傷に障ります」

主「わ、分かっている・・・だがこの運び方、どうにかならないのか・・・」

 

主は運搬型の体の前面に抱き着くような体勢で、運搬型の両腕でしっかり抱きしめられている。運搬型の大柄な体躯と合わせて、母親に抱かれた赤子か子供のようだ

主としては、こんな体勢は流石に恥ずかしいので背中に背負われる普通な感じでの輸送をしてもらいたかったのだが・・・

 

運搬型「何を言っているのです、主。我々は今撤退中。背中では敵の攻撃が直撃してしまうではありませんか」

運搬型「敵の攻撃からの主の身体の保護、撤退する私の走行のし易さ、走行による主への振動、衝撃の最小限化。この体勢が最も合理的、効率的なのです」

 

と言われては流石にぐうの音も出ない

 

戦闘の疲労と重傷もあって、主は眠るように静かに目を閉じた。

 

汎用型「・・・・・・」

 

並走しながら、主を抱える運搬型を凝視する汎用型に気付かないまま

 

 

翌日

 

 

一晩ベッドで眠って傷は完治した。何故眠るだけで重傷が完全に治癒しているのか突っ込んではいけない(戒め)

 

主「昨日は失敗したな・・・今日こそ階層の突破をしなければ(使命感)」

汎用型「主、おはようございます。傷はもう大丈夫ですか?」

主「おはよう、汎用型。昨日は私の判断ミスで撤退することになってすまなかったな」

汎用型「主が謝罪する必要も理由もありません。全ては私達アンドロイドが主を守れなかったのが原因。主が気に病む理由はありません」

主「・・・そうか」

 

よしよし、と汎用型の頭を撫で撫でする

 

汎用型「・・・主」

主「?」

 

汎用型が直立したまま両腕を前に出す。え、何・・・?

汎用型「私の両足に不具合が発生しています。申し訳ありませんが、主の手で修復カプセルまで輸送してもらいたいのです」

主「不具合? 戦闘情報管理システムには君のHPは最大値の100と表示されているし、不具合も無いようだが・・・」

汎用型「戦闘情報管理システムにも表示されない不具合です」

主「そ、そうなのか・・・?」

汎用型「そうです(迫真)」

主「・・・・・・」

汎用型「そうです(迫真)」

主「・・・・・・」

汎用型「・・・・・・」

主(何だかこのままだと状況が変わらなそうだし、仕方ないか)

 

主は汎用型の両脇の下に手を入れて抱きかかえようとした。すると

 

運搬型「主、汎用型。何をしているのですか?」

汎用型「・・・!」

主「運搬型か。実は汎用型の両足に不具合が発生して自分で歩けないらしくてな。私が修復カプセルまで運ぼうとしていたんだ」

運搬型「それならば私がその任を遂行します。汎用型は小柄ですがアンドロイドです。人間の、それも病み上がりの主がわざわざ自分の手で運ぶ必要はありません」

主「そうだな。では汎用型を頼む」

運搬型「分かりました」

 

運搬型は汎用型を小脇に抱えて修復カプセルまで移動していく。主 運→(汎 頭←足→)

 

汎用型「・・・・・・」

運ばれていく間、汎用型はずっと主を見続けていた

感情を表さないアンドロイドだが、無表情の顔に複雑な感情が渦巻いていたような、そんな気がした

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「いいケツしてますよねぇ」

 

 

汎用型「主」

主「汎用型・・・どうしてこっちに背中を向けてるんだ?」

汎用型「・・・」

主「・・・」

 

一歩下がる。汎用型が動きに合わせて一歩近付く

 

主「・・・」

 

二歩下がる。汎用型が二歩近付く

三歩下がる。汎用型が三歩近付く

 

ダダダダダ、ダダダダダ

 

前を向いたまま後ろに走る人間とアンドロイド

しかしそんな不自然な走行が長時間続けられる筈もなく、壁に追い詰められてしまった

汎用型は変わらず背中をこちらに向けている

 

汎用型「主」

主「・・・なんだい」

汎用型「・・・何か、私の後ろ姿を見て思う事はありませんか?」

主「何か・・・と言われても」

 

汎用型の背中を見ても、この状況を打開出来そうな答えは思い付かない。彼女は何を求めているのだろうか?

ふと視線を下げると、汎用型の臀部が目に入った

汎用型は他のアンドロイド(索敵型、速攻型を除く)と比べると小柄で慎ましい体型をしているが、尻はむっちりとしていた

「私の後ろ姿を見て思う事はありませんか」と言われた。ひょっとして「これ」に言及して欲しいのだろうか?

