シャーロット家の秘蔵子は『つまらない』やつ   作:傍目

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『秘蔵』の力

 

 

 

シャーロット・プリンはこんなにイラついたのはいつぶりかと、空から一人と一匹を眺めながら思った。

 

 

彼女がこんなに業腹(ごうはら)な理由。

 

その一番は大好きな双子の兄、トライフルが母直々の任務として国全土の見張り番をしており、その過酷な任務は数日前から今日までずっと続いていた事だった。

碌な休みもとれず、疲れた体にムチ打ちながら仕事をこなす兄を想うとこっちの気が休まらなかった。

 

 

それが今しがた、麦わらの一味が現れたものの船長はすでに死亡という予想外の形で任を解かれることになったのだ。

 

 

カカオ島ショコラタウンにて、彼女が運営する(カフェ)『カラメル』にその一報が届いた時は本当に心の底から安堵した。

 

 

「あぁ、よかった…。トライフルってば本当に無茶ばっかりして……。」

「ホントだぜ。アイツはママ相手でもこうと決めたら意地でも引かねェからな!こっちが恐ェんだよ!」

「ホントホント、心臓が持たねーよ。まァおれら心臓はねーんだけどな、ギャハハ!」

 

 

ホッと胸をなでおろすプリンにニトロとラビヤンが同意しながらコントを繰り広げる。

その様子を見て、積もり積もった不安が取り払われたプリンもようやく笑顔になった。

 

 

「フフフ!トライフルは今頃こっちの気も知らずに夢の中でしょうね。

 そうだわ!彼が起きたら、栄養たっぷりの美味しいチョコレートドリンクをご馳走してあげましょう!

 配合はどうしようかしら?材料も厳選しなきゃ!香辛料はどれを……。」

 

 

ウキウキと兄のためのスペシャルドリンクレシピを練っていると、『プルルルル』と電伝虫が鳴きだした。

 

 

「あら、予約の電話かしら?はい、こちらカフェ『カラメル』です。」

 

《……おれだ、プリン。》

 

「え?モンドール兄さん??」

 

 

つい先ほど、トライフルの任が解かれたことと麦わらの残党狩りに出ると連絡してきた兄の再度の通話に少々驚いた。

 

 

「どうしたの?麦わらの残党狩りに包囲網を展開するって言ってたのに。」

 

《………トライフルから再度連絡があった。》

 

 

受話器から聞こえるモンドールの声は低くこもっており、どこか怒っているようにも聞こえ、プリンは何を苛立っているのかと疑問符を浮かべる。

 

 

 

 

 

《……麦わらの野郎が………生き返りやがったッ……!!!》

 

 

 

 

 

兄の言葉に、プリンは一瞬理解が遅れた。

 

 

 

 

 

「…え?……え!?……ど、どういうこと!!?さっき死んだって…!トライフルが視たんでしょ!?」

 

《そのトライフルは完全にダウンしちまって詳細はわからねェんだよ!だが倒れる直前に確かに言った!

 

 やつを生かしやがったのは『ジェルマ』だ!

 桃色の髪をした、恐らく"黒足"の身内だとそう言った!!クソッタレ!その女、余計なことしやがって!!》

 

 

憎々し気に吐き捨てるモンドールに、プリンは彼が吐いた単語を拾い上げ、頭の中にビッグ・マムの計画妨害の片棒を担いだに等しき人物の姿を思い描いた。

 

 

「桃色の髪………黒足…サンジの身内の……女…!?」

 

《麦わらのナワバリ侵攻により、ママから兄弟及び全戦闘員に指令だ!!

 

 

 『"麦わらの一味"はまだ泳がせていい!サンジには会わせるな!おれに刃向った事を後悔させてやれ!!』

 

 

 プリン!トライフルの報告だと、麦わら達はカカオ島の直線状にいる!29番タルトからも警告念波をキャッチしたと報告が入っている!

 お前はこのままそこで麦わら達が上陸するのを待て!奴らがそこへ乗り込んできたら………

 

 

 上手く取り入って、ママのいる"ホールケーキアイランド"へ誘導しろ!

 兄弟、戦闘員達がそこで待ち構えている!奴らを一網打尽にするぞ!!》

 

 

(くだ)った指令と共に自分の敵が誰なのか、カチリとピースがはまった。

瞬間、先ほどまで胸に弾ませていた喜びが消えうせ、再び沸々と怒りが湧きあがる。

 

 

「…まかせて兄さん……トライフルの手を煩わせるネズミ達…!必ず檻にブチ込んでやるわ!!」

 

《気をつけろよ!敵はたった5人だが、内4人は賞金首だ!

