メリークリスマス!(おせーよ)
諸事情で更新が遅れてしまったので、今回は2話同時投稿です。
まあ、話の区切り的にも丁度良かったってこともあったんですけどね。
7月26日、朝。
今日は帝都での夏至祭初日、Ⅶ組にとっては3日間の実習の最終日でもある。鉄道憲兵隊からの要請でテロを防ぐために動くことになっているⅦ組は朝から帝都を巡回しなければならない。
そのため、A班B班ともにそろそろ行動を開始する時間帯ではあるのだが、B班の宿泊先である旧遊撃士ギルド支部の前でイクスは一人入り口の前をウロウロしていた。
「……どうしようか。やっぱここは何事も無かった感じで入るべきか……」
かれこれ10分はこうして入り口付近を歩いているイクス。
昨夜、自分の過去を話した後の微妙な空気からイクスはⅦ組のメンバーと今まで通りに接することができるか不安になっていた。同日の就寝前にマシロから背中を押されたものの、いざドアの前に立つとその不安が胸の中で渦巻くのである。
いつになく気弱になっている自分にイクスは思わず嘆息した後、自分の首からぶら下がるペンダントを見る。それはイクスが昨夜マシロからプレゼントされた物だった。
「―――っよし!」
うじうじ悩むのは自分らしく無いとイクスは気合いを入れ直してドアノブに手をかけた。
「みんな、おはよう」
「あ、イクス」
「おはよう、イクス」
「おはようございます、イクスさん」
「フン、随分遅かったな」
扉を開けると、そこにはすでに制服に着替えたB班の一同がイクスを待っていた。意を決して扉を開けたイクスは、いつも通りに挨拶を返してきた彼らを見て少し落ち着いた気がした。
「顔色を見る限り、昨夜は良く眠れたようだな」
「ああ、お陰様でな。みんなは大丈夫そうか?」
「ん、ばっちり」
「はい、睡眠も朝食も十分に取りました」
「そうか」
コンディションも確認し、全員の準備が済んでいるようであるためB班のリーダーであるイクスは早速行動を開始しようとする。その時、ユーシスが彼に声をかけた。
「イクス」
「ん? どうした?」
話しかけてきたユーシスの方に振り返ったイクスは出来るだけ平静を装って答える。ユーシスの瞳はイクスを真っ直ぐに見ていた。
「昨夜は俺たちも少し動揺はしたが、一晩あれば落ち着いた。過去に何があったとしてもお前がⅦ組の一員であることに変わりはない。それだけは覚えておくがいい」
「ユーシス………」
「ええ、ユーシスさんの言う通りです」
「おそらくA班のみんなも同じだろう」
「ユーシス、ツンデレ」
「ええい、妙な事を言うな!」
実は人のことを良く見ていて、フォローする優しさを持っているユーシス。
そのユーシスの言葉に続くⅦ組の良心的な存在のエマとガイウス。
ユーシスをからかいながらも自然と場の空気を和ませてくれるフィー。
その光景はいつも通りのⅦ組のやり取り。少しだけ青臭さもある、だけどどこかホッとする、イクスも良く知っている仲間たちの姿だった。
「ははっ……!」
イクスは思わず笑みをこぼす。
自分の不安は最初から無用なものだった。自分の過去を話したくらいで、そもそもこの関係が崩れてしまうことなどありはしない。
そう思った途端、イクスは先程まで悩んでいた自分がバカらしく感じた。そして同時に自分はいい仲間に出会えたと改めて理解した。
「――うっし! それじゃそろそろ行こうぜ、実習の総仕上げとして今日は全力を尽くそう!」
「「おお!!」」
「どうだ?そっちは何か見つかったか?」
「あっちの方に地下道に続く場所はあった。けど、それ以外は特に無いかな」
「こちらの方も特に異常はありませんでした」
「ふむ、やはりそう簡単に手がかりらしきものは見つからないか」
「まあ、当然だろう」