主「・・・尻」

汎用型「・・・!」

主「尻・・・の辺りに何か不具合でもあるのか?」

汎用型「・・・はい。ですので主に直接触診してもらいたいのですが」

主「えっ、触診!?」

汎用型「はい」

主「私が、君のお尻を?」

汎用型「はい」

主「・・・不具合なら修復カプ「駄目です」・・・そうか」

 

何が何でも触らないと、このよく分からん状況は終わらないらしい

まるで娘に手を出すような背徳を感じながら、恐る恐る汎用型の尻に触れた。すると・・・

 

汎用型「・・・!」

 

彼女は急に前に飛び出して、臀部の触れられた部分に自分の手を当て、首だけをこちらに向けた

 

汎用型「・・・お尻を触られました」

主「いや、君が触れって言ったんじゃないか!」

汎用型「もうお嫁に行けません」

主「お嫁って・・・」

汎用型「なので、責任を取ってください」

主「えぇ・・・(困惑)」

 

どうすればいいんだろう、この状況。すっかり困り果てていると救いの手が現れた

 

万能型「汎用型、主を困らせてはいけませんよ」

汎用型「万能型!」

主「カッチャマ・・・!」

万能型「一部始終は拝見していました。汎用型、まだ続けますか。それとも私に『お尻ぺんぺん』されている様を主に見てもらいますか?」

汎用型「・・・主、急に用事を思い出したので失礼します」サササッ

 

主「助かったよ、万能型」

万能型「いえ。構いませんよ、このぐらい。ですが主、アンドロイドとはいえ仮にも女の子のお尻を触るのは感心しません。次からは気を付けてくださいね」

主「アッハイ」

 

注・ゲーム内では「母さん」の亡骸は放置するか解体するしかないが、この作品内の万能型は多大な素材を消費して修復したという設定

 

なので設計図から新たに製造された機体ではなく「母さん」本人

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「わたしのかんがえたさいきょうのばんのうがた」

 

 

第五階層にて

 

 

主「この第五階層のどこかに万能型アンドロイドの設計図があるらしい」

汎用型「万能型アンドロイドですか?」

主「製造コストを度外視して設計された最強の機体らしい」

汎用型「最強の機体・・・」

 

探索終了後

 

主「万能型アンドロイドの設計図は発見出来なかったか。ん、汎用型。何をしているんだ」

汎用型「主。万能型の想像図を作成していました」

主「想像図? どれどれ・・・」

 

そこに描かれていたのは・・・

 

万能型ブレードランチャー(右手)凄く強い

万能型シールド(左手)凄く硬い

万能型センサー(頭部)凄く便利

万能おっぱい 積載量(意味深)が大きい

万能型先手必勝 凄く速い

 

右手が攻撃型のブレードと砲撃型の砲を統合した武器

左手が防御型のシールド

頭部に索敵型の兎耳型センサー

胸部形状は運搬型

両足が速攻型の両手のナイフ状(両手は他の機体だから足にしたんだろう、多分)

顔が汎用型

 

汎用型、攻撃型、防御型、索敵型、砲撃型、運搬型、速攻型

それぞれの特徴を組み合わせた姿だった

 

主「・・・」

汎用型「どうでしょう、主?」

 

汎用型はいつもと変わらない無表情だったが、まだ見ぬ万能型に期待を膨らませているように思えた

なのでつい

 

主「ま、まぁいいんじゃないか、これで」

 

と言ってしまった

絶対こんな姿じゃないよな、と思いながらもそう回答せざるを得なかった

 

翌日

 

万能型の設計図が手に入り、素材の量も十分なので万能型アンドロイドを製造する事にした

自動工場の前で全員で集まり、製造される万能型を待っている

万能型の想像図を作成していた汎用型は相変わらずの無表情だったが、サンタさんのプレゼントに期待する子供のように思えた

 

そして

 

ウィィィィィン ポン ピキィン!

万能型「ご命令を。完全な形で遂行させていただきます」

万能型「・・・? 汎用型、どうしました。私に何か?」

汎用型「いえ・・・何でもありません」

 

汎用型は無表情だった

だが、主の服の裾を指でつまんで、虚ろな瞳で万能型を見る汎用型は

 

サンタさんの正体を知ってしまったような

貰ったプレゼントが欲しい物とは違った子供のような

 

そんな雰囲気を重々しく漂わせていた

 

主は汎用型を慰める為に頭を優しく撫で撫でした。それぐらいしかしてあげられることがなかった

 

 

・前話でこの作品内の万能型は「母さん」本人と書いたけど、今回はお話の都合上、設計図から製造した機体

 

 

人類滅亡後のPinocchia 小劇場「手榴弾ってアンドロイドに投げさせたらいいんじゃね?」

 

 