 …あとぺコムズも乗ってるらしいが、アイツはタマゴ率いる戎兵達に任せる事になってるから放っておいていい。

 じゃあ頼んだぞ、プリン!》

 

 

ガチャリと通話が切れ、プリンはぎりりと奥歯を噛みしめた。

 

 

「…ジェルマ……サンジの身内の女……!!許さない!ここへ来たら目に物見せてやる…!!!」

 

 

自分達にとって一番余計な事をした、未だ見ぬサンジの親族にプリンは第三の目を開いて怒りを露わにした。

 

 

 

それがほんの数時間前の事。

プリンはイラつきを抑えながら、ラビヤンに乗ってカカオ島上空を飛んでいた。

本来、船を停めるべき場所ではない入り江に停泊させてある麦わら一味の海賊船を見つけた彼女は、母の命令がなければそこへ爆弾でも投げ入れてやろうかと思っていたところだった。

 

 

(もう!ママったら!!今なら船ごと奴らを魚のエサにしてやれるのに!)

 

 

手出しできずにやきもきするも、そこは兄姉達がノコノコやって来たことを後悔するほど痛めつけてくれることを期待しながら、目の前の敵にどう接触をはかるか考える。

 

 

(やっぱり、私がサンジの結婚相手ってことを利用するべきかしら?なんの接点もない赤の他人同士で偶然話しが合うなんて都合がよすぎるし……って、んん!?)

 

 

案を練っていたら、いつのまにか先ほどまで船の上で町の様相に目を輝かせていた船長とタヌキの姿がなくなっていることに気づき、プリンは焦った。

 

 

(アイツら!!敵のナワバリに乗り込んでんだぞ!?何、人のシマでウロチョロしてんだ!!?)

 

 

自由すぎる敵に心の声が荒くなる。

 

…とその時、

 

 

 

「『カフェ食い事件』だ―――!!!」

 

 

 

平和なショコラタウンに穏やかではない言葉が響いた。

カフェ、の言葉にまさかと思いラビヤンを町に引き返させると……

 

 

(わ、私のお店が……!!)

 

 

プリンが営むカフェは、見失った船長とそのペットに食い荒らされ姿を消していた。

そして騒ぎを聞きつけやってきたチョコポリスが現行犯で逮捕しようする直前だった。

 

 

(オイオイオイオイ!!?なに早々に民間のサツなんかに捕まろうとしてんだテメーら!?こっちはママから指令預かってんのよ!?)

 

 

今まさに逮捕さ(パクら)れようとしている事に内心慌てふためいていると、現行犯達も自分達の主張を述べる。

 

 

「でもよおっさん、これには深い理由が……」

「ほう…言ってみろ!!」

 

 

青筋立てながらも一応言い分は聞くチョコポリスに、一人と一匹は幸せそうな笑顔で答えた。

 

 

 

「うますぎた!!」

「よーし、そうきたかアホ共!!!連行だ!!!」

(もっとマシな言い訳しろ、バカ共―――!!!)

 

 

お粗末すぎる言い分にプリンは心の中でツッコんだ。

 

 

(大体美味しくて当たり前でしょ!?あのトライフルが笑顔で美味すぎるって言ってくれたんだから!

 こだわりの強い兄弟達だってトライフルを笑顔にするお菓子を作るのは一苦労なのよ!?)

 

 

数日前に壁の塗り直しに使うなんて贅沢だと、あの仏頂面に言わせしめた一品にプリンは誇りを持っていた。

それを食べてうまいと言わない奴などいないとすら思っていた。

 

 

(あの自慢のチョコを食べて、不味いなんて言ったらぶちのめして……)

 

 

プリンはチラと横目でその自慢のチョコが塗られた壁を見た。

 

 

 

 

……が、塗り直した壁チョコは食べられていなかった。

 

 

(なに残してんだ――――――!!?)

 

 

一番の自信作をまさかのお残しされたことにブチ切れた。

 

 

(あんにゃろーども!!ぜってー美味い()って引っ繰り返らせてやる!!)

 

「待って!!チョコポリスさん!」

 

 

プリンは内心で般若顔になりつつ、外見は良い子の顔を貼り付けて、不届き者達にチョコを食わせるべく降り立った。

やはりシャーロット家の兄弟達はその職人気質ぶりがどこかズレているのだった。

 

 

こうしてプリンは麦わら一味に接触し、司令通りにうまく彼らをホールケーキアイランドへと誘導した。

 

 

 

その頃、そのホールケーキアイランドが大混乱になっていることも知らずに……

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「マズイぞ!ママの"持病"が出た!」

「急ぐのだボン!!今回の『お題』は何でソワール!?」

 

 

「『クロカンブッシュ』!!!」

 

 

「……シュークリームを積み上げたあの"飾り菓子"か!!」

 

 

食いわずらいと称されるビッグマムの傍迷惑(はためいわく)な癇癪は、今回のように全く予測できない形で突然起こる

もはや病気ではなく自然災害だ。

現に町は嵐が停滞しているのと変わらない惨状が今も続いている。

 

 

「何て難題!!……いや待て、都のホテルに確か…!!

