今日は5月23日日曜日、多くの生徒が待っていた自由行動日の日だ。
学院では午前中から部活に励む生徒や、図書館などで自習をする生徒もいる。また、トリスタでは部活動に所属していない生徒たちが買い物をしている姿も見受けられた。
全員を確認しているわけではないが《Ⅶ組》のみんなも部活動に励んでいる人も多かったし、それぞれ思い思いの時間を過ごしているようだった。
「くそっ、どこにいるんだフィーの奴……!」
そんな中、俺は気まぐれな銀髪の子猫を学院中で探し回っていた。
初めての特別実習が終わって5月になりライノの花も散ってしまった頃、俺が所属している園芸部に新入部員が入ってきた。
1人目はヴィヴィ、彼女は平民の生徒でピンク色の髪を伸ばした女の子だ。その性格は良く言えばお茶目な性格、悪く言えばイタズラ好きといった感じで、彼女が度々やってくるイタズラにはいつも困っている。ただ、部活動に関しては比較的真面目なのでエーデル部長も気に入っているようだ。
そしてもう1人はフィーだった。といってもフィー自身が園芸部を希望したわけではなく、よく中庭で寝ているフィーを見ていたエーデル部長がフィーを園芸部に誘って、断るのが面倒だったフィーがそれに頷いたそうだ。
今までは俺と部長で水やりなどを全てやっていたのだが、部員が2人増えたことで朝の水やりと夕方の花の様子の確認が交代制になっていた。これによって俺にも少し自由な時間ができたと思っていたのだが……
「部長はあの性格だから絶対厳しく叱らないだろうし、ここは俺がビシッと言っとかないと……!」
そう、フィーが朝の水やりをサボったのである。
これが今日だけならまだ許せるのだが、これは今日に始まったことじゃなかった。水やりが交代制になりフィーに初めて当番が回ってきたとき、俺も初日くらいは水のやり方なども教えてやろうと花壇に向かったのだが、俺が到着してから30分経ってもフィーは現れず、結局俺が水やりをやったのだ。
その後も何度も当番を忘れることが多く、今日も案の定朝の水やりをやっていなかったため、部長が水やりをやっていた。部長はいつも通りのほんわかとした笑顔で気にしていない様子だったが、さすがに俺は一度フィーに注意しなければならないと思ったのだ。
そこで、朝の部活動を終えた俺は普段フィーがよくいる場所を頼りに学院内を探しているのだが、中庭や屋上や旧校舎などの昼寝スペースを探しても未だに彼女を見つけることができていなかった。
もしかしたら学院内ではなくトリスタの方にいるのかもしれないと考えて学院を出ようとした時、何やら荷物を持ったリィンと遭遇した。
「イクス、もう部活は終わったのか?」
「部活の方はな。リィンのその荷物は生徒会の手伝いか?」
リィンが持っていたのは紙袋に入った荷物だった。その紙袋には《ケインズ書房》と書かれている。
「ああ、今は教官達が頼んでいた本を届けている最中なんだ。――そうだ、マカロフ教官を見なかったか?探しているんだけど職員室にもいなくてさ」
「マカロフ教官なら屋上でタバコ吸ってるのを見たぜ。多分サボり中なんじゃないか?」
「そうか、ありがとう」
フィーの捜索で屋上に行っていた俺はマカロフ教官の姿を目撃していた。フィーを探すことが優先だったので声はかけなかったが、多分タバコを吸って休憩していたのだろう。
マカロフ教官の居場所が分かり早速階段へ向かおうとするリィンを俺は呼び止める。
「あ、リィン。フィーをどこかで見なかったか?」
「フィー?そういえばさっき保健室に入っていくのを見たぞ」
保健室か、そういえばまだ行ってなかった。
リィンから有力な情報を得た俺はリィンにお礼を言って保健室に向かおうとする。
「サンキュー、そっちも依頼頑張れよ」
「ああ、お互い頑張ろう」
「……熟睡かよ」
