英雄伝説 花の軌跡   作:阿賀美 アクト

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初めまして、阿賀美 アクトと申します。
小説を投稿するのはこれが初めてですので、駄文かもしれませんが、読んで下さると嬉しいです。
筆が進むのが遅い方なのでストックが切れると、投稿ペースが落ちるかもしれませんが、まずは完結目指して頑張ります。


序章
第1話 もう一つの軌跡


  七耀暦1204年3月31日 先月とは打って変わって春の陽気に満ち溢れ、ライノの花も各地で見られるようになったその日、帝都ヘイムダルから東へ向けて一台の列車が走っていた。

 

 いつもは老若男女問わず様々な人が利用するのだが、今日に限っては、車内には緑や白の制服に身を包んだ10代の若者が多く見られる。

 

 トールズ士官学院ーー帝都近郊の小都市トリスタにある士官学校であり、時の皇帝ドライケルス・ライゼ・アルノールが創設したとされる由緒正しき学校。彼らはこの春からその学校に通う新入生で、制服の色が二種類なのは緑が平民生徒、白が貴族生徒というように身分によって区別するためである。

 エレボニア帝国は歴史が古い国のため、近代国家では珍しく未だに身分制度が残っている国家であり、このトールズ士官学院も例外ではなかった。

 

 そんな中、先程から彼らの視線を集めている者が一人。

 

 イクス・ライガスト 彼もまたこの春からトールズ士官学院に通う新入生の一人だ。

 先に言っておくとイクスは皇族や有名な貴族という訳ではなく、外見も特に目立つ点はない。剣の道に通じている者ではあるが、彼自身は未だ修業中の身であり一般人に名が知れ渡っているほどの人物ではなかった。

 

 ではなぜ彼が先程から周囲の視線を集めているのか?

 

 理由は単純、彼が身に着けている制服の色が緑でも白でもない真紅のためであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

 思わずため息がこぼれる。

 帝都からトリスタまでは列車で約30分といったところなのだが、精神的な疲労度で言えば、まるで何時間も列車で揺らされてきたような気分だ。

 

 生まれてこのかた見知らぬ人から注目を集めるという経験がほとんどないから、俺は30分という時間を途轍もなく長く感じていた。

 原因は間違いなく俺の着ている制服の色だろう。貴族生徒の白というのも目立つ色ではあるが、赤はそれ以上に目立つ。檻の中の動物というのはこういう気分なんだろうか?

 

 制服の色以外にも気になっている点がもう一つあった。

 

 それは入学案内と一緒に送られてきた戦術オーブメントらしきものだ。

 トールズ士官学院は数ある士官学校でも有名だが、流石に生徒一人一人に戦術オーブメントを配るということがあるだろうか?

 もし仮にそうだったとしても、この戦術オーブメントは学校で使うものにしてはかなり凝っている。

 

 自分は何か変なことに巻き込まれているのではないか、そんな事を声には出さずに心の中で考えていると、車内アナウンスが流れ始める。

 

『次はトリスタ、トリスタ。停車時間は僅かですのでお降りの方はお忘れ物の無いようご注意下さい』

 

 目的地への到着が近づき、他の生徒たちは急いで荷物の整理を始め、それと同時に自分に集まっていた視線も無くなる。

 煩わしかった視線が無くなり、俺も降車準備を始める。トリスタの後はケルディックまで途中下車が出来ないため、乗り過ごすと確実に入学式に遅刻してしまうだろう。

 

 ふと窓の外に目をやると、ライノの花の花弁がひらひらと舞っているのが見える。

 俺は荷物をまとめながら、新たな出会いに少しだけ期待を膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、びっくりしましたよ。まさかトワさんがここの生徒会長だったなんて」

 

「えへへ、サプライズ大成功だね」

 

 無事トリスタに到着した俺はとある人物との再会を果たしていた。

 

 トワ・ハーシェル。同じ帝都のヴェスタ通りに住んでいたご近所さんで、俺にとっては姉のような人だ。最も身長は年齢の割にかなり小さいので、俺の方が年上に見られることも多かったのだが。

 去年からトールズ士官学院に通うことになったというのは本人から聞いていたため、トワさんが自分の先輩になることは分かっていたのだが、まさかトワさんが生徒会長だとは思わなかった。トールズは貴族生徒もいるため、平民生徒が生徒会長になるのは珍しいのである。

 

 トワさんとの再会を喜んでいると、隣にいた恰幅の良い男が話しかけてきた。

 

「君がイクス君だね、トワから話は聞いているよ。僕はジョルジュ・ノーム、早速で悪いけど申請していたものを一旦こちらで預からせてもらおうかな」

 

 ジョルジュと名乗った男子は何故か制服ではなく黄色いツナギを着ていたが、トワと呼び捨てにしている所から察するに、トワさんと同じ先輩なのだろう。

 事前に申請していた自分の得物をジョルジュ先輩に預けると、俺は自分の制服のことを思い出した。

 

「そういえば、俺だけ制服の色が赤なんですけど、これって何か意味があるんですか?」

 

「あ、それについては後で色々説明があると思うから心配しなくても大丈夫だよ」

 

「申請したものについても入学式が終わったら、返せると思うから心配しないでくれ」

 

 はぐらかされたような返答が気になるが、トワさんはともかくジョルジュ先輩も人を騙すような人には見えないため、追及はせずにそのまま左の講堂に向かおうとすると、後ろから二人に声をかけられる。

 

「イクス君、入学おめでとう!」

 

「いい学院生活になるといいな」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

 二人に改めて挨拶をした後、俺は講堂へ急ぐのだった。

 




最初は短めです。基本的に自分の中で区切りの良いところで切っていくので、長くなったり短くなったりするかと思います。
前書きにも書きました通り、まずは完結目指して頑張りたいと思います。良ければ感想や評価もよろしくお願いします。
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