 

 シュークリームの団体客がいたジュテーム!!」

 

 

(きも)であり、一番面倒な工程の手間が省けると希望の光が射したかに思えたが、

 

 

「―――それが、今朝チェックアウトを……」

「作るしかないのか!!」

 

 

物に魂が宿るということは、こういう弊害を起こす場合があるからこの国は油断できない。

 

 

「シェフは何と!!?」

 

 

正攻法で頼ってみれば、

 

 

「生地に拘りたい。アーモンドを手配してくれ。」

 

《ナッツ大臣に連絡を!》

 

 

頼みの綱はこんな一大事でも空気を読まない。故にわずかな時間でも縮められるようこっちが気を配るしかないのだ。

 

 

「ママの"食いわずらい"にも困ったものだボン!!」

「"発作"は突然来るからな!!」

「コレが食べたいと頭に浮かんだものが口に入るまで破壊が続く…!!!」

 

 

「……やはりトライフル様を起こした方が……」

「ダメだ!!」

 

 

一人がそう提案すると、タマゴ男爵は素早く却下した。

 

 

「あの方はもう何日も休まずじまいだったおかげで疲れ切ってイルブプレ!これ以上、負担をかけるわけにはいかないでソワール!」

「し、しかし!このままママを野放しにすれば首都が崩壊しかねないのだぞ!!」

 

 

食い下がる同じビッグ・マムの配下達に、タマゴ男爵は口角泡を飛ばして反論する。

 

 

「勘違いするな!私はトライフル様を敬愛しているが、ただの贔屓でこの現状に甘んじているわけでは無い!

 

私はあの方が起こした"厄災"を間近で目にしているのだボン!

 

今の状態のままトライフル様に能力を酷使させれば、このホールケーキアイランド、いや!

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()力が発動する可能性もありえるノワール!

 

 

 そうなればママを止められても本末転倒でソワール!」

 

 

その場にいた者たちは男爵の剣幕におされ、何も言えなくなってしまった。

 

 

「ママを止めるためには、一刻も早くクロカンブッシュを作るしかないボン!」

「ぐっ……!致し方ない…とにかく急げ!!!厨房!!あとどのくらいかかる!!?」

 

《香りに一工夫欲しい。バニラの他にもいくつか香辛料を……》

 

「だあああァ――――――ッッッ!!!」

 

 

やはりシェフは空気を読まなかった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

一方、首都『スイートシティ』

 

 

 

 

「クロカンブ~~~ッシュ!!!」

「ママ!ママ!!この町マズイって!!」

「城まで壊しかねない!!」

「ムリムリ。聞こえないって。」

 

 

クロカンブッシュを求めて暴れるビッグ・マムをなんとか言い聞かせて止めようと、ナポレオンとプロメテウスが懸命に声掛けするがまったく聞き耳を持たない。

ゼウスに至っては無駄だとわかりきっているため早々に諦めてしまっている。

 

首都の住人たちは悲鳴をあげながら、襲い来るビッグ・マムから逃げ惑っていた。

 

 

 

「どこにある!?」

 

 

ガシッ!

 

 

「ギャ―――!!」

 

「どこにいる!?」

 

 

ガシッ!!

 

 

「助けて―――!!」

 

 

逃げ遅れたお菓子のホーミーズを捕まえては、片っ端から口に放り込んでいく。

 

 

「この味じゃねェ!!お前でもねェ!!全部違ァ~~~~~~う!!!」

 

 

求めるものと違えば怒り狂って建物に八つ当たりの拳を叩きこむ。

 

もはやこんな化物誰にも止められない、と町の住人達は誰もがそう思っていると……

 

 

 

「ママ!!やめてくれ!!」

 

 

 

一人の男がビッグ・マムの前に立ちはだかった。

 

 

 

「誰だァ!!?クロカンブッシュはどこだァ!!!」

 

 

ビッグ・マムがプロメテウスを鷲掴んで男に投げつけると、投げられた方は慌ててそれを避ける。

 

 

「うわ!!ママ!!私だよ、モスカートだ!!!」

「ああ!!モスカート様だ!!」

「『ジェラート大臣』!!彼ならなんとか…!!」

 

 

男の正体がシャーロット家の16男『シャーロット・モスカート』だとわかった住人達は、期待を込めて二者の動向を見守った。

 

 

「あと30分時間をくれ!!!今シェフ達が大至急作っている所だ!!!」

「よせ、モス兄!()()を止めるのは不可能だ!!!」

「首都の崩壊を見過ごせというのか!?」

 

 