保健室のベッドではフィーが規則正しい寝息をたてながら熟睡していた。この様子だとすぐには起きなさそうだ。
「お腹がいっぱいになったんでしょう。すぐに寝てしまいましたよ」
「そうですか……」
後ろからフィーを起こさないように小声で声をかけてきたのはベアトリクス教官だ。彼女はこのトールズ士官学院の保健室の先生を務めている。
熟睡しているところを無理に起こしてしまうのも可哀想だったので、俺は一旦フィーが眠るベッドを離れてベアトリクス教官と話をすることにした。
フィーはこの保健室にもよく訪れるそうで、ベアトリクス教官とも仲が良いらしい。今日も保健室を訪れたフィーにベアトリクス教官はお茶菓子を出して少し話をした後、お腹がいっぱいになったフィーはそのまま保健室のベッドで横になったということだった。
「そういえば、あの子は園芸部に入ったそうですね」
「ええ、まあ。といっても今日も朝の水やりをサボったんですけどね」
「そうでしたか」
俺はベアトリクス教官が出してくれたお茶菓子を食べながら、主にフィーについて話していた。ベアトリクス教官が出してくれたお茶菓子はチョコチップ入りのクッキーで、先ほどまでフィーが食べていたものと同じものである。
会話をしているうちに思ったが、ベアトリクス教官はフィーのことをやけに知っている雰囲気だった。いくらフィーが保健室によく来ているからといってもここまで親しい間柄なのだろうか?少し気になった俺はフィーについてベアトリクス教官に聞いてみた。
「あの、もしかしてベアトリクス教官は学院に入学する前から、フィーのことをご存知なんですか?」
「そうですね……」
俺の質問にベアトリクス教官は少し考えてから答えた。
「……多少のことは知っていますよ。ですが、私の口からあの子のことを話すのは控えておきます。あの子の事情はあの子自身の口から言うべきでしょうから」
「……分かりました」
フィーのことを聞いてみたい気持ちもあったが、ここはベアトリクス教官の言葉に従うことにした。俺も自分の事情を他人の口から教えられるのはあまりいい気分じゃない。
あまり長居するわけにもいかないため、俺は最後にフィーのところに行ってから保健室を出ることにした。ベッドで眠るフィーは相変わらず熟睡のようだ。
気持ち良さそうに眠るフィーの寝顔を見て俺は先程まであった怒りを失っていた。いつもは感情を表に出さず、何を考えているのかイマイチわからないが、こうして寝顔を見ると彼女が自分よりも年下の少女だということを改めて感じる。
起こすのを諦めてベッドから離れようとすると、不意に俺の制服の袖が掴まれた。
「……おいて、いかないで……」
「え――」
袖を握る力は弱弱しく、その寝顔には涙が少し浮かんでいる。フィーの表情は親を探す子どものような表情だった。
普段見せないような表情と言葉に戸惑っていると、フィーは俺の袖を離してまた規則正しい寝息をたて始める。どうやら先ほどのは寝言だったみたいだ。
「……夕方の部活にはちゃんと顔を出せよ」
少し乱れていた布団をかけ直して、俺はベッドを離れる。
フィーを起こさないように静かに保健室を後にするのだった。
「流石に6人だと安定感があるな」
「そうね、魔獣は少し手強いけどこのメンバーなら戦術リンクも使いこなせるし」
「うん、戦術リンクの練習という意味でもなかなか良い修練場所だ」
昼食を終えた後、俺はリィンの頼みでまた旧校舎の探索を手伝っていた。今回は前回のメンバーに加えてアリサとラウラもいるため、魔獣との戦闘も問題なく進んでいる。
前回の探索のときは地下の構造が丸ごと変わるという不思議な現象が起きていたが、今回は更にそれを上回る現象が起きていた。
前回新たに出現した地下迷宮へと続いていた部屋が、今回は地下への階段も奥に通じる扉も無い全く別の部屋に変化していたのだ。その部屋には中央に何やら台座のようなものが設置されているだけだった。
