真名バレありなので要注意
原因はタマモキャットに部屋の掃除をしてもらった時だった。メイヴの霊衣である「魅惑の獄長ルック」が見つかったのが全ての始まりだった。
翌日から皆の見る目が変わった。
いつも元気に「マスター! マスター!」と飛びついてくるアストルフォは一定の距離を開き、どこかよそよそし気にこちらを チラチラと見てくる。こちらが声をかけてもそっぽを向かれる。
黒ひげだけはなぜかいつもより距離が近く、肩を組んでくれた。その時に彼には「まさかマスターも拙者と同じだったとは、意外ですな」といい笑顔で言われた。
最近カルデアにやってきた坂本龍馬さんとお竜さんに話しかけようと思ったら、お竜さんにカエルを投げられ食べかけられ、それを謝罪しようとした龍馬さんを引き摺り、どこかへと行ってしまった。
いつも笑顔で対応してくれるジャンヌ・ダルクは怯えた目をしたジャンヌ・オルタとジャンヌ・オルタ・サンタ・リリィ・ランサー・サンタを背中に隠すように立ち、手に持つ旗を突き付けてきた。
カルデアの廊下ですれ違った佐々木小次郎は事態の内容を知ると、途端に大笑いして特に解決策を教えてくれるでもなく立ち去られた。
空腹を感じたから食堂へ行くと、この事態の原因でもあるタマモキャットと会った。キャットは申し訳ないと思っているのか、お椀ののった お盆を渡してくれた。
お椀の中身は白米(洗米前)が盛られていた。
そのまま食べる訳にはいかないのでキッチンの隅を借りて米を研いだ後、何かおかずを作ろうと思い、冷蔵庫の中を見ると、後ろから威圧感。振り返ると、エミヤ・オルタと目が合った。彼は目が合うと腰にさしている拳銃に手を伸ばしかけるも、その手を止めて嫌悪感を丸出しにしてこっちを見てきた。
その場に留まれる空気じゃなくなったので、なにも取らずにすぐにその場を離れた。
米が炊け、食堂の隅で一人細々く食べていると、隣にディルムッド・オディナが座った。彼は特になにも言わず、黙々と昼食を口に運んでいく。時々おかずを分けてくれる優しさが心にしみる。
そしてディルムッドの方が先に食べ終え、立ち去るかと思った時
「マスター、何か疲れているのなら休んだ方がいいですよ」
とお茶を啜りながら、けれどこっちには顔を向けないで言ってくれた。正直その言葉だけでも嬉しかった。
お昼を済ませ廊下を歩いていると、正面からジャック・ザ・リッパーとネロ・クラウディウスが歩いてきた。
ネロはこちらに気付くととても嫌そうな顔をしてジャックの手を取って引き返そうとするも、それより早くジャックが駆け寄って来た。
その手に愛用のナイフを持って。
何とか突き出されたナイフを躱すと、勢いそのまま三角跳びでジャックはネロの元へ戻り、その手を取ってきた道を走って戻っていった。
出会って長い付き合いになるマシュ。いつもは「先輩!」とにこやかに話しかけてくるのに、今は目を合わせてもらえず、あまり懐いていないランスロットの後ろに隠れるまである。
自室に戻ると中にメカエリちゃんⅡ号がいた。何をしているのかと眺めていると目がいきなり光だし、部屋の中をスキャンし始めた。少ししてスキャンが終わったのかタンスから「ホワイトローズ」を取り出し部屋から出て行った。
……まさか、他にも何かないか見に来た。とかじゃないよね?
このまま部屋で休むのも無理そうだから再びカルデアの廊下へ。
どうすればこの事態が収まるのかと考えながら歩いていたら、曲がり角で沖田総司と沖田総司オルタと鉢合わせした。
二人はこちらを視認するやいなや、それぞれ縮地と極地で距離を取り、自分の獲物に手を掛け、睨まれた。
その後も酷く、解決への糸口がないかシャーロック・ホームズに聞きに行ったら子ギルと一緒にチェスをしてて無視されたり、夕食を食べに食堂に行ったらエミヤと会い宝具を展開されかけたり、部屋に戻ろうとしたらすれ違ったキルケーにキュケオーンをパイ投げの如く顔に叩き付けられたり、部屋でアルトリア・ペンドラゴン・リリィから目に涙を浮かべられながらお説教された(お説教終わりに頭を撫でようとしたら「ヒィッ!」という声とともに避けられた)り、その声を聞いたクー・フーリンにゲイ・ボルクを投げられ、思わず飛び起きた。
……さっきまでのは、夢……?
着ていた服は寝汗でグッショリ濡れ布団にも僅かに寝汗が染み込んでいた。どうやらだいぶ汗をかいたみたい。
そう自分の状態を確認した所で、マイルームの扉がノックされた。
「ご主人、グッモーニン。キャットがお部屋の掃除に来たのだ。扉を開けて欲しいんだワン」
その声に部屋を見ると、足の踏み場もないとまではいかないまでも、それなりに汚れていた。
キャットを中に入れようとして、ふと、さっきまで見ていた夢を思い出す。
「ちょ、ちょっと待ってキャット!大丈夫!部屋の掃除は自分でやるよ!」
「そうか?まぁご主人がそういうのならキャットも吝かでない。それならキャットはお昼寝に行くとする」
な、なんとか正夢にならずに済んだ……
壁に掛けられている「魅惑の獄長ルック」を見ながらホッと息を吐いた。
まずは最後まで読んでくださりありがとうございます。
この小説はまえがきでも書いた通り、友達と笑いながら考えた話です。出ているサーヴァントはウチのカルデアに実際に召喚されているサーヴァント達に出て貰いました。
そもこの話になった理由はTwitterでバグの発生条件が「メイヴを持ってないのにメイヴの霊衣を持っていると起きる」とあったのが理由です。
男サーヴァントが優しいのは作者が女性サーヴァントを嫌っているからではないです。むしろ女性サーヴァント好きです。大好きです。
あとキャットが部屋の掃除をしに来たのは絆レベルが10だから……ではなく、最初のガチャで来てくれた子だからです。
匿名で短編として考えていたので特に連載は考えていません。が、別のどこかでお会いできたら、その時もよろしくお願いします。