災害と化した母に立ち向かうモスカートをモンドールが止めようとするも、責任感の強い彼は頑として引かない。

 

 

「そこをどけ~~~~~~!!!」

「うわ!!」

 

 

兄弟が言い合いをしている間も、ビッグ・マムは実子への攻撃をやめない。

 

 

「私がわからないのか!?ママ!!!」

 

 

どうにか正気を取り戻させようと、なおも声をかけ続けるが……

 

 

 

 

 

寿命(ライフ) オア お菓子(トリート)……!?」

 

「!!?」

 

 

 

 

 

無慈悲なる宣告が、モスカートへと降りかかった。

 

 

「ウソだろ!?ママ!!あんたが生んだ息子だぞ!!!」

「ママやめて――――――!!」

「な!!生クリームならあるファ!!生地はないが!!ママ!!よせ!!!」

 

 

共に住人を避難させていたガレットとオペラが、実質の死刑宣告を受ける兄弟を助けようと母に叫ぶ。

 

 

「お菓子は…まだ…ここには……!!」

 

 

モスカートは震える声で、母に猶予を求めるものの……

 

 

 

 

 

「お菓子を食べる邪魔をするな…!!」

 

 

 

 

 

彼女の目に実の息子(モスカート)の姿は映らない。

 

 

 

―――コポ…コポ……

 

 

 

絶望するモスカートの体から、質量を持った青白い煙のようなものが浮かび上がる。

 

それは『寿命』。

生きる者が当たり前に持つ生命力であり、『(ソウル)』そのもの。

 

 

「あ…あ……!!」

「モスカート!!落ち着け!!臆したら寿命を取られるファ!!!」

 

 

恐怖に慄く身をオペラに叱咤されるがモスカートはもう冷静にはなれなかった。

 

 

「うわァ!!助けてくれママ!!!もう止めないよ!!」

 

 

勇敢に立ち向かった姿から一変、背を向けて逃げる彼に、ビッグ・マムは容赦なくその巨大な腕を振りかぶった。

 

 

 

「モス兄――――――!!!」

「兄さーん!!!ママやめて――――――!!!」

「モスカート……!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「兄ちゃん、ゴメン!!」

 

 

 

 

 

 

迫りくるビッグ・マムの腕とモスカートの間に、小さな影が割って入った。

 

 

 

 

――――――バキィッ!!

 

 

「ぎゃっ!!」

 

 

 

影は携えた棒を振りかぶり、モスカートの背を力いっぱい叩いて吹き飛ばした。

 

 

―――スカッ!!

 

 

「!!?」

 

 

急に目標地点からモスカートが消えた為、寿命をつかみ取ろうとしたビッグ・マムの手は何もない所を空振りする。

 

 

 

―――ゴロゴロゴロ、ズシャ―――!!

 

 

「うご!ぶべっ!おぼぼぼ…!!」

 

 

モスカートは小さく悲鳴をあげながらモンドール達のもとへ転がっていき、母の魔の手から逃れることが出来た。

 

 

 

「モス兄!!」

「兄さん!!よかった……!!」

「い、一体だれが……!!?」

 

 

モスカートが間一髪で救われたことに安堵しながら、兄弟達が彼の傍に駆け寄る。

しかしその安堵も、現れた影から発された『カランコロン』という聞き馴染みのある音にかき消された。

 

 

 

 

「危なかった!……しっかし、酷い有様だな…。」

 

 

 

『トライフル!!?』

「あ…!!ト、トライフル様だ!!!」

「トライフル様がモスカート様を救ってくださった!!」

 

 

変わり果てた首都の様相にため息つくトライフルの姿がそこにあった。

 

 

「ト、トライフル…!!助かった、あ゛りがとう゛……!!」

 

 

未だ死を体感した恐怖に震えるモスカートは涙を流しながら礼を言う。

 

 

 

 

「まだ邪魔をするやつがいるのかァ~~~!!!」

 

 

しかし、その間にもビッグ・マムの怒りは増大するばかりである。

 

 

「トライフル!!なんでここにいるんだ!?」

「危ないわトライフル!!逃げて!!!」

「早く離れるファ!!!ママはもうクロカンブッシュの事しか見えてない!お前といえど殺されちまうファ!!!」

 

「げっ!クロカンブッシュかよ…、また面倒なモン食いたがって……。」

 

 

食いわずらいのお題を聞いてボリボリと頭をかくトライフルの頭上を黒い影が覆う。

 

 

「邪魔をするんじゃねェよ~~~!!!」

 

 

巨大な影…ビッグ・マムの拳がトライフルに向かって振り下ろされる。

 

 

「マ、ママ!!よせー!!そいつはあんたの大事な……!!」

 

 

 

――――――ボゴオオォォン!!