台座を調べたアリサによれば、それは地下へと降りられる昇降機で現在は第2層まで行けるらしい。その下にも階層があるようだが、どうやらロックされていて今は行けないとのことだった。
やけに機械に詳しい様子のアリサにラウラが尋ねたが、アリサは昇降機ならルーレで見たことがあるからと言って何やら誤魔化している様子だった。しかし、今は旧校舎の異変を調べることが最優先であったため、俺たちは早速新たに現れた“第2層”へと降り、そして現在、第2層の迷宮の攻略を進めている。
第2層は前回俺たちが探索した第1層にいた魔獣よりも強い魔獣が徘徊しており、ところどころには隠し扉や隠し階段などのギミックも用意されていた。前回に比べれば確実に難易度が上がっているだろう。
その迷宮を探索していた俺たちはどうやら終点らしき扉の前に到着する。
「ここが終点みたいだな」
「前と同じなら、また強い魔獣が出るってことだよね……」
「ああ、みんなくれぐれも気をつけてくれ」
それぞれすぐに戦闘に入れるように準備をして、リィンを先頭に扉の奥に進んでいった。扉の奥にあった部屋は前回俺たちが《ミノスデーモン》と戦った部屋よりも少し広めの部屋だった。
「何も起きないわね……」
部屋の中央に来ても、前回のように魔獣が現れることはない。本当に何も無いのかと考えていると、不意に扉が閉まる。
「えっ、な、何!?」
「扉が勝手に……!」
「……来るぞ!」
前回と同じく扉が閉まり、知らなかったアリサとラウラは驚いていた。驚く2人の気を引き締めるように、気配に気づいたガイウスが全員に警告する。
「くそっ、囲まれたか……!」
「おいおい、これはちょっとマズイんじゃないか……?」
先程まで何もいなかった場所から、石の扉のような魔獣が姿を現した。その数は5体、しかも中央に固まっていた俺たちを取り囲むような位置にいる。魔獣から感じるプレッシャーからして、おそらく迷宮を徘徊していた魔獣たちよりも強い。それが5体もいる上に囲まれているというのは最悪の状況だった。
しかし、いくら状況が悪くてもこのまま動かなければやられるだけだ。覚悟を決めたリィンは全員に指示を出す。
「総員戦闘準備!エリオットはまず敵の解析を!それ以外は敵の行動に注意して一体ずつ撃破するぞ!」
その合図で戦闘が開始した。
俺とラウラは敵の狙いを散らすために別々の方向へ走り出した。リィンとガイウスはいざという時にエリオットとアリサのフォローに向かうために、少し離れた位置で攻撃の準備をしている。
走り出してきた俺を狙った魔獣の一体の目が光る。次の瞬間、魔獣の額にある宝石のような部分から青緑色の光線が発射された。
「危ねっ……!」
未知の攻撃をみすみす喰らうわけにもいかないため、俺は咄嗟に身体を捻りながらジャンプする。光線はそのまま地面に当たり、青緑色の光が地面で弾けた。
着地しながら光線の当たった地面を確認すると、光線の衝撃ではそれほど地面は破壊されていなかった。おそらくあの光線の破壊力自体はそれほど無い。
「きゃあっ!」
「くっ……!」
辺りではそれぞれの魔獣からあの光線が発射されていて、リィンたちもその光線をかろうじて避けていた。しかし、その影響でエリオットも解析を邪魔されている。このままでは俺たちの体力がいたずらに減っていくだけだ。
「ラウラ!」
「承知!」
まずは一体減らすために俺とラウラは魔獣の方へと走り出す。
同じ魔獣の方へ向かっていく俺たちに横から光線が発射される。俺たちはそれらを回避しながら近づいていった。
そして、ある程度の距離まで接近したところでラウラが攻撃を仕掛ける。
「《地裂斬》!……くっ!」
気を高めたラウラの剣が地面に振り下ろされ、地面を伝って衝撃波が魔獣へと向かっていく。しかし、ラウラが技を放つ瞬間、後ろから光線が発射され彼女は攻撃しながらその光線の衝撃波を浴びる。