「相手はテロリスト、露骨な手がかりなんて残すはずもないか」
旧ギルド支部を出発したB班は実習範囲である帝都西側を巡回している最中である。
昨日、聖アストライア女学院にてオリヴァルト皇子やアルフィン皇女たちと会食した後、彼らはクレア大尉からの要請で再びヘイムダル駅の鉄道憲兵隊のミーティングルームに集められていた。
そこで彼らがクレア大尉からお願いされたのは夏至祭初日、すなわち今日における帝都の警備を手伝って欲しいという改めての協力依頼だった。
Ⅶ組も実習初日から夏至祭を狙ってテロ組織が動く可能性があるということを聞いていたため初日からその手がかりを見つけるのも兼ねて実習を行っていた。実際、Ⅶ組の協力のおかげでテロ組織に利用される可能性の高い地下通路などは隠し通路に繋がる場所も含めて帝都憲兵隊が警備している状況にある。
テロを未然に防ぐため万全の体制で挑む姿勢の鉄道憲兵隊は、帝都憲兵隊とも連携して当日の警備を強化するようで、更に今回は現在帝都にいる遊撃士とも極秘に協力を要請している。鉄血宰相ギリアス・オズボーンの飼い犬と称される鉄道憲兵隊が、色々と因縁のある遊撃士に協力を要請するあたりからも今回の事態にどれだけ警戒しているかが分かる。
ここまで警戒する理由というのも、今回の件にはテロ組織の裏に《隻眼の狼》などの猟兵や結社などの協力者がいるかもしれないというのが主な理由である。
彼女の読みでは、テロ組織が何らかの行動を起こすとすれば大きなイベントの最中など多くの人がその存在を認知できる機会を狙う可能性が高いとのことで、その中で彼女が一番に予想をつけたのは夏至祭初日に行われる皇族が出席する催し物の時であった。
《マーテル公園》で行われる園遊会に出席するアルフィン皇女。
サンクト地区の《ヘイムダル大聖堂》へ赴くオリヴァルト皇子。
《帝都競馬場》で行われる夏至祭のレースで挨拶する予定のセドリック皇太子。
それぞれを乗せた車は同じ時刻にバルフレイム宮を出発し、それまでの道のりがパレードとして一般市民も拝見できる。最低でも警備する場所が三ヶ所になることから、クレア大尉はこのタイミングで事を起こす可能性が高いと睨んでいた。
予定ではそれぞれの場所に鉄道憲兵隊と帝都憲兵隊、そして可能な限りの正規軍を配備。
更に《マーテル公園》にはサラ教官とクレア大尉、《ヘイムダル大聖堂》にはオリヴァルト皇子のお付きであるミュラー・ヴァンダールとミリアム、《帝都競馬場》には遊撃士のナオミとトヴァルが警備に当たることになっている。
その中でクレア大尉がⅦ組に依頼したのは『遊軍』として不測の事態に対応して欲しいというものだった。
警備体制はこれ以上ないほど万全なものではあるが、それでも何が起こるかはわからない。一ヶ所に集中してテロが起きることもあれば三ヶ所同時に起こる可能性もある。Ⅶ組にはそうした時に自由に動ける部隊として機能して欲しいというのがクレア大尉の考えだった。
勿論ながらⅦ組全員はこの依頼を快諾。そして現在は不安要素を少しでも無くすべくA班B班に分かれて帝都を巡回しているところで、ヴェスタ通り、サンクト地区を回ったイクス達はA班の実習範囲とも被るヴァンクール大通りまで来ていた。
「…………」
「フィー、どうした?」
昨日一昨日よりも更に人通りが多くなっている大通りを見て回る中、フィーが少し目を細めて足を止めた。無言で何か感じ取ろうとする彼女を見て、イクスは声をかける。
「ん、やっぱり少し空気がピリついてる感じがする」
「空気がピリついてる、ですか」
「ああ。確かに僅かだが、昨日までとは違う風を感じるな」
「俺にはさっぱり分からんな」
「俺も正直良く分からないけど、連中は確かにいるってことなんだな?」
「多分間違いないと思う」