 

 

 

言い切るよりも先に、拳が叩き落された。

トライフルが立っていた地面は抉れ、敷き詰められたビスケットの道が砕けて宙を舞う。

 

 

「キャ――――――!!!」

「トライフル様が……!!実の息子を殺したァ~~~!!?」

「ト…!!トライフルッッ!!!」

 

 

無惨な光景を目の当たりにした兄弟や住人達は顔を真っ青にして叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

――――――タンッ!

 

 

 

 

 

 

 

濛々(もうもう)と立ち込める土煙から人影が飛び出し、虚空を蹴った。

 

 

「お、おい見ろ!!」

「トライフル様だ!!生きてたぞッ!!!」

 

 

ビッグ・マムの一撃をかわしたトライフルはそのまま空中をタンッタンッと蹴り、高く上昇し続ける。

 

 

「待ちなァ!!この邪魔なハエめ!!!」

「っ…と!ママ、とりあえず…ほっ!落ち着きな…よっと!」

 

 

空を駆ける体技―――月歩を駆使してトライフルは、母の手から逃げ回る。

 

 

「チョロチョロとハエが……!!焼き殺してやる!!!」

 

 

―――ぎゅむっ!

 

 

ビッグ・マムは傍らのプロメテウスを鷲掴んだ。

何をする気かわかってしまったプロメテウスは今まで以上に慌て始めた。

 

 

「え!?ちょ、ママ待って!!それはホントにマズイって!!!」

「死ねェ!!"天上の火(ヘブンリーファイア)"ァ~~~!!!」

 

 

投げられたプロメテウスは大火事の様に燃え盛りながら、トライフルの方へ飛んでいく。

人々も山火事さながらの燃え盛る彼の姿にたまげた。

 

 

「あ、あんなに大きな炎、避けられるはずがない……!!」

「トライフル様が焼け死んでしまう!!」

「ま、待て!この位置は……おれ達もプロメテウス様に巻き込まれるぞ~~~!!」

 

『ええ~~~~~~!!?』

 

 

トライフルは後ろを振り向くと多くの住人達が、直進してくるプロメテウスの軌道上にいる事に気付いた。

 

 

「おっと、こいつはマズイ。

 

 "空元気模様(カラフル・パレット)"」

 

 

迂闊に避けられないとわかると、棍を持っていた手とは反対の方のそれを軽く掲げた。

 

 

―――ポワァ……

 

 

するとその手が青紫色のオーラに包まれた。

トライフルはその手で棍を一撫ですると、棍にオーラが纏わりつく。

その一連の動作を目の当たりにしたプロメテウスはギョッとした。

 

 

「ギャ―――!!待て待てトライフル!!おれは自分の意思で攻撃してんじゃ…」

「なくても危険なんだよ。大人しくくらってくれ。」

 

 

淡く光る棍を構え、向かってくるプロメテウス目掛けて思い切り振りかぶった。

 

 

「うぎゃあ―――!!勘弁してくれ~~~!!!」

 

「"奈落陽抑紫力(ヘリオトロープ)"!」

 

 

―――ボウンッ!!

 

 

棍はプロメテウスに直撃し、彼の頬から顔にかけてが抉れる。

しかし、元が火である彼に物理攻撃が効く様子は無く、すぐに元通りくっついた。

 

 

「だ、ダメだ!!全然効いてない!!逃げろ!!」

「ムリだ!!あんな大きな火~~~!!!」

「もうおしまいだ~~~!!!」

 

 

轟轟と燃え盛る生きた炎に、逃げ場を失った人々が絶望に立ち尽くす。

 

が……

 

 

 

 

―――プシュウウウゥゥ……

 

 

 

 

目の前まで迫っていたプロメテウスが突然、水でもかけられたかのように小さくなっていった。

力をなくした彼はボールの様に人々の間をポンポンと転がっていく。

 

 

「う゛え゛え゛ぇぇ~~~…力が抜けドゥ~~~……。」

「プ、プロメテウス様が元に戻ってしまわれたぞ!?」

「う゛う゛ッ……!おれなんか…おれなんか焚火(たきび)以下だ……!」

 

『なんかすごいネガティブになってるぞ!!?』

 

 

テンションが急降下したプロメテウスの姿に住人達は目をひん剥き、ナポレオンとゼウスは威厳丸潰れな同族の姿に合掌した。

 

 

「ぐうう~~~…!!クロカンブッシュウウゥゥ~~~!!!」

 

 

一方、哀れな自分の魂の片割れを尻目にクロカンブッシュに盲目になっているビッグ・マムに、トライフルは呆れながらモンドールに問いかける。

 

 

「…はー、こりゃダメだ……兄ちゃん、厨房の進捗はどんな感じ?」

「シェフ達は今も死に物狂いで作ってる!!それでも30分はかかる!!だから逃げろトライフル!!!お前の体がもたねェ!!!」

「……だとよママ。あと30分だけ我慢して待ってくれよ。」

 

