特徴としては「自己完結、作品内のみ」という限定的な妄想能力だが、それを行動に移す者も居るわけだ。
この短編小説はそんなフロム脳の中学生がフロム信者として楽しむ物語である。
ちなみにテーマと言うほどではありませんが『さらりとエグい話』を書いたため、フィクションをフィクションとしてキチンと理解した上で登場人物たちは結構やらかします。
フィクションらしいフィクションをさらりと書きたかったために書いた短編ですので、そういうものと思ってください。
◆ ◆ ◆
ここは広島県のとある中学校。
ここでは代々の生徒会長がフロム信者ということもあり、学校を挙げてフロム・ソフトウェアのゲームを支持する熱烈な中学校だ。
教師も生徒も区別なく、全ての者がフロム脳を楽しむ学校。それがここだ!
この中学校のある年の文化祭に、一つの案が出てきた。
このお話はそんな中学校の文化祭の様子を描いた物語である。
◆ ◆ ◆
「なぁなぁ、今度の文化祭で『デモンズごっこ』しないか?」
クラス委員の西本はクラス一同を前にしてそう言った。
「デモンズごっこ?」
「うちの中学でデモンズって言えば『デモンズソウル』のことだろ?」
「それのごっこ?」
何人かが聞き返すと、西本は得意げに頷く。
そう、「デモンズごっこ」とはデモンズソウルをテーマにした催し物を行おうではないかという提案だったのだ。
「具体的に何をするかは決まってるの?」
クラスの女子グループのリーダーにして自身も大のフロム信者である北条が問う。
その目は期待に満ち溢れ、言外に「やるなら自分はかぼたんがやりたい」と言いたそうだ。
この中学校に通う女子が信奉する理想の女性像とは黒衣の火防女こと、かぼたんである。
「勿論、デモンズごっことはデモンズソウルのコスプレをし、エリアを作り、客を襲ってソウルを奪うごっこ遊びだ!
俺の親戚に鍛冶屋をやっているおじさんがいるから、こっそり本物の武器や防具を譲ってもらえることになったんだ♪」
「「「おおー♪」」」
広島県にも銃刀法というものは勿論あるが、バレなければ何も問題はない。
広島県というのは意外と閉鎖的なところもあり、フロム信者しかいないことで有名なこの中学校の文化祭に来るような客なら暗黙の了解を破るはずもない。
「委員長、配役については決まっているのですか?」
次に質問をしたのは西本委員長の友人にして男子グループ一番のイケメン・日下だ。
彼は顔が良いこともあり、先ほどの西本の発言を聞いてすぐにノートをハサミで切って作った即席のウサミミを頭に張り付けている。
これは「やるなら自分はユルト役が良い」と申しているのである。似合う!
「よし日下! ユルトの役はお前に決定だ。
かぼたん役も、視線で立候補していた北条さんでみんなもいいか?」
日下は男子一のイケメンにして穏やかな性格から男女両方に大人気なため反対はない。
それは北条も同じなのだが、ユルトと違ってかぼたんというのは『デモンズソウル』のヒロイン!
立候補者は多く、いかに女子グループのリーダーと言えど、くじ引きも無しに彼女をかぼたん役に決めるのは騒ぎになる。
というか、北条以外にもかぼたん役の立候補者が殺到した。
「西本さん! 私は最近視力が落ちてきたのでこの機会に目をロウソクで潰します!
だからかぼたん役は是非とも私にください!」
「委員長、彼女は嘘をついています!
彼女の視力はマサイ族顔負けですわ!
だからこそ、この私にかぼたん役をッ!」
「あ~ら、貴女こそその貧相な胸でかぼたん様を演じるつもり?
かぼたん様を演じるのならば、私のようにナァ~イスバディでなくてはいけなくてよ?」
女子グループと言えど一枚岩ではない。
リーダーの北条を「お姉さま」と慕って付いて回る子猫ちゃん達も、かぼたん役を得るためならリーダーにだって逆らう。
結局、血で血を洗う泥沼の喧嘩を起こしてしまったが、本来なら止めるべき立場にいる担任教師が囃し立てたせいで余計にひどい有様となった。
この学校の教師も当然フロム信者である。
なので、この喧嘩で両目を抉られた最初の立候補者である北条がかぼたん役をすることになった。
尚、彼女はスタイルも良く、黒髪ロングヘアーなので一番似合うのは彼女、と男子視点で思っていた西本委員長は心の中でガッツポーズをしていた。
「それじゃユルト役とかぼたん役が決まったが、肝心のデーモンはどうする?
立候補者がいなければ、俺は委員長として老王オーラントを演じたいのだが?」
周囲に尋ねるように問いかける西本だが、彼の目は邪魔する者は殺すと語っている。脅しではないだろう。
女子リーダーの北条はかぼたん役を得るために両目を失うだけで済んだが、腕っ節でこのクラスの委員長を務めあげる西本に喧嘩を売ったら五体満足では、まず済まない。
きっとソウルアブソ-ブでソウルレベルを下げられてしまうに違いない!
女子と違って男子は腰抜けが多いのだ。もしくは他のデーモンの熱狂的な信者が。
「よし、ならば俺はオーラントだ!
他のデーモン役はおいおい決めるとして、数を用意したい亡者兵たちだが……。
これは分身の術が使える田中と桜井に任せようと思うがみんなはどうだ?」
「「「異議無し!」」」
「「え?」」
田中と桜井はクラス全員の支持を集め、亡者兵となった(強制)。
二人はきっと役作りのために今日から文化祭まで食事全抜きなどというありえないダイエットをさせられるだろうが、文化祭を成功させるためだ。
フロム信者なら頑張れるだろう!
「それじゃ最後に担任の亀井先生にも意見を聞こうじゃないか。
先生、文化祭で俺らはデモンズごっこをしたいのですが、別に構いませんよねぇ!?」
「ん? いんじゃね?
というか俺は要人の役な。これ、担任特権♪」
担任もノリノリであるため、文化祭での出し物はこうして『デモンズごっこ』に大決定!
さぁ、来週に行われるデモンズごっこはどのようなものになるのか! 非常に楽しみなもんだ♪
クラス委員長の西本は、今日の放課後にでも家に帰れば親戚のおじさんに鍛冶を習ってデモンブランドとソウルブランドの二振りの剣を作らなければならないので忙しくなりそうだが、そういった準備も含めて楽しいのが文化祭だ♪
そして時は流れ、文化祭当日になった。
◆ ◆ ◆
文化祭当日。
舞台となる西本クラス委員長率いる『デモンズごっこ』組の催し物は大成功だった。
極限のダイエットで骨と皮だけになり、分身して数を増やせる田中と桜井の迫真の演技もさることながら、
ホログラムやベルトコンベアを使ってクラスを実際よりも広く見せ、客を襲う。
なんてことない。フロム脳を使っただけの簡単な仕掛けだ。
ユルト役の日下は流暢な口調で「ダイスンスーン」を連呼しながらショーテルを振り回し、本家以上の暗殺者めいた技術で自分に向かう攻撃のすべてをパリィする。
西本委員長でさえ、何度か死にかけたと言うのに、日下の扮するユルトは他のボス級デーモンに扮するクラスメイトたちよりもズバ抜けていた。
かぼたん役をする北条も、両目を実際に失ったが為に盲目キャラをん見事に演じて来場者を興奮させることが出来た。ただでさえ抜群のスタイルでかぼたんのコスプレをしているのだ。
勿論、役に徹するためにパンツなんて履いていないし、悪ノリした客に何度か殺されたりもした。
(かぼたんには不死設定があるので一時的に心臓を止めるだけ)
さて、そんな文化祭がどうなったか、結果から語ろうか。
西本達のクラスが行った文化祭の出し物……成功はした。
成功の定義が楽しむことならば、大成功と言っても過言ではないだろう。
大きな犠牲も出たが、デーモンに扮したクラスの仲間達と来場したソウル体に扮した客の戦いにて武器や魔法による死傷者が多く出たことくらいだ。
まぁ、この中学校ではフロム脳をこじらせ過ぎて『竜王草の木』や『儚い瞳の石』などを人工的に作りだした園芸部や科学部らの事前準備で皆生き返ったので警察の介入は防げた。
いやぁ、園芸と科学の力ってのは凄いものだ。というかフロム信者の力こそが凄いと言えるのかもしれないな。
こうして大成功のうちに終わった文化祭。西本達のクラスは中学校の文化祭でありながら、リアルな特殊メイクと本物さながらの武器や防具(本物です)、それに他のクラスの何処にも負けないフロム脳を燃やすことで学校一の稼ぎを出した。
これからもこの中学校は研鑽を積み続け、生徒も教師も来場客も、みんなまとめて楽しめるフロム信者の中学校として続いて行くのだろう。
『小説家になろう』で現在連載中の作品を終えたら次回作はこちらで二次創作になりそうですね。
何処から手を着けようか悩む題材の二次創作なので書きあがるのが何時になるかは分かりませんが、向こうでの小説を完結させたら書き始めてみようと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました♪ アンバサー!