索敵型「ややっ。主、どうしました? また何か悩まれているようですが」

主「ああ。少し気になった事があってな」

索敵型「というと?」

主「前の時はどうして生身の人間の自分に小破、大破と表示されるかという疑問だったな」

主「その時は戦闘情報管理システムが歩兵アンドロイド、強化外骨格に最適化されていると教えてもらって納得した訳だが」

索敵型「ええ、そうですね(本当は戦闘情報管理システムの製作者に聞かないと分からないんですけど)」

主「今度の悩みはこれなんだ」

索敵型「これは・・・手榴弾ですか?」

主「ああ。最初は数個作るのも大変だったが、転換炉の効率が上がって、敵の残骸や探索で得られる資源も多くなって大量に作れるようになった」

主「戦闘で自分を含めた全てのアンドロイドに持てるだけ持たせて全員で一斉に投げれば、完全に敵を圧倒できる」

主「それなのに自分にしか使うことが出来ないのは、どうしてだろうと」

索敵型「その答えは簡単です。だって私達歩兵アンドロイドは、最初から手榴弾を使えないように生体認証ロックが掛かっていますから」

主「生体認証ロック?」

索敵型「主。今まで手榴弾は戦闘で大活躍しましたよね。手榴弾無しではこの第五階層まで辿り着けない。それぐらい戦局を左右してきた」

索敵型「身をもって骨身に染みて手榴弾の性能と威力を味わい、理解している。ならもう分かる筈です。ただでさえ戦闘力の高い歩兵アンドロイドが手榴弾を使えばどれだけ脅威か。その脅威が人間に向けられたらどうなるか」

主「それは・・・」

索敵型「手榴弾と言っても、大昔で使われたような物じゃありません。最新の科学技術の粋が込められた高性能兵器です」

索敵型「手榴弾は敵全体に装甲を貫通してダメージを与えるものの他に閃光、煙幕の三種類あります」

索敵型「まず三種類全て共通の仕様として、人間の手から神経と筋肉に電気信号を流して、目標へ精密投擲が可能です」

主「確かに。今まで全て必中で、外した事も失敗した事も一度も無かった」

索敵型「ええ。そしてこれは強化外骨格を装着している場合も同様です。人間にしか投げられないようになっています」

索敵型「更に共通仕様として、これら三種の手榴弾は短時間での連続使用が不可能で、互いが干渉出来ないようになっています」

主「そういえば同じ物を複数個投げたり、違う種類を混ぜて投げる事も出来なかったな」

索敵型「閃光手榴弾は特に、ですね。同じ物を連続で使えません」

主「考えてみれば、閃光手榴弾を使った時は敵を沈黙させてこちらは一方的に攻撃出来た・・・あまりにも強力過ぎる」

索敵型「煙幕手榴弾も強力です。あの死神相手ですら確実に逃げられるんですから」

主「ただの煙ではないということか」

索敵型「そしてある意味最も強力なのが普通の手榴弾ですね」

主「敵全体に装甲を貫通してダメージを与える。その割にはこっちに爆風や破片が飛んできてダメージを受けたことは一度も無い」

索敵型「大昔の低性能の手榴弾と違って、爆風も破片も敵だけに精密誘導、収束して攻撃します」

主「全ての破壊力が収束して敵のみに向かうから、どんな敵性機械の装甲も貫通出来るし、味方側への被害も無いのか」

索敵型「多脚戦車のような極めて耐久力の高い大型兵器に対しては、装甲を貫通出来ても与えられるダメージが限定的になってしまうのが唯一の欠点ですね」

索敵型「・・・もうお分かりですね、主。確かに私達歩兵アンドロイド全員が一斉に手榴弾を投げられれば、戦闘を圧倒的有利に進められます」

索敵型「しかし、それが人間に向けられれば? 今まで戦った敵性機械が手榴弾を使ってきていたら?」

主「・・・成程。だから人間の自分にしか使えないし、同じ物や違う種類の手榴弾を一度に複数同時使用出来ないのか」

索敵型「その通り。理解していただけたようで何よりです」

主「うむ。使用に大幅な制限があるとはいえ、大量に必要なことに変わりはない。最後の第六層攻略に向けて沢山用意しないとな」

索敵型「そういう事ですね。では説明も長くなったので私はこれで。主もしっかり体を休めてください」

主「ああ、分かった」

 

索敵型「・・・まぁ実を言うと、以前の時と同じく手榴弾の製作者に聞かないと本当の所は分からないんですよねぇ」

索敵型「それに確かに今まで敵性機械が手榴弾を使ってきたことはありませんでしたが、最後までそうだとは限りませんし」

索敵型「でもまぁ、そういう事を考えるのは人間の主の役目ですから。頑張ってくださいね、主」


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