 

モンドールから逃げるよう指示されてもなお、トライフルは母を説得しながら宙を舞う。

そして、そんな彼にも残酷な言葉が投げかけられる。

 

 

 

 

寿命(ライフ) オア お菓子(トリート)……!?」

 

 

 

 

「わああぁ!!?トライフルまで()()()()()()()……!!」

「ママ!!?ダメよ!!正気に戻って!!!」

「トライフル!!早く逃げるファ!!ママの手が届かない所へ……!!!」

 

 

 

ビッグ・マムの眼前で大気を踏みしめるトライフルは、逆に母に突っ込んでいった。

 

 

 

「トライフル様!!?お逃げください!!!」

「なぜ突っ込んでいくんだ!?やけを起こされたのか!!?」

「死んじゃやだよー!!トライフル様―――!!」

 

「トライフルやめろ――――――!!!」

 

 

叫び懇願する者達に目もくれず、トライフルは答えた。

 

 

 

 

「はいはい、お菓子(トリート)お菓子(トリート)。」

 

 

 

 

彼は全く臆する様子無く、ビッグ・マムに向かっていきながらもう一度手を掲げた。

 

その手は先ほどとは違い、赤い色のオーラを纏っていた。

 

 

 

「だがあと30分待ってくれな!!」

 

 

 

大きな母親の顔面に、小さな体が矢の如き速さで突き進んでいく。

 

 

 

 

「"凪心(カーマイン)……」

 

 

 

トライフルは淡く輝く赤色を纏った手を、

 

 

 

 

零赫怒(レッド)"!!!」

 

 

―――パアァン!!!

 

 

 

ビッグ・マムの鼻っ柱に叩きつけた。

 

 

 

 

「………!!」

「ママ、落ち着け。怒りを鎮めるんだ……。」

 

 

トライフルはビッグ・マムの大きな鼻頭に足をかけ、癇癪を起した子供をなだめるように優しくなでる。

 

 

 

「…………」

 

 

怒りに吊り上がっていたビッグ・マムの目じりは、徐々に垂れ下がっていく。

 

 

 

 

「………はぁ~~~♡♡」

 

 

ビッグ・マムは振り上げていた腕をだらりと下げ、いからせた肩は丸くなり、気持ちの良さそうなため息をつきながらすっかりリラックス状態になった。

 

 

 

「!!!……と、止まった……ビッグ・マムが止まったぞ!!!」

「すごい!!さっきまでの怒りの形相がウソみたいに穏やかに……!!」

 

 

驚きに目を見開き、ざわつく住人達とは逆に、兄弟達は苦い顔をしていた。

 

 

「トライフルの奴!あんな体で二度も能力を……!!」

「くっ…!!……だけど今なら住人を安全に避難できるわ!!」

「……仕方ないファ……住人達!!ママはもう暴れない!!今のうちに避難するファ!!!」

 

 

首都の住人達は兄弟達の言葉に、再び希望が宿った。

 

 

「き……奇跡だ!あのビッグ・マムの癇癪を止めるなんて……!!」

「流石トライフル様ッ!!!ありがとう~~~!!」

 

「感謝されるいわれはねェよ。」

 

 

わあわあと歓声を上げていた人々は、トライフルの発した言葉にピタリと動きを止めた。

言った当の本人は母を撫でる手を休めずに彼らに告げる。

 

 

万国(トットランド)はママのナワバリであり、ここにある全てがママの財宝だ。息子のおれが(それ)を守るのは当然の義務だ。」

「と……トライフル様…。」

「そんな………。」

 

 

にべもない言葉に誰もが顔を曇らせ、涙目になる者も現れる。

 

 

 

 

「だから、もう何も壊させないし、だれも死なせない!お前達だって大切な『宝』だ!!絶対に守ってやる!!」

 

 

「トッッ!!トライフル様ァ~~~~~~♡♡♡」

「キャア~~~♡トライフル様素敵~~~~~~♡♡♡」

「バンザーイ!!トライフル様バンザ~~~イッッ!!!」

 

「ううゥゥっるせえェ―――!!!さっさと逃げろっつってんだろ!!?」

 

 

一変、感涙にむせぶ人々にモンドールが目を三角にして怒鳴りつける。

トライフルの雄姿に釘付けになって動かない住人達に、モスカートが頼りない足取りながらも立ち上がり声をかける。

 

 

「み、みんな!『アレ』はあくまでも足止めだ…!ママが完全に正気に戻ったわけじゃない!!加えて、トライフルの能力は使うほどに自身に負担がかかる!アイツの為にも…一刻も早く避難をするんだ!」