元猟兵としての感覚で何かの違和感を感じるフィー、風を感じるというノルド高原で培った感覚を持つガイウス。この二人が何らかの違和感を感じるということは、今も水面下でテロリスト達が動いていることは間違いないのだろう。
夏至祭ということで大通りには様々な屋台やイベントなども行われている。子どもから大人まで老若男女問わず様々な人々が集まる大通りは、一見すれば人が賑わう楽しげな雰囲気に包まれているが、その中には二人が言ったような人物達が潜んでいるかもしれない。もしかすれば結社や猟兵などの存在も。
より一層の警戒を新たにイクス達は建物内も一応チェックしようということで百貨店の中へ入ることになった。一階を一通り見た後、同じく二階もチェックしようと階段を上っていくと、そこで彼らはとある人物と遭遇した。
「あ、クロウ先輩」
「ん? よぉ、Ⅶ組の連中じゃねーか。どうしたんだこんなトコで」
二階にあるカフェレストラン、そのカウンター席に一人座っていたのはイクス達の先輩であるクロウ・アームブラストであった。確かに今日は休日ではあるものの、クロウが一人で帝都にいることにイクス達は少し驚いていた。
「あぁ、そういやお前らは例の特別実習か。いやー、お勤めご苦労さん。せっかくの休日なのに大変だな」
「あはは………そうですね」
「まあ、これも俺たち自身の選んだ道だからな」
「それで、クロウ先輩はこんなトコで何してるんです?飯を食べてたって感じじゃなさそうですけど」
「さっきまでそこの新聞読んでたっぽいね」
「フン、この男が真面目に新聞などを読むとは思えんが」
「ったく、失礼なヤツだな。ま、実際その通りなんだが」
そう言うとクロウは置いてあった新聞を取り上げる。彼が読んでいたのはその中の一部の紙面で手元にはペンとメモ用紙もあった。そしてそのページを見たイクスは彼の目的を瞬時に理解する。
「………なるほど、今日のレースの《夏至賞》が目当てですか」
「ピンポーン、大正解!」
「つまりギャンブルですか……」
クロウが見ていたのは今日の《夏至賞》のレースに出馬する馬の情報が記載された紙面。このページを見ていたということは当然、今日のレースの結果を予想していたということだ。
イクスの知る限り、クロウは入学したての頃にリィンから手品と称して金を巻き上げたりとだらしない行動が多い。学院や街の子どもにカードゲームである《ブレード》を布教したりとゲーム好きでもあるため、彼がギャンブルに手を出していても不思議ではなかった。
ギャンブルのために一人帝都へ来たクロウに一同が呆れていると、ここで帝都に住んでいたイクスが重大な事に気付いた。
「……って、ちょっと待ってください。クロウ先輩ってまだ未成年ですよね」
「……さーて、どうだったかな〜」
「何かマズいのか?イクス」
「あ、もしかして……」
「馬券を買えるのは成人してから、クロウ先輩はまだ馬券を買えないはずだ」
イクスの指摘したように帝都競馬場では馬券を購入できるのは成人して20歳を迎えてから。クロウもまだ未成年であるため、馬券はそもそも買えないはず。もし仮に彼が年齢を誤魔化して馬券を買っていた場合、それは立派な法律違反となる。
まさか犯罪にまで手を染めたのか、そんな不安がB班全員の頭をよぎったが実はそうではなかった。
「……クックックッ、甘いな。俺は馬券なんざ買っちゃいねーよ」
「え?」
「じゃあ、わざわざレースだけ見に来たんですか?」
「クク、実はとある雑誌で《夏至賞》に便乗した懸賞企画をやっててな。応募した予想がズバリ当たっていれば豪華景品ゲットって寸法なわけよ」
「はぁ……それでわざわざ新聞までチェックしてレースを見に来たってことですか」
「……呆れて物も言えんな」