「《烈風刃》!」
「―――!」
ラウラが心配ではあったが、彼女の攻撃で魔獣にできた隙を逃すわけにはいかなかった。俺はひるむ魔獣の額に《烈風刃》を打ち込む。魔獣の弱点はやはりそこだったようで、額にあった宝石は砕けて、魔獣は悲鳴をあげる。リィンたちも一体片付けたようで、別の場所でも魔獣の悲鳴が上がっていた。
あの宝石が砕けたことで魔獣は光線が発射できないようだった。それを確認した俺はその魔獣を一旦保留して、ラウラと合流しようとする。
「大丈夫か、ラウラ!」
「う、うう……」
ラウラはその場に跪いて頭を押さえていた。先ほどの光線の影響だろうか。
俺は魔獣の光線を躱しながらラウラに近づいていくと、ラウラは近づいてくる俺に気づき立ち上がった。しかし、そこからの彼女の行動は予想外のものだった。
「くっ、やられるものか!」
「なっ!?」
立ち上がったラウラは魔獣ではなく俺に向かって剣を振り下ろしてきたのだ。彼女の剣を受け止めながら俺は必死に呼びかける。
「ラウラ、どうしたんだ!俺は敵じゃない!」
「私の剣を受け止めるとは、魔獣にしてはなかなかやるな……!」
俺の言葉が聞こえていないのかラウラは剣に込めている力を強くしていく。一体どうしたのかと考えていると、後ろからエリオットの声が響いた。
「みんな気をつけて!この魔獣《ケルビムゲイト》の光線には脳を混乱させる効果があるみたい!」
「そういうことか……!」
先程ラウラはケルビムゲイトの光線を浴びてしまっていた。おそらくその影響でラウラは混乱して俺が魔獣に見えているということなのだろう。
なおも力を強くするラウラの剣を受け流し、俺は横から飛んできた光線をかろうじて避けた。そのまま光線を撃ってきたケルビムゲイトを引きつけて俺は移動する。
「逃すものか!」
狙い通りラウラも俺を追ってきた。ラウラは混乱して魔獣との区別がつかなくなっているようだが、幸いその戦闘能力は失われていない。俺は彼女の実力を信じて賭けに出る。
自分を追ってくるラウラを確認して、俺はその足を止めて剣を構えた。
「《嵐霆斬》!」
双剣を構えた俺はその場で竜巻のように回転した。双剣から雷が迸り、衝撃波が発生する。
放たれた電撃は嵐のように周囲に広がっていき、離れたところにいたケルビムゲイト2体にもその攻撃がぶつかり、その衝撃で2体は動きを止めた。
「ぐっ……!」
俺を追っていたラウラにもその衝撃波は放たれていた。彼女は咄嗟にその大剣で雷を防御するが、その衝撃で後ろへ吹っ飛んでしまう。
「ラウラ!」
「ん……?イクス?あれ確かに私は今……」
「よかった、元に戻ったか……!」
俺の賭けはどうやら成功してくれたようで、今の衝撃でラウラは混乱が解けていた。正気に戻ったラウラは慌てて俺に謝ってくる。
「す、すまぬ。私としたことが……」
「話は後だ!リィンたちと合流しよう!」
「……承知!」
俺の攻撃からケルビムゲイトも復活しており、リィンたちは敵を引きつけてくれていた。彼らにこれ以上負担をかけるわけにもいかないため、急いで合流する。
「大丈夫か、2人とも!」
「ああ、なんとか!」
俺が額を破壊したあと放置していた一体も光線こそ出せないものの、その体を使って突進攻撃をしていた。光線や突進を躱しながら俺たちは敵を撃破するための作戦を考える。
「どうするの、リィン!?」
「このままじゃ、あの光線を躱しきれなくなるわよ!」
攻撃を躱しながら戦っていたことで、エリオットとアリサには体力の限界が近づいていた。リィンは覚悟を決めて俺に指示を飛ばす。
「――イクス、さっきの攻撃であいつらを止めてくれるか!」
「ああ!みんな、出来るだけ俺から離れておけよ!」