「大丈夫よ!慌てないで!!私達の誘導に従って落ち着いて行動しなさい!」

 

 

住人達は気を引き締め、されど先ほどよりはずっと落ち着いて避難誘導に従った。

 

 

 

「あ~~~♡……クロカン…ブッシュ……食べたいよ~、マザ~……♡♡」

「うんうん。いい子だからもう少し待とうな。」

 

 

夢見心地のビッグ・マムに落ち着き払っているトライフルの二人だが、それを見守るしかない兄弟達は気が気じゃない。

 

 

「クソ!早くクロカンブッシュを食わせないと…!」

「タマゴ男爵!!クロカンブッシュはまだか!?今、トライフルが必死でママを足止めしてくれているんだ!!」

 

《なっ!?トライフル様がなぜ!?……シェフ!!あとどれほどかかる!!?》

 

 

トライフルが首都にいる事に驚く男爵は、急いで厨房に念波を繋ぐ。

シェフ達もトライフルがビッグ・マムを止めている事を聞いて目を見開いた。

 

 

《トライフル様がそこにおられるのですか!?

 

 

 

 

 …………………

 

 

 

 

 あと1時間ほどかかるかと……》

 

「時間増えてるじゃねェか!!?何さらなる拘り見せてんだ!!30分で作れ!!!」

 

 

シェフはわりと調子に乗っていた。一番の怖いもの知らずは彼なのかもしれない。

 

その時、終わりの見えない戦いに、終止符を打つ者がやって来た。

 

 

 

――――――ザザザザ…

 

 

「え!?」

「ジュースの川から誰か来る!!」

 

「あれは……!!」

 

 

避難する住人達が、彼の姿を捉えた。

 

 

 

 

「みな、どいていろォ!!!」

 

 

「ジンベエ親分だァ~~~!!!」

 

 

川の上流からジンベエザメに乗って、"タイヨウの海賊団船長"にして元"王下七武海"、

『海侠のジンベエ』が姿を現した。

 

 

「傍らに!!『クロカンブッシュ』!!?」

「ホテルに泊まってたシュークリーム達を捕まえてくれたんだ!!」

「ちゃんとアメで固まってるのは『キャンディ大臣』の仕事か!?」

 

 

この地獄を終わらせてくれる唯一のお菓子を持ってきてくれたことに皆喜びに沸き立つ。

 

 

「助けて―――!!食べられる――――――!!!」

 

 

アメで固められたシュークリーム達は今まさに地獄を見ようとしているが。

 

 

 

「トライフル様!!どいてくだされェ!!!」

「……!!」

 

 

クロカンブッシュをひっつかみ、ママへと向かって跳躍するジンベエを捉えたトライフルはそのタイミングに合わせてそこから飛び退いた。

 

 

 

「受け取れ!!」

 

 

 

 

――――――がぽっ!!

 

 

 

 

クロカンブッシュが、ビッグ・マムの口に収まった。

 

皆、固唾をのんでその行方を見守る。

 

 

 

「…………………

 

 

 

 

 …………………………

 

 

 

 

 

 お~~~い~~~しィィ~~~~~~♡♡」

 

「!!!……やったぞ!!ママの癇癪が治った~~~!!!」

「ありがとう!!ジンベエ親分~~~~~~!!」

 

 

ビッグ・マムはひっくり返って喜び、正気を取り戻した。

 

 

 

 

ホールケーキアイランドに、またいつもの日常が戻った。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「トライフル!!お前寝てたんじゃなかったのか!!?」

「ちゃんと体を休めなければダメでしょう!?」

「いや、寝てたんだけどさァ、ちっと忘れてたことが……。」

 

「も、モンドール様、ガレット様。そんなに叱らなくても……。」

「私達、トライフル様のおかげで救われたのに……。」

 

 

ガミガミと弟を叱り飛ばす兄姉達におずおずと意見を申す住人達だが、トライフルは手を振ってやめるよう促す。

 

 

「いい、いい。庇わなくて。それに救っちゃいねェさ。被害は甚大だし、死傷者も出てるんだ。おれも素直に喜べやしない。」

「そんな…トライフル様……。」

「あんなに身を挺しておれ達を守ってくださったのに……。」

 

 

無表情で感情がわかりにくいトライフルだが、どこか浮かないように見える姿に住人達もしょんぼりしてしまう。

 

 

 

「……それでも、今ここにいるみんなが無事でよかった。生きていてくれて嬉しい。」

 

「と!!トライフル様ァ~~~♡♡♡」

「素敵…!!!もうダメ……♡♡♡」

「一市民のおれ達にこんなにお心砕いてくださるなんて…!!」

 

 

一変、心優しいトライフルの言葉に目をハートにしてむせび泣く。

喜びのあまりに万国(トットランド)の民の血が歌を口に乗せる。

 

 

 

「なんて優しいお方~♪」

 

「人間にも♪」「動物にも♪」「ホーミーズにも♪」

 

「愛で溢れる御人♪素敵な御方♪」

 

「みんなの事が~大好きで~♪」

 

「私達みんなも大好きな~♪」

 

「おれ達の~♪」「私達の~♪」

 

「誰もが愛するお方~~~♪」

 

「その名は~~~……」

 

 

 

『トライフル様ァ~~~!!!』

 

 

 

その深い愛情に応えるように、皆一つになってトライフルに愛の言葉を贈る。

 

 

 

 

 

 

「…………くか――――――。」

 

『寝た~~~~~~!!?』

 

 

しかし、当の本人は微塵も聞いていなかった。

 

 

「だァ―――ッッ!!!うるせェーんだよお前らッッ!!!トライフルが起きるだろうが!!!」

「いや、お前が一番うるさいファ、モンドール。」

「お、落ち着けモンドール…。おれが城まで運ぶから。」

 

 

モスカートがキレやすい弟をなだめながらトライフルを抱えて、城までの道を歩き出した。

 

 

 

「……おや~~~?おれの忠実な海の戦士!!ジンベエ~~~!!

 この前は"歴史の本文(ポーネグリフ)"の手土産見事だったよ。読めやしないがね、ハ~ッハハママママ!」

 

「…くかー…くかー………ジン……ベ~……?」

 

 

完全に正気に戻ったビッグ・マムはいつの間にか目の前にいたジンベエに、以前彼が自分の海賊団に貢献してくれた出来事を称賛した。

トライフルは、夢見半分にその言葉を聞く。

 

 

「……どうした今日はこんな所で?

 妙に都が芳ばしいけどお前がやったのかい?」

 

「いや……わしは今来た所で何が起きたかは知りません。わしァ今日はあんたに大切な話を聞いて貰おうと……」

 

 

―――がばっ!!

 

 

「ジンベエ――――――!!!」

「おわっ!?」

 

『!!?』

 

 

 

モスカートの腕の中で眠っていたトライフルが大声上げて起きた。

急に目を覚ましたことにモスカートが驚き、ビッグ・マムとジンベエも突然の叫びに目を開いてそちらに目を向ける。

 

 

「んあ~?トライフル??こんなとこで何やってんだい。お前にはお茶会まで休みを与えたはずだろ。」

「あー、そうだった、忘れるとこだった。よお、ママちょっくら報告漏れがあったもんで伝えに来たんだ。」

 

 

あくびを噛み殺しながらビッグ・マムと、傍らのジンベエにも目を向けながらトライフルは伝えた。

 

 

 

 

 

「『お客』の船を視た時にさあ……、何故か海中に知り合いの姿も見えたんだよ。」

 

 

 

 

なんでアイツがいたのかな~と腕を組んで考えるトライフルに、ジンベエが息をのんで動揺を露わにした。

 

それを見逃さなかったトライフルは、言葉を続ける。

 

 

 

 

「それがお前のとこの副船長だったんだがよ……ジンベエ……

 

 

 

 何故アラディンはおれよりも先にずっとつけてた『お客』の事をママに報告しなかった?

 

 ()()()()()『内容』の方がそんなに重要だったのか?」

 

 

 

ツー…とジンベエの頬に冷や汗が一筋伝った。

 

トライフルの報告を聞いたビッグ・マムは鋭い目でジンベエを睨みつけ、すぐに笑顔でトライフルを労った。

 

 

 

「……ハ~ッハハハママママ!そうかい、ご苦労だったねトライフル。

 もう城に戻ってゆっくり休んでな。可愛いお前が結婚式に参加できないなんてこと、あっちゃならねェからね~♡♡」

「うん、ありがとう。可愛い妹の結婚式だ。おれが参加しないなんて…………

 ママ!?どうした!!?ヒゲが生えてるぞ!!?」

「トライフル…私だ、モスカートだ。お前もう寝るんだ。」

 

 

モスカートは動揺で周りが見えなくなっている弟の背をポンポン叩きながら、城へ戻っていった。

その背中を見送ったビッグ・マムは再び、ジンベエに顔を戻した。

 

 

 

「………おれの息子がああ言ってたが……………

 

 

 ジンベエまさかおめェ……

 

 

 

 ウチやめたり……しねェよな……。」

 

 

 

 

平和が戻ったはずの首都で、二人の間に満ちる空気はひどく重かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う゛う゛ぅ゛……おれなんか焼き芋も作れねェ……マッチの火以下だ……!」

「プロメテウス~、元気出せよ~~~。」

(あーあ…プロメテウス、あんな情けない姿晒して……ほっとけば治るけど、本当にトライフルの能力は恐ェぜ……)

 

 

 

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