そこまでしてギャンブルがしたかったのかとイクスは目の前の先輩に嘆息する。つい最近、旧校舎で助けてくれた頼もしい先輩の姿はカケラもなかった。
「新聞の予想でも俺の予想とバッチリ一致してるし、こりゃ一等の景品は頂いたも同然だ。後は無事上手くいくよう神頼みするだけだな」
自らの勝利を確信しガッハッハと高笑いするクロウ。
見れば一緒に持っているメモ用紙にはレースに出馬する馬の情報なども書かれていて、これを前々から予想していた辺り普段からこういった事をしているのが伺える。
クロウという人物が目的のためなら入念な準備を欠かさない慎重さもある事を、イクス達は妙なところで知る事になったのだった。
ところで、『祭り』というものの楽しみ方には色々なものがある。
例えば、祭りの定番である屋台を回る、もしくは自分で出店してお金を稼いだり。
例えば、その日限定の商品なんかを狙って街を駆け回ったり。
例えば、ギャンブルで一儲けする夢を買ったり。
その他にも色々な楽しみ方があるのだろうが、『祭り』といえば必然的に起こるであろう一つのイベントが存在する。
それは、恋。
『祭り』が持つ独特の熱気は人々の心も熱く盛り上げさせる。その熱は時に意中の人物への恋心をも熱く燃やし、或いは祭りの中でその恋心が芽生えてしまうなんて事も珍しくは無いだろう。
事実、何かしらの祭りの最中にできるカップルの数は多く、それを目当てにその祭りに異性を誘う者も少なくはない。
そう、その結果がどうなるのかは別として『祭り』というものにおいてそういった事は必ずどこかで起きる。《夏至祭》も祭りといえば祭り。ここ帝都でも毎年その場面があちこちで目撃されていた。
そしてここにまた一人、いや二人。恋の炎に燃える者達がいた。
「お願いします!俺達と付き合ってください!」
「お願いします!」
夏至祭ともあって観光客の姿も多く見られる《ドライケルス広場》。その場所で深々と頭を下げて手を差し出す二人の男。
彼らはジョットとケイ。《ヴェスタ通り》に住むイクスの悪友である。
周囲の目も気にせずに目の前の女性達に手を差し出す二人。こんな場所で告白か?という視線もあったが、実際にはそれ以前の段階だった。
「ふむ、生憎我らはこれから用事があってな」
「ごめんなさいね〜。もし良かったらこの子だけ置いていくっていうのもあるけど」
「えっ、マジっすか!?」
「な、何勝手な事を言ってるんですの!?誰がこんな奴らに付き合いますか!」
「そんなぁ、せめて10分くらい……」
「ええい!しつこいですわ!」
ジョットとケイがしていたのは決して目の前の女性への告白ではない。彼らの言い方が紛らわしいのだが、彼らがしていたのはいわゆるナンパ。その女性達をお茶に誘っていただけだった。
彼らの奮闘も空しく少し年上に見える女性三人はその場から去っていく。本日五度目のナンパもあえなく失敗に終わっていた。
「おーい、またやってんのか二人とも」
「……おお、イクスか」
「それにⅦ組の人たちも……」
「その、残念だったな」
「どんまい」
膝をついて凹んでいたジョットとケイに声をかけたのは帝都を巡回しているイクス達B班だった。ガイウスやフィーが一応の慰めの言葉を送る一方、この状況に唯一慣れているイクスは対して気にせずいつも通りに話しかけていた。
ジョットとケイが夏至祭の最中に彼女を作ろうと色々な女性をナンパするのは数年前からずっとやっている事であるため、それに毎回付き添っていたイクスにとってこの光景は見慣れたものである。先ほども遠目から見ていたが、こうなる事は予想通りだった。
「本当懲りないよな、お前らも。毎年毎年よくやるわ」
「くそっ、余裕ぶっこきやがって」
「つーか、イクスこそどうしたんだ?今日は夏至祭だぜ?」
「マシロちゃんと一緒じゃないのかよ」
「あいつは色々と用事があるんだよ。確か今日のパレードが終わった後に女学院の学生会長としてバルフレイム宮に招待されるって言ってたな」
「そうなんですか」
「城で行われる晩餐会に招待されたのか?」
「それもあるらしいけど、その前に皇帝陛下とお話する機会を特別に貰ったんだと」
「ふーん、すごいね」
実を言えば、いくら女学院の学生会長を務めているからといって皇帝陛下に謁見する機会を貰えるというのは難しい。しかしマシロの後輩には皇族であるアルフィン皇女との繋がりがあり、さらにアルフィンからの頼みでオリヴァルト皇子のコネも使える。その二人の協力もあって今回特別に許可を得ることができていた。
仮にマシロの予定が空いていたとしてもイクス達にはテロリストを警戒して帝都を巡回しなければならないため、彼女とイクスが二人で夏至祭を回ることはそもそもできない。そのもう一つの理由については、イクスは一般人であるジョットとケイには話さなかった。
二人と軽く話した後、イクス達は引き続き帝都を巡回するためドライケルス広場を後にすることになった。ナンパの失敗から完全に立ち直っていた二人もまた新たな出会いを求めて場所を移動するようだった。
「ま、せいぜい頑張れよ二人とも」
「おう、じゃーな」
「エマちゃんとフィーちゃんもいつかお茶しようねー!」
「あはは……考えておきますね……」
イクス達がジョットとケイと別れた頃、ドライケルス広場から少し離れた場所で先程ジョットとケイにナンパされていた女性達が話をしていた。どうやら誰かと待ち合わせをしているらしく、彼女達はその場所から動こうとしていない。
「全く、さっきは酷い目に遭いましたわ!」
「あら、何もそこまで言うほどじゃなかったじゃない。さっきの子達も一生懸命でちょっと可愛かったわよ?」
「あれだけの人の前で我らを誘ってきた胆力は中々のものだと思うがな」
「そういう問題じゃありません!」
少し漫才じみたやり取りを交わす美女三人。
主にツッコミ役らしい貴族っぽい口調の茶髪の女性、古風な口調で話す少し天然混じりの赤銅色の髪の女性、そして茶髪の女性を弄るのが好きらしい青髪のおっとりした女性。
それぞれタイプは違うものの、容姿の整った美女であることに変わりはなくジョットやケイが声をかけてしまったのも無理はない。道行く男達も彼女達にチラチラと視線を送ってしまうほどである。
このままでも男としてはかなり眼福ものなのだが、彼女達と待ち合わせをしていたらしい新たに二人の人物が姿を見せた。
「すいません、お姉様方!お待たせしましたー!」
「……お待たせしました」
現れたのは三人よりも少し年下の二人の美少女。淡い紫色の髪を持つ美少女二人は性格は似ていないものの、その容姿はかなり似通っている。
「遅いですわよ!騎士たる者、時間にも気をつけなさい」
「はーい、すいません」
「まあ、その辺にしておいてやれ。二人とも、目当ての物は買えたのか」
「はい、それはバッチリ!」
「………です」
「そう、良かったわ」
仲睦まじく話す光景はまるで五人姉妹のような微笑ましさを思わせる。道行く者達は男性だけでなく女性もその光景を笑顔で見ていた。
だが、彼らは知らない。
その五人がただの美女ではなく一人一人が一流の武人であり誇り高い《戦乙女》であることを。
「さあ、私たちもそろそろ行きますわよ。今回はあくまで“任務”でここに来ているのですから」
「無論、それは忘れていないさ」
「ええ、行きましょうか。貴方たちの方もしっかりね」
「言われなくとも!“隊長”や“あの御方”の期待を裏切るわけにいかないですからね!」
「………全力を尽くします」
短い休息は終わり、戦乙女たちは戦場へと向かう。
開戦の時は静かに迫ろうとしていた。