リィンの指示を聞いた俺は、1人抜け出してなるべくケルビムゲイトを射程範囲に収められる距離に移動した。ギリギリ3体に攻撃を当てられるところに到達した俺は足を止めて、双剣を構える。
「《孤影斬》!」
「《ゲイルスティング》!」
「《フランベルジュ》!」
俺が足を止めた瞬間にリィンたちが、俺の邪魔をさせないようにそれぞれ光線を出せる3体の動きを止めた。その隙に俺は再び雷の竜巻を放つ。
「喰らえ!《嵐霆斬》!」
渾身の力で放った技は先ほどよりも広い範囲に衝撃波をはなった。運良く光線の撃てない一体も近づいて来ていたようで、俺の攻撃は全てのケルビムゲイトにヒットし、ケルビムゲイトたちは動きを止めた。
「今だ!」
動きを止めたケルビムゲイトたちに待機していたみんながそれぞれ攻撃を加えていく。
「《アースランス》!」
「《ゴルドスフィア》!」
アリサとエリオットが同時にアーツを発動し、2つのアーツがケルビムゲイトの一体に襲いかかり、蓄積していたダメージもあってかそのまま消滅していく。
「《奥義・洸刃乱舞》!」
「《焔の太刀》!」
ラウラとリィンの奥義がそれぞれケルビムゲイトたちに炸裂し、2体も消滅していた。
「《タービュランス》!」
ガイウスが起こした竜巻に残りの一体も巻き込まれ、最後の一体は身動きが取れなくなっていた。そしてその竜巻が無くなると同時に、ガイウスが俺に合図する。
「今だ!イクス!」
「了解!」
待機していた俺はガイウスの合図で飛び出し、身動きが取れないケルビムゲイトにとどめの一撃を与える。
「――――」
俺の追撃で最後の一体も言葉にならない悲鳴をあげながら消滅していった。
「すまぬイクス、そなたに剣を向けてしまうとは……」
「そんなに謝らなくていいって。俺だってあの光線を喰らっていたら同じことになってたかもしれないしな」
「しかし……」
なんとかケルビムゲイトを撃退した後、先ほどの戦闘で俺を攻撃してしまったラウラは俺に謝ってくれていた。申し訳なさそうに頭を下げるラウラにみんなも声をかける。
「本人が良いって言ってくれてるんだから、ここは素直に受け取っておいた方が良いわよ、ラウラ」
「そうだよ、幸いイクスにも怪我はなかったんだし」
「ああ、そもそもあの状況で2人とも無事だったことを誇るべきだろう」
「みんなもこう言ってることだし、そろそろ顔を上げた方がいいんじゃないか?」
みんなからもフォローされたラウラは気持ちを切り替えて顔を上げた。
「……うむ、そうだな。次からはこういうことにならぬよう、これから更に修練を積むとしよう」
「ああ、その粋だ」
ラウラの調子もいつも通りに戻ったところで、リィンは早速学院長のところに報告することを提案する。俺たちも異論はなかったため、そのまま旧校舎の探索を終了して部屋を出て行った。
「まったく、危なっかしいわね」
その部屋の上でリィンたちの様子を見る者がいた。
その存在に誰一人気づくことなく部屋を出て行くリィンたちを見送った後、その者は何やら彼らに向かって文句を言っている。
「あんな調子で本当に“起動者”として覚醒するのかしら。“あの子”にも余計なことはするなって言われてる以上、あんまり派手なこともできないし」
その者は口調こそ荒っぽいが、どうやらリィンたちを心配してくれている様子である。といってもその心配はリィンたちの身体などの心配ではなく、何か別の意味のようだった。
用が済んだため、その者も旧校舎から出ようとする。
「ふぅ、先が思いやられるわね……」
そう言い残してその者は立ち去っていく。
誰もいなくなった部屋に小さな鈴の音が響いていた。
書いた後に気づいたんですが、この時のレベルでケルビムゲイト5体にバックアタックされたら、ゲームだと一歩間違えたら全滅する可能性のある難易度ですね。
今回はイクスの新しいクラフトが判明したので、マテリアルの方も更